2012年3月20日
奥秩父:日帰り
両神山:山頂独占でアツアツのお茶をすする。

厳冬期でも使えるシンプル構造の山専ボトルを衝動買いした。
そんな環境下での登山予定もないのに。

それでも購入したら使ってみたくなるのが人情というもの。
早速、寒そうな山中でアツアツのお茶をすするべく、山歩きに出かけた。

特徴のある山容の両神山。


この時期、山頂が寒そうで、未だ装着したことのない12本爪アイゼンを試せて、自分のレベルよりちょっと高めのコースという条件で探したところ、日本百名山のひとつ「両神山」がよさそう。
日向大谷(ひなたおおや)に車を止め、山道が狭く、急傾斜のクサリ場もある七滝沢コース経由で山頂へ。
帰りは表登山道で下山のスケジュールだ。

事前リサーチによると、七滝沢コースでは「養老の滝」の氷瀑(滝が凍結してできたもの)を見ることができるらしい。
そして道中の神社にはオオカミの狛犬もいるとのこと。

こいつは楽しませてくれそうだ。
こんな期待を胸に、熱湯の入った山専ボトルを携え出発。


日向大谷に着くとまだ誰もいない。
どうやら本日一番乗りのようだ。

案内板で七滝沢コースを確認してみると、「滑落事故多発」「難路」「経験者向け」の文字が目に入る。
小心者の私をビビらせるには、この文句は十分過ぎる。

「難路と言っても実際に体験してみなければ話にならん!」と小心を奮い立たせて山歩きスタート。

まずは沢の音を聞きながら、積雪のない山道をマッタリと歩く。
天気も良く風も穏やか。
「アイゼンの出番はあるだろうか」と心配になるほど暖かく、先程のビビりもマッタリ感で緩和されゆく。

30分ほどで分岐点である会所に到着。
ここからいよいよ七滝沢コースへと入ることになる。

む、無理なもんかい!(強がり)


七滝沢コース入口には「無理な登山はやめよう」と、私に語りかけているかのような標識が立っており、すっかりビビりも復活だ。
ここは覚悟を決めて進むことにしよう。

谷間に入り日陰になると積雪も出てきた。
登るごとに積雪量は増え、山道は狭く急傾斜になってくる。

それでも数日前の足跡らしきトレースが残っていたため道迷いの心配はなさそうだ。
トレースのおかげもあって30センチ程の積雪でも歩きやすいし何よりも心強い。

ビバ!トレース!

そんなトレースに導かれながら登って行くと、見る見るうちに氷の世界が広がってきた。
ずっと聞こえていた沢の音もいつの間にか止み山中は静まりかえっている。

「養老の滝」の氷瀑(滝が凍結してできたもの)。


そしてつららだらけとなった「霧降の滝」が出現。
さらに上には「養老の滝」の氷瀑が静かにたたずんでいた。

想像するに1~2月の頃より融けだして小さくなっているようだが、それでも見事なもの。
自然の尊厳を感じさせるその姿は寒さを忘れるほどに溜息モノだ。
この静けさもまた堪らない。

ひとしきり氷の世界を楽しんだ後、氷瀑を左に見ながら狭い斜面を登って行く。
ここからが要注意箇所だ。

トラバース気味に進んでいきます。


クサリ場は鎖が雪に埋もれているか、凍って張り付いているかでほとんど使えない。
登りきった後は積雪のある斜面をトラバース気味に進んでゆく。
山道が狭いこともあり、滑落したらタダでは済まなそうだ。

緊張感を保ちつつ慎重に進むことで、無事に表登山道に合流することができた。

こちらは日当たりが良いせいか積雪はあまりない。
そのかわり、悪意を感じてしまう程に滑りやすい融け始めの雪と氷が散在している。


命に関わることはないにしても、こういう悪質極まりないツルンツルン山道で転ぶと精神的ダメージが大きい。
まさにアイゼン試し履きのチャンス到来だ。

12本爪アイゼンをモタモタと初装着。


慣れていないせいもありモタモタと装着。(ああ、長すぎるベルトは切っておくべきだった。。。)
何とか装着完了させ早速歩いてみる。

おほっ、これはいい。

当たり前だがガツンと氷に食い込み、滑り知らずで実に頼もしい。
足取りが重くなるのは致し方ないが滑らない安心感は絶大だ。
あとは爪で引っ掛けてズボンを破かないよう注意しながらガニ股気味に登って行く。

間もなく両神神社、御嶽神社に到着。
噂に聞いていた通り狛犬が面白い。

両神山の御眷属は山犬(オオカミ)とされているだけに、両神神社の狛犬もオオカミだ。
と言ってもハチ公のようにお座りしている姿は守護獣とは思えない親しみやすさがある。

両神神社に隣接している御嶽神社(金剛院)の狛犬は更にフレンドリー感が溢れ出ている。
守護獣どころか「おっ、寄って行きなよ。」と、尻尾を振って招き入れている感すらある。
いいのか、それで。

両神神社の狛犬はオオカミです。


イヒッ!


ホエ?

何はともあれ参拝も済ませ、狛犬欲が満たされたところで一気に山頂を目指す。
途中、ロープで山道が遮られていたが、自己責任で先に進む。

そして最後のクサリ場を登って両神山山頂に到着。
穏やかな天候の下、360度広がる眺望が展開していた。

これまで誰ともすれ違わず、人っ子一人いない山頂を独占できるなんて、久しぶりに山頂テンション爆発だ。
普段、自分の写真はあまり撮りたがらないタイプなのだが、珍しくタイマーで記念撮影。

山専ボトルのお湯も好い加減になって、景色を見ながら独り静かにアツアツのお茶を楽しんだ。
独りも悪くない。

両神山山頂の祠。


山頂独占で浮かれる37歳。


山専ボトルに乾杯!

