2013年8月31日
奥秩父:日帰り
乾徳山:歩いてわかる人気の理由。

台風が接近している中、天気の良いエリアを選んで好天の山歩き。

場所は山梨県にあるクサリ場が面白そうな乾徳山。
恵林寺(えりんじ)から見て乾(いぬい=易学で北西の意)に位置し、徳和集落にある山として名付けられた乾徳山は、恵林寺を開いた『夢窓疎石(夢窓国師)』に関わりのある場所が多いという。

『夢窓』だなんて乙女チックな名前のお坊さんの事は初耳だが、見所満載なのは間違いない。

登る山が決まれば、早速、夜のうちに登山口まで移動だ。

【夢窓チェック】
恵林寺を創建した『夢窓疎石(夢窓国師)』は臨済宗の禅僧。歴代天皇から7度にわたり国師の称号を授けられ、その偉業を称えて、ゆかりの地に国師ヶ岳や国師ヶ原などの名称が付けられています。


オソバ沢沿いの登山口。


もう9月になろうとしているのに深夜でも暑い。登山口付近の駐車場でヘネシーハンモック泊の私もシュラフ無しで熟睡できる程だ。

3時30分起床。

空は一点の曇りもない満点の星空。林のシルエットのすぐ上では三日月も煌々と光を放っている。
嵐の前の静けさというヤツだろうか。

何にしても昼までには下山する予定のため、山中で天気が崩れることは無いだろう。
この星空を見る限り、山頂からの良い眺望に期待が膨らむ。

ヘッドランプを点けて出発。

足下しか見えない暗闇で、キツくもユルくもない斜度の樹林帯を登る淡々とした山道。
早朝なのに空気が暑く、早くも汗ばんできた。

30分ほど歩くと身体が慣れてきたのか呼吸が安定してくる。
この調子で黙々と歩き、ふと気がつくと既に日は昇っており、木々の合間から見える空が明るくなっていた。

日の出の方角とは真逆に位置する樹林帯の山道では夜明けがわかりづらく、あわよくば見晴らしの良いポイントで御来光、と目論んでいたのだが残念。昇ってしまったものはしょうがない。
さほどガッカリする事もなく、引き続き、まだ薄暗い山道を黙々と登り続ける。

道満山越しに雲海に浮かぶ富士山。


途中にあった『銀晶水』の水場は地面がしっとり濡れている程度だったが、更に登ったところの『錦晶水』は水量があり、思う存分顔を洗う事ができる。
加齢臭が非常に気になる今日この頃。こういう意味でも水場ってありがたい。(水質汚染か?)

樹林帯の登りが一段落し、平地となる国師ヶ原からは視界が開けて見晴らしがよくなってきた。
乾徳山山頂も間近に見え、振り替えると見事な富士山が雲海に浮かんでいる。

山歩きはこうでなくては。
いよいよテンションも上がってきた。

一面にススキが広がる好展望地の月見岩でようやく朝日とご対面。
この標高では流石に涼しく快適で、月見岩の上からの眺望と日光浴をひとしきり楽しませてもらった。

ススキ越しに日の出。


見晴らし抜群の月見岩。


登るぞ、乾徳山。

そして、ここからが乾徳山の醍醐味。
乾徳山の肩にあたる扇平からは、奇岩を楽しみながらの岩場歩きとなる。

パックリと割れた髭剃岩や、すぐ先は崖っぷちの岩上から見る絶景など、絵になる景色が連続して出現する。
それに加え、これまた絵になる富士山も綺麗に見えて、目に入るたびに似たような構図の写真を何枚も撮ってしまった。

岩場歩きとクサリ場ではアスレチック感をタップリと満喫。
山頂直下にある天狗岩のクサリ場を登ればテンションは最高潮だ。

髭剃岩の隙間から見上げたところ。


ここを登れば山頂。迂回路もあります。


誰もいない乾徳山山頂。

久しぶりに爆発の山頂テンション。


天狗岩を登りきると、山頂には誰もおらず独占状態。
そして眺望も抜群となれば、久しぶりに山頂テンション爆発だ。

眼下に広がる雲が刻々と沸き上がり、ガスに巻かれるのは時間の問題。
しかし、早朝出発の甲斐あって雲より先に山頂に到達、山頂からの大展望を楽しめているのだから、やっぱり山歩きは早朝に限る。

山頂テンションで記念撮影をした後は黒金山方面に向かい、水ノタル分岐から地図中に『下山道』と記されているルートを下る。
一方通行のルールがある訳ではないようだが、登山者が多く人気がある事の証なのだろう。

山頂直下の岩場を下り、水ノタル分岐からは樹林帯に突入。
この山道は急傾斜で見るからに滑りそうな岩場が点在している地味に要注意箇所。危険の度合いが分かりやすい岩稜よりも、こういう地味なところで怪我しそうな気がしてならない。

