2015年3月28日
御坂山地:日帰り
釈迦ヶ岳:山名に惹かれて朝の散策。

ピラミッド型の釈迦ヶ岳。


CDやレコードのジャケットだけを見て購入する事が時たまあった。いわゆるジャケ買い。それも若い頃の話だ。今となっては山名だけを見て登りたくなる、いわゆるジャケ登り。(『いわゆる』でもなく『ジャケ』でもないが)

今回私の目に留まったのは、富士山のお膝元である御坂山地の釈迦ヶ岳。この山名に惹かれてしまうところが年齢を感じさせる。釈迦ヶ岳に登り、次いで隣に位置する神座山にも行ってみる。釈迦に神座とは、何とも山岳信仰を感じさせる山名ではないか。

午後から富士吉田市で用事があるため、午前中に山を歩いて午後からは富士吉田市へ。

ジャケ登りの割には完璧なプランだ。




南側の最短ルートから釈迦ヶ岳を目指します。


本日は山歩きに丸一日使えないので、南側からの最短ルートで釈迦ヶ岳を目指す。

周囲がすっかり明るくなった頃に登山口周辺に到着したが、四駆ではない我が家の車では、予定していた駐車スペースまで進入できなかった。無駄に車には頼らず、途中のスペースに駐車して釈迦ヶ岳へと登り始める。

空全体に雲が掛かりパッとしない天気。それでも明るい空には天候回復の期待が持てる。寒くもなく無風で、周囲からは鳥のさえずりしか聞こえない状況を黙々と登る。最短ルートだけあって山道の斜度はキツく、一歩ごとにアキレス腱が伸ばされてゆく。

分岐点のある稜線に乗り、ここからは更に険しい岩場となる。綱引きができそうな極太ロープが設置されている険しい岩場を確実に登って釈迦ヶ岳山頂に到達した。

極太ロープが設置されている険しい岩場。


そこは、360度の大展望。

青空ではなくとも周囲の山々が見渡せる山頂からは、赤石山脈、奥秩父、八ヶ岳、好天なら飛騨山脈をも明瞭に目視できそうだ。そんな素晴らしく開放的な山頂には富士山を背にした石仏が2体並んでいた。

『釈迦ヶ岳』と呼ばれる山には釈迦如来が祀られている事が多く、そのまま山名由来となっている。この釈迦ヶ岳については、険しい山容を表す『嵯峨(さが)』が『釈迦(しゃか)』に転じたとされる説もある。麓の住民はお釈迦様の誕生日(4/8)に登拝する事があるらしく、個人的には険しい山容説よりも信仰由来の方が納得できる。

開放的な景色を背に仲睦まじく並んだ2体の石仏を「いいねー、いいよいいよー」と、思う存分写真に納めて釈迦ヶ岳を満喫(信仰心皆無)。その後、分岐点の鞍部まで引き返した。

釈迦ヶ岳山頂です。


釈迦ヶ岳山頂の石仏。


富士山を背景に石仏。

【釈迦ヶ岳の石仏】
『釈迦(如来)』は悟りを開いた仏、『菩薩』は修行中の仏を指します。石仏は印相(手の組み方)や持ち物によって釈迦/菩薩に区別されますが、釈迦ヶ岳の石仏はどちらなのか判断できないそうです。


次に神座山へと向かう。

こちらの山道は先程の険しさとは変わり、木々の間から富士山が覗く広くなだらかな稜線歩きとなる。会話しながら歩けば、繰り返される多少のアップダウンも苦にならない(はず)。

と言うことで、難なく神座山に到着。正面には見事なピラミッド型の釈迦ヶ岳が鎮座して見える。

この神座山の読み、『じんざ』『かみざ』『かぐら』・・・何と読むのだろうか。後日聞いたところ、地元の方は『じんざ』と言っていた。何にしても、神様はここに座して釈迦ヶ岳を眺めていたのだろう、と勝手に想像する。さも座ってくださいと言わんばかりに横たわる丸太の存在もあって、もう別の解釈を受け付けられない私は、神様気分で座して釈迦ヶ岳を眺める。

神座山で座って眺めるピラミッド型の釈迦ヶ岳。


朝の散策はこれにて終了。

これまで誰とも会っておらず、一般向けではないエリアかと思いきや、下山途中に何人かの登山者とすれ違った。きっと彼らも私と同じくジャケ登りに違いない。




オマケ:魅惑の富士吉田付近。

山行後は富士吉田に向かうため河口湖へと下る。

河口湖畔に出ると、ちょっと寂しげな山中から突然オシャレな観光地へと早変わり。車の往来も比較にならない程に増えた。それもそのはず、圧倒的存在感を放つ富士山が間近にそびえているのだ。登らずとも『見る山』として文句無しの美しさにタメ息がもれる。

そんな河口湖から少し離れた、お惣菜の店『ふるや』で揚げたてコロッケ(70円)を頬張る。食べやすく新聞紙で包まれたコロッケには、挽き肉かと思いきやジャガイモの皮が混ざっていた。だが、それがイイ。

