2011年9月4日
筑波山地:日帰り
筑波連山:一日歩き通しで己とたっぷり会話。

半年ほど前から始めた山歩きだが、体力にはそこそこ自信がついてきた。
そうなると実際、自分はどのくらい歩けるのかを試したくなる。

エスケープルートのない山ではさすがに試したくはないが、筑波連山はどうだろうか。

家から最も近く、高速道路を使わずに安く行ける。(これ大事)
標高1000m弱で危険箇所は比較的少ないうえに、何といってもエスケープルート盛りだくさん。

ただ、35km(簡易測定のため実際はもっと長い)ほどある山道/林道を日帰りという、これまで経験のない山歩きになる事は間違いない。

それでも「いける!」と根拠のない確信がふつふつと湧いてくる。
早速、実践/実証だ。


西日本や甲信越は台風の影響で天候も悪く風も強い。
山歩きには極めて危険な状況だが、筑波山方面は台風の影響があまりないようで警報/注意報もなく「曇り」の予報。

「チッ、天気が悪ければ行かないのに・・・。」
と、心の中でチラリと思う。(早くもか!)

異様な雰囲気が漂う岩瀬駅。(※普通の駅です。)


車で岩瀬駅に駐車(一日300円)し、筑波連山を縦走して筑波山口へ。
筑波山口からはバス、電車を乗り継いで岩瀬駅へと戻るスケジュールだ。

筑波山神社からタクシーを使わず、遠回りだが安上がりのバス/電車を利用するところが情けないが、まぁいいだろう。

夜明け前の岩瀬駅から、もしもの時の必需品を含めた軽装で出発。
夜明け前と言ってもヘッドランプを付けるまでもなく、全体に薄い雲が掛かった空は見る見るうちに明るくなってゆく。

『バス時間』という制限時間もあり、気は急くものの、まだまだ始まったばかりだしマイペースを心がける。

うん、いい出だし。

ひんやりした空気を吸い込みながら朝の静けさを心地よく歩いていると、突然、静寂を破る獣の声が。
「む、ケモノ!」と警戒した次の瞬間、目の前をイノシシが横切って行った。

突然の遭遇に驚き、「ぶらぁあっ!!」と素っ頓狂な声をあげただけで事なきを得たが、イノシシとは言え獣。
結構な体格だったし、まともに渡り合える相手ではない。勿論、渡り合う気もない。
その後も獣の気配を感じる山道にジワジワと恐怖心が芽生えてしまい、「ぐぅ~」と鳴る自分の腹の虫にもビクッ!としてしまう程の過敏反応状態で山中を歩く。

獣の気配をビシビシ感じながら階段を登ります。


こんな有様だったが淡々と進むことで、ビクビクしていた心も徐々に静まってきた。
そして次はクモの巣。

あまり人が歩かないのか、クモの巣を顔面で受け止めること数知れず。
「まぁ、これも山歩きオプションのひとつだ」、と割り切ってイノシシ並みに前進あるのみ。(すっかり吹っ切れてる)

ネットである程度のルートを下調べをして国土地理院の2万5千分1地形図を印刷してきている。
この地図を見る限り、採石場付近でルートが途切れているのだが、下調べと現地の案内板を信じて進み、チェックポイントの加波山神社に到着した。


親宮拝殿横の階段を登って行きます。


加波山を抜ける縦走路にはいくつもの社殿が連続して建てられている。
ここはそれぞれ参拝しながら通らせてもらおう。

北側から登ると、中宮拝殿→親宮拝殿→親宮本殿→たばこ神社→中宮本殿→本宮本殿→本宮拝殿と続く。

たばこを吸わない私は「たばこ神社ぁ?」と素通りしそうになったが、ここは心を改めて参拝。
それにしてもこれだけあると社殿マニアにはたまらないのではなかろうか。

加波山を下りる山道は、所々板張りになっており整備されていたようなのだが、今では手入れされておらずあちこち朽ちている。
そんな年季の入った板の滑ること滑ること。

分かっていながら恐る恐る足を置いたとたんにツルッ!!
大事には至らなかったが、絵に描いたような尻もちをついてしまった。
ああ、たばこ神社を素通りしようとしたバツだ。