すっかりシカ公園と化している国師ヶ原。


用心しながら戻ってきた国師ヶ原は、シカの群れが悠々と闊歩する、一見、シカ公園のような雰囲気に変わっていた。

小休止がてらに座って地図を広げていると、まだキリン程の角しか生えていない若いオスのシカが、「オレ、人間なんて屁でもないぜ!」と、メスたちに見せつけんばかりに私の側まで寄ってきた。
そんな光景をメスたちは心細そうな鳴き声を漏らしつつ見ている。

フッ、若いな。
青春真っ只中なヤツめ。

これまで登ってきたルートを引き返すのもつまらないので、ここからは道満尾根伝いに下山する事にする。
登山口から見ると丁度、8の字を描いたようなループコースとなり、未知の山道に興味津々の私としては理想的なプランだ。

素朴な雰囲気の道満山。


そんな道満尾根は実に素朴な雰囲気。
途中にある道満山も同様に素朴な雰囲気だった。

無事に徳和集落に下山。
乾徳山前宮神社の奥にある駐車場に戻ると、出発時は誰もいなかったのに満車状態。

この駐車場は正確には『駐車もできるスペース』で、正式な駐車場はバス停の近くにある。
それにも関わらず満車。

これは間違いなく乾徳山の人気の証だろう。
たった今歩いてきたばかりなので、乾徳山がなぜ人気なのか理解できる。

こんなに人気になった乾徳山を、夢窓国師はどんな思いで見るのか。
個人的には乙女チックに心ときめいていて欲しい。

本日の写真

6時間って、往復の時間ですか?

レッツ乾徳。

銀晶水。若干湿っている程度。

絶妙なバランスのケルン。

岩が目立ってきた。

錦晶水。生き返るー。

国師ヶ原から乾徳山。

国師ヶ原の分岐。

夢窓疎石でしょうか?

扇平へ向かう途中。快適山道です。

振り返ると道満山越しに富士山。

向こう側は夜明け済み。こちらは夜明け予定。

夜明けの境界線はすぐそこまで来ています。

ススキ越しにおはようございます。

月見岩。

月見岩の上でポーズ。

行くぞ、乾徳山。

扇平。

この辺りから岩場が多くなります。

ふーじさーん。

ぱっくり割れた髭剃岩。

髭剃岩の隙間に入って見上げたところ。

手作り階段。

クサリ場登場。

短いですがほぼ垂直のクサリ場。(すぐ隣から楽に登れます)

山頂はすぐそこ。

山頂直下の天狗岩のクサリ場。(迂回路あります)

乾徳山山頂。

山頂独占で山頂テンション。

好天の山頂でフルーツ。最高。

金峰山の五丈岩も拝めます。

沸き上がる雲。ガスに巻かれるのは時間の問題か。

黒金山方面へ下山します。

こちらも険しい岩場です。

岩場を越えていきます。

振り返ると乾徳山と富士山。

水ノタルの分岐。

ガレ場の樹林帯に突入。

滑りやすい岩多数。

斜度がキツいので滑らないように。

苔に覆われた静かな森。

国師ヶ原高原ヒュッテ手前。爽やかー。

国師ヶ原高原ヒュッテ。現在は無料開放中。

国師ヶ原分岐点はシカ公園の様相。

関東の富士見百景。富士山世界遺産登録にちなんだ企画か。

サクサク歩けます。

道満尾根を下ります。

快適ー。

林道には出ず、山道を下山。

ひっそりと道満山。

バス停までラスト10分。

登山口に到着。

獣害防止対策にご協力ください。

乾徳山前宮神社で参拝。

乾徳山前宮神社奥の駐車スペースに到着。満車!

本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

乾徳山(けんとくさん)
標高2031m
詳細(外部リンク)
道満山(どうまんやま)
標高1314.1m

本日のスケジュール

駐車スペース(乾徳山前宮神社奥)[着] 04:20 - [発] 04:20
 ↓ 20分 
登山口[着] 04:40 - [発] 04:40
 ↓ 70分 オソバ沢沿い
国師ヶ原[着] 05:50 - [発] 05:50
 ↓ 30分 
月見岩[着] 06:20 - [発] 06:35
 ↓ 5分 
扇平[着] 06:40 - [発] 06:40
 ↓ 65分 
乾徳山[着] 07:45 - [発] 08:25
 ↓ 95分 
国師ヶ原[着] 10:00 - [発] 10:10
 ↓ 45分 下山道(水ノタル)経由
道満山[着] 10:55 - [発] 10:55
 ↓ 35分 道満尾根
登山口[着] 11:30 - [発] 11:30

行動時間:6時間5分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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