2015年4月12日
小金沢(大菩薩)連嶺:日帰り
黒川鶏冠山:大菩薩嶺の新たな一面に出合う。

小金沢(大菩薩)連嶺の北端に位置する鶏冠(けいかん)山へ。


小金沢(大菩薩)連嶺の北端に位置する鶏冠(けいかん)山へ。

この辺りは大正初期に廃坑となった黒川金山があり、遺跡として今でも見る事ができる。そして、付近には同じ漢字で記される鶏冠(とさか)山があり、これと区別するために黒川鶏冠とも呼ばれている。

こんな鶏冠(けいかん)山へ。

柳沢峠から入山、鶏冠山を回って丸川峠へと下山するスケジュール。柳沢峠まで期間バスが運行しているのだが、私は下山ポイントの丸川峠分岐駐車場に車を停めて柳沢峠まで歩く。

そのアプローチ距離、約10キロ。
蛇行する舗装道路を約10キロ歩く。

まあ何というか、我ながらモノ好きだ。

【期間バス情報】
塩山駅~柳沢峠区間のバスは4月中旬~11月中旬の土・休日運行です。詳しい日時、バス時刻は要確認。
甲州市市営バス:大菩薩峠登山口線




頭上に浮かぶ見事に割れた半月を眺めながら出発。


丸川峠分岐駐車場に車を停め、頭上に浮かぶ見事に割れた半月を眺めながら出発。

柳沢峠まで徒歩で2時間近く掛かるため焦らずにマイペースで行こう、とは思っても自然と歩調は速くなる。ずっと先に見える蛇行した道路を見ていると、自分で計画したくせに「これって何かの罰ゲームか?」と思ってしまうのは致し方ないだろう。気が滅入らないように歌でも歌い、気をそらしながら歩き続ける。

柳沢峠に到着。
疲れた。結構疲れた。

しかし、ここがスタート地点。朝食休憩を挟み、気を取り直して鶏冠山へ向かった。

山道に入ると早朝の心地好い空気が流れている。鳥のさえずりも木漏れ日も心地好い。数日前の積雪が幾らか残ってはいるが、山道はなだらかで歩きやすい。この状況のお陰で先程の焦りも疲労もリセットされてゆく。

心地好くよくふわりふわりと歩いていると、存在感ある樹木に目が留まる。ただ単に大きいだけではなく、積み重ねた歴史を感じさせる風格が漂っているのだ。

そんな樹木にそっと触れる。
何だか安心する。

触れると何だか安心します。


山歩きを初めて間もない頃、誰もいない山中での寂しさを紛らわすために木に抱きつく事があった。今となっては「そんなに寂しいなら単独で行くなよ」って話だが、この辺りには当時の私が喜んで抱きつきそうな存在感を放つ樹木が幾つか見られた。

何だかこの森には安心感がある。

寂しい思いをする事なく黒川山まで歩き、続いてその奥にある鶏冠山へと向かう。

鶏冠山は読みこそ『けいかん』だが、当てられた漢字通りに鶏のトサカに似た山容が由来となっている。山が真っ赤だったりブヨブヨしている訳ではなく、細く険しい岩峰なのだろう。位置的にトサカらしい山容を確認出来なかったが、ここからは気を引き締めて歩く事にしよう。

想像した通りに山道は険しくなり、残雪もあって滑りやすい状態となっていた。少しの区間とは言え、油断せずに確実な足場を選んで鶏冠のてっぺんへ登り詰める。

岩場となる山頂にあったのは鶏冠神社奥宮と、大菩薩嶺が鎮座する眺め。これまで目にしていた大菩薩嶺は主峰としての印象が薄く、雷岩や大菩薩峠の存在に負けていた感すらあったが、ここから見える姿はどうだ。背後にそびえる富士山にもひけをとらない存在感を放ち威風堂々と鎮座しているではないか。

「ああん?大菩薩嶺?峠だろう?」

と、感じている方は黒川鶏冠山からも見てあげて下さい。

鶏冠神社奥宮のある鶏冠山山頂。


正面には主峰大菩薩嶺の威風堂々たる姿。


伝われ、この崖感。

素晴らしい眺望に満足したところで六本木峠の分岐まで引き返す。来た道をそのまま引き返すのも何なので、黒川山から尾根伝いの山道を歩いてみる。

見晴らしのいい岩場を越えると、ほとんど人は歩かないだろう荒れた獣道となった。その証拠に踏み跡は不明瞭で、何よりも鹿の糞だらけ。腰を据えて用を足せばいいのに、だらしなく歩きながらポロポロとこぼしていたかのように山道一面に散らばる糞を前にして「お前ら、しっかりしろ!」と言いたくなる。(勝手に想像して憤慨してます)

六本木峠へ戻る頃には、鹿の糞尾根(仮称)のお陰でドッと疲労が押し寄せてきた。ここからは少しばかりのアップダウンを経て丸川峠にある丸川荘へと向かう。もう、丸川荘の挽きたて珈琲を励みに黙々と歩くだけだ。

しかし、単に通過するだけの山道かと思いきや、この六本木峠から丸川峠の区間は、大菩薩嶺の新たな一面を発見できる見所スポットだった。

ここは岩と苔の世界。

瑞々しく潤った空気で満たされた空間。
音も無く伸びる岩の廻廊。
そして、それを覆いつくす苔。

渇いたイメージのあった大菩薩嶺とは真逆の状況に意表を突かれ、雪解け水をたっぷり含んだ苔から放出されるマイナスイオン効果ですっかり癒される。冬期なら寒々しいだろうが、日に日に暖かさが増す今のシーズンとなっては清々しいばかり。もう少し暖かくなれば、苔の間からバイカオウレンの白い花も咲き、避暑地としても快適な空間を提供してくれそうだ。

