GWを利用して3泊4日の縦走の旅を計画。
電車、バスを乗り継ぎ、西沢渓谷から甲武信ヶ岳へ。
そして雲取山へと抜ける奥秩父・奥多摩縦走だ。
今回は初めて経験する要素が多い。
- 3泊4日の山歩き
- 4日分の食糧/防寒着/アイゼンなどを背負っての山歩き
- 雪上テント泊
- 雪道での縦走
- お楽しみアイテム「双眼鏡」で景色を堪能
準備万端、用意を整えワクワクしながら出発だ。
GWともあって塩山駅からの西沢渓谷行きのバスには、いかにも縦走しそうな荷物を背負ったハイカーばかりで、使い込まれたザックを見る限りベテランっぽい登山客が多い。
恐れ多くもフツフツと闘争心が沸いてくる。
多分、この時点で本日の展開は決まっていたのかもしれない。
バスが西沢渓谷に到着すると、いの一番にザックを背負い甲武信ヶ岳に向け出発。
天気は良好、気温は暖かいくらいだ。
まだ平坦で積雪もないため、初めて背負う重量でもガシガシ歩ける。
しかし、ひとたび山道に入って登りになると、平地とはまるで異なるザックの重みがズッシリとのしかかってきた。
はじめこそ頑張っていたが、ジワジワと乳酸が蓄積されていくのが手に取るようにわかる。
後続のハイカーに次々と追い抜かれてゆき、昼食で休憩しているところを抜き返すも、またすぐ追いつかれて抜き去られてしまう。
2時間程登ると雪道になり、凍結箇所も多くなってきたためアイゼンを装着。
荷物の重みに加え、アイゼン装着で足元も重くなり、より歩行スピードが落ちる。
木賊山(とくさやま)。ここから下れば甲武信小屋に着きます。
息も絶え絶えにようやく木賊山へ到着。
「木賊(とくさ)なんて読めねーっ。」と心の中で叫び、休憩。
眼下に見える広瀬ダムとそれを取り囲むようにそびえ立つ山々を見ながら、「何故、早く登ろうなどと意識してしまったのか・・・」と、今更ながら反省してしまう。
そして、同じようにバテて休憩しているおじさん達に妙な親近感を覚え、話しながら(励まされながら?)甲武信小屋へと向かう。
到着した甲武信小屋のテン場には、GW初日と言うこともあってか、雪が積もりっぱなしになっている。
スコップを借りて地ならししようかとも考えたが、疲労で面倒くさくなり、踏み均すだけでテント設営。
子供のころ、屋根の雪下ろし後にできる大量の雪山を掘って巨大かまくらを作ったものだが、実際に雪中泊するのは初めて。
多少いびつな床面もテントの中からボコボコ叩いて平らにして、手持ち装備の粋を結集した寝床を用意する。
うん、悪くない出来栄え。
悪くないどころかむしろ快適かも。
テントでちょっと休むと元気が出てきた。
日も暮れ始め、皆、夕食を食べながらすっかりくつろぎモードになっているところ、アイゼンを装着して甲武信ヶ岳に向かった。
途中、「オ先ニ失礼シマース。」と流暢な日本語で追い抜いていった外国人ハイカーが山頂から下りてきた。
「コレカラ山頂デスカー。今ナラMy山頂デスヨー。」と屈託のない笑顔で挨拶。
マイ山頂?
山頂独占ってことかな。
「それは楽しみ。ありがとー。」と疲労でひきつった笑顔で挨拶を返す。
そしてハァハァと言いながら夕暮れ時の甲武信ヶ岳山頂に到着。
ああ、本当にマイ山頂だ。
パタリと寝転がって空を見上げる。
月が見える。
初めての重量を背負い、ヘロヘロになって登ってきたこれまでの苦労が解消される瞬間だ。
その場で10分ほど静かにマイ山頂を楽しんだ。
テントに戻り、食事の支度をしようと思ったが疲労のためか食欲ゼロ。
唯一食べたいと思うリンゴを食べて、そのまま寝てしまうことにした。
早く寝すぎて案の定、23時頃に目が覚めてしまう。
周囲には動く物の気配はなく、グーグーとイビキだけが聞こえてくる。
こうも目が覚めてしまうと当分寝られないだろうと思い、面倒くさがらずにトイレに行くと、頭上には満天の星空が。
テントに戻り、双眼鏡片手に寝転がって、普段見えない星々を眺める。
風もなく静止しているかのような無音の世界(イビキ除く)で心静かに天体観測するのも悪くないものだ。
ただ、天体に関する知識がなく、北斗七星しか判別できないのは寂しい限り。
そうこうしながら2度目の就寝。
おやすみなさい。