2013年12月22日
奥多摩:日帰り
高水三山:山中にも麓の町にも旅情あり。

年末の忙しい時期。
駆け込みの仕事や忘年会などのイベントも多く、何かと慌ただしくなりがち。

こんな時は無償に山歩きに出掛けたくなる。
学生時代の試験前にも似た現実逃避だろうか。

ちなみに私は「試験勉強しなければ」の思いを完全に振り切って、遊びに出掛けていたタイプ。
試験勉強など直前の10分程度でしたとも。

そんな私もすっかり大人。
社会人としての意識を残しつつ、メリハリをつけて山歩きに出発した。



高水三山はコチラ。


今回の目的地は、惣岳山、岩茸石山、そして高水山の三山からなる奥多摩の高水三山。

標高1000mに満たない低山のため、奥多摩入門として人気のエリアらしく、何よりも電車で行きやすいのがステキな要素だ。
今回は高水三山の先にある棒ノ嶺まで足を伸ばしてみる。

最寄り駅の御嶽駅で下車。

ケーブルカーをはじめ、観光施設が盛り沢山の御嶽山に向かう登山者が多い中、多摩川を挟んで逆方向となる惣岳山へ向かう者は少ない。
そのためか山道は静か。

下方からはガタンゴトンと電車の音が聞こえ、電車に乗る事の少ない私にとっては旅情を演出してくれる要素となる。
この状況に「旅、いいわぁ」としみじみ感じながら静かな山道を進む。

しばらく歩いて惣岳山に到着した。

山頂には青渭(あおい)神社があり、樹林帯で周囲の展望は無くても神社特有の張り詰めた空気が漂っている。この感じはキライじゃない。
ただ、そんな神聖さとは裏腹に、『惣』が付く全ての山に対してお惣菜を連想してしまう事は神様に内緒にしておこう。

右手に見えるのは降臨した神様ではなく普通のおじさんです。


参拝して先に進む。

高水山は棒ノ嶺とは逆方向なので、行ったら戻ってくる、つまりピストンしなければならない。
一瞬「面倒くさ・・・」と思ったりもしたが、高水三山に来て高水山を無視するなんて至極失礼と言うモノ。三山揃ってこその高水三山なのだから立ち寄らないと。

※高水三山だけであればピストンする必要はありません。

結論としては立ち寄って損はしなかった。

味のある御神木に小さい祠に安置されたミニチュア狛犬。
ひっそりと山岳信仰を感じさせる高水山山頂は、惣菜・・・いや、惣岳山に続いて個人的に好きな部類の山頂だった。

ロディっぽい可愛さ。


さて、高水山から戻って岩茸石山へ。

何となく山名由来が想像できる岩茸石山は、岩壁に着生する『イワタケ(岩茸)』が予想に反せず由来となっているようだ。
ただの『岩茸山』ではなく『石』を付け加えた経緯は不明。

そんな岩茸石山は、高水三山の最後にふさわしく見事な景色を楽しませてくれる。
高水三山コンプリートの達成感を祝福しても余りある素晴らしい眺めには大満足だ。

ここで軽い昼食。

快晴でも風が冷たくて、長くは留まっていられない。
食べ終わる頃にはすっかり手先が冷えきってしまったので、ゆっくりせずに次の目的地へ出発した。

これから向かう棒ノ嶺は、アップダウンを繰り返して2時間程歩かなければならない。
長丁場で単調になりそうな距離だ。

かろうじて富士山の先っちょが見えます。


しかし、このルートは『関東ふれあいの道』の指定区間。
イタリアンマフィアのように抱擁して頬にキスする程のふれあいはしなくても、旅情を味わうために意識的にふれあってみよう。

「いい天気ですね」
「そうですね」

「・・・」
「・・・」

こんな浅いふれあいを何度か繰り返しながら棒ノ嶺へと向かう。

マイペースで歩き続け、いよいよ本日最後となる登り。
棒ノ嶺山頂に近づく程に積雪量が多くなり、下山してくる登山者には軽アイゼンを装着している方もいる。

山頂を見上げると雪の白と空の青とのコントラストが眩しいばかり。
これには「はやく登っておいで」と呼ばれている気分にもなる。

棒ノ嶺山頂、到着。

遠くは筑波山、日光方面の山々まで見渡せる澄みきった空気感。
初めて登るエリアからの景色は、これまでと違った山々の重なりを楽しめて新鮮だ。

雪の白と空の青とのコントラストが眩しい山頂へ。


見晴らしの良い棒ノ嶺に到着。


冬と言ったらミカン。良質な水分補給にも最適。

この棒ノ嶺は、棒ノ峰や棒ノ折山とも呼ばれ、その山名由来も諸説ある。

1. 山容がお坊様の頭のように丸い→『坊の尾根』→『棒ノ嶺』
2. 平安/鎌倉時代の武将、畠山重忠がこの山で石杖を折る→『棒ノ折』
3. 南側のゴンジリ沢に祀られてる金精様(男根)の石棒→『棒ノ嶺』


