2015年4月29日
小金沢(大菩薩)連嶺:日帰り
源次郎岳:歩ける幸せを噛み締める。

源次郎平から見上げる源次郎岳。


歩いて頭を空っぽにしたい気分になった。

大菩薩山塊の麓から恩若ノ峰、源次郎岳まで歩く。それだけではモノ足りないだろうから、上日川峠まで歩いてみる。とにかく歩く。

下山ポイントはいくつかある。

  1. 源次郎岳から引き返す。
  2. 中日川峠から下山。
  3. 上日川峠から下山。


天気、体力、時間、そして気分次第で柔軟にエスケープ可能な今回の山行だが、今のところ最終地点まで歩く気満々だ。

よし、歩くぞ。




ここから登り始めます。


フルーツライン沿いの文殊院入口から、まずは恩若ノ峰へ登り始める。

両側に果樹園を見ながら谷間を登っていると、いつの間にか山道へと変わった。本来ならば藪だらけなところ、ここ最近に草が刈られたのか歩き易い状態になっていてありがたい。薄暗い谷間のあちこちに山道らしき道を確認できるが、これらに惑わされず、地形図からの情報をイメージしながら登る。

お陰で迷うことなく恩若ノ峰に到着した。

誰もおらず眺望もない。しかし、先程までの谷間の薄暗さとは変わって光が差し込み、鳥のさえずりや風に揺れる若葉など山中の音が心地好く流れている。そして、ほのかに新緑の香りもする。

うわ、何この感じ。
ものすごく心地好いぞ。

まだ1時間程しか歩いていないのに、普段の生活で悶々とした気分が一気に解消された。

森の音と新緑の香りを全身に浴びながら(あと蜘蛛の巣と・・・)、晴れやかな気持ちで源次郎岳へと向かう。

悶々とした気分が山中で一気に解消。


源次郎岳へはアップダウンを繰り返しながら緩やかに標高を上げてゆく。地図による事前チェックでは、踏み跡不明瞭な破線ルートとなっており、細かい尾根の分岐も多い。そのため、道を間違えないように注意していたが、実際に歩いてみると意外と分かりやすかった。

山道が多少蛇行していても尾根の延びる方角が一定のため、コンパスで進行方向をセットしておけば小まめに地図を開く必要がなかった。道に迷わないように意識を集中させるどころか、山中の音と香りに加えて山桜が舞い散る山道に(あと蜘蛛の巣と・・・)すっかり溶け込んでしまう。

そんな穏やかな山道は終わり、山頂直下は岩場混じりの急登となる。気を引き締め直して源次郎岳山頂へ。登り詰めた山頂は木々が伐採されて見張らしは良いのだが、何となく寂しげな印象を受ける。

そんな寂しい山頂に腰掛けて小休止。

本日の目的地だった源次郎岳に到達しても、疲労は感じられずまだまだ歩く気力に満ち溢れている。不思議と気分も晴れやかだ。何気に遠くを眺めていると雷岩や大菩薩嶺が霞んで見えた。

この調子なら上日川峠どころか大菩薩嶺にも登れるのではなかろうか。

こんな事を思える程に本日は心身ともに調子が良い。とりあえず予定通りに上日川峠へと向かう。

眺めは良いがどことなく寂しげな源次郎岳山頂。


下、中、上日川峠の区間はなだらかな笹原が広がる樹林帯歩きとなる。何度か林道に合流するものの、そのほとんどが明るく静かな森の中となるため穏やかな気持ちになれる。

淡々と歩いていると疲れを感じていない自分に気付く。呼吸と歩調のリズムが完全一致する今まで経験した事のない感覚に、『歩ける幸せ』を感じ取る。これには「何でもないような事が・・・」などと、ベタな事を言いたくもなってしまう。

当初予定していた最終下山ポイントの上日川峠に到着した。

時間は昼前。疲れはナシ。
そして、目の前には大菩薩嶺の登山口。

「やまです」
「のぼるしかないやろ」

うどんのうーやん(関西の絵本)ばりの境地となって当然の如く登り始める私。

上日川峠までは人っ子一人いなかったのに、ここからは登山客で賑わう人気のエリアとなる。先程までの静けさからガラリと雰囲気が変わっても私の気分は引き続き穏やかなまま。気持ち良く挨拶を交わしつつ、呼吸と歩調をあわせて淡々と登る。

最後のガレ場でこそ息切れしたが雷岩まで一気に登り詰めた。

右手に大菩薩湖(上日川ダム)を眺めながら明るい樹林帯を歩きます。


賑わっている雷岩の広場。


右奥の尾根から歩いてきました。

遠くには恩若ノ峰、源次郎岳の尾根が霞んで見える。改めて今朝から歩いてきた道程を眺めると「あそこから歩いてきたのだな・・・」と何度か訪れた事のある雷岩でも別の感慨がわいてきた。しばらくの間、雷岩からの景色を眺めて過ごす。

ここまできたら、「コーヒー、のむしかないやろ」と言う事で、丸川荘の挽きたてコーヒー目指して丸川峠経由で下山する事にした。

記念撮影で賑わう大菩薩嶺を通過すると、また静かな雰囲気の山道へと変わった。こちらは北側のため、少しばかりの残雪があって空気も冷たい。それでも山道脇に密生している苔からはバイカオウレンの白い花弁が覗いている。

