2013年7月7日
奥秩父:2日目
三峰山:山中での出会いで体力回復。

木々の間から今にも朝日が昇らんとしている奥多摩小屋のテン場。


ヘネシーハンモックのカヤの隙間から射し込む朝の光で目が覚めた。

昨晩は時折強い風が吹き、その度に風にあおられてバタつくフライシートで目を覚ましたりもしたが、それ以上にハンモックの快適さで大いに快眠できた。

外に出てみると木々の間から今にも朝日が昇らんとしている。
そして冠雪しているように山頂だけ雲を被った富士山がよく見える。

何だかよい一日になりそうな予感。
朝食を摂り、ヘネシーハンモックを撤収、朝日がすっかり昇った頃に気持ち良く出発した。

本日は雲取山を経由して埼玉側に下山する。
当初の酉谷山から秩父鉄道白久駅に下山する予定を、昨日の疲労具合を考慮して三峰三山縦走へと変更。
こちらの方が距離も短く、登山口の三峯神社から駅までバスが出ているので無理する事なく楽しめそうだ。

三峰三山とは、雲取山、白岩山、妙法ヶ岳の総称で、まとめて三峰山と呼ばれる事もある。
下山後に参拝するだろう秩父三大神社のひとつ『三峯神社』も見逃せない観光スポットだ。

まずは東京都最高峰の雲取山へ。

三峰三山のひとつ雲取山。


昨日は思ったよりも歩けていない自分に落胆したものの、本日は全てを受け入れて身体をいたわる事に決めている。
ただ、せっかくの天気なので巻き道は使わず雲取山は登っておこう。

さっきと話が違うじゃねーか!と、早速悲鳴をあげる身体。
それでも優しさタップリにスローペースで、一歩一歩着実に登る事で無事に山頂に到着。

相変わらず大人気の雲取山山頂は記念撮影の順番待ち状態だ。
まだまだ先は長いので、ザックを下ろさず軽く景色を眺める程度にして雲取山荘まで下る。

これまで来た事があるのは雲取山荘まで。
勢いよく流れている水場で喉を潤し、私にとって未知なる山道に向かって再出発した。

静かで気持ちいい山歩き。でも冬場は滑落注意の場所だ。


雲取山荘を離れると、石尾根とは違って人の気配がパタリと消えた。
時間帯もあるのかもしれないが鳥のさえずり、虫の鳴き声が少しばかり聞こえる程度で誰もいない。

これはこれで気持ちがイイものだ。

日陰となる山道は涼しく、冷たい朝の空気が心地よく身体に入ってくる。そんな心地よさもあって、駄々をこねずに歩いてくれる私の身体。

大ダワへと向かう『男坂』『女坂』の分岐では、迷わず『男坂』に突入。どっちがどのような感じなのか知らないが、ここは男の強がりで『男坂』一択だろう。

人も多く整備されている奥多摩側の石尾根に比べると、こちらは岩場あり急坂ありと、少々荒々しい印象。
しかし案内板や休憩所は管理が行き届いているのか実に綺麗で奥秩父の心意気が感じられる。

白岩山山頂で、座るのにためらう必要もない綺麗なベンチで休憩していると、恐れるそぶりも見せずにシカが接近してきた。

人間馴れしているのとは違い、「人間?なにそれ?」と、はなから関心がない様子のシカ。
いや、むしろ「なに勝手に休憩しとるんじゃ、ワレェ」と、今にも飛びかかってきそうな表情で睨んでくる。

ええと、スイマセン・・・。(小心者)


三峰三山のひとつ白岩山。山道から少し離れてポツンとあります。


景色に負けてない存在感のグランテトラ。


今にも飛びかかってきそうな一触即発な状況。

こんなシカたちがうろつく山道を『お清平』へと下降。
この白岩山からお清平への区間は急傾斜になっているため、疲れていても慎重に足場を選ぶ必要がある。

鞍部で分岐点の『お清平』に無事到着。

管理が行き届いている綺麗な案内板によると、『お清平』は二通りの言い伝えがあるらしく、その内のひとつ「悲恋に泣いた炭焼き娘、お清の物語」が気になる。悲恋の原因が無性に気になる。
やっぱり炭焼きが原因か?顔、ススだらけだったのか?
(帰宅後に調べても結局わからず終い)

秩父宮殿下御命名の霧藻ヶ峰(黒岩山)を経て、三峰三山最後の妙法ヶ岳へと向かう。
妙法ヶ岳はメインルートから外れているため、1時間程遠回りになるが、疲れた身体にお伺いを立てながら寄ってみる事にする。

妙法ヶ岳山頂には三峯神社奥宮があり、山道にはその入り口となる鳥居が建っている。若々しい緑の葉を揺らす木々に囲まれて、その場に溶け込むように建っている。
特別立派ではない素朴な鳥居なのだが、自然と一体化しているこの状態に、神聖さを感じずにはいられない。

