2011年9月10日
八ヶ岳:1日目
赤岳:自分の「勘違い」に挑む。

まずはキノコ食っとけ。


念願の赤岳に再チャレンジ。

今回は地元の方の話を参考に、あえて難易度が高いとされている真教寺尾根から赤岳登頂に挑んだ。
「難易度が高い」と言っても夏山。
技術的な難しさより、ある程度の体力、筋力、そして慎重さがあれば行けるようだ。(高所恐怖症の方は多分ムリ)

スケジュールとしては天女山駐車場に車を止め、徒歩で美し森へ抜ける。そして真教寺尾根から赤岳へ。
登頂後は体力に問題なければキレット小屋まで下りて幕営。
翌日は権現岳経由で駐車場まで下山するといった、初日にガッツリ歩くスケジュールだ。

身支度をして天女山駐車場からスタート。

天女山から美し森へ抜けるには八ヶ岳横断自然歩道を利用することになる。
八ヶ岳横断自然歩道は八ヶ岳牧場の牧草地をその名の通り『横断』できるハイキングコースで、酪農、肉牛飼育の経験がある私にとって「おっ、牧場!」とテンションの上がる遊歩道でもある。

残念ながら放牧はされていなかったが、遠くに富士山が浮かび上がる開放的な牧草地を歩くのはすこぶる気持ちがいい。
そんな牧草地を越え、いくつかの沢を渡り(一部土砂崩れのため迂回路を利用)、いよいよ真教寺尾根に差し掛かる。

クサリ頼りの急傾斜。


牛首山、扇山辺りまでは特に問題なしだが、一度クサリ場に差し掛かると次から次へとクサリが出現。クサリの連続だ。
斜度もキツく、高度感もかなりのモノだ。

衣食住を詰め込んだザックを背負っている負担もあったが、クサリの整備がしっかりしているため、足場を確保しながら登れば意外といける。

「おおっ、オレって上級者じゃん。」

そんな勘違いをして調子に乗っているのも束の間、ジワジワと関節疲労が増してきて、「スイマセン、まだまだ未熟でした・・・」と、休み休み慎重に登ることにする。

ある程度の余力を残して真教寺尾根分岐点の竜頭峰に無事到着。
ここから今夜の幕営地であるキレット小屋に下るわけだが、その前にやはり赤岳山頂に行かなくては。

竜頭峰から赤岳山頂までは、いくつか短いハシゴを登って10分程度。
真教寺尾根では数人としかすれ違わなかったが、山頂に近付くにつれて急に登山者は増え、賑やかになってきた。

一応、記念に撮ってもらいました。でもミドリの方が目立ってる!


真教寺尾根を登りきった達成感を山頂テンションに乗せて爆発させたいところだったが、赤岳山頂は人だらけ、そして記念撮影会だらけ。
基本的に小心者な私は、「オレって凄ぇー!」と内心で喜ぶ程度にしておいて、竜頭峰から一緒だったソロ山行おばさんの記念撮影を手伝う。

うむ、いい表情だ。(人の記念撮影でテンションが上がるのは変態か?)

さて、無事に赤岳登頂したところで、前回断念した赤岳~キレット小屋のルートだ。

このルートは急峻な岩溝(ルンゼ)で形成されている八ヶ岳屈指の危険地帯。
ガレ場で急峻だがクサリはほとんどなく、自分の手足だけが頼りとなる。
バランスを崩したり足を滑らせないことは勿論、落石させないように気を使わなければならない。
更に踏み跡も分かりづらく、岩に記された印を確認しながら進まなければ、すぐルートから外れてしまう。


こんな具合で慎重さと集中力が必要になること必至。
時間的にも余裕があることだし、急がず慌てず赤岳頂上小屋前の岩場で少々昼寝してから出発することにした。

中岳、阿弥陀岳の稜線にうっとり。


赤岳頂上小屋からの眺めは天気が良かったこともあり素晴らしかった。
硫黄岳への主稜線は勿論のこと、中岳、阿弥陀岳への稜線もうっとりするほど絵になる。
歩いてみたい欲求でウズウズするが、本日はこれからの赤岳~キレット小屋への歩きに集中だ。

30分ほど昼寝しただろうか。そろそろ出発することにする。

赤岳まで戻り、分岐点の竜頭峰へ向かう途中、一人の外国のおじさんに道を尋ねられた。
「ゴンゲンダケハドチラデスカ?」

地図も持たずよく来たものだな、と思いつつ、若干上から目線で道を教える。
聞くところによると、これから権現小屋まで行って宿泊するとのこと。

「やめた方がいいですよ。この先、危険ですよ」と、自分もまだ行った事がないのに、先程より更に上から目線で力説。

ここでふと我に返る。

難易度の高い真教寺尾根を登ってきたことで調子乗ったのか、「おじさん、アンタ怪我するぜ」と言わんばかりの勘違い野郎になっていたことを自覚。
これはいかん、いかん。

ここは地図で方角、道順を素直に教えることにした。

手元、足元をしっかり確保しながら慎重に下ります。


外国おじさんの歩きは決して速くはなかったが、自分のペースを心得た実にしっかりとした歩みだった。
地図も持っておらず、見るからに普通のおじさん風とはいえ、危険度の高いガレた傾斜を安定感のある歩みで下りてくる。
先行して下りていった私が時々振り返ると、「ダイジョーブ、イケルヨ」と合図してくれる余裕もある。
むしろ私の方が手掛かり足掛かりをキョロキョロと探したり、ルートから外れそうになったり、危なっかしかったかもしれない。

