2013年5月5日
小金沢(大菩薩)連嶺:3日目
大蔵高丸:遭難騒動で厳重注意。家族への登山届は書面で。

霜が降りてテントはバリバリ。


霜が降りてテントはバリバリに凍っている。
それでも天気は良く、気持ちのいい朝を迎えた。

本日は予定していた初狩駅までの縦走を変更して、高速道路渋滞回避のために早めに下山する事にしている。

テントを設営している湯ノ沢避難小屋の駐車場には、『駐車場』があるくらいだから当然車で来れる。
そこで大人の財源力を活かしてタクシーを配車してもらい快適に下山するのだ。

とは言え、携帯の電波が全く入らない。
どうやら見晴らしの良い場所まで出る必要がありそうだ。

朝からタクシーで下山となると時間的余裕がたっぷり出来るので、湯ノ沢峠から往復1時間程度の大蔵高丸まで携帯の電波を探しに出掛けた。

大蔵高丸山頂へ続く快適過ぎる山道。


湯ノ沢峠から数分歩くと柵で保護されている『お花畑』がある。
この時期でこそ寂しい感じだが、夏場などは広い草原となり、ちょっとした散策に絶好の場所である事は容易に想像がつく。見晴らしも抜群に良く、南アルプスの白峰三山や鳳凰三山なども視界に入るので、草花のベストな時期に改めて来てみたい場所だ。

こんな見晴らしでも携帯の電波は入らない。(ちなみにau)

情報によると『お花畑』で電波が入ると聞いていたのだがしょうがないな。
展望良好な大蔵高丸まで行ってみよう。


昨日の泥だらけの下山道と打って変わって、こちらは快適過ぎる散策路。
天気が良く、尚且つ空身なのだから快調そのものだ。

程なくして大蔵高丸山頂へ到着。
噂通りの好展望。

好展望の大蔵高丸山頂。あえてススキの陰から富士山。


大菩薩峠よりも富士山への距離が近いため、その優雅な山容をより間近に感じる事ができる。
富士山の麓に昨日からかかっていた雲は結局晴れてはくれなかったが、地元山形の友人Kには富士山の景色を満喫してもらえただろう。

それにしてもこんな好展望でも携帯の電波は入らない。
さてさて、どうしようか。

林道を下りながら電波が入るのを待つか、沢筋の山道を下って大和町木賊まで下山するか。
あれこれ検討しながら湯ノ沢の駐車場まで戻ると、丁度良いタイミングでタクシーに乗った登山者が現れた。

「おっ、タクシー!」とすかさず運転手さんを呼び止める。
これはラッキーだぞ。

運転手さんには少々待ってもらう事にして、急いでテントを撤収。
その間、意外にもタクシー利用の登山客が次々と現れた。

待ってもらっているタクシーの運転手さんは、帰り道でも客を乗せられることを運転手仲間に自慢している。
それを羨ましがる運転手仲間達。

この運転手さんは若い頃に谷川岳一ノ倉沢などもクライミングしていた昔ながらの本格的山男。
今でこそ登ってはいないが、そんな運転手さんの話はなかなか興味深いものだった。

快適にタクシーに揺られて駐車場付近まで戻ると、ようやく携帯の電波が入った。と同時に昨日の夜から物凄い件数の留守電が入ってくる。
友人Kの携帯電話にも同じように多数の着信が入る。

