2014年5月4日
八ヶ岳:1日目
天狗岳:40男の北八ヶ岳歩き。

八ヶ岳を北と南に分かつ位置にある天狗岳へ。


晴れて40歳となった。
身体的には数日前と何ら変わりは無いはずでも、40という大台を意識せずにはいられない。

それでも年齢に負けじとGW後半も山歩きに出掛けた。

目的地は同行するヨメの希望もあって北八ヶ岳エリア。

荒々しい岩稜地帯の南八ヶ岳に比べ、樹林帯でメルヘンチックなイメージのある北八ヶ岳は女性に人気とのこと。ただ、この時期はまだ残雪が多く夜には氷点下にもなるため、メルヘン要素は限り無く控えめだろう。

そして当然のようにテント泊。
モノ好きな私としては至極当然の流れで、オシャレな小屋泊やペンションなどの選択肢はない。

テント一択。

そんな、メルヘンさの欠片もない40男の北八ヶ岳歩きスタートだ。




麦草峠から佐久穂町側にある有料駐車場(1日500円)からスタート。


4月24日に開通したばかりのメルヘン街道(国道299号)を通って麦草峠にある有料駐車場(1日500円)へ。
ここから10分程歩いたところにある白駒池キャンプ場が今回の拠点となる。

静かな森の中の佇む湖畔キャンプ場。
こう言えば聞こえは良いかもしれないが、現在の白駒池は雪で真っ白。キャンプ場にはまだ残雪が多い状況だ。

そこで、寒がりのヨメのために普通の毛布も持っていく事にした。
コンパクトにならずかさばってしまうが、駐車場からキャンプ場まで大した距離はないので問題ないだろう。

毛布を銀マットにくるんで、少々強引にザックの上にくくりつける何とも不格好な状態。

土管を担いでいるような私の出で立ちに、ヨメはクスクスと笑いながら写真を撮っていやがる。
身内とは言え、ここは気を使って笑いを圧殺すべき状況だろうに。

標高2000mにある湖としては日本一の白駒池。


すれ違いの観光客にも二度見されながら、白駒池キャンプ場へと移動。

白駒池の標高は2000mを超えており、この標高にある湖としては日本一の広さらしい。
そんな白駒池周辺の空気は感動的な美味しさだった。

朝の冷気で清涼感溢れる空間に差し込む木漏れ日の中で頂く適温の空気。

鮮度、温度、演出など、全てにおいて一級品。
料理長がいれば一言挨拶したいレベルだ。

絶品空気をタップリと体内に取り込みながらテント設営、温かい寝床を用意して北八ヶ岳散策へと出発した。

美味しい空気が吸い放題です。


本日の目的地はニュウを経由しての天狗岳。

『ニュウ』なんて変わった名称の山は珍しく、以前から是非とも歩いてみたい思いがあった。
私と同じように山名に誘われて訪れる登山者も少なくなさそうだ。

途中の道標には『ニュウ』『ニュー』『ニウ』と様々な表記で案内されており、何だか定まっていない感じがする。
中には『ニュー中山』と、何処のビジネスホテルだ?と思わずにはいられない表示もある。


【にゅう由来】
『丹生(粘土質の土地)』『にゅう(積み上げられた稲藁)』『乳(そのまんま)』と山名由来は地質や見た目など諸説あります。個人的には『乳』推しです。


残雪の山道を淡々と登り、稜線に出るとニュウに到着だ。

山頂はゴツゴツと大きな岩が積み重なって形成されているニュウ。


ニュウ山頂はゴツゴツと大きな岩が積み重なって形成されている。
山頂からは四方八方に日本を代表する山々を見渡す事ができ、それらの存在感に負けていないのが、これから向かう北八ヶ岳最高峰の天狗岳。

天狗岳には雪が多く残っており、その白い稜線が一際目をひく。
よく見ると白い稜線上には登山者が小さな点となって蠢いている。

もぞもぞと微かに移動しながら上を目指している小さな点。
何だか健気だ。

ニュウの岩場で昼食休憩後、私たちも健気な点となるべく天狗岳へと向かった。

なだらかな樹林帯を進み、中山峠を越えると東天狗岳の取り付きとなる。
さて、ここから雪稜登りの始まりだ。

東天狗岳へと登るぞー。


今日は天気がよく気温も高い。
時間も昼を過ぎているため、雪はくされ気味でせっかくのアイゼンも利きが今一つだ。
滑り落ちないように一歩一歩足場を確認しながら登る。

黙々と登ると雪がなくなり、露岩が多くなってきた。
ふと見上げると東天狗岳山頂はすぐそこだった。

小さな点も休む事なく蠢いて、とうとう頂点に辿り着いた訳だ。

八ヶ岳を北と南に分かつ位置にあるこの天狗岳山頂からは、南北八ヶ岳が一望できる。
個人的に好きな、赤~中~阿弥陀の稜線も綺麗に見える眺望抜群の山頂だった。

東天狗岳からみる西天狗岳。


天狗岳は顕著な二つのピークを持つ双耳峰。
すぐ隣にある西天狗岳にも行かなければなるまい。

山名由来にもなっている天狗岩をはじめ、荒々しい岩肌が露出している東天狗岳に比べ、山頂までハイマツが生息している滑らかな山容の西天狗岳。
その対照的な見た目から、赤い岩肌の東天狗岳を『赤天狗』、ハイマツで覆われている西天狗岳を『青天狗』とも呼ぶそうだ。