下山もアイゼンのおかげで安心感は抜群。
この時期でも鈴ヶ坂(七滝沢/表登山道分岐点から両神神社の区間)はアイゼン(スパイクでもよさそう)があった方が間違いなく安心だ。
登りは何とか大丈夫でも下りが危なっかしくてしょうがない。

下山に利用した表登山道はすっかり土が露出しているのでアイゼンは着けられないが、日陰箇所では小憎たらしい感じで滑る残雪がある。
そんな残雪に足を取られることなく、点在する石仏に手を合わせながら無事に下山。

何だか今回は氷瀑あり狛犬あり、山専ボトルにアイゼン初装着と盛りだくさんで大満足の山歩きとなった。

本日の写真

登山口、と言うより両神山荘入口。

積雪ゼロ。

ここから山道スタートと言う感じ。

早くもクサリ出現。

運命の分かれ道。ビビりながらも覚悟を決めて行きます。

落ち葉に埋もれる山道。

何気に休憩所あり。

少々朽ち気味の木橋を渡ります。

雪が出てきた。

数日前のトレース。これは心強い。

薄っぺらい雪ダルマ。

1分程の所にあるようですが今回はスルーで。

トレースがあるから安心して進めます。

トラバースして渡ります。鎖には木橋がぶら下がっていました。

3月後半だというのにまだ凍ってます。

日の当らない谷間はまだまだ寒い。

ガリガリの霧降の滝。

養老の滝の氷瀑(滝が凍結してできたもの)。

山道には積雪があり、狭くて崖になっているので要注意。

ここを左に行くとクサリです。左です。

道を間違えて行き止まり。

クサリ場といっても雪に埋もれて使えない。

すぐ横は崖。落ちないで。

そろそろ合流地点に着きそうだ。

カチンコチンの七滝沢を渡ります。

ツルツルでコワイ。滑落注意。

この辺りはまだまだカチコチです。

クサリも氷と一緒に凍ってます。

ああ、嬉しい日の光。

表登山道に合流。

日当たりはいいですが融けかけの雪と氷で余計に滑ります。

ミカン休憩。質の良い水分補給にも最適。

どうやらあれが両神山山頂らしい。

まだ、時間が早いせいか、ロープや鎖がバリバリです。

アイゼン初装着!

ロープ/クサリ場が続きます。

ガリンガリンの山道。

おっ、狛犬発見!(←狛犬好き)

両神神社(本社)の狛犬はオオカミだそうです。

ハチ公風狛犬。

両神神社に隣接してある御嶽神社。

ニヤリとほくそ笑む狛犬。

イヒッ。

とぼけた表情の狛犬。

ホエ?

あれ、ロープが張ってある・・・。自己責任で先に進みます。

もう少しで山頂か。

整備御苦労さまです。

山頂間近だ。

最後のクサリ。

頂上は目の前!

山頂へ到着。

雲取山、甲武信岳方面。

金峰山、南アルプス方面。

南/中央アルプス、八ヶ岳方面。

山頂独占で浮かれる37歳。

ぐるりと眺望を楽しめます。

山専ボトルに乾杯!

空を見ながら小休止。

童心に返ってバタッ。

尻尾ピーン。

御神木っぽい風格。

ガリガリ山道の下りは慎重に。

ツララも絵になる。

横岩。

ガリガリ斜面に救いのロープ。

清滝。パワースポット的な印象を受けましたが、写真ではそんな感じゼロ。

不動明王っぽい石仏。

清滝小屋。この時期は営業しておらず、無人の避難小屋になっています。

中は広々、綺麗です。

弘法井戸(こうぼうのいど)。水場です。

表登山道は日当たりが良いのか雪がありません。

所々に石仏があります。

またしても石仏。

ここまで下りてくるとだいぶ暖かい。

日陰に残っている雪は何気に滑るので注意。

何度か沢を渡ります。

また沢を渡ります。

目の赤い石仏。花粉症ですか。

山中の標識で「山道」ってどういうことだ!?

沢を渡るのも本日これで最後。

数時間ぶりに分岐点のケルンに再会。

登山届を出しても下山確認はどうするのだろうか。

無事下山後はデカビタチャージ!

本日の山行情報

単独行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

両神山(りょうかみさん)
標高1723m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

日向大谷(ひなたおおや)[着] 06:50 - [発] 06:50
 ↓ 30分 
会所(分岐点)[着] 07:20 - [発] 07:20
 ↓ 125分 七滝沢コース
鈴ヶ坂(分岐点)[着] 09:25 - [発] 09:25
 ↓ 85分 産泰尾根
両神山(剣ヶ峰)[着] 10:50 - [発] 12:00
 ↓ 45分 産泰尾根
鈴ヶ坂(分岐点)[着] 12:45 - [発] 12:45
 ↓ 5分 表登山道
清滝小屋[着] 12:50 - [発] 12:50
 ↓ 60分 表登山道
会所(分岐点)[着] 13:50 - [発] 13:50
 ↓ 30分 
日向大谷(ひなたおおや)[着] 14:20 - [発] 14:20

行動時間:6時間20分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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