2015年8月1日
八ヶ岳:日帰り
天狗岳:「歩行速度3倍だーッ!」は厳禁。

西、東天狗岳の双耳峰へ。


腰を痛めてから1ヶ月ほど経っただろうか。

だいぶ回復したとは言え、腰回りに重苦しい違和感が残っている。先週の山行時には膝の痛みも感じた事だし、本調子を取り戻すにはまだ時間がかかりそうな気がする。

これまでになく体調を崩した今回の事態に危機感を覚え、我が身に起こった現実としてようやく受け入れたのか、最近、筋力/体幹トレーニングをするようになった。いわゆる自己メンテナンス。弱っている部分を筋力でカバーするのだ。

そんな中、元近所のKさんから登山のお誘いがあった。Kさんも久しぶりの登山でリハビリ的な目的との事。これは自分の身体がどれだけ動くか試すよい機会だ。違和感を感じた時点で下山する事を前提に山行決定。

「もってくれよオラの身体、歩行速度3倍だーッ!」
(※漫画ドラゴンボール参照)

こんな無茶は決してしない。




快晴の唐沢鉱泉からスタート。


今回の目的地は北八ヶ岳の天狗岳。
ルートは最短で比較的ラクに登れそうな唐沢鉱泉から西、東天狗を登り、黒百合ヒュッテ経由で下山するループ山行とした。

朝7時前に唐沢鉱泉に到着。

駐車スペースは早くも満車に近く、夏山本番となった八ヶ岳エリアの人気を感じさせる。青い空が眩しい絶好の山歩き日和もあって、より多くの登山者が入山しているのかもしれない。

好天下で見る絶景の期待感と、身体を痛めずに登れるかの不安感を交錯させつつ出発した。

本日の山歩きはとにかく無理せずスローペース順守に徹する。思い返せば前回の山行で膝を痛めたのは登りのペースが早すぎたのだと考えている。

完治するまで「歩行速度3倍だーッ!」は厳禁だ。

驚きの白さのギンリョウソウ。


一歩一歩を確かめるように登ってゆく。一時よりも衰えた筋力で多少よろめきながらも呼吸は乱さず、体調の変化に気を配る。

よしよし、いい具合だ。

私の場合はハイペースで息を切らして登るよりも、ゆっくりかと思えるペースで呼吸を整えている方が、結果的に早く目的地に着く事が多い。要は現状の自分のペースを把握できれば良いのだ。

本日のペースはバッチリのようで、北八ツらしい空気感の樹林帯を楽しめる余裕がある。深く呼吸をしながらリラックス気分に浸れば、リハビリ登山としては上出来の状態になれる。腰に僅かでも違和感があれば、すかさずポールを出して無理をしないようにする。

良い感じで登り続けると、唐突に景色が拡がる第一展望台に到着した。

『日本の屋根』とも称される日本アルプスの山々が雲の上に連なって浮かんで見える景色は絶景以外の何物でもない。そして、正面には白く灰を被った御嶽山が見える。捜索活動が再開された事を考えると登山者の立場として複雑な気分になるが、少々手を合わせて登りを再開する。

西天狗へ登る前に一息付きます。


標高が上がった事で樹木の背丈は低くなり、見晴らしを楽しめるようになってきた。清々しい樹林帯歩きから爽快感溢れる景色を楽しめる尾根歩きへ。これだから好天の山歩きはたまらないのだ。これも本日のスローペースのおかげでもある。

そうこうしているうちに第二展望台に到着。南八ツのゴツゴツした岩山の景色が間近に迫り、目的地の西天狗岳が正面に現れた。山頂へ向かって一直線に伸びている岩場の山道は、ここから見る限りなかなかの急登だ。

よし頼むぞ、我が足腰。

一定のペースを保って岩場を登る。岩場の急登はここまでの山道と異なる動きを要するが、腰の状態に悪化しそうな気配はない。そして、無事に西天狗岳山頂に到着した。

お隣の東天狗から硫黄岳、横岳、そして、八ヶ岳の主峰赤岳へと続く主稜線が一望できる。個人的に好きな赤、中、阿弥陀の稜線も美しい。何よりも、万全とは言えずとも悪化していない体調が嬉しいではないか。

