2016年2月7日
小金沢(大菩薩)連嶺:日帰り
石丸峠:そこにいたのか石魔羅様。

雪原となっている石丸峠。


今年に入ってから週末は、近所と言っても差し支えないだろう山小屋『丸川荘』に入り浸っている。

そこで、本日は久しぶりに他のエリアを歩いてみることにした。

とは言っても、最終的には丸川荘を経由する大菩薩周回コース。自宅から歩き始め、石丸峠へと登って稜線伝いに丸川峠まで歩くのだ。

ここのところ「もう春かぁ」と思える陽気が続き、数週間前にまとまって降った雪もすっかり融けてしまった。さすがに山域では全ての雪が融けることなど無いと思うが、大菩薩峠~石丸峠区間はあまり人が入らず、積雪も多いエリアのためズブズブの踏み抜き地獄と化しているかもしれない。

そんな山道状態、もとい積雪具合を確かめるため出発。




どんよりしてますが、後に晴れます。


薄暗い夜明け前の空はどんよりした雲に覆われている。

この雲によって昨晩から降った雪は、道路に数センチの積雪を与えていた。この分だと山域では10センチくらいは積もっているだろう。

こんな空模様でも近代的天気予報では回復の見込み。この天気予報を信じて裂石から上日川峠へと向かう。

この区間の山道は日陰のためガリガリに凍りやすい。しかし、程よい積雪のお陰もあって、滑って転倒することなく上日川峠に到着。ここからあまり人の入らない石丸峠への登りが始まる。

案の定、石丸峠へ続く山道は、まだ誰も踏み入れていないまっさらな積雪状態が保たれていた。積もりたての雪はサラサラしており、重さを感じさせない程に軽い。積雪前の踏み跡がうっすら残っていることもあって、見るからに歩きやすそうだ。

これから向かう石丸峠は見晴らしも良く、大菩薩エリアにおいて比較的積雪量が多いため、この軽やかなパウダースノーを十二分に堪能できそうな期待が膨らむ。

ひっそりとたたずむ3代目石魔羅様。


その前に『石魔羅様』。

石丸峠はその昔、イシマラ峠と呼ばれており、そこにあった突起した巨石を男性の陰茎に見立てて石魔羅様として崇められていたそうな。そんなイシマラ峠には、ニヤニヤと冷やかし半分ではなく、当時としては切実な子孫繁栄祈願として訪れる方が多かったらしい。しかし、明治維新の宗教政策『淫祠邪教の禁』により石魔羅様は撤去され、名称も石丸峠に変更されたと言う。

で、地元の方からの情報によると、3代目石魔羅様がひっそりとたたずんでいるとのこと。「2代目は?」の疑問もあったが、3代目となる石魔羅様を探してみる価値はあるだろう。

明確な位置まではわからなかったので、以下のヒントを元に3代目石魔羅様を探す。



つまり、石丸峠を目指しつつ山道脇にあるチン○みたいな石に注意しながら行けばOKだ。(冷やかしか!?)
そして、意外とあっさり発見できた。

おもむろに山道脇にあった3代目石魔羅様は、情報通りにひっそりとたたずんでいた。それは意識しなければ素通りしてしまうだろう普通の石に見える。

積もっていた雪を払って手を合わせる。これによる石魔羅様の効果はさておき、引き続き石丸峠へ向かおう。

枝に積もった雪が音もなく舞い落ちる樹林帯。


石丸峠から雪原を登ります。


時々吹き上げる雪煙に巻かれます。

雪原から富士山。


頭上を覆っていた雲はいつの間にか消えて、突き抜けるような青空が広がっている。そして、時折吹く風に揺らされて、枝に積もった雪が音もなく舞い落ちる樹林帯は何物にも代え難い清々しさだ。

樹林帯を越え、視界が開けてくると冷たい風が下から吹き上げてくる。それでもまだ穏やかな方で、新雪のパウダースノーを蹴りあげながら、快適に石丸峠の雪原を突き進む。上部でシカの群れが移動している以外に周囲には誰もおらず、うっすら残っていた踏み跡もここでは消え去り真っさらな状態だ。

そんな開放的な雪原の独り歩き。
くぅ、たまらないぜ・・・。

強風で舞い上がる雪煙にも巻かれながら雪原を登り、ほんのりと賑わっている大菩薩峠までやってきた。天気は良く、気温もこの時期にしては暖かいと言っても良いだろう。

ここから雷岩までの稜線歩きでは、そこそこの風が吹き付け、そこそこの冷気が容赦なく顔面を襲ってくる。それでも澄んだ空気感で望む稜線上からの景色は、そこそこに寒々しい状況を相殺するに補って余りある贅沢な眺めだ。