ふと、全く疲れていない事に気付く。

軽装とは言え、通常であれば疲れてもおかしくない距離、標高差を歩いている。「一体、今日はどうしたのか」と思っていた数分後、やっぱり疲れを感じて何故か安心する。これはランニングハイみたいなモノだろうか。疲れないのだから結構な事と素直に受け入れれば良いとしても、初めての感覚に少々戸惑いを覚えてしまう。

静けさ漂う大菩薩嶺~丸川峠区間。


相変わらず美味い丸川荘のコーヒーを飲んで、大菩薩峠登山口バス停まで下山。本日予定していたそれ以上の行程は、無事に終了した。

今のところ筋肉痛はなく、なりそうな気配もない。いつもの関節疲労も感じられない。別の意味で「どうしちゃったの?」と戸惑いもするが、何よりも歩ける幸せを実感できている自分がいる。

数日前から目にするネパールでの震災、エベレストでの雪崩のニュース以外にも、最近では大菩薩エリアで遭難事故が重なっている。知らないだけで他の山域でも山岳事故はおきているだろう。

そんな中でもこうして『歩ける』のはやはり幸せな事だ。

漫画的山行記録

大菩薩山塊の麓から恩若ノ峰、源次郎岳を歩いてきます。

天気、体力、時間、そして気分次第では更に歩いてみようと思います。

フルーツライン沿いの文殊院入口から歩き始めます。

最近草が刈られたのか歩きやすい状態です。

尾根に乗りました。比較的山道は明確です。

恩若ノ峰に到着。

恩若ノ峰からは気持ちの良い尾根歩きがはじまります。

山中の音が心地よく流れています。

ほのかな新緑の香りも。

そして山道に山桜が舞い散ります。

いやっほう。

ひゃっほう。

うほっ。

目に優しい新緑。

小さなピークを越えながら緩やかに登ります。

ここは源次郎平。

正面に源次郎岳が見えてきました。

ミツバツツジの葉。

これって岩茸?

源次郎岳山頂直下は岩場混じりの急登になります。

補助ロープもありますが滑らないように気を引き締めて。

存在感がある樹木を通過。

急な斜面を登りきると広々した場所に出ました。

源次郎岳山頂です。

気のせいか寂しげな山頂です。

体調が良いので下、中、上日川峠へ向かいます。

明るく歩きやすい樹林帯を進みます。

林道に合流。この辺りが下日川峠です。

笹原の樹林帯へ。

正面の施設脇を通って行きます。

穏やかな気持ちで歩きます。

右手には大菩薩湖(上日川ダム)。

歩いてきたのはウラジロモミ林だったようです。

上日川峠のロッヂ長兵衛までやってきました。

当初はここから下山する予定でした。
しかし、疲労もなく心身ともに絶好調です。

やまです。

のぼるしかないやろ。(うどんのうーやん風に)

※参照:ちなみにこちらが『うどんのうーやん』。

うーやんはさておき、呼吸と歩調を合わせて大菩薩嶺まで登ってきます。

情熱的な枝分かれ。

雷岩に到着。

雷岩の広場は賑わっています。

岩場の上からこれまで歩んだ道程を眺めます。

この辺りから歩いてきました。

恩若ノ峰付近で拾ったクモの巣払い用の杖もここまでやってきました。

ここまできたら、「コーヒー、のむしかないやろ」。(うどんのうーやん風に)

※参照:ちなみにこちらが『うどんのうー・・・

いや、こちらが『うどんのうーやん』です。

と言う事で丸川荘へ向かいます。

大菩薩嶺を通過。

丸川峠への山道には静けさがあります。

苔の間からはバイカオウレンが覗きます。

山歩きには良いお天気。

コーヒー・・・、いや、丸川荘が見えてきました。

丸川荘に到着。

珈琲豆が挽かれる音を聞きながら待ちます。

はぁ、美味い。

写真を撮り損ねる程に・・・。

いい時間になったので下山します。

丸川峠分岐駐車場まで無事に下山しました。

クモの巣払い用の杖も御苦労さま。

麓は外で昼寝できるポカポカ陽気です。

番屋茶屋のバス停前に到着。

番屋茶屋のよもぎだんごは食べ損ねましたが、これにて本日の山歩きは終了。

今回は心身ともに調子が良く、『歩ける幸せ』を感じられる山行となりました。

またこんな気分で歩ければいいね。

おわり

漫画的山行記録
(新規ウィンドウ表示)

本日の山行情報

単独行/日帰り/8時間以上歩行/電車・バス登山

恩若ノ峰(おんじゃくのみね)
標高983m
源次郎岳(げんじろうだけ)
標高1476m
詳細(外部リンク)
大菩薩嶺(だいぼさつれい)
標高2057m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

文殊院入口[着] 06:00 - [発] 06:00
 ↓ 60分 
恩若ノ峰[着] 07:00 - [発] 07:05
 ↓ 105分 
源次郎岳[着] 08:50 - [発] 09:00
 ↓ 40分 
下日川峠[着] 09:40 - [発] 09:40
 ↓ 40分 
中日川峠[着] 10:20 - [発] 10:20
 ↓ 40分 
上日川峠[着] 11:00 - [発] 11:15
 ↓ 55分 
雷岩[着] 12:10 - [発] 12:25
 ↓ 5分 
大菩薩嶺[着] 12:30 - [発] 12:30
 ↓ 50分 
丸川荘[着] 13:20 - [発] 14:40
 ↓ 50分 
丸川峠分岐駐車場[着] 15:30 - [発] 15:30
 ↓ 15分 舗装道路
大菩薩峠登山口バス停[着] 15:45 - [発] 15:45

行動時間:7時間40分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

この山域の関連記事