いや、まだ東天狗と下山が待っている。調子に乗って「歩行速度3倍だーッ!」とならないよう、引き続き体調に気を配りながら行こう。

東天狗岳は天狗の鼻のように突き出した岩が特徴的な岩山となる。ハイマツで覆われた西天狗を『青天狗』、露岩の東天狗を『赤天狗』とも呼ぶようだ。

そんな青天狗を下って赤天狗を登る。
順調な足取りで東天狗岳に到着した。

主稜線上の東天狗岳山頂からは、山体の半分を凄まじいばかりの力でえぐり出した爆裂火口が見える。そして、その縁には細い縦走路がのびている。体調を崩してなければ八ヶ岳主稜線全山縦走を計画していた事もあり、悔しいながらもこの夏山らしく美しい色合いの縦走路を眺めた。

西天狗から見る東天狗の姿。


赤岳へと続く主稜線。この距離からでも爆裂火口の迫力が伝わります。


痛めずに登ってきた身体をいたわります。

ここまで体調も悪化せず景色も最高。
もうすっかり完治した気分だ。

よし、下山道もこの調子を保って行ってみよう。

岩から岩へ飛び移って進むアスレチック感覚の『天狗の奥庭』。


下山は来た道を引き返さず、黒百合ヒュッテ経由で沢筋を下る。まずは『天狗の奥庭』を通って黒百合ヒュッテへと向かう。

『天狗の奥庭』はゴーロ帯のように岩から岩へ飛び移って進むアスレチック的な面白さがある。途中には『すりばち池』もあり、天狗様の庭園に相応しい様相だ。もっともこの時のすりばち池は残念ながら干からびていて庭園感は激減だった。

『天狗の奥庭』から急な岩場を下ればお洒落な雰囲気の黒百合ヒュッテが現れる。

ここに立ち寄るからには確認すべき事がある。

『コケモモセット』。
コケモモティーとコケモモマフィンのセットだ。

オッサンには似合わないこの乙女チックなセットは、黒百合ヒュッテの定番と聞いている。そもそも『コケモモ』とは何かをわかっていない私は、人目をはばからず恥ずかしげもなく注文する。

その後、若い女性の小屋番さんから『コケモモ』=『クランベリー』だと丁寧に教えてもらった。北八ツは苔むす樹林帯が見所のひとつなので「コケの茶?」と安易な想像をしていたのは口が裂けても言えない。

コケモモティーにクランベリージャムを入れて優雅に頂きます。


周囲では冷えたビールやらアイスやらで涼んでいるお客さんばかりの炎天下で、コケモモティー(ホットのみ)にはクランベリージャムを、コケモモマフィンにはクランベリーソースをかけて頂きます。

甘酸っぱさが爽やかでウマイッ!
炎天下でもイケますッ!

※可能であればオッサンではなく若い女性が食しているイメージをしてください。

『旅をする蝶』とも言われるアサギマダラも立ち寄る程に(たまたま見かけただけ)オシャレな黒百合ヒュッテには、完治後にテント泊装備で改めて訪れてみたい。

天狗岳にもコケモモセットにも満足したところで下山を開始する。

黒百合ヒュッテから唐沢鉱泉のルートは谷筋の樹林帯で、苔に覆われた清涼感溢れる森の中を歩けば、炎天下で日焼けした腕はたちまちクールダウンされる。ただ、滑りやすい石が多数あるため足元には要注意だ。

何度か「ぬるっ」と滑ったものの何事もなく唐沢鉱泉へと下山した。体調の悪化は見られず、むしろ改善されている絶妙なペース配分のリハビリ山行となった。

やはり、気持ち良いと心底思える状況は体調回復のためにも必要だな。




『TARA』のお店から頭上に打ち上げられる花火を見物します。


下山後はネパールカレーのお店『TARA Mountain Spice』へ。

カレーの美味しさもさることながら、ネパール人で空手の師範代でもあるご主人の登山観が個人的に好きで、これまで八ヶ岳エリアに来たらほぼ立ち寄っているお気に入りのお店だ。