河口湖畔の『レイクベイク』でステキなシチュエーション。


河口湖から富士山。


お惣菜の店『ふるや』の揚げたてコロッケ(70円)。

脱衣場、即浴室の葭之池温泉。


着替えがてらに創業安政三年の葭之池温泉へ。脱衣場、即浴室の葭之池温泉は今風に観光地化されておらず、昔ながらの趣がある。流石に真っ昼間では貸切状態だったが、女湯の方から地元らしきおばさんの声が聞こえてきた。

「慌ただしく動いてもゆったり動いても効率は一緒」

男湯で一人、大きくうなずいた。

富士吉田で開かれていたイベントで人に会い、用事がすんだ後は古本屋『不二御堂』へ。小さな書店は扱う本によって個性が出て面白い。不二御堂には、富士山を始めとする甲斐の山々に関する書籍が多数置いてあり興味深かった。商売っ気のない古本屋独自の雰囲気と、店内を徘徊するナカムラさん(1歳のネコ)がまた興味深い。

富士吉田に来たらココは欠かせない『棒斗胆(バートタン)』。


そして、富士吉田に来たらココは欠かせない『棒斗胆(バートタン)』。一見倉庫にしか見えないトタンで覆われた独特な世界観を持つバーだ。お茶の種類が不思議な位に充実しているため、私のようにお酒が飲めない者でも嬉しいバーとなっている。周辺情報に詳しいマスターの口からは、容赦ない辛口コメントが発せられるが、一向に嫌な気分にならないのは、その根底により良くなって欲しい愛情的なモノを感じるからだろうか。気のせいだろうか。

帰りは渋滞もなくスイスイと帰宅。
ああ、充実の一日だった。

最後に、富士吉田の『日の出屋惣菜店』のおばあちゃんが亡くなられたと伺った。丁度一年前に一度立ち寄っただけとは言え、ノスタルジーとリアリティーの同居するあの店の雰囲気は今でも鮮明な記憶として残っている。あの時の味わいを私は忘れまい。

おばあちゃん亡き日の出屋惣菜店は現在も営業中です。

漫画的山行記録

用事があり富士吉田方面へ。

折角なので午前中は御坂山地を歩いてみます。

目的地は釈迦ヶ岳、神座山。

山岳信仰を感じさせるいい山名です。

四駆ではない我が家の車では予定していた駐車スペースまで進入できず。

途中のスペースに駐車して歩いていきます。

釈迦ヶ岳最短ルートとなる登山口です。

岩がゴロゴロしています。

稜線に近づくにつれてキツイ斜度になります。

稜線に乗りました。

ここからの山道は岩場で険しさが増します。

綱引きができそうな補助ロープ。

富士山も見えてきました。

再度、綱引きロープ。

釈迦ヶ岳に到着。

富士山を背に石仏が並びます。

いいねー。

いいねいいねー。

君、いいよー。

罰当たりですいません・・・。

山頂は360度の大展望。

三つ峠方面。

十二ヶ岳方面。

荒川三山方面。

白根、鳳凰三山方面。

八ヶ岳とニセ八。

金峰、国師方面。

甲武信ヶ岳方面。

小金沢(大菩薩)連嶺。

360度、ぐるりと見渡せます。

さて、鞍部まで戻ります。

鞍部まで戻って次は神座(じんざ)山。

こちらは釈迦ヶ岳とは変わり、なだらかなアップダウンが続きます。

神座山に到着。黒打ノ頭は古名です。

山頂には座れと言わんばかりに丸太が横たわっています。

座ります。

正面に見えるはピラミッド型の釈迦ヶ岳。

おお、神々しい。

神座山では神様も座して釈迦ヶ岳を眺めたのでしょう。

そう言えば山頂にあった樹木には何かが宿っている感じが。

木々の間から見える富士山を眺めながら戻ります。

駐車スペースまで下山しました。

一冬越したドライフラワーを拾いました。

本日の山行終了。
これから富士吉田に向かいます。

河口湖畔まで来るとすっかり観光地。

富士山は『見る山』として申し分ない美しさ。

河口湖駅近くの惣菜の店『ふるや』の揚げたてコロッケ。

創業安政三年の葭之池温泉で山行の汗を流します。

脱衣場、即浴室。

入浴マナーを忘れずに。

葭之池温泉にいたネコ。舌、しまわないと。

富士山のお膝元、富士吉田市。個人的に好きな街です。

今日と言う日も終了。

最後にトタンで覆われた独特な世界観を持つ『棒斗胆(バートタン)』へ。

富士吉田に来たらココは外せませんよ。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)
標高1641m
神座山(じんざさん)
標高1474m

本日のスケジュール

南側の登山口[着] 05:55 - [発] 05:55
 ↓ 60分 
釈迦ヶ岳[着] 06:55 - [発] 07:30
 ↓ 65分 
神座山[着] 08:35 - [発] 09:00
 ↓ 65分 
南側の登山口[着] 10:05 - [発] 10:05

行動時間:3時間10分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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