ガスの中、強風の音かと見上げると風車。


加波山をある程度下りると、頭上で風力発電の風車がグオングオンと回っている舗装道路に出た。
アップダウンがあるとはいえ、やはり舗装道路は歩きやすい。

軽装なので膝への負担も軽く、一気に距離を稼げそうだ。
途中、足尾神社、きのこ山(びっくりするほど「お山」の感じゼロ)に立ち寄りつつ、一本杉峠→上曽峠→湯袋峠とどんどん進む。

上曽峠から湯袋峠は震災の影響で今尚、車両通行止めとなっており、放置されている路面は湿ったコケや落ち葉で滑りやすい状態となっていた。
加波山での尻もちの一件もあった事だし、気を張って小股で進む。


さて、湯袋峠からが問題だ。

事前リサーチでは湯袋峠から筑波山方面のコース紹介があまりなく、国土地理院の地図でも所々切れていて山道なのかもよくわからない。
とは言え、せっかくの縦走。林道はともかく、車通りの多い舗装道路を行くなんて面白くない。
予定より早いペースで来ている事だし、ここはちょっと冒険心を出して地図とコンパスを頼りに山道らしい道を進んでみた。

山中に入っていきなり不安。

地形図を持っていると言っても読図経験の浅い私は、現在地に確証を得られず非常に不安になる。
来た道と同じ道を引き返したつもりでも、「あれ、こんなところ通ったか?」、なんて事になると不安は倍増。
用意した2万5千分1地形図では縮尺が小さすぎたのか。

無謀に突き進まず、行ったり来たりとウロウロしながらも、木や枝にくくられてい数少ないリボン(山道の印)とコンパスの指す方角を頼りにハラハラと進んでゆく。
藪をかき分け、砂利敷きの林道に抜けた時の安堵感はたまらなかった。


ビバ!自販機!!


そして、筑波高原キャンプ場が見えた時の「ああっ!ここ、知ってる!!」の嬉しさといったらない。
自販機があることも知っているから尚のこと嬉しい。
ビバ!自販機!!

ここからはもう幾度となくお世話になったコース。
これまでずっと握りしめていた地図とコンパスをザックにしまい、颯爽と筑波山を登る。

これまで縦断してきた山々。


筑波山地最高峰である女体山山頂の岩場から、首に巻いた手ぬぐいをヒーローの如く風になびかせながら、これまで縦断してきた山々を感慨深く眺める。
そして本日最後の山、男体山へ。

「男体山はもういいだろ。ほら、丁度よくケーブルカー来てるよ」と、内面の葛藤を制し、男体山山頂へ。
これまで何度と登った山とはいえ、全く異なる気持ちで山頂を迎えた。

時間的にも体力的にも多少の余裕がある事を確認して、自分の足で下山を開始。
下山コースの御幸ヶ原は、震災時に落石のあった箇所に補強が施され多少変わっていた。ここで少し手を合わせる。

フェチ!この構図、フェチっぽい!!(ネコの足フェチ)


山道の終着点となる筑波山神社では、モデル並みに被写体化しているネコが無事な下山を迎えてくれた。(そのように勝手に解釈)
ネコ好きな私としては、ご褒美とばかりに遠慮なく撮影させてもらう。
そして、私の大好物である「シャッター押してもらえますか?」も観光客から頂き、もう大満足だ。

筑波山神社入口バス停で、「バス、もう来るよ」の心の声を無視して、筑波山口まで一般道路を歩いて下りる。
ただ、車の通りも多いし歩道もないので、心の声通りにバスを利用したほうがよかったかも、とチラリと思う。

本日のゴール地点の「筑波山口」のバス亭が見えるとホッとしたのか、一気に疲れが込み上げてきた。
何とか最終1本前のバスに乗り、本日の行程は全て終了した。

はじめての距離、行動時間を達成できて嬉しいのは間違いないが、今回のスケジュールをこなせたからといって、別の山で同じような感覚で歩く気なんて毛頭ない。
1日6~8時間行動のゆったりスケジュールが基本だ。
ただ、今回の経験で、もしもの時には「大丈夫。オレ、まだ歩けるよ」と言える自信にはつながっただろう。

