2017年7月19日
奥多摩:日帰り
雲取山:七ツ石小屋訪問のついでに2017年記念。

七ツ石小屋は歴史ある村営山小屋です。


全国各地にある山小屋管理人の世代交代をチラホラ耳にするようになった。

このところ登山ブームと言われているが、約60年前の第一次登山ブームの盛り上がりに比べたら毛の生えた程度と言われている。その第一次登山ブームの世代が高齢となって次々と山から離れている今、年齢別の人口比率から言っても今後の登山者数が減少の一途を辿るのは火を見るよりも明らかだ。

そんな状況でも山に魅了され、古き良き山小屋を受け継ごうとする新世代は、ある意味モノ好きと言える。かく言う私もモノ好きの一人だ。

奥多摩に七ツ石小屋という歴史ある山小屋がある。そこをモノ好きな若いご夫婦が受け継ぎ、住み込みで管理しているという。

これは実に興味深い。話だけでも聞きに行くことにした。



2017年は標高2017mの雲取山へ。


今年は2017年と言うことで、東京都最高峰で標高2017mの雲取山が注目されている。

年号と標高が同一なだけで、景気が良くなるわけでも世界平和が訪れるわけでもない。それでも語呂合わせ好きな日本国において、例年に比べると登山者数が断然多いようだ。そんな世間の流れにガッツリと乗っかり、七ツ石小屋に行くついでに標高2017mを踏んでおこう。何となく縁起が良さそうな気もするし。(俗っぽい)

鴨沢の小袖乗越駐車場から登り始める。

山道入口には2017年記念をアピールする大きな看板が設置されており、これを目的とした登山者であれば間違いなくテンションは上がるはず。『ついで登山』と銘打っている私もテンションが上がった。

鴨沢からの山道は久し振りだ。

山歩きを始めて間もなかった頃に何度かお世話になった山道であり、辛かった思い出はあっても悪い印象は無い。ただ、行き交う登山者が多くて挨拶の連続だった記憶はよみがえる。

その点、本日は平日の早朝。

挨拶する登山者はおらず、山道は実に静かなモノだ。

平日の山道は実に静か。


黙々と登っていると「こんなに楽だったかな」と思える程に山道が歩きやすい。日帰り装備で荷が軽いこともあるが、これまで続けてきた山行により向上している己の脚力を実感できて嬉しくなってしまう。

所々に新設された『平将門迷走ルート』の案内板も見逃せない。

多くの伝説を持つ平将門だが、その中のひとつに七人将門(七人影武者)がある。奥多摩の昔話によると、七ツ石山の山頂に落ちのびた平将門は、藁人形に術をかけ6人の影武者を創るも見破られ、三頭山より放たれた矢で打ち倒されたそうな。敗れた平将門と6人の影武者は石と化し、それが七ツ石山の山名由来となっている。(※伝説や由来は諸説あります)

そんな平将門にちなんだ見所を、丹波山の創作民話として紹介しているのが『平将門迷走ルート』(案内板)だ。

「迷走って・・・」と思うと同時に、「またお湯沸かすのか!」とも思ってしまう一部内容に、単調となりがちな稜線までの山歩きにアクセントを加えてくれる。ほのかに漂わす後付け感も私にはツボだ。

気になる方はぜひ迷走ルート、もとい鴨沢ルートへ!

七ツ石神社と背後の巨岩。


難なく七ツ石小屋に到着。まだ早い時間帯のため、先に雲取山まで行くことにする。

迷走ルートの案内板を追うように七ツ石山へと登り、広々と歩きやすい石尾根を進む。前方に見える雲取山めがけて延びる石尾根は、数年前の記憶と変わらず潔く清々しい。ガスが上がって遠望は楽しめなかったものの、見晴らしの良い稜線ならではのキツい日差しは無く、心地よい涼しさの中で雲取山に到達した。

そこには、数年前の記憶には無い真新しい石製の山頂道標と「雲取山西暦二千十七年記念」と彫られた木製の道標が建てられていた。石製の山頂道標に至っては、私の知るそれとは比較にならない立派さで、裏を見ると『東京都』と『埼玉県』の文字が確認できる。

「おや?山梨県は?」

雲取山は3都県を分かつ山だと理解していた私は不審に思ったが、よくよく地図で確認すると山梨の県境は山頂ではなく、山頂避難小屋の前にある岩場となっていた。山梨在住の私としては、何処となく漂う除け者感。

雲取山の立派な山頂道標。


無事に2017年記念としての雲取山を踏めたので、本日の目的である七ツ石小屋へと引き返す。

丹波山村営山小屋の七ツ石小屋は、現在管理されているFご夫妻のもとで古き良き山小屋として受け継がれていた。完全な歩荷(人力による荷上げ)小屋としての不便さに悲壮感はなく、素朴さの中に人とのつながりを感じさせる山小屋らしい雰囲気が漂っている。

そんな七ツ石小屋を管理しているご主人は林業経験豊かな野生児。おかみさんはたくましい根っからの山女。

何だか山小屋のイメージにビシッと合致した管理人ではないか。お二人に共通して感じたのは、山好きなのは当然として、遭難事故を無くしたい強い思いだ。

この山域は都心から近くアクセスも良いため、年間通して多くの登山者が訪れる。その中には遊歩道感覚で安易に山に入ってしまう登山者(観光者?)も少なくない。そんな登山者を見かけた際は、遭難事故防止のためにも注意喚起するよう心掛けていると言う。

