仕事の都合で連休がなかなか取れない。
そして開幕したロンドンオリンピックも見たい。
でも山歩きもしたい。
こんな時は隙を見て日帰り山歩きに限る。
と言う事で、仕事と天気とオリンピック放送時間の様子を見ながら比較的近場の奥多摩散策に出かけた。
目的地は稲村岩を経て鷹ノ巣山、そして帰りに日原鍾乳洞。
山歩きで火照った体を、通年11度で保たれている日原鍾乳洞でクールダウンする、夏ならではのお楽しみ行程だ。
今回はヨメも同行。
先日、独りテント泊デビューを果たしたヨメは、衣食住をかついで歩き切った達成感からか、何だか自信に満ち溢れている。
調子に乗って何かやらかしそうな気配を早くも感じつつ出発した。
幾度となくお世話になっている奥多摩エリアは、尾根も広く、なだらかで歩きやすい印象があった。
しかし、日原方面からの奥多摩は、シンボル的存在の稲村岩をはじめとして、切り立った岩場が目立つ荒々しい印象。
今回利用する稲村岩尾根も、奥多摩好きな登山者からは『奥多摩三大急登のひとつ』として呼び声が高い(らしい)。
近々、日本三大急登に挑もうと思っている私としては、見過ごすわけにはいかない。
日原駐在所でステテコ姿のお巡りさんから山道/天気情報を得て、稲村岩尾根へと向かう。
舗装道路から沢へと下りる山道に入ると、すぐに空気が冷たくなった。
木漏れ日も爽やかで、真夏日とはいえ快適な山歩きだ。
立ち止まって木漏れ日の写真を撮っていると、ヨメは立ち止まることなく自分のペースで先へと進んでゆく。
すっかり撮影に夢中になっていると、ヨメの姿はもう見えない。
稲村岩尾根へは、先ず日原川まで下り、稲村岩の北側を登ることになる。
整備されているようなので道に迷う事はないと思うが、先行したヨメに追いつくために、いつもより早いペースで歩く。
一端、日原川まで下ると、稲村岩尾根に乗るまでは急登が続く。
それでもヨメに追いつくためにもガツガツと登る。
しかし、急坂を登り、稲村岩尾根に辿りついてもヨメの姿を一向に捉えられない。
これまでは「ヨメ、早ぇぞ!」と思っていたが、この辺りから「あれ?」と少々心配になってきた。
もう少し登ってみたが、やはり先行している気配がない。
これまで滑落するような危険箇所はなかったし、多少紛らわしい分岐はあったにしても道標もあり山道は明確。
とはいえ、「こっち」と確認したのに「あっち」の方向に行ってしまうタイプのヨメ。
どこかで道を間違えている可能性は非常に高い。
ふと、携帯電話の存在を思い出し、確認してみると樹林帯でも電波はバッチリきている。そしてヨメからの着信もある。
電話してみると案の定、道に迷い、正規ルートへ戻っているところだった。
枯れた沢筋を山道と勘違いして登って行き、岩場で右往左往していたと言う。
どうやら想像以上に早い段階で山道からそれていたようだ。
そして、その事に気が付かず追い抜いていたようだ。
何はともあれ無事を確認できて一安心。
携帯電話のおかげもあって、日原駐在所のステテコお巡りさんのお世話にならずに済んでよかった。
無事、ヨメと合流。
厳重注意しつつも、私も道迷いしやすい思い込みタイプなので、身につまされる思いだ。
予定より少々遅れたものの鷹ノ巣山に無事到着した。
いつもと違うペース、いつもと違う心境だったためか、奥多摩三大急登の印象は今ひとつで、急登どころではなかった感じだ。
意外と賑わっている鷹ノ巣山頂で休憩後、早めに下山開始。
せっかくなので途中、素通りした稲村岩に登ってみることにする。
稲村岩はその名の通り急斜面の岩山。
足場はしっかりしているが、油断して滑落しようものなら日原川まで真っ逆さまに落ちてしまうだろう。
慎重に手元足元を選び、難なく稲村岩登頂。
程良い緊張感を持ちながら登ったこともあってか、程良い達成感が気持ちがいい。
それにしても空気が暑い。
早いところ下山して、日原鍾乳洞で涼むことにしよう。
順調に下山して舗装道路に出るも、空気の感じがガラリと変わり、息苦しいにも程がある暑さだ。
山中の急登の方が快適かも?と思ってしまう程の暑苦しさの中、駐車場の空き待ち車両の行列をすり抜け、徒歩で日原鍾乳洞へ行く。
年間通して気温11度の日原鍾乳洞内は、予想通りの快適空間。
真夏の山歩き後に行くには最適な場所だった。
ここはお勧めです。
それにしても日原鍾乳洞は思いのほか良かった。
一気に汗がひく涼しさは勿論のこと、「洞窟」には38歳一応大人の私でも童心に返ってしまう不思議な魅力がある。(胎内帰巣願望?)
特に男の子は好きだろう。
実際、家族を引き連れて洞窟内を闊歩する男の子(9歳ぐらい)の嬉々とした表情を目の当たりにして、「おお、オマエも好きか!」と共感してしまう。
ただ、洞窟に限らず、大人としてテンションの上げ過ぎによる道迷いなどないように注意することにしよう。(ヨメの振り見て我が振り直す)