2015年5月5日
尾瀬:1日目
至仏山:仏の顔も三度目の正直。

至仏山どーん。


天気の良いエリアを狙って雪上テント泊。

そう言った条件で探したところ、快晴予報の尾瀬に決まった。女性人気の尾瀬なら同行のヨメも満足してくれるだろう。

鳩待峠への2015年マイカー規制は5月22日から始まる。マイカーで行くならGWが最後のチャンスとなりそうだ。ただ、鳩待峠の駐車料金は節約山行がモットーの私としては動揺を隠せないレベルとなる。

1日2500円。
2日目以降1000円。
つまり、一泊すると駐車料金3500円。

うーん・・・。
これしきの事で動揺してしまうとは。

とは言えヨメの手前、大人ぶって(駐車料金に対する動揺を押し隠して)鳩待峠へ出発だ。




写真に収める程の動揺。


早朝6時に尾瀬の入口となる戸倉に到着。

前日の天気予報では晴れだったが上空は雲に覆われている。一日中快晴とまでは言わないが、せめて至仏山の山頂だけは晴れてほしい。

本日は鳩待峠から山ノ鼻まで行ってテント設営、その後、至仏山を登るスケジュールにしている。至仏山へはこれまで2回登った事があるのだが、そのどちらも山頂にガスが掛かって何も見えなかった。

そして今回、三度目の正直。「的中してくれ!天気予報」の願いを胸に鳩待峠へと向かう。

鳩待峠までの道路は6~18時までが通行可能となる。6時過ぎに着いたにも関わらず、開通時刻を待っていたのか既に車の列ができていた。とは言っても混雑する程ではなく、駐車料金をモノともしない他のマイカー客に続いて鳩待峠駐車場に悠々と駐車、早速出発だ。

訪れている方のほとんどは日帰りバックカントリーが目的らしく、スキー、スノボを担いで至仏山へと登りはじめている。一方、私たちのようにテント泊装備で山ノ鼻方面へ向かう者は極わずか。どうやら静かなテント泊となりそうだ。

車道に積雪はなかったが山道に入った途端に雪道となった。夏道はまだまだ雪の下に埋もれている。ある程度踏み跡を辿りつつも、自由に歩けるのが積雪期の面白さでもあるため、この程度の雪道は苦にはならない。ただ、雪解けの進むこの時期は踏み抜き注意だ。

山ノ鼻キャンプ地に到着。


1時間程で山ノ鼻に到着。

到着した山ノ鼻キャンプ地にはちらほらとテントが見られる程度で、設営跡地があちこちに残されていた。この様子を見る限り、昨日までは賑わっていたのだろう。整地された跡地をありがたく再利用させてもらいテントを設営。さて、三度目となる至仏山へ。

空には相変わらず雲が掛かっているが、北側から青空が広がりつつある。これはいい予兆だ。まだ一面雪景色の『尾瀬植物研究見本園』の湿地帯を横断して至仏山に登り始める。

まずは樹林帯に入り、夏道を無視して真っ直ぐに登ってゆく。ぐんぐんと標高を上げるにつれて汗が噴き出してくる。一枚脱ぎ、二枚脱ぎ、最終的に下着だけとなって樹林帯を抜けると、真っ青な青空が出迎えてくれた。

快晴の日差しと雪面の照り返しに日焼けの心配が頭をよぎる。しかし、快晴で山頂を踏める期待感の方が上回る状況を前にして私もヨメもテンションはうなぎ登りだ。

燧ヶ岳を背に至仏山に行ってきます。


みるみる内に青空が広がってきました。


行くぞ、至仏。

雪の斜面を淡々と登ります。


頭上に見える偽ピーク(高天ヶ原)に惑わされず、走り出したい程のテンションを抑えて登ること30分。先頭を歩くヨメの歩調が乱れてきた。

数歩毎にくされた雪面に足を滑らせ、「暑い・・・疲れた・・・」とネガティブ発言が増える。先程までの上向きテンションは何処へやら。「もっとペースを落とそう」と言っても、「これ以上ゆっくりは無理」と謎な返答をされる始末。

通常の登る力よりも、雪に足をとられて瞬間的に踏ん張る力の方が遥かに疲れる事を経験上わかっている私は、先頭を変わって一歩一歩立ち止まるくらいに足場を固定して登る。

うん、いい感じ。頭上に見えるピークとの距離はなかなか縮まらないが、汗も掻かず呼吸も乱れない。無言となっているヨメも付いてきている。

ゆっくり登っていると、山スキーヤーが颯爽と滑り降りてきた。雲ひとつ無い快晴で正面に尾瀬ヶ原と燧ヶ岳を眺めながらの滑降。こんな最高の条件で華麗にテレマークターンを決める山スキーヤー。これは格好良い。颯爽と滑り降りる山スキーヤーの姿は、ネガティブモードとなっていたヨメの気分も吹き飛ぶ格好良さだった。

おかげでヨメの気分は回復(単純・・・)。ありがとう、山スキーヤー。

華麗にテレマークターンを決めて滑り下りる山スキーヤー。


空へと続く階段。


燧ヶ岳に後押しされながら登ります。

高天ヶ原まで登ると雪は無くなり夏道を辿る事になる。しばらく木の階段を登ると再び雪上歩きとなり、これを登り切れば本日のメインとなる至仏山山頂だ。

そして、到着した山頂には文句無い景色が拡がっていた。

360度開かれた大展望の山頂からは、近くの山から遠くの山まで山容が明確に映っている。北側の山にはまだまだ多くの雪が残り、山肌の黒と雪面の白との陰影はタメ息の出る美しさ。三度目にして初めて目にした至仏山山頂からの景色は、快晴もあって想像以上の素晴らしさだった。

