2014年5月5日
八ヶ岳:2日目
北横岳:森越え、山越え、岩場越え。

白駒池での雪上テント泊は防寒対策のおかげで快適に過ごせた。
昨日までの低下した心肺機能も回復、食欲も完全復活だ。

しかし、寒がりのヨメはやはり寒かったらしく、寝不足なのかテンションが低く不機嫌。
どことなく不穏な空気を感じる・・・。

結婚十数年目となる私のスパイダーセンス(危機察知能力)が「先手を打っておけ」と脳裏に訴えかける。
その直感に従い、ここでもう一泊する予定を変更して、今晩の宿泊地を麓のオートキャンプ場に移す事にする。

その事を伝えてもヨメのテンションに変化は見られない。
取りあえず予定していた本日の山歩きに出掛けよう。



正面に茶臼山、右奥に縞枯山。


本日は麦草峠から茶臼山、縞枯山を越えて、三ツ岳、北横岳と周回するスケジュール。
ただ、天気が芳しくない。

今のところ天気は持っているが、状況次第で現地判断が必要となりそうだ。
まずは麦草峠の無料駐車場へ車を移動し、茶臼山を目指す。

茶臼山山頂への山道は迷いなく一直線に延びている。
山道は全て雪に覆われているため、早々とアイゼンを装着して軽快に登る。

山頂に到着。
ん?ここ山頂か?

山頂を示す道標らしきモノはあるが、少し外れた展望台の方が間違いなく標高は高く山頂っぽい。
ピークにこだわっている訳でもないが、『山頂』の意味合いに疑問を感じながらお隣の縞枯山へ。

生息するシラビソ・オオシラビソが帯状に枯れる『縞枯れ現象』が見られます。


『縞枯山』の山名由来にもなっている『縞枯れ現象』は、生息するシラビソ・オオシラビソが帯状に枯れる現象で、遠方から見ると枯れているエリアが白い縞模様に見えるとの事。
その現象が起きている真っ只中を歩いているため、縞模様には気がつかなかったが、確かに寒々しく木々が枯れているエリアがあった。

『縞枯れ現象』は帰宅後に知った事なので、「ほほう、これは縞枯れ現象だね」と得意顔で言える楽しみは又の機会にお預けだ。

枝が落ち、真っ白に枯れた木々の中を進むと、単なる通過地点のようにさりげなく縞枯山山頂はあった。
茶臼山もそうだったように、道標がなければ素通りしてしまう山頂感の薄さに、このエリアにおいて『山頂』はあってないようなモノに思えてくる。

このエリアは頂きを求めるのではなく、山道そのものを楽しむのが正解かもしれない。

ここまでは北八ヶ岳のイメージ通り、気持ち良い樹林帯歩きができている。
しかし、次に向かった雨池山辺りから、これまでの雰囲気とは変わってくる。

岩場が目立つようになった雨池山。その山頂から見える次なる目的地となる三ツ岳は、たおやかな北八ヶ岳のイメージとはかけ離れた荒々しい岩山の様相を呈している。
実際に三ツ岳に登り始めると、山道は残雪と露岩の急登となっていた。

稜線に出ると体勢を崩される程の強風が吹きつける。
そこには『三ツ岳I峰』の道標があり、稜線の先には二つの岩峰が見える。

なるほど。
II峰、III峰、合わせて三ツ岳と言う訳だな。

I峰からII峰、III峰を撮影。


岩場と強風。
これまでの樹林帯歩きとはまるで異なる山道状況に、気を引き締めながらもテンションが上がる。

とは言え、天気は下り坂。
お遊びは抜きにして、素早く確実に通過する事にしよう。

ゴーロ帯(大きめの岩場)や雪に埋もれたクサリ場を越え、II峰、III峰と確実な足取りで進む。
風に吹かれて身体が冷えても慎重さは忘れない。

三ツ岳III峰からの下りにあったクサリ場では、強風に煽られて肝を冷やしたりもしたが、岩場を無事に下り、樹林帯に入ると風は収まった。
わかりやすい程に木々に守られている事を実感できる。