そして三峰三山最後の妙法ヶ岳山頂に到着。
三峯神社奥宮に参拝すると、心なしか気持ちが静かになった気がする。

自然と一体化している鳥居。神聖さを感じずにはいられない。


妙法ヶ岳山頂には狛犬たちが。


これまで歩いてきた山々を振り返る。右奥が雲取山。

妙法ヶ岳手前の休憩所まで戻り一休みしていると、夫婦の登山者がやって来た。ご夫婦で登山にはまっているらしく、その話振りから楽しんで登っているのが伝わってくる。

そんなご主人はテントを買いたがっていたので、奥さんの手前、控え目にヘネシーハンモックを勧めておいた。

その後も、見るからに生命力に満ち溢れているオバチャン登山者たちがやって来て、ワインや半解凍状態のグレープフルーツなどを振る舞ってくれた。梅雨明けの山中で冷たいフルーツを食べられる幸せといったらない。何だかこれまでの疲れが吹き飛んだ感じだ。

心身ともに気分よく三峯神社へと下山。
無事な下山と、山中での出会いに感謝しつつ参拝。

バス時間まで境内を散策、拝殿に隣接しているホテルで温泉につかって帰路に就いた。
勿論、地元の特産物を食す事は忘れずに。

秩父特産『中津川いも田楽』、ウマイです!


パワースポットと名高い三峯神社。御神木の存在感が凄い。


拝殿に隣接しているホテルで温泉に入れます。(500円)


秩父特産『中津川いも田楽』。甘じょっぱくてウマイ!

本日の写真

奥多摩の朝。ハンモックで目覚め爽やか。

冠雪しているように雲を被った富士山。

小雲取山の登り。体力が回復しているからイケる。

朝の雲取山山頂。

山頂の雲は取れそうにないな。

雲取山荘まで爽やかな樹林帯を下ります。

雲取山荘手前の祠。

立派な雲取山荘。

大ダワに向かって下降中。

大ダワ。「たわむ」「たるむ」からくる鞍部を指す名称です。

夏道でも油断は禁物。

長沢背稜への分岐。

冬場は怖そうな山道だ。

大きな石灰岩。

芋ノ木ドッケ。

名称由来はこちら。

山道からちょっと外れて白岩山。

巨大に見えるグランテトラ。景色に負けてない存在感。

「やんのかぁワレぇ?」と、今にもどつかれそう。休憩しているだけですが・・・。

廃屋と化した白岩小屋。

前白岩山。

前白岩の肩。奥から視線を感じる・・・。

この辺りは急傾斜なので注意。

ここだけ異様に歩きやすい。

岩と苔で涼しげ。

お清平。炭焼き娘「お清」の悲恋話があるらしい。

秩父宮殿下御命名の霧藻ヶ峰(黒岩山)。

綺麗な休憩舎あり。

見上げると顔が。夜見たら怖いよ。

妙法ヶ岳へ続く鳥居。手前に休憩所があります。

もの凄く神聖な感じ!

急な階段に注意。

三峯神社奥宮。

根性ありそう。

ふてくされてます。

狛犬が集ってる。

歩いてきた道のりを振り返ります。

逆方向から来ましたが奥宮入口。

神社らしい雰囲気になってきた。

三峯神社の茶屋。賑わってます。

珍しい三ツ鳥居をくぐって三峯神社拝殿へ。

ボクサータイプの筋肉を持つお犬様。

こちらは赤ちゃんみたいな肉質のお犬様。

随身門。参拝順路が逆な感じ・・・。

狛犬たちが凛々しい。ちなみに三峰神社の狛犬(眷属神)はオオカミです。

立派な御神木と三峯神社。

ああー、浄化されるー。

伊勢神宮の摂末社。いわゆる神社の出張所。

月讀、諏訪、厳島など23の摂末社が並びます。

三峯神社に隣接しているホテルで日帰り入浴可(500円)。

秩父名産、中津川いも田楽。ウマイッ!

バスで三峰口駅(秩父鉄道)へ。お疲れさまでした。ちなみに中央奥に見えるのが雲取山。

本日の山行情報

単独行/2日目/テント泊/縦走/電車・バス登山

雲取山(くもとりやま)
標高2017m
詳細(外部リンク)
芋ノ木ドッケ(いものきどっけ)
標高1946m
詳細(外部リンク)
白岩山(しらいわやま)
標高1921m
詳細(外部リンク)
霧藻ヶ峰(きりもがみね)
標高1523.1m
詳細(外部リンク)
妙法ヶ岳(みょうほうがたけ)
標高1329m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

奥多摩小屋[着] 05:45 - [発] 05:45
 ↓ 50分 
雲取山[着] 06:35 - [発] 06:40
 ↓ 15分 
雲取山荘[着] 06:55 - [発] 07:05
 ↓ 65分 
芋ノ木ドッケ[着] 08:10 - [発] 08:10
 ↓ 10分 
白岩山[着] 08:20 - [発] 08:35
 ↓ 30分 
前白岩山[着] 09:05 - [発] 09:05
 ↓ 50分 
お清平[着] 09:55 - [発] 09:55
 ↓ 15分 
霧藻ヶ峰[着] 10:10 - [発] 10:25
 ↓ 45分 
妙法ヶ岳鳥居前休憩所[着] 11:10 - [発] 11:20
 ↓ 10分 
妙法ヶ岳[着] 11:30 - [発] 11:35
 ↓ 10分 
妙法ヶ岳鳥居前休憩所[着] 11:45 - [発] 12:15
 ↓ 25分 
三峰ビジターセンター[着] 12:40 - [発] 12:40

行動時間:5時間25分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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