至仏山山頂からの景色。


至仏山山頂からは雄大な景色が広がっています。


絶好の撮影スポット。

山頂からの景色を堪能した後は、お楽しみの下山を開始する。

燧ヶ岳に向かって尻滑り。


無積雪のシーズン中は植生保護のために、山ノ鼻からの至仏山登山道は一方通行の登り専用となる。しかし、登山道閉鎖前で残雪の多いこの時期は山ノ鼻への下山が可能となる。つまり、前方に燧ヶ岳を眺めながら優雅に下山する事ができる訳だ。

私は立ち滑りで、ヨメは尻滑りで颯爽と下山する。
(※くされ雪のため、言うほど滑りません)

山スキーとは比べ物にならないとしても、燧ヶ岳を眺めながらの下山は爽快そのもの。私が「ひうっつぁん」と言えば、すかさず「燧様」と訂正を入れる程、燧ヶ岳に惚れ込んでいるヨメもすっかりご満悦の様子。下山してしまうのが名残惜しいばかりだ。

雪の斜面に腰掛けて夕暮れ間近の柔らかい色合いとなった燧ヶ岳を眺めていると、単独のおじさんが尻滑りで下ってきた。「イヤッホー!」と歓声を発する事もなく、誰もいない広大な斜面を無言で尻滑りするおじさんの姿はシュールを絵に描いたような光景だ。ただ、おじさん的にはきっと爽快だったに違いない。

気持ちよく山ノ鼻キャンプ地まで下山。

素晴らしい天気に恵まれた山行でした。


まだ時間は早いが雪でこしらえたテーブルに食材を並べて夕食の準備を始める。本日のメニューは、玉子と野菜を追加トッピングした即席ラーメン。優雅なイメージの尾瀬らしからぬ食事でも山中では何にも代えがたい美味いモノとなるのだ。

食後には夕日を浴びながら軽い散歩。そして、テントに戻ってシュラフにもぐり込み、コーヒーを飲みながら山頂からの素晴らしかった景色を思い返す。そんな回想に浸り、ニヤニヤしながら尾瀬の夜は更けていった。

漫画的山行記録

週間予報が変わって雨から晴れの予報に変わった尾瀬エリアに行ってきます。

5月6日までは規制前なので鳩待峠まで車で入れます。

では出発。

鳩待峠の駐車料金、1泊2日で3500円也!

駐車料金に動揺しつつも山ノ鼻キャンプ地へ向かいます。

尾瀬の代表的玄関口の鳩待峠。

尾瀬ヶ原はこちらです。

早朝なので雪面は程良く締まっています。

春が展開中。

あまり踏み跡を外さずに歩きます。

水勢があるので縁まで覗きに行かないように。

スノーブリッジを渡ります。

崩壊間近な雰囲気です。

山ノ鼻に到着。

至仏山荘でテントの受付を済ませます。(1人800円)

あちこちにテント跡地が見られます。

テントを設営して一息。

子供の日にちなんで柏餅を持参。

おっ、青空が見えてきたぞ。

快晴を期待して至仏山へ出発。

一面雪景色の『尾瀬植物研究見本園』を渡っていきます。

場所によっては雪解けが進んでいます。

燧ヶ岳を背に至仏山へ行って参ります。

まずは樹林帯を直登。

うおおっ、空が青いっ!

青いっ!

樹林帯を抜けても青いっ!

平ヶ岳方面も青いっ!

アヤメ平方面も程良く青いっ!

尾瀬ヶ原越しに燧ヶ岳。

行くぞ、至仏。

気温が上がってくされ雪状態です。

一歩一歩確実に。

振り返ると爽快な尾瀬の景色が広がっています。

テレマークターンを華麗に決める山スキーヤー。

通過ポイントの高天ヶ原までもう少し。

高天ヶ原付近は雪がないので夏道をたどります。

快晴の尾瀬。

空へと続く階段を登ります。

燧ヶ岳に後押しされて登れや登れ。

再び雪上歩きへ。

これを越えれば山頂は間近。

至仏山山頂どーん。

三度目の登頂にして初めて目にする景色に大興奮です。

北側の山々はまだ雪が多そう。

『ヤッホー』の正しい姿勢はこう。

絶好の撮影スポットはココ。

快晴の至仏山山頂に大満足したところで山ノ鼻へと下ります。

下山は尻滑りで。

(※くされ雪なので言うほど滑りません)

通常シーズンではこちらの山道は登り専用となります。

燧ヶ岳を眺めながらの下山は積雪期のみのお楽しみ。

(※くされ雪なので言うほど滑りません)

でも爽快!

下山するのが名残惜しい程の好天です。

下山しました。

山ノ鼻キャンプ地まで戻ってきました。

我が家へ帰還。

本日のメニューはコレだっ。

見事にのびてますが美味い!(山だから)

食後に軽く散歩。

湿原なので歩く場所には注意。

尾瀬の落日。

テントに戻ってくつろぎの時間。

快晴の至仏山。

最高でした。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/1日目/テント泊/ハイキング/マイカー登山

至仏山(しぶつさん)
標高2228.1m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

鳩待峠駐車場[着] 06:46 - [発] 06:56
 ↓ 4分 舗装道路
鳩待峠[着] 07:00 - [発] 07:07
 ↓ 79分 
山ノ鼻キャンプ地[着] 08:26 - [発] 08:31
 ↓ 285分 休憩多い
至仏山[着] 13:16 - [発] 14:14
 ↓ 104分 途中、黄昏
山ノ鼻キャンプ地[着] 15:58 - [発] 15:58

行動時間:7時間52分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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