「ああん?大菩薩嶺?峠だろう?」

と、感じている方は六本木峠~丸川峠の区間も歩いてみて下さい。

六本木峠~丸川峠区間は岩と苔の世界です。


清涼感ある空気で満たされています。


潤い溢れて雪解け水が滴ります。

マイナスイオン効果でお肌が潤った(ような気分になった)ところで丸川峠に到着。丸川荘に転がり込み、マイカップを出して珈琲を注文する。

ふう、美味い。生き返る。
挽きたて珈琲の香りとともに疲労が放出される。

山行きの締めは珈琲。


さも疲れていない風を装ってはいたが、居合わせたお客さんから「疲れた顔してるねぇ」と見透かされてしまう。確かに疲れはしたが、大菩薩嶺の新たな一面に出合えた山行に満足できた。

現在、小金沢(大菩薩)連嶺は『甲州アルプス』として売り込み中。その中でも山域の北端となる鶏冠山からの眺め、そして六本木峠~丸川峠の雰囲気は、新たな大菩薩嶺の一面として個人的におすすめしたいエリアとなった。

ただ、柳沢峠までの舗装道路歩き。これだけは二度とするまい。そして、おすすめもすまい。

あと鹿の糞尾根(仮称)もパスで。

漫画的山行記録

小金沢(大菩薩)連嶺の北端に位置する鶏冠(けいかん)山へ行ってきます。

早朝、下山地点となるゲート手前の駐車場に車を停めます。
(ちなみに上日川峠までの林道は開通しています)

ここから鶏冠山の登山口となる柳沢峠まで舗装道路を10キロ程歩きます。

まあ何というか、我ながらモノ好き。

頭上には見事に割れた半月。

穏やかな表情のお地蔵様に見送られます。

雲峰荘前には『甲州弁こみち』なる通りがあります。甲州弁が書かれた板の裏に訳が書いてあります。

例えばこう。

甲州弁。

訳。
ちょっと楽しい通りです。

蛇行する舗装道路の先を眺めます。まーだまだ遠い。

綺麗に見える富士山を励みに歩き続けます。

2時間掛けて柳沢峠に到着。

握り飯(塩多め)で腹ごしらえ。

さ、ようやく入山です。

お散歩感覚で陽の差す樹林帯を歩きます。

虫食いだらけ。

この辺りは『ブナのみち』として散策路になっています。

こんな感じです。

数日前に積雪がありましたが問題なし。

存在感ある樹木が所々に見られます。

触れると何だか安心します。

六本木峠の分岐。まずは鶏冠山方面へ。

途中、林道を渡ります。

なだらかな山道を進みます。

おお、存在感ある樹木が降臨。(写真ではイマイチ)

一応、ここも鶏冠山?(この先にある鶏冠神社に山頂道標があります)

たぶん、ここは黒川山(鶏冠山東峰)山頂。

鶏冠山西峰への登り。この区間だけ急登なので注意。

空が青い。

午前中ならではの空気感。

鶏冠神社奥宮のある鶏冠山西峰に到着しました。

正面には威風堂々たる姿の大菩薩嶺と富士山。

多くの山は見る位置によって印象が異なりますが、大菩薩嶺はここからがカッコイイ。

でも南側はすぐ崖なので気を付けて。

久し振りに自撮り。

うーむ、崖感が今一つ・・・。もう一度、違うアングルで。

伝われ、この崖感。

景色に満足したところで引き返します。

黒川山から尾根伝いに歩いてみましたがほぼ獣道。そして、鹿の糞だらけ。

そんな中で色鮮やかなルリビタキを見かけました。

またしても存在感ある樹木。

六本木峠まで戻ってきました。

ここからはこれまでの大菩薩嶺のイメージとは異なる雰囲気になります。

岩と苔の世界。

清涼感ある空気で満たされています。

まだ残雪はありますが普通に歩ける状態です。

平らな岩が積み重なった不思議な場所も。

天庭峠。

寺尾峠。

苔に覆われた岩の回廊が続きます。

潤い溢れて雪解け水が滴り落ちます。

珈琲・・・いや、丸川荘が見えてきました。

無事な到着に感謝。

持参したお菓子と挽きたて珈琲を頂きます。って既に珈琲飲んじゃってる。

珈琲と山行に満足して下山します。

下山地点の丸川峠分岐駐車場に到着。お疲れ様でした。

大菩薩嶺エリアは、大菩薩峠や雷岩だけではなく鶏冠山や六本木峠~丸川峠の区間もおススメですよ。

ついでに、麓は桃の花が咲き誇る良い季節になっていますよ。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/日帰り/8時間以上歩行/マイカー登山

鶏冠山(けいかんざん)
標高1716m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

丸川峠分岐駐車場[着] 05:00 - [発] 05:00
 ↓ 115分 舗装道路
柳沢峠[着] 06:55 - [発] 07:15
 ↓ 95分 
黒川山[着] 08:50 - [発] 08:55
 ↓ 10分 
鶏冠山[着] 09:05 - [発] 09:35
 ↓ 165分 
丸川荘[着] 12:20 - [発] 14:50
 ↓ 50分 
丸川峠分岐駐車場[着] 15:40 - [発] 15:40

行動時間:7時間15分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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