丁度、お店の向かい側では小淵沢の一大イベントである『ホースショー』も行われており、食後にはイベントの目玉でもある『火の輪くぐり』を見物。その後、ご主人のご厚意でお店前の特等席から頭上に打ち上げられる花火を堪能。そして、混雑のほとぼりが冷めるまでチャイを頂きながらご主人とお山話に花を咲かせた。

思いがけない夏休み感覚を一気に味わった気分。

漫画的山行記録

無理しないリハビリ山行へ。

今回の目的地は北八ヶ岳の天狗岳です。

「もってくれよオラの身体、歩行速度3倍だーッ!」は厳禁で行ってきます。

唐沢鉱泉からスタートです。

行って参ります。

まずは西天狗岳を目指して樹林帯歩き。

キノコや、

驚きの白さのギンリョウソウを眺めながら登ります。

木漏れ日が爽やか。

木々の間から御嶽山。少々手を合わせます。

第一展望台まで来ると唐突に景色が開けます。

後立山連峰。

槍・穂高連峰。

木曽山脈と御嶽山。

赤石山脈の北側。

南八ヶ岳。※赤岳山頂に見えるのは雲です。

蓼科山と北八ヶ岳。

好きな人にはたまらない景色が広がっています。

正面に西天狗岳が見えてきました。

登る前にちょっと一息。

よし、登るぞ。

急な岩場を登って西天狗岳に到着しました。

この距離からでも爆裂火口の迫力が伝わってきます。

裾野から押し寄せる雲。

雲が上がってくる前にお隣の東天狗岳に向かいます。

東天狗岳に到着。

美しい夏色の稜線が続いています。

まだ完治していない腰回りですが今のところ問題なし。「よしよし」と撫でてあげます。

夏らしい色合いの天狗岳を下ります。

インクを付けたようなトウヤクリンドウ。

こちらから黒百合ヒュッテへ向かいます。

夏の西天狗とケルン。

ここは『天狗の裏庭』。

たぶんすりばち池。干からびてる・・・。

でもトウヤクリンドウは生き生きしてます。

東天狗、西天狗。

『天狗の裏庭』を下れば黒百合ヒュッテです。

到着。

黒百合ヒュッテはコケモモティーとコケモモマフィンが美味しいと聞いています。

良い歳したオッサンですが恥ずかしげもなく注文。

クランベリー(コケモモ)を入れて優雅に頂きます。

爽やかな酸味で美味いッ!

ごちそうさまでした。

『旅をする蝶』とも言われるアサギマダラも黒百合ヒュッテに寄り道。

さて、下山します。

ここからの山道は谷筋になるので滑りやすい足元に注意。

光の加減なのか少々ホラーっぽい雰囲気の写真に・・・。

縁結びの休憩ベンチ。(勝手な想像)

ああ、涼しい。

唐沢鉱泉付近ではこんこんと湧き出る源泉が見られます。

源泉に浸かって健康そう(?)なコケたち。

唐沢鉱泉まで下山しました。

お疲れさまでした。

今回はペース配分もバッチリで身体を痛めず山行を終えました。

帰り道にあったスターウォーズチックな字体の『河原の湯』(入浴400円)で汗を流します。

そして、八ヶ岳エリアでお気に入りのお店、ネパールカレーのお店『TARA Mountain Spice』へ。

本日は小淵沢の一大イベントである『ホースショー』が開催されており、メニューもホースショースペシャルプレートでした。

食後には『ホースショー』の目玉イベント『火の輪くぐり』を見物。

更には『TARA』のご主人のご厚意で店の前から悠々と花火見物。

フィナーレです。

もの凄い事になってます。

締めくくられました。

余韻。

日帰り山行でしたが一足早く夏休み気分を味わえました。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

天狗岳(てんぐだけ)
標高2645.8m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

唐沢鉱泉[着] 07:00 - [発] 07:01
 ↓ 183分 
西天狗岳[着] 10:04 - [発] 10:15
 ↓ 19分 
東天狗岳[着] 10:34 - [発] 10:51
 ↓ 69分 
黒百合ヒュッテ[着] 12:00 - [発] 12:41
 ↓ 115分 
唐沢鉱泉[着] 14:36 - [発] 14:41

行動時間:6時間26分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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