そんな樹林帯に守られたところに北横岳ヒュッテが見えてきた。

樹林帯に守られて北横岳ヒュッテ。


中に入ってメニューを見ると、他の何よりも先に『熱いお茶』の文字が目に入る。
単なる『お茶』ではなく『熱いお茶』。

これは必飲だな。

その前に、本日最後の山となる北横岳に行っておこう。

北横岳ヒュッテから10分程で北横岳山頂に到着する。
横長な山容から『横岳』が正式名称となっているが、南八ヶ岳にも同名の山があるため、『北横岳』と呼ばれ区別されている。

何だか二番煎じ的な扱いは否めない。

ここは敬意を払い、あえて『横岳』と呼ばせてもらおう。

横岳からの眺望は見事と聞いている。

しかし、風と雨の悪天候で本日は残念な景色。
本来ならば、すぐ側に見える蓼科山もすっかり雲隠れしていた。

北横岳山頂。すぐ側に見える蓼科山もすっかり雲隠れ。


こればかりはしょうがない。
『北』横岳だし。(リスペクトはどうした?)

※北横岳からの眺望は本当に見事です。

北横岳ヒュッテから北横岳への山道はまだ雪道となっており、皆さんお尻で滑り降りるのかチューブスライダー状態になっている。
登りは難儀するのだが、下りでは楽々。ヨメは『尻』で、私は『立ち』で颯爽と滑り降りた。

が、これは厳禁です。

北横岳ヒュッテの方たちが、スロープとなった雪道をツルハシで削り、階段状に整備している事を後で知って反省。
スイマセンでした・・・。

山頂から北横岳ヒュッテまで戻り、おまちかねのお茶タイム。
急須一杯の『熱いお茶』(300円)が、冷えた身体を指先まで温めてくれる。

他に『温かいコーヒー』もあり、『熱い』『温かい』を使い分けるところに、メニュー考案者の温度へのこだわりを垣間見た気がした。

本来なら北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅から気持ちよく散策できますが、この天気では寒々しいばかり。


お茶タイムの後は、北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅まで下る。

下山途中にツルハシで雪道を整備している北横岳ヒュッテのおじいちゃんに出会った。
おじいちゃんの足元は、いわゆる普通の長靴だ。

登山靴や運動靴ではなく、至って普通のサンダルや長靴を履いた山小屋関係者が、足場の悪い山道を軽快に歩く姿を、様々な山域で目撃した事がある。
このおじいちゃんも同様に山を歩き慣れているのだろう。

「流石、山小屋の方は違うな」と感心したのも束の間、おじいちゃんはズルーっと滑って雪の上を転がっていた。
何だか和んだ。

何はともあれご苦労様です。

北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅まで下ると、雨脚が強まってきた。
こんな状況でもロープウェイで登ってくる観光客は少なからずいるようで、見るからに寒そうに散策している。
登山者ならまだしも、何だか気の毒になってしまう光景だ。

樹林帯に守られた巻き道で麦草峠へ向かいます。


ここからは、樹林帯に守られながら巻き道で麦草峠へ。
メルヘン街道へ合流してからの舗装道路歩きこそ疲労したが、時間に余裕をもって本日の行程は無事に終了した。

北八ヶ岳ならではのメルヘンチックな樹林帯散策にはまだ時期が早かった。
しかし、この時期にしか感じられない雰囲気も間違いなくあっただろう。
そして、夏期になればメルヘン溢れる雰囲気を満喫できる事だろう。(※三ツ岳を除く)




今晩の宿泊地となる蓼科湖畔の『蓼の花』オートキャンプ場へ車で移動。
テント設営後は蓼科湖周辺のお店を周り、食事をして、聖光寺の夜桜を眺め、温泉に入る。

さて、今朝からテンションの低かったヨメの様子は・・・。

中々ご満悦な様子。

ふっ。
結婚十数年で培われた私のスパイダーセンスは伊達ではないのだよ。

蓼科湖畔の『蓼の花』オートキャンプ場にテントを設営。


聖光寺の夜桜。丁度見頃でした。


蓼科の銘菓『九増兵衛餅』。ここでしか買えないのでお土産に最適。

漫画的山行記録

北八ヶ岳歩き、二日目。

本日は麦草峠から茶臼山、縞枯山を越えて、三ツ岳、北横岳と周回します。

ただ、天気が芳しくないのでどうなる事やら。

麦草峠の無料駐車場からスタートして、まずは茶水の森へ。

山道は明確です。

手始めに茶臼山を登ります。

山頂までこの感じが続きます。

左が茶臼山。右が縞枯山。

晴れてほしいわぁ。

茶臼山山頂?

