2013年9月23日
赤石山脈(南アルプス):3日目
農鳥岳:ナイスシャッターありがとう。

農鳥岳で御来光を拝んで、奈良田温泉13:50発のバスに乗りたい。

そんな事で宿泊地の農鳥小屋から逆算すると4時出発。
テント撤収も考慮すると3時起床か。

昨晩は午後からガスが掛かってしまい、夜景も星空も楽しめず、さっさと寝てしまった。
ただ、そのお陰で寝過ごさずに予定通りテントを撤収、出発する事ができた。

山歩きは早出に限る。でも真っ暗な夜道は注意。


昨晩のガスで真っ白だった景色から一転、お月さんと星空が出ている。
地平線上に雲は掛かってはいるものの、御来光を拝むには十分すぎる天気だ。

昨日の心肺機能低下によるヘロヘロ歩きの事を思うと、御来光の時間まで農鳥岳に到着できるか心配だった。

しかし、素晴らしきかな人体の適応能力。

思いのほか調子がいい。
呼吸を押さえつつ、休まずにグングン登れる。

空が白んできた頃、道標の立っている小さなピークのシルエットが目前に迫っていた。

「今日は絶好調だな、もう農鳥岳か」と思い、余裕綽々にシルエット写真を撮りながらピーク手前でくつろぐ。
「さーて、そろそろ山頂に行くか」と、行った先にあったのは西農鳥岳の道標。

どういう訳か、西農鳥岳はピークを踏まず巻いて通過すると思い込んでいた為に、目の前に見えてきたピークを農鳥岳と早合点していた。

うっかりミス。
せっかく早起きできたのに。

ちなみに農鳥岳と西農鳥岳を比べると、3026m、3051mと西農鳥岳の方が標高は高い。
だからと言って、西では満足できない不思議さ。
急ぎ足で農鳥岳へと向う。

西農鳥岳から農鳥岳への山道は、岩場を一気に降りて、ゆったりとしたガレ場を登る。
黙々と歩くも、健闘虚しく御来光タイムとなってしまった。

ここはキッパリと諦め、途中にあった小ピークに登ってお日様とご対面。
農鳥岳山頂ではなくとも、標高3000m付近から眺める御来光は見事。昨日に引き続き良い日の出に感謝、感謝。

あのイイ感じのピークは西農鳥岳です。


農鳥岳はあちら。


農鳥岳手前の小ピークから御来光を拝みます。

その後、改めて農鳥岳山頂に到着。
山頂には御来光タイムにバッチリ間に合っただろう登山者達が、撮影者を交代しながら記念撮影をしている。

他人の記念撮影を密かな趣味としている私としては、申し出ずにはいられない状況だ。

「シャッター押しましょうか?」

「いえ、結構です」などと言われる恐れを降りきって(小心者)申し出てみると、「お願いします!」と嬉しい返事。

もう、北岳、間ノ岳をバックに、御来光をバックに、縦に横にと、バチバチ撮らせていただく。
その後、到着した若いカップルの記念撮影もバチバチ撮らせていただいた。

「ありがとうございましたー」
「どういたしまして。(心の声:こちらこそナイスシャッターありがとう)」

雲海を照らす朝日や、どっしりと構えた間ノ岳、赤石山脈の南側に連なる山々など、見事な景観を提供してくれる農鳥岳山頂。
それなのに、ここから見る北岳の貧相な事よ・・・。とても日本第二の高峰とは思えない貧相さだ。
今のところ、北岳を眺めるなら鳳凰三山の観音岳がベストだな。

農鳥岳山頂からみる雲海。す、素晴らしい・・・。


塩見岳、赤石岳など赤石山脈南側の山々。いずれ歩いてみたい。


おおーっ、ファンタジーの世界だ。

景色と『他人のシャッター欲』を満たされたところで下山の途に就く。

日も高くなり晴れ渡った青空の下、誰もいない3000メートル級の稜線を歩けば、何にも代えがたい爽快感を得る事ができる。
もう、延々と歩いていける気すらする。(昨日とえらい違い)

名残惜しい思いで大門沢下降点にある鐘を鳴らして稜線から外れます。


程なくして稜線からの下降ポイントに到着。
名残惜しい思いで分岐点にある鐘を鳴らし、白根三山の稜線を後にする。

ここからはバス時間との勝負。

予定しているバス時間に間に合うのは間違いなさそうだが、その前に奈良田温泉で汗を流したい。
私の持てる限りの体力と技術を結集させて下山開始だ。

以前、山中で出会った健脚おじさんに伝授してもらった『攻めのダブルストック』をフル稼動。
大門沢小屋まで続く急坂を一気に下る。

水量豊富な大門沢の河原に下り立ち、ザッパーっと豪快に顔を洗いつつ、沢沿いをさらに下る。
手作り感溢れる木橋と、悪ふざけ厳禁の良く揺れる吊り橋を何度か渡り、登山口となるダム工事関係者用の林道へと下山した。

大門沢の河原に下り立ち、ザッパーっと豪快に顔を洗います。気持ちいい!