帰宅後、GPSで記録している自分の歩いた、特にコンパスと地図片手に難儀していた箇所の記録を見たが、意外といい線いっていたな。
うむ、満足。

本日の写真

日の出前の岩瀬駅から出発。なんだか異様な雰囲気。

地獄へ、ではなく御嶽山へ。

案内図で確認。

薄暗いから余計に雰囲気のある御嶽神社。

林が切れる採石所からちょっと朝焼け。

道中は始まったばかり。

突然現れた電波塔。

階段が続きます。

雨引山。

屋根付き休憩所から桜川方面の眺望があります。雨引観音(雨引山楽法寺)からは鐘の音が。

林が切れて明るい山道。

少し険しくなります。

険しい坂を登り終えると、また階段が。

燕山。景観は特になし。。

突然ユリ。これだけ咲いているといやでも目立ちます。

ひとまず山道が終わり、砂利敷きの林道になります。

無線中継所。

加波神社入口。

加波山神社中宮拝殿。色々な天狗オブジェクトが。

加波山親宮拝殿。

親宮本殿。

たばこ神社。

中宮本殿。

本宮本殿。

存在感のある岩が鎮座しています。

本宮拝殿。震災の跡が残っています。

眺望案内板。ガスで確認できないが、眺望自体悪いと思う。。。

これじゃ立入禁止にもなります。

ウインド・パワーつくば風力発電所。ガスの中、ぐおんぐおんと回っていました。

なんだかカッコいい一本杉峠。

足尾神社入り口の鳥居。

足尾神社拝殿。なんだかいい感じ。

スカイスポーツの離陸場。

クモの巣。見る分には綺麗。

きのこ山の休憩所。舗装道路から数十メートルで「お山」の感じゼロ。

自然に溶け込もうとしている案内板。

お地蔵さま。

案内板はなかったが、コンパスと地図を頼りに入ってみた。

この先、藪だらけ。

つつじヶ丘方面にもここから行けそうだ。

筑波高原キャンプ場が見えた。

ビバ!自販機!

女体山山頂からこれまで歩いてきた山塊を眺めます。

やはりひと頃よりお客さんは少ない。

男体山本殿。

到着。あとは慎重に下山するのみ。

震災の影響でコースが変わっています。

無事下山!

無事な下山に感謝を込めて参拝。

あれ、不機嫌?

余裕の腕組。

ガマ公衆電話と登山者には嬉しい足洗い場があります。

ゴール地点の筑波山口に到着。さすがに疲れた。。

本日の山行情報

単独行/日帰り/8時間以上歩行/電車・バス登山

御嶽山(おんたけさん)
標高230.9m
詳細(外部リンク)
雨引山(あまびきさん)
標高409.3m
詳細(外部リンク)
燕山(つばくろさん/つばめさん)
標高701m
詳細(外部リンク)
加波山(かばさん)
標高709m
詳細(外部リンク)
きのこ山(きのこやま)
標高527.9m
詳細(外部リンク)
筑波山(つくばさん)
男体山(なんたいさん):標高871m
女体山(にょたいさん):標高877m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

岩瀬駅[着] 04:50 - [発] 04:50
 ↓ 30分 
御嶽山[着] 05:20 - [発] 05:20
 ↓ 40分 
雨引山[着] 06:00 - [発] 06:10
 ↓ 95分 
燕山[着] 07:45 - [発] 07:55
 ↓ 20分 
加波山神社[着] 08:15 - [発] 08:15
 ↓ 15分 
加波山[着] 08:30 - [発] 08:30
 ↓ 20分 
一本杉峠[着] 08:50 - [発] 08:50
 ↓ 50分 舗装道路
足尾神社[着] 09:40 - [発] 09:50
 ↓ 30分 舗装道路
きのこ山[着] 10:20 - [発] 10:30
 ↓ 30分 舗装道路
上曽峠[着] 11:00 - [発] 11:00
 ↓ 60分 舗装道路(苔が生えてツルツルです)
湯袋峠[着] 12:00 - [発] 12:00
 ↓ 125分 だいぶ道に迷ってます。
筑波高原キャンプ場[着] 14:05 - [発] 14:20
 ↓ 40分 
女体山[着] 15:00 - [発] 15:05
 ↓ 25分 
男体山[着] 15:30 - [発] 15:30
 ↓ 85分 
筑波山神社[着] 16:55 - [発] 16:55
 ↓ 50分 
筑波山口[着] 17:45 - [発] 17:45

行動時間:11時間55分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

この山域の関連記事