茶臼山展望台。こちらが山頂っぽい。

強烈な西風を浴びながら撮影。早く樹林帯へ逃げ込もう。

一端下って隣の縞枯山へ。

半分枯れています。これぞ縞枯れ現象。

支え合ってる、と言うより取っ組み合ってます。

縞枯山へ。

縞枯山展望台。

茶臼山越しに南八ヶ岳が見えます。

縞枯山山頂はこちら。

縞枯山山頂に到着。

特に山頂感はありません・・・。

縞枯だけにやっぱり半分枯れています。

また下って次は正面に見える雨池山へ。

鞍部の分岐点。

雪が消え、岩場が出てきました。

雨池山展望台。またしても展望台。

雨池山。

やはり山頂感は・・・。

それより山道自体を楽しむのが良さそうです。

三ツ岳への登りはこれまでとは変わって険しくなります。

雪と岩場の急登です。

三ツ岳I峰。

真ん中がII峰、左がIII峰。なるほどそれで三ツ岳か。

まだ凍っている様子の雨池。

岩場の移動は気をつけて。

場所によっては雪面です。

三ツ岳II峰。

岩場には目印が付いています。

クサリが埋もれていました。

三ツ岳III峰。風が強い・・・。

クサリ場。風で体制を崩さないように。

強風の岩場を下って樹林帯へ逃げ込みます。

樹林帯に守られた山小屋が見えてきました。

小屋へ寄る前に北横岳に登ってきます。

北横岳へ最後の登り。

北横岳南峰。眺望は想像で。

北横岳北峰。すぐ隣の蓼科山は雲隠れ。

偶然出会った見知らぬゴロー。オレたち、ゴロー仲間!

北横岳ヒュッテで一息タイムです。

良質な水分補給にはミカンを。

お世話になりました。

北横岳ヒュッテのおじいちゃん。山道を整備してくれています。

まだ、雪はタップリあります。

ハイマツが広がる坪庭自然園。まだ寒々しい。

ロープウェイ乗り場にも寄ってみよう。

北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅。

樹林帯の巻き道で麦草峠へ戻ります。

森林浴展望台。展望はご覧の通りガスで確認できず。

雨風から樹林帯に守られて。

メルヘン街道に合流。

本日のキャンプ地は麓にある蓼科湖畔に移動します。

蓼科湖畔のオートキャンプ場にテント設営。

聖光寺の夜桜。この辺りは春満開です。

蓼科の銘菓『九増兵衛餅』。ここでしか買えないのでお土産に最適。

本日は天気が芳しくありませんでしたが、予定通り周回できました。

最終日の明日は気持ちよく晴れてほしい。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/2日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

茶臼山(ちゃうすやま)
標高2384m
詳細(外部リンク)
縞枯山(しまがれやま)
標高2403m
詳細(外部リンク)
雨池山(あまいけやま)
標高2325m
三ツ岳(みつだけ)
標高2360m
北横岳(きたよこだけ)
標高2480m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

麦草峠駐車場[着] 05:45 - [発] 05:45
 ↓ 65分 
茶臼山[着] 06:50 - [発] 06:55
 ↓ 50分 
縞枯山[着] 07:45 - [発] 07:50
 ↓ 40分 
雨池山[着] 08:30 - [発] 08:30
 ↓ 35分 
三ツ岳 I峰[着] 09:05 - [発] 09:05
 ↓ 20分 
三ツ岳 II峰[着] 09:25 - [発] 09:25
 ↓ 10分 
三ツ岳 III峰[着] 09:35 - [発] 09:35
 ↓ 65分 
北横岳[着] 10:40 - [発] 10:40
 ↓ 20分 
北横岳ヒュッテ[着] 11:00 - [発] 11:35
 ↓ 45分 
北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅[着] 12:20 - [発] 12:35
 ↓ 85分 途中舗装道路
麦草峠駐車場[着] 14:00 - [発] 14:00

行動時間:7時間15分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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