2015年11月3日
奥秩父:日帰り
茅ヶ岳:アンパンとコーヒーの頂。

深田久弥氏終焉の地である茅ヶ岳へ。


いつの間にかコーヒーを美味しく感じられるようになった。

学生の頃、アメリカのテレビドラマ『ツインピークス』にハマって、主人公の日課だった『朝食はドーナツとブラックコーヒー』をマネしたものだ。その真似事は数日と続かなかったが、今思えばコーヒーの『酸味』を酸化した味と思っていた程度の知識で、ブラックコーヒーを楽しめる訳もない。

今では美味しいコーヒーを教えてもらい、味の違いもそこそこわかるようになった。そんなコーヒーを山頂で味わうために穏やかな秋の山へゆこう。

選んだ目的地は茅ヶ岳。

つまり、アンパンも欠かせない。
ドーナツではなくアンパン。

『日本百名山』の著者である故深田久弥氏は、山行の際にはアンパン持参が常だったようで、脳卒中で倒れて終焉の地となった茅ヶ岳にも持参していたという。

慰霊の目的も込めて、アンパンとコーヒー(ドリップパック)を携え茅ヶ岳へ出発だ。

【おすすめ珈琲】
甲府にある自家焙煎珈琲店『煎豆屋』のドリップパックは香りも風味も良く、山行のお供にオススメ。




観音峠から秋道をゆく。


今回は観音峠から入り、金ヶ岳、茅ヶ岳、そして深田久弥氏終焉の地を目的地とする慰霊山行。その後、来た道を引き返す、あまり一般的とは言えないルート/スケジュールだ。

特に観音峠~金ヶ岳の区間は、一般山道でも細尾根で急峻な箇所が多く油断はできない。持参したアンパンを潰さぬよう死守しつつ、安全山行を心掛けよう。

観音峠に車を停めてNTT観音無線中継所の入口脇にある山道から登り始める。

落ち葉が散り積もるふっくらした山道を歩いていると、枝に残る数少ない枯れ葉がカサリと音をたてて舞い落ちてくる。日差しは優しく、風も穏やかでポカポカ陽気。

まったく秋の山歩きは心地好いな。

どっこいせ、と船首岩に腰掛けるヨメ。


気持ちよく歩いていると、早くもクサリ場が現れる。そして、尾根は細くなり、険しさが増してきた。

事前の地形図チェックで想定していたよりも細尾根、且つ要注意箇所が所々に現れるこのルートは、いくら秋晴れで心地好くても気を引き締めなければならない。

確実に登り続けて、茅ヶ岳と金ヶ岳との稜線に合流。

茅ヶ岳に向かう前に、反対方向の金ヶ岳に寄り道する。何となく茅ヶ岳と金ヶ岳はセットな感じがするので、面倒臭がらずに金ヶ岳からの景色を確認しにゆく。

そこそこの人で賑わう金ヶ岳山頂は、赤石山脈を一望できる好展望で、すぐ隣には富士山と並んで形の良い茅ヶ岳が見えている。

この好展望の金ヶ岳山頂でアンパンとコーヒーを楽しむのも悪くないな・・・と一瞬考えたが、本来の目的を忘れずに改めて茅ヶ岳へと向かう。

金ヶ岳から富士山と茅ヶ岳。


金ヶ岳を下り、見晴らしの良い岩場、石門を通過して登り返せば茅ヶ岳山頂だ。

山頂に近づくほどに人々の賑わいが聞こえてきた。それと同時にお肉を焼いた香りが漂ってくる。お昼時もあって賑わっているのが容易に想像できる状況に、数年前に来た際のぎゅうぎゅう詰めだった山頂が思い起こされる。

案の定、賑わっている茅ヶ岳山頂に到着して「皆、深田久弥好きなのだろうな」と、数年前と同じことを思う。

お肉の香りに反応したのか、お腹が鳴り始めた。

ここまでいくつかのピークを越えてやって来た訳だが、本日の目的地である深田久弥氏終焉の地は女岩方面へ160m程下ったところにある。つまり、また登り返して戻って来なければならない。

