2016年1月1日
小金沢(大菩薩)連嶺:3泊4日
丸川荘:年末年始は丸川荘にいます。

静かな山小屋の丸川荘。


この世知辛い現代社会において、数日間、山に入れることは贅沢と言える。そんな山歩きを程好く満喫している私が、さらに上をゆく贅沢と思える状況がある。

同じ場所で数日滞在することだ。

新たな場所を求めて転々とすることもなく、縦走のように先へ先へと進むこともせず、かといって悪天候で停滞している訳でもなく、何をするでもなく同じ場所に滞在するのだ。

これを自宅ですれば単なる出不精だが、山中で行えば贅沢以外の何モノでもない。この贅沢を実行するべく丸川荘へ。

と言うことで、年末年始は丸川荘にいます。(山梨県観光PRポスター風に。)




【2015年大晦日】

天然ヒノキで肩綱も手編みの昔ながらの背負子。


とある方に背負子を作ってもらった。天然ヒノキで肩綱も手編みの昔ながらの背負子だ。このマイ背負子に年末年始を悠々と過ごせる食料群をくくりつけ、裂石から丸川峠へと向かう。

今年最後のチャレンジとして、背負い上げる荷物重量は30kg。2泊3日のテント泊縦走時でも荷物重量は20kg程度の私にとっては大きなチャレンジだ。

重量もさることながら、まだ使い慣れない背負子に「大丈夫?」と思っていたが、実際に背負ってみると意外とイケる気がしてきた。

釘を使っていない昔ながらの背負子でも、荷物を背負うための道具だけあってよく考えられている。重心を高くしてバランスよく積まれていることが前提となるが、思ったよりも重みは感じられない。その反面、荷物に振られない歩き方が求められる。

上半身の重心を維持しながら一歩一歩を意識して踏みしめ、今年最後のチャレンジを完遂。無事に丸川荘に到着した。

一息ついてから2015年最後の落日を眺めにゆくと、小ピークから見える夕日は年の終わりを迎えようと空を紅きに染めていた。数分もしない内に落日し、暮れなずむ夕焼け空を眺めながら2015年の余韻に浸る。

2015年最後の落日。


・・・何か視線を感じる。

枯れ笹の陰に何かいる。

ん?迷い犬!?

目をこらして見ると、こちらをモノ珍しそうに眺めているキツネだった。それも親離れして間もなさそうな幼い顔の子ギツネだ。

人間を恐れて逃げるどころか、「誰?アナタ?」と言いたげな表情でこちらに近づいてくる。そして、愛嬌を振りまきながら、一定の距離を保って私の周りを飛び跳ねている。緊張をほぐすためか、目の前であくびをしたりもする。

もうね、ラブリー。

髭面のオッサンでもその可愛らしさにときめきを隠せない。

丸川荘へ引き返すと、後を付いてきたのか小屋の前でも飛び跳ねているキツネ。

15年程前の丸川荘には『桃子』『桜子』と名付けられたキツネがよく現れ、餌付けなどしていないのに人を恐れなかったと言う。そんな桃子/桜子の血を受け継いでいるような来訪者との出逢いに、運命的な暗示を(勝手に)感じる2015年の大晦日となった。

丸川峠に現れたキツネ。


豆炭アンカで今宵の暖かな寝床は確保された。


静かな山小屋の年越しに乾杯。

丸川荘での年末年始は通常通り。

年越しイベント無し、ビンゴ大会も当然無し。特別なことと言えば、通常よりも消灯時間が遅いくらいだろうか。(※食事とお酒は特別メニューでした)

こうして静かな山小屋の大晦日は、薪の燃える音とラジオから小さく流れるカウントダウンと共に過ぎ去っていった。




【2016年元旦】

2016年が明けようとしています。


明けましておめでとうございます。

と言うことで、初日の出を拝むために丸川荘から大菩薩嶺へと向かう。

樹林に覆われている大菩薩嶺は、位置的にも初日の出を拝むには適していないかもしれないが、好天の本日なら朝焼けに染まる見事な富士山が見られるだろう。それに、ご近所として大菩薩嶺には新年の挨拶をしなければ。

今年は気温が高く、日陰の山道では多少の凍結箇所はあっても積雪が少ない。それでも早朝の冷気は肌を刺し、ヘッドランプに照らされた氷の結晶がチカチカと反射している。

大菩薩嶺に挨拶をしてから、見晴らしの良い雷岩へ。

誰もいない。
いや、一人いた。

笠をかぶり、夏物らしい半袖の作務衣(?)を身にまとった若者が、富士山を背景にセルフタイマーによる記念撮影の準備をしている。そんな見るからに寒々しい様子に「シャッター押しましょうか?」と言いかけたが、何となくそっとしておく。人には人の目的があるというモノだ。

大菩薩嶺に新年のご挨拶。


真っ先に初日の出を浴びる富士。


樹林帯にも初日の出。

富士山、赤石山脈の山稜が初日の出を浴びて朝焼けに染まってゆく。周囲の木々にも夜明けが訪れ、深緑の苔も鮮やかな朝焼け色に染まる。

2016年の始まり。

大菩薩嶺での2016年は穏やかに始まった。

夕刻を眺める丸川荘のご主人。


元旦の丸川荘には、丸川荘の主人である只木さんを師匠と仰ぎ『工場長』と呼ばれる登山者が来訪。その明朗快活な性格といかにも山男らしい酒豪振りに正月らしい楽しい一時を過ごす。昼から酒を飲んでいても、丸川荘のご主人と共に夕刻の景色を眺めに行くその姿には山好きのオーラが漂っていた。