無事に難所を下り、赤岳を見上げるとジワジワと達成感が込み上げてくる。
外国おじさんもボチボチ下りてきているのが見える。

一息ついたところで改めて今回の山行を振り返ってみると、「勘違い」も多々あったが緊張感と充実感のある山歩きだった。
こう思えるのも目標を達成して気持ちに余裕ができたからだろう。

と、感傷に浸りながらキレット小屋へ向かうと、「えっ?」と思える程にテン場はテントで一杯。
以前、来た時は数張りしかなかったため、「ここは空いているテン場」だと勝手に思い込んでいた。

幕営地に到着。無事にお月さんを拝めました。


辛うじて隅っこに設営することができたから良かったものの、最後の最後まで『勘違い』してしまったな。。。

本日の写真

天女山駐車場からスタート。

いきなり天女山山頂。

八ヶ岳横断自然歩道。美し森はこちら。

沢を渡ります。

林の先が明るい。開けそう。

放牧地に出ました。

これから登る赤岳に赤岳頂上小屋まで見えます。

富士山も見えます。

行くぞ真教寺尾根。

牧草地帯を横断。

小高い丘。

富士山は目に付くと撮ってしまう。

沢を渡ります。

ここから真教寺尾根へ向かいます。

天女山の天女が羽衣を洗い清めたといういわれる羽衣池。マジ?

山歩きっぽくなってきた。

笹藪をかき分けて進みます。

もう少し登ったところから入れるので無理しない。

ああ、また撮っちゃったよ。

左が夢、右が富がかなうと言う木の鐘。「ははは、まさかね」と思いながらもきっちり叩きました。

左に北岳、右に甲斐駒ヶ岳。

展望のよい賽ノ河原(さいのかわら)。

いよいよ山っぽくなってきた。

トリカブト。

ふらふら歩いて落ちないように。

横断してきた八ヶ岳牧場。そして富士山。(また!)

意外とあっさり牛首山。

ベンチに横になって少々休憩。

さぁ、進もう。

扇山。特に展望なし。

キノコ、食う?

大天狗、小天狗が近くに見えてきた。

傾斜が険しくなってきた。

振り返って牛首山を撮影。結構登ってきた。

ひたすら登ります。

いよいよクサリのお出まし。

クサリに取り掛かる前にパチリ。

大/小天狗が近くに見えます。

クサリが連続します。

クサリ頼り。

傾斜がキツイ。

分岐点の標識が見えてきた。もう少し!

真教寺尾根分岐点の竜頭峰へ到着。ちょっと一息。

赤岳へ続くハシゴ。

気づけばずいぶん登ってきた。

さて、赤岳までもう少し。

真教寺尾根から赤岳登頂!

他の登山客をかわして赤岳山頂。

ついでに頂上小屋に行ってみよう。

小屋のある方は赤岳北峰でした。

中岳、阿弥陀岳。絵になる。

硫黄岳へ続く主脈縦走路。行者小屋、赤岳鉱泉も見えます。

赤岳山頂は記念撮影で人が一杯。

赤岳頂上小屋。

阿弥陀岳。あっちも歩いてみたいがまたの機会。

さてキレット小屋まで下りますか。

キレット小屋へはこのハシゴを下ります。

おおお、ゾクゾクする。

小天狗、大天狗が近い!

焦らず慎重に。

赤岳→キレット小屋の難所であるルンゼ(急峻な岩溝)。怖い!

目印を確認しないとすぐルートから外れてしまいます。

手元、足元を確認しながら確実に下りていきます。

ルンゼを無事に下り、一息。

眼下に見えるキレット小屋。あれ、テント場が一杯っぽい。。。

辛うじて幕営場所を確保。お疲れさん。

本日の山行情報

単独行/1日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

天女山(てんにょさん)
標高1529m
牛首山(うしくびやま)
標高2280m
扇山(おうぎやま)
標高2356.5m
赤岳(あかだけ)
標高2899m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

天女山駐車場[着] 05:55 - [発] 05:55
 ↓ 5分 
天女山[着] 06:00 - [発] 06:00
 ↓ 95分 八ヶ岳横断自然歩道
羽衣池[着] 07:35 - [発] 07:35
 ↓ 65分 
賽ノ河原[着] 08:40 - [発] 08:40
 ↓ 85分 
牛首山[着] 10:05 - [発] 10:30
 ↓ 20分 
扇山[着] 10:50 - [発] 10:50
 ↓ 180分 後半クサリ連続
赤岳[着] 13:50 - [発] 14:00
 ↓ 5分 
赤岳頂上小屋[着] 14:05 - [発] 14:35
 ↓ 5分 
赤岳[着] 14:40 - [発] 14:40
 ↓ 95分 ルンゼあり(危険!)
キレット小屋[着] 16:15 - [発] 16:15

行動時間:9時間15分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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