手作りの木橋。手作り感、あり過ぎ!


長くて高度感があって結構揺れる吊り橋。悪ふざけ厳禁!

そこそこ距離のある林道を歩き、舗装道路に合流すると絶妙なタイミングで路線バスが通りがかる。
しかし「登山者ですから」と、無意味な意地で奈良田温泉まで歩いていった。(途中、若干後悔)

時間的に余裕を持って奈良田温泉に到着。

コーラは瓶に限る!


お肌に良さそうな温泉で2日振りに汗を流して、3日間の白根三山縦走の旅は無事に幕を閉じた。
2日目などは辛かったりもしたが、無事に下山できれば全て良き思い出だ。

最後にバス停でバスを待っていると農鳥岳山頂で出会った登山者と再会。

「あ、どうも・・・」

山中では他人のシャッターを虎視眈々と狙っているくせに、ひとたび下山するとよそよそしくなってしまうこの性格。
何とかしたいものだな・・・。

本日の写真

御来光を山頂で見るために暗闇を歩きます。

頭上にはお月さん。

どうやら農鳥山頂での御来光には間に合いそうだ。

しまった、ここは西農鳥岳だった・・・。

農鳥岳はあちらです。

岩場もあるから慎重に。

農鳥岳手前のピークで日の出を迎えます。

農鳥岳へ最後の登り。

おおっ、素晴らしい雲海だ。

雲海の下はどうなっているのか。

記念に撮ってもらいました。

塩見岳、赤石岳など赤石山脈南側の山々。

もうファンタジーの世界観。

農鳥岳からの北岳は貧相に見える・・・。

このまま延々と歩けそうな気がしてきた。

下降地点。稜線ともお別れの時だ。

稜線上にポッカリとお月さん。

大門沢下降地点にある鐘。名残惜しい思いで鐘を鳴らし、下山の途に就きます。

ああ、実に名残惜しい。

長い急坂が続きます。

ここからはバス時間との勝負だ。間に合うか?

木の梯子が所々にあります。

大門沢が見えるポイント。

手作り感あふれる木橋を渡ります。

ゴクリ・・・。(食べちゃダメだ、食べちゃダメだ)

居心地のよさそうな大門沢小屋。

連休最終日のこの時間帯はさすがに誰もいません。

水量豊富な大門沢で豪快に顔を洗って気分爽快。

渡ります。朽ちていない事を信じて渡ります。

あー、涼しげだ。

大門沢に枯れかけのダイモンジソウ。

象のハナみたい。

また沢を渡ります。

この辺りはアスレチックっぽくて楽しい。

木漏れ日が水面に反射してキレイ、なのだが写真ではいまいち。

清涼感あるわぁ。

一旦、なだらかになります。

手作り感、あり過ぎ。

吊り橋はこの岩の踏ん張りにかかっている。

結構揺れる吊り橋。悪ふざけ厳禁。

ここは何だろう?

またもや吊り橋あり。

かなり揺れる吊り橋。言うまでもなく悪ふざけ厳禁!

立派な人工物登場。

安心の吊り橋。

工事関係者用の林道にある登山口に到着。

休憩所。使われているのか?

結構な距離の林道を歩いていきます。

まさにこの破線のコースを歩いてきました。

奈良田~広河原に続く舗装道路に合流。ここにバス停あります。

奈良田の無料駐車場が見えてきた。

ここはよさそうな駐車場だ。

奈良田温泉はこちら。

奈良田温泉で汗を流します。ツルツルになれる泉質です。

コーラは瓶に限る!

奈良田のバス停に無事に到着。

本日の山行情報

単独行/3日目/テント泊/縦走/電車・バス登山

西農鳥岳(にしのうとりだけ)
標高3051m
農鳥岳(のうとりだけ)
標高3026m
詳細(外部リンク)
白根/白峰三山(しらねさんざん)
北岳、間ノ岳、農鳥岳の総称
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

農鳥小屋[着] 04:15 - [発] 04:15
 ↓ 55分 
西農鳥岳[着] 05:10 - [発] 05:10
 ↓ 35分 
農鳥岳[着] 05:45 - [発] 06:10
 ↓ 25分 
大門沢下降点[着] 06:35 - [発] 06:40
 ↓ 120分 
大門沢小屋[着] 08:40 - [発] 09:00
 ↓ 110分 
早川水系発電所取水口[着] 10:50 - [発] 10:50
 ↓ 25分 
登山口[着] 11:15 - [発] 11:25
 ↓ 45分 林道/舗装道路
奈良田温泉[着] 12:10 - [発] 13:05
 ↓ 5分 舗装道路
奈良田バス停[着] 13:10 - [発] 13:10

行動時間:7時間(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

この山域の関連記事