ちなみにヨメ曰く、山並みを眺める3人(只木さん、工場長、私)の姿は少年のようだったとのこと。

えへへ。

【工場長のブログ】
続・工場長の「山ばっかり、、、酒ばっかり。。。」




【2016年1月2日】

穏やかに時は過ぎ去ります。


ヨメ、風邪をひいて寝込む。

下山予定日だったが、丸川荘にもう一泊することにする。

本日の泊り客はおらず、山小屋のお手伝いをしながら丸川荘のご主人としみじみと語りあう。

これもまた贅沢な時間だ。




【2016年1月3日】

薪ストーブで焼くおもち。


ヨメ、復活。

復活と言っても全快しておらず、しょんぼりとお粥をすするヨメを横目に、丸川荘に訪れた常連登山者から数の子、カニなど、自宅では滅多に食べない正月らしい料理を頂いてすっかりご満悦の私。

その後、丸川荘のご主人と一緒に下山して、年末年始の贅沢な山小屋滞在は幕を閉じた。

下山時はもちろんマイ背負子。

まだまだ使いこなせていないマイ背負子も、今後の山行には大いに活躍してくれそうな予感がする。

年を追うごとに山行スタイルは変わってゆくが、山好きなのは変わらない。
そして『山好き』な人も好きだわぁ。

一富士。OK。


二鷹。ギリギリOK。


三茄子(丸川荘のご主人作)。OK。

漫画的山行記録

年末年始は丸川荘にいます。

と言うことで2015年大晦日に丸川荘へ出発。

今年最後のチャレンジとして自己最高重量となる30kgの荷物。

頼むぞ、マイ背負子。

うんしょ、うんしょ。

丸川荘に到着。

一息ついて2015年最後の落日を眺めにゆきます。

2015年よ、さようなら。

落日したところで何やら視線を感じます・・・。

ん?

んん?迷い犬!?

いや、キツネです。

わっ、こっちにきた。

ぷいっ。

ぷいっ。

ダレ?あんた?

きゃー、こっちを見たーっ。(興奮で手振れ)

何、その仕草。ときめいちゃう。

こんな可愛らしい出逢いを最後に2015年は幕を閉じました。

今宵の布団には豆炭アンカ。

豆炭をセットして暖かな寝床は確保されました。

神棚にはお神酒。

そして読書。

静かな山小屋での年越しに乾杯。

2016年元旦。

2016年一発目の日の出を見に行ってきます。

まずは大菩薩嶺へ新年の挨拶に向かいます。

今年もヨロシクお願いします。

2016年の幕開けです。

地平線が朝焼けに染まり始めました。

一足早く富士が夜明け。

赤石山脈にも夜明けが訪れます。

一方、私のいる場所から見る初日の出は・・・。

・・・。

なぎ払えッ!(※映画『風の谷のナウシカ』より)

なんて、絶対ダメ。

とにかく、あけましておめでとうございます。

絵になる新年登山者のシルエット。

日が当たり始めました。

改めまして、あけましておめでとうございます。

2016年は完全にあけました。

苔も2016年に染まります。

大菩薩嶺も夜明けです。

丸川荘へと戻ってきました。

正月らしくお餅を焼いて頂きます。

そしてお年賀の羊羹と丸川荘の珈琲を頂きます。

のんびりした年明けです。

元旦の夕暮れを眺めに出掛けます。

丸川荘のご主人。元旦に何を思うのか。

暮れゆく元旦。

富士山も落日を眺めます。

聖岳と赤石岳の間に日は落ちました。

初詣代わりに丸川峠のお地蔵さまに手を合わせます。

穏やかな元旦でした。

よしッ!

おせちだッ!

白子汁だッ!

年越しソバだッ!(遅い)

そして、アルコールだッ!

こうして飲んで食べて元旦は過ぎてゆきます。

2016年1月2日。

ヨメが風邪をひいて寝込んでしまったので丸川荘へもう1泊することに。

折角なので丸川荘のお手伝い。

そして夕暮れ。

ヨメは寝込んでいますが穏やかに落日。

2016年1月3日。

ヨメ、復活。

下山前に薪ストーブで焼いたお餅を頂きましょう。

お世話になりました、丸川荘。

下山ももちろんマイ背負子。

こうして山小屋での年末年始は無事に去ってゆきました。

あ、そうだ。

一富士、

二鷹(?)、

三茄子(丸川荘のご主人作)。

それでは今年もよろしくお願い致します。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/3泊4日/小屋泊/ハイキング/マイカー登山

丸川荘(まるかわそう)
標高1685m
詳細(外部リンク)
大菩薩嶺(だいぼさつれい)
標高2057m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

丸川峠分岐駐車場[着] 14:02 - [発] 14:03
 ↓ 108分 
丸川荘[着] 15:51 - [発] 05:28
 ↓ 69分 
大菩薩嶺[着] 06:37 - [発] 07:10
 ↓ 71分 
丸川荘[着] 08:21 - [発] 13:30
 ↓ 70分 
丸川峠分岐駐車場[着] 14:40 - [発] 14:40

行動時間:5時間18分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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