個人的には最後の説を推したいが、金精様の説を前提に『棒ノ折』と考えると、男の子なら誰しもキュっと身が縮むはず・・・。

棒ノ嶺山頂を楽しんだところで百軒茶屋の登山口へと下山開始。

途中、金精様を祀っている小さな祠に立ち寄って、念入りに手を合わせる。(折れませんように・・・)
その後、ワサビ田の脇を通って、無事に舗装道路に合流した。

ゴンジリ沢に祀られてる金精様(男根)の石棒。


最寄りのバス停で時刻表を確認すると、次の便まで1時間半くらい待たなければならなかった。この間に歩けば駅に着きそうな待ち時間だ。
途中で地元の特産物にも出会えるかもしれないし、基本的に『徒歩好き』なので最寄り駅まで歩いていく事に。

山麓の集落には寂しげで寂れたイメージがある。寒い時期になれば尚更だ。
しかしこの付近の雰囲気は違っていた。

多くの住宅でクリスマスイルミネーションを施しており、イルミネーター魂を全開にした派手な電飾の住宅もあれば、茅葺き屋根の住宅までもが電飾している。
夜にはイベントがあるらしく、町の広場では住民が集まって賑やかに準備をしていた。子供たちも楽しそうだ。

一体、この地域のクリスマスへの意気込みは何なんだ・・・と、謎は残ったが、この楽しそうな雰囲気の住民たちにはメリークリスマスと言ってあげたい。

こんな感じで最後にホッコリして終えた今回の山行。
山中だけではなく麓の町も楽しむ、これぞ旅情山歩きだな。

清酒タマジマン。お土産としてゲットしたかった。


山の中のお食事処『ちわき』のおやき。自家製アンコがウマイ!


茅葺屋根の住宅にもメリークリスマス。

漫画的山行記録

高水三山を巡り、棒ノ嶺まで歩いてきます。

出発地点は御嶽駅。

出発前にちょいと情報収集。

では高水三山へ出発。

ツキノワグマの目撃情報が多いらしく張り紙が目立ちます。

朝日が差し込む竹林を登ります。

鉄塔の真下を通過。

木も山道もまっすぐです。

この辺りでまっすぐじゃない木は妙に目立ちます。

しめつりの御神木。この先は聖域です。

霊泉の青渭ノ井戸。

ひっそりと青渭神社奥宮。すなわち惣岳山山頂です。

歴史がありそうな神社です。

神社ならではの張り詰めた空気感が好きです。

次の山へ向かいます。

寒い。

温い。

山頂へは急坂になります。

岩茸石山へ行く前に高水山へ向かいます。

片側だけ着雪。

しばらく歩いて高水山山頂に到着。

山頂付近には小さな祠があり、

中にはミニチュア狛犬がいました。

御神木かな。

来た道を引き返して右奥に見える岩茸石山へ向かいます。

岩茸石山山頂へ到着。

これで高水三山コンプリートです。

筑波山まで見える好天!

こちら雲取、両神方面。

山中で食べる果物は最高です。

富士山の先っちょが見えます。

常盤の前山。落書きじゃないよね?

逆川ノ丸。本当に落書きじゃないよね??

黒山。

落葉しても快晴の青空ならキレイ。

ゴンジリ峠。いい響きだ。

棒ノ嶺までもう少し。

棒ノ嶺に到着しました。

伝われ!この開放感ッ!!

日光方面。

積雪した大持山、武甲山が見えます。

良いたたずみ具合です。

良質な水分補給にミカンを頂きます。

山でおいしい珈琲を飲むなら手軽なドリップパック!

棒ノ嶺は見晴らしの良い山です。

さて、下山します。

早くも夕暮れっぽい日差し。

途中には棒ノ嶺の山名由来にもなっている金精様(男根)の石棒が祀られています。

何だろう、無性に蕎麦が食べたくなってきたぞ。

無事に下山。

ここから駅までバスが運行しているうようですが、ボチボチ歩いて行きます。

清酒タマジマン。自慢のタマですか。

こんな山麓にもサンタ、来てます。

ここは立ち寄りたいッ!

自家製あんこのおやきを頂きました。ウマイ!

このエリアのお宅からは電飾に対する熱意を感じます。

ほとばしれ!電飾魂よ!!

茅葺屋根のお宅も電飾です。

知りませんでしたが、この大丹波ではクリスマスイルミネーションが名物なようです。

川井駅に到着。

お疲れさまでした。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/日帰り/ハイキング/電車・バス登山

惣岳山(そうがくさん)
標高756m
詳細(外部リンク)
高水山(たかみずさん)
標高759m
詳細(外部リンク)
岩茸石山(いわたけいしやま)
標高793m
詳細(外部リンク)
黒山(くろやま)
標高842.3m
詳細(外部リンク)
棒ノ嶺(ぼうのれい)
標高969m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

御嶽駅[着] 08:40 - [発] 08:40
 ↓ 70分 
惣岳山[着] 09:50 - [発] 09:55
 ↓ 40分 
高水山[着] 10:35 - [発] 10:40
 ↓ 20分 
岩茸石山[着] 11:00 - [発] 11:40
 ↓ 75分 
黒山[着] 12:55 - [発] 12:55
 ↓ 35分 
棒ノ嶺[着] 13:30 - [発] 13:45
 ↓ 55分 
百軒茶屋[着] 14:40 - [発] 14:40
 ↓ 70分 舗装道路
川井駅[着] 15:50 - [発] 15:50

行動時間:6時間5分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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