慰霊云々と言っていた割に今となっては「また登り返すのかぁ、お腹空いたなぁ」とボヤいてしまう私に、同行のヨメから怠惰心を改めさせる言葉を聞く。

「深田さん、無念だっただろうね」

手作りアンパンと煎豆屋の珈琲(ドリップパック)を頂きます。


茅ヶ岳登山中に脳卒中で倒れた深田久弥氏。そのザックにはアンパンも入っていたと聞いている。山頂間近にして命を落とす無念さは勿論のこと、山頂でアンパンを食べられなかった無念さもあっただろう。そう考えると、目的を忘れて億劫がっていた自分が恥ずかしくなった。

本来の目的を思い起こし、慰霊碑の建つ終焉の地へと下り、持参したアンパンを供えて手を合わせる。そして、戻ってきた茅ヶ岳山頂でコーヒーと共にアンパンをじっくりと味わった。

百の頂に百の喜びあり / 深田久弥


この言葉通りに、お昼時で賑わう茅ヶ岳山頂は、それぞれがそれぞれの山頂を楽しんでいた。

深田さん、これれからも山歩きの参考書として『日本百名山』にはお世話になります。

漫画的山行記録

『日本百名山』の著者である故深田久弥氏は、山行の際にアンパンを持参するのが常だったそうです。

そんな深田久弥氏の終焉の地となった茅ヶ岳にアンパン持参で行ってきます。

観音峠から出発します。

※観音峠からの山道は細尾根で険しいので要注意。

茅ヶ岳はあちら。手前のピークを越えて行きます。

注意文を読んで出発。

落ち葉でふっくらした山道を進みます。

苔生した顔なしお地蔵さま。

いきなりクサリ場です。

岩場を登ると視界が開けます。

細尾根の急峻な岩場なので足元には要注意。

船首岩に寄り道。

どっこらせ、っと。

瑞籬山、金峰山が見えます。

登りを再開して細尾根を進みます。

茅ヶ岳と富士。

茅ヶ岳~金ヶ岳の稜線に合流しました。

細尾根で険しい区間はひとまず終了です。

茅ヶ岳へ行く前に、金ヶ岳山頂に寄り道。

再度、茅ヶ岳と富士。

晩秋の装いとなった裾野を眺めながら茅ヶ岳へ向かいます。

石門をくぐります。

登り返して茅ヶ岳に到着。

深田久弥氏終焉の地は、女岩方面へ160m程下った所です。

『日本百名山』には大変お世話になっております、の感謝を込めてアンパンを供えます。

さて、茅ヶ岳へ登り返してアンパンを頂きますか。

アンパンには美味しいコーヒーを。

甲府にある自家焙煎珈琲店『煎豆屋』のドリップパック。便利且つ美味しい!

正面に見える尾根伝いに観音峠へと戻ります。

再度、石門を通過。

延びる影が夕暮れを知らせます。

崩れやすそうな巨岩下は素早く通過。

下りはより慎重に。

本日は富士山が良く映えてくれます。

実に収まりよく、絵になる山です。

紅葉もラストスパート。

無事に下山しました。

駐車場へと戻ってお疲れ様でした。

帰りに山宮温泉で汗を流します。入浴600円。

そして、ドイツ料理の店『ルーヴェ』でお腹を満たします。

ちなみに『ルーヴェ』のご主人は山好き。

レストラン2階にて所蔵品である山岳書の古本市を開催中です。

畦地梅太郎画文集『山の眼玉』限定本、買っちゃった。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

金ヶ岳(かながたけ)
標高1764m
「にせ八つ」の異名を持つ。
詳細(外部リンク)
茅ヶ岳(かやがたけ)
標高1704m
深田久弥先生終焉の地。
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

観音峠[着] 08:32 - [発] 08:32
 ↓ 127分 
金ヶ岳[着] 10:39 - [発] 10:55
 ↓ 51分 
茅ヶ岳[着] 11:46 - [発] 11:50
 ↓ 14分 
深田久弥終焉の地[着] 12:04 - [発] 12:14
 ↓ 11分 
茅ヶ岳[着] 12:25 - [発] 13:23
 ↓ 111分 
観音峠[着] 15:14 - [発] 15:14

行動時間:5時間14分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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