知らなかったことを実際に体験して身に付けるのもひとつの方法だが、「知らなかった」が命取りにも成り得るのが山。

この日も、予定を変更して急遽宿泊することとなった80歳(!)のおじいちゃん登山者に、「ちゃんと計画を立てなきゃ!」と愛情たっぷりに叱っていた。こういった対応ができて、尚且つ相手もその言葉を受け入れてくれるのは、親身になって登山者を案ずる気持ちはもとより、積み重ねられた経験とそこから生まれる説得力があるからだろう。

仮に私が注意喚起した場合を想像してみよう。

「ちゃんと計画を立」
「お前が言う!?」

そんな光景が手に取るように浮かぶ悲しい結果に。

七ツ石小屋、ではなく七ツ石山の手ぬぐい。


まあ、私のことはさて置き、他にも色々と話を伺えて充実した七ツ石小屋訪問となった。しかし、すっかり写真を撮り忘れたのでビジュアル的な紹介は一切ナシ。

気になる方はぜひ七ツ石小屋へ!

その後、満足顔で下山。七ツ石小屋訪問を満喫しつつ、体力的に余裕を持って日帰り雲取山山行ができたのも嬉しい収穫だ。

小さきことだが、またひとつ経験が積めたかね。

漫画的山行記録

奥多摩の七ツ石小屋を訪問してきます。

そのついでに、2017年の今年は標高2017mの雲取山がアツいようなので歩いてきます。

平日でガラガラな小袖乗越駐車場より出発。

それでは行って参ります。

静かな山道を歩いていると、所々に『平将門迷走ルート』と銘打った案内板が設置されています。

平将門にちなんだ見所を、丹波山の創作民話として紹介している案内板です。

あえて写真は伏せていますが、気になる方はぜひ鴨沢ルートへ!

ちなみにこちらは『風呂岩(すいほろいわ)』。縁を打ち壊した風呂桶の化身だそうです。

『平将門迷走ルート』を淡々と歩いてゆきます。

ちょっとした鞍部にある堂所。

七ツ石小屋に到着です。

まだ早い時間なので雲取山まで行ってきます。

ああ、水場があるってスバラシイ。

石尾根(稜線)に乗りました。

七ツ石神社に参拝。背後の巨岩が存在感を放っています。

ぴっくりするほど立派になっていた山頂道標。

雲取山へと通ずる石尾根が延びています。

石尾根らしい広い尾根です。

このストーンサークルは何を意味する?

奥多摩小屋を通過。

山頂道標が極めて寂しい小雲取を越えて・・・。

見えてきました雲取山。(山頂は林の陰です)

最後の登りも軽装ならす~いすい。

途中に植生保護区域がありました。可愛らしい花がチラホラ咲いています。

雲取山へ到着。

裏を見ると・・・あれ?山梨は?

雲取山山頂は3都県を分かつ山だと思っていましたが、山頂は東京都と埼玉県の境です。

山梨県の境は山頂避難小屋の前にある岩場となります。

山梨在住の私としては、何処となく漂う除け者感・・・。

今年限定の道標もありました。

持参の桃をパチリ。

さて、まき道利用で七ツ石小屋へ戻ります。

完全歩荷(人力による荷上げ)の七ツ石小屋は、素朴さの中に人とのつながりを感じさせる雰囲気が漂っています。

管理人のご夫妻にたっぷりと話を伺って七ツ石小屋を後にします。

すっかり写真を撮り忘れたのでビジュアル的な紹介は一切ナシ!

ちなみにこんなワイルドな手ぬぐいを販売中。

七ツ石小屋に直接関係のないデザインですが・・・。

無事に下山しました。

戻ってきた駐車場はやはりガラガラ。

帰りは『道の駅たばやま』の『のめこい湯』へ。

汗を流してサッパリした後は、コレについて調べてみました。

コレ。

丹波山村のマスコットキャラクター『タバスキー君』です。

タバスキー君は丹波山の『丹』の字をモチーフにしています。

形/名称ともに『アダムスキー型』にも掛けているとかいないとか。

そんな『タバスキー君』をよろしく!

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

七ツ石小屋(ななついしごや)
丹波山村営となった昔ながらの歩荷(人力による荷上げ)による山小屋です。
詳細(外部リンク)
七ツ石山(ななついしやま)
標高1757.3m
詳細(外部リンク)
雲取山(くもとりやま)
標高2017.1m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

小袖乗越駐車場[着] 05:06 - [発] 05:06
 ↓ 139分 
七ツ石小屋[着] 07:26 - [発] 07:39
 ↓ 24分 
七ツ石山[着] 08:03 - [発] 08:03
 ↓ 98分 
雲取山[着] 09:41 - [発] 10:12
 ↓ 96分 
七ツ石小屋[着] 11:49 - [発] 13:55
 ↓ 109分 
小袖乗越駐車場[着] 15:44 - [発] 15:44

行動時間:7時間48分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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