「仕事の電話か!」「まさか家族に何かあったのか!?」と、心配しながら心当たりのない発信先に電話をしてみると、心配されているのは他でもない私たち2人だった。

「警察が(私たちを)探しているぞ」

友人Kの伯父さんからの情報によると、『遭難の可能性あり』と言う事で、私たちが捜索されていたのだ。

駐車場に着くと、待機していたのか即座に私服の警察官に呼び止められた。
話を聞くと、下山日を昨日と勘違いしたヨメが、遅い帰りを心配して警察に連絡してくれたらしい。

慌ててヨメに電話。

電話口で泣いているヨメをなだめて、話の行き違いを説明。
その後、警察官に事情聴取を受け、「登山届は家族にも渡すように」と、厳重に注意される。

ヨメにはスケジュールを口頭で説明しただけで、登山届を渡していなかった。下山日を勘違いしたとは言え、登山届を渡していれば何も問題なかった今回の遭難騒動を、心配してくれたヨメに感謝こそすれ、責められるものではない。
これは登山届を渡さなかった私が完全に悪い。

ゴメンナサイ。
そして心配してくれてアリガトウ。

だが、これで一件落着ではない。

昨日の21時頃、私たちと連絡が取れずに心配したヨメは、大菩薩嶺付近の営業小屋に電話。小屋の管理人さんは既に就寝していただろうテント泊の方たちを起こして私たちの不在を確認。その事をヨメに知らせると同時に管轄の警察署の連絡先を伝える。

ヨメは日下部警察署に連絡。

大まかな山行スケジュール、私の性格や行動パターンの他、家庭内の事情など様々な情報を聴取した警察は、夜間のため実際の捜索は明日になる事をヨメに伝える。その間、ヨメは私の実家に、警察は友人Kの実家の電話番号を調べて連絡。

警察は山行スケジュールから大まかな場所を特定し、裂石付近の駐車場で友人Kの車を発見。外から車内を調べるとともに戻ってきた場合を想定して待機。

翌朝、何も知らずに駐車場へ戻ってきた私たちの無事を確認。

このように、家族や知人、捜索にあたった警察署の方々だけではなく、小屋の管理人さんからテントで就寝中の方々まで、多くの人を今回の騒動に巻き込んでしまった。
GW中で深刻な山岳遭難事故も少なくなかっただろう事を考えると、捜索人員をこちらに使わせてしまった事にも、ただただ反省。

大変ご迷惑をおかけいたしました。
(テントで就寝中だった方には連絡できなかったので、この場を借りてスイマセンでした・・・)

大菩薩嶺は特段危険箇所も無く、観光地としても人気の山域で登山客も多い。
とは言え、昨今の山岳遭難ニュースもあって、知らない者からすれば『危険な所』である事には変わりない。

心配してくれる方が一人でもいるなら登山届は渡しておくべき。(いなくても登山届は出した方がよいです)
そして、もしもの時に真っ先に連絡がいくのはやはり家族や実家。ここに登山届を渡しておかなければならない事を痛感した山歩きとなった。

この遭難騒動の悪例を他山の石として参考にして頂ければ幸いです。
(あれ、前回の山行でも失態をさらしていたような気が・・・。)



お土産のワイン。非常に美味しかったらしい。(私は下戸で飲めず)


早い下山もあって中央道の渋滞にも巻き込まれずスイスイと帰宅。
ヨメには山梨のワインをお土産に機嫌を直してもらいました。

本日の写真

霜も降りてテントはバリバリ。

日向の山道は暖かい。

お花畑。とは言っても花は咲いていない。

お花畑越しに南アルプス。

爽やかな朝の山道。

眺望の良い大蔵高丸山頂。

5月だと言うのに秋っぽい。

スタッ。

花の時期ならキレイに違いない。

お花畑。やはり花は咲いていない。

本日の山行情報

複数人山行/3日目/テント泊/縦走/マイカー登山

大蔵高丸(おおくらたかまる)
標高1781m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

湯ノ沢峠(避難小屋)[着] 06:50 - [発] 06:50
 ↓ 40分 
大蔵高丸[着] 07:30 - [発] 07:40
 ↓ 35分 
湯ノ沢峠(避難小屋)[着] 08:15 - [発] 09:00
 ↓ 40分 タクシー利用
裂石付近のゲート前駐車場[着] 09:40 - [発] 09:40

行動時間:1時間55分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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