雨氷がぶつかりあって鉄琴楽器のような音色を奏でています。


景色の他にも楽しめる要素があった。

風が吹いて木々が揺れると、枝に付いた雨氷(?)がぶつかりあってカランカランと鉄琴楽器のような透き通った音色を奏でている。美しい情景に加え、音でも楽しませてくれるなんて、自然とは粋な計らいをしてくれるモノだ。

大菩薩嶺を通過して丸川峠に向かう樹林帯の山道に入ると、これまで吹き付けていた風はピタリと止み、周囲は穏やかな静けさに包まれる。

石魔羅様に始まり、雪景色、雨氷の音色、静かな樹林帯と、これまで大満足な山行。下山時は丸川荘に立ち寄り、挽きたてコーヒーを飲んで満足度のダメ押しだ。

無事に下山して舗装道路に出ると、今朝方の雪はすっかり融けて無くなっていた。

大菩薩エリア山行の締めに番屋茶屋の焼きよもぎだんご。


そして、大菩薩エリア山行の締めにはコレ。
番屋茶屋のよもぎだんごを頂く。

山行満足度、これで完璧。

漫画的山行記録

今朝方、麓では数センチの積雪がありました。

そこで、新雪の大菩薩エリアを歩いてきます。

裂石から石丸峠~大菩薩峠~丸川峠の周回です。

夜明け前の空にはどんよりした雲が覆っています。

しかし、天気は回復する見込みです。

天気予報を信じて石丸峠を目指します。

寒い中、お疲れ様です。

ほうら、晴れてきた。

南アルプス方面は晴れ渡っているご様子。

隣の尾根にも陽が当たり始めてます。

すっかり晴れて、上日川峠到着。

ここから石丸峠へ向かいます。

山道脇に3代目石摩羅様を発見。

石摩羅とは石丸峠の名称由来ともなった男性の陰茎に見立てた巨石です。

子孫繁栄として崇拝されていましたが、初代の石摩羅様は明治維新の宗教政策『淫祠邪教の禁』により撤去されたそうです。

枝に積もった雪が音もなく舞い落ちる静かな樹林帯を登ります。

林道を横断して更に進みます。

重さを感じさせないサラサラの新雪を蹴りあげて登れや登れ。

視界が開けてきました。

この突き抜けるような青空の下でシカの群れが移動中。

日差しは暑くても風は冷たい。

石丸峠がもう見えてくる頃。

ちょっとショートカットして石丸峠を後にします。

振り向けば富士山。

雪原を登ります。

富士山に雲がかかるのは時間の問題か。

雪煙が吹きあがってきた。

ひぃーーーっ!

そんなこんなで大菩薩峠に到着。

なんて真っ直ぐな目をしてやがるんだ。

大菩薩峠から雷岩までは見晴らしの良い稜線歩きです。

雲がかかり始めた富士山。

南アルプス北部。甲斐駒、千丈。

南アルプス中部。塩見、白根三山。

南アルプス南部。聖、荒川三山。

小ざっぱりした賽の河原避難小屋で昼食タイム。

登りを再開。

雪紋が育ってます。

ビューポイントの雷岩に到着。

木々には雨氷。

風が吹くと雨氷同士がぶつかり合って透き通った音色を奏でています。

来ました、大菩薩嶺。

ここから丸川峠への山道は雰囲気が変わって穏やかな静けさに包まれます。

丸川峠へと下ります。

丸川荘に到着。

あっ、丸川荘のご主人が淹れる挽きたてコーヒーの写真を撮り忘れた!(いつもそう)

下山。今朝方の雪はすっかり融けていました。

ゴールイン。山行終了。

そして、大菩薩エリア山行の締めに欠かせないのはコレ。

番屋茶屋の焼きよもぎだんごをパクリ。

満足、満足。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/日帰り/ハイキング/自宅から徒歩

大菩薩嶺(だいぼさつれい)
標高2057m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

大菩薩峠登山口[着] 06:43 - [発] 06:44
 ↓ 99分 
上日川峠[着] 08:23 - [発] 08:28
 ↓ 121分 
石丸峠[着] 10:29 - [発] 10:31
 ↓ 31分 
大菩薩峠[着] 11:02 - [発] 11:10
 ↓ 11分 
賽の河原避難小屋[着] 11:21 - [発] 11:42
 ↓ 40分 
大菩薩嶺[着] 12:22 - [発] 12:22
 ↓ 42分 
丸川荘[着] 13:04 - [発] 14:52
 ↓ 70分 
大菩薩峠登山口[着] 16:02 - [発] 16:04

行動時間:6時間54分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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