もっとも、現在は残雪で『白天狗』となっている。

赤天狗を下り、白天狗もとい青天狗の雪面を登る。
山頂直下はかなりの勾配だ。

そして、広々した西天狗岳山頂へ到着。

強風かと思いきや風は心地よいばかりで、ゆったりと景色を堪能できるこの状況に「よく来たなぁ、ゆっくりしていけよ」と、青天狗に歓迎された気がした。

赤い岩肌の東天狗岳。


穏やかな風に吹かれながら周囲を見渡し、テントを設営している白駒池方面も眺めてみる。

・・・遠い。
これからあそこまで戻るなんて・・・。

当然のように沈黙の青天狗。

唐突に疲労感が押し寄せてきた。
標高2000mを超えるとテキメンに心肺機能が低下する私の疲労困憊パターンだ。

来た道を休みながら引き返し、暗くなる前に何とかテン場へと帰還したが、疲労なのか高度障害なのか食欲不振。
極めて消化に良さそうなうどんと豆腐、そして少しばかりの漬物を食べて就寝、明日に備えた。

うーむ、やはり歳なのかな。
「否ッ!」と言いたいところだが、夕食の献立が既におじいちゃんっぽいぞ・・・。

漫画的山行記録

GWを利用して北八ヶ岳エリアを歩きに行きます。

北八ヶ岳歩きの初日は、白駒池キャンプ場にテントを設営して天狗岳を歩くスケジュールです。

麦草峠から佐久穂町側にある有料駐車場(1日500円)を利用。

駐車場から白駒池までは10分程度です。

青苔荘(せいたいそう)でテント泊の手続きをします。

コケ丸をヨロシク。

寒がりなヨメの為に必要以上の防寒装備を持ってきました。

ここに雪上テント泊とは思えない温かな寝床を用意してから天狗岳へ出発。

白駒池はまだ真っ白。

白駒池周辺は清涼感あふれる空気が流れています。

現在は雪原。

何処かのビジネスホテルですか?

にう。

山頂まで残雪の山道を登ります。

稜線に出るとすぐニュウです。

ニュウの先っちょ。

ニュウ山頂で昼食タイムです。

お腹が満たされたところで再出発。

これから向かう東天狗、西天狗。

雪、所々土。

東天狗岳。雪稜を登る登山者が点々と見えます。

中山峠。

空を見上げて休憩。

東天狗(左)と西天狗(右)。

さて、まずは東天狗岳へ登ります。

こ、これは日焼けしそうだ。

くされ雪なのでずり落ちないように。

東天狗岳に到着。

南八ヶ岳が一望。赤~中~阿弥陀の稜線が好きです。

お隣の西天狗岳にも行ってみます。

西天狗も見晴らし抜群。

明日歩く予定の北八ヶ岳方面。

東天狗岳を見上げてテン場へと戻ります。

西天狗岳の山頂で黄昏る誰か。

道中はこんな岩場もありますよ。

屈折した育ち方だな。

ニュウまで戻ってきました。

日が暮れそうです。

高度障害なのか調子が出ません・・・。

白駒池を眺めながらちょーっと休憩。

テン場に戻って、うどんと豆腐でさっぱりディナー。

高度障害かな。

それとも歳かな。

なにはともあれ明日までに回復しますように。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/1日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

ニュウ(にゅう)
標高2152m
天狗岳(てんぐだけ)
標高2645.8m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

麦草峠駐車場[着] 09:15 - [発] 09:15
 ↓ 15分 
白駒池キャンプ場[着] 09:30 - [発] 10:20
 ↓ 75分 
ニュウ[着] 11:35 - [発] 12:05
 ↓ 70分 
中山峠[着] 13:15 - [発] 13:20
 ↓ 70分 
東天狗岳[着] 14:30 - [発] 14:40
 ↓ 20分 
西天狗岳[着] 15:00 - [発] 15:05
 ↓ 25分 
東天狗岳[着] 15:30 - [発] 15:30
 ↓ 50分 
中山峠[着] 16:20 - [発] 16:30
 ↓ 60分 
ニュウ[着] 17:30 - [発] 17:30
 ↓ 80分 少々道迷い
白駒池キャンプ場[着] 18:50 - [発] 18:50

行動時間:7時間45分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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