2012年5月13日
赤石山脈(南アルプス):2日目
観音岳:日本の主たる名峰に酔いしれる。

こんな日の出もオツなもの。


昨晩は風が吹き冷え込んだため、2シーズン用のシュラフでは心許無かったが、用意していたシュラフシーツのおかげで寒い思いをすることなく眠ることができた。
とは言え、恒例の二度寝をしてしまう。

起きて外に出てみると、風もなく雲ひとつない快晴で、夜明けの始まった空はうっすらと明るくなっている。
御来光を山頂で拝むのは無理だとしても、眺望が期待できそうな天気だ。

寝過ごした時間を取り戻すべく素早く準備を済ませ、軽装で観音岳へ向けて出発した。

登りのルートは昨日辿れなかった観音岳への近道を利用する。
鳳凰小屋の水場から梯子を登り尾根を登って行くルートだ。

樹林帯で急坂の雪道だが、早朝の締まった雪にはアイゼンが良く利いて苦にならないどころか登りやすい。
背後では日が昇り、朝焼けでオレンジ色に染まっていく樹林帯を登って行く。

真っ青。日焼け注意。


急坂を登って行くと樹林帯を抜け、空が広くなってきた。
見上げると空は真っ青。
山頂からの眺望に期待が膨らみ、まだ着いてもいないのに気分は既に山頂テンションだ。

白砂が広がる稜線に出ると、昨日、澄んだ眼の小屋番さんが言っていた通り、鳳凰小屋分岐点の立派な道標がちゃんとあった。
昨日の判断ミスを改めて確認して、また繰り返さぬよう肝に銘じておく。

一度稜線に出てしまえば、広がる展望に疲れなど吹き飛んでしまう。
快調な足取りで観音岳山頂へとたどり着くと、山頂テンション大爆発な眺望が待っていた。


東には金峰山をはじめとする奥秩父の山々、南にはお馴染みの富士山を背景に薬師岳へと延びる山稜、西には日本第二の高峰北岳をはじめとする赤石山脈の山々が連なり、北には甲斐駒ヶ岳に仙丈ヶ岳、広大な裾野を広げる八ヶ岳、そして飛騨山脈がこれでもかと言うほどに伸びている。
日本の主たる名峰を網羅してしまう程のこの豪華なラインナップにテンションを上げずにはいられない。
既に似たような写真を撮っていたにも関わらず、何度でもシャッターを押したくなる、そんな景観が広がっていた。

これまで歩いたことのある山々を眺めるのも、まだ歩いたことのない山々を眺めるのも、どちらも違った意味で楽しいものだ。

アルプスの貴公子、甲斐駒ヶ岳。北アルプスをバックに男前なヤツだ。


どうですか、この北岳。


広大な裾野を広げる八ヶ岳。

程良くテンションも落ち着いてきたところで朝食。
天気も良く、風もなく、静かな山頂で、絶景を見ながら朝食だなんて・・・、うほっ!またテンションが上がる。

食後はお楽しみアイテム「双眼鏡」で更に山頂テンションを煽る。
街で双眼鏡など使っていたら警察でも呼ばれかねないが、山では気兼ねなく大体に覗くことができるので嬉しい限り。

かれこれ1時間程山頂を満喫していただろうか。
南御室小屋から登ってくる登山者がちらほらやってきた。

皆さん良さそうなカメラを抱えている。
この景観では写真好きの血が騒がずにはいられないだろう。
そしてカメラも嬉しかろう。

そんなカメラ好きなおじさんと挨拶を交わすと、観音岳山頂は絶好の撮影スポットだと熱く語ってくれた。

【ポイントその1】
厚みのある北岳が撮れる。(甲斐駒辺りから撮ると薄く貧相に見えるらしい)

【ポイントその2】
八ヶ岳の広大な裾野が一望できる。

【ポイントその3】
宝永山が見えないため富士山の裾野が綺麗に伸びている。

それぞれの理由がたった今、目の当たりにしているだけに猛烈に共感できる。
もう、ここに住んでしまいたい気分だ。

せっかくなので鳳凰三山のひとつ薬師岳にも行ってみることにする。

雪の積もった稜線を歩いてみると、厳冬期の冬山に魅せられる登山者の気持ちがスズメの涙ほどわかった気がする。(天気が良く暖かいから)
白砂と巨岩の稜線歩きから積雪の稜線歩きも楽しめるなんて、下山したら誰かれ構わず一方的に勧めてしまいたくなる。(天気が良く暖かいから)

薬師岳の山頂は広々しているためか「山頂感」が薄い。
それでも見渡せる景観はやはり見事だ。

白砂と巨岩の独特な世界。


「ヤッホー」の正しい姿勢。


寒がりのヨメ、雪稜に立つ。

景色を堪能、少々マッタリしたところで鳳凰小屋へと戻ることにする。

鳳凰小屋分岐点から下って行くと、さすがに日が高くなったこともありズルズルのくされ雪状態だ。
これではアイゼンの利きも今ひとつ。
いっそのことアイゼン無しで滑るように下りることにした。

しかし樹林帯の急坂に入ると滑り下りる訳にもいかず難儀する。
滑って足を取られないよう筋肉を緊張させていたこともあってか、テン場に戻るまでに随分体力を消耗してしまう。
今となっては山頂でのあのテンションがウソのようだ。

街から眺める鳳凰三山。弁当屋も通常よりステキに見える。


日光を浴び、すっかり温室化したテントを撤収して、昼過ぎに下山開始。
先程の疲労もあって思いのほか長く感じる下山となった。

下山後はひとっ風呂浴びて、アットホームな洋食屋さんでディナーを満喫して疲労回復。
暮れなずむ鳳凰三山を店の前から眺めていると、山頂での絶景を思い出しニヤニヤしてしまった。

本日の写真

夜明け前。

日が昇る。

朝日が差し込む林の雪道を登ります。

本日は晴天。地蔵岳のオベリスクも映えます。

金峰山方面の朝。

この空の青さ。山頂での眺望が楽しみになる。

青い!

鳳凰小屋分岐点。ちゃんと標識があります。

砂の道をお月さんに向かって登ります。

うほっ!北岳バットレスを一望!

花崗岩上に浮かぶお月さん。

裾野が広大な八ヶ岳。

地蔵岳へと続く稜線。

これは雪焼けしそうだ。

強烈な照り返し。

富士山をバックに薬師岳。

白砂の稜線を登ります。

狂喜乱舞の美しさ。

甲斐駒ヶ岳の後ろに中央/北アルプス。

観音岳三角点。白峰三山も見える贅沢さ。

北岳、大満喫中。

観音岳山頂の祠。

薬師岳方面。テンション爆発の眺望。

薬師岳に向かって出発!(テンション高めで)

白砂と巨石でできた独特の山稜。

ピークにあるケルンに向かって登ります。

薬師岳山頂。

鳳凰三山には鉄やぐらを良く見かけます。

「ヤッホー」の正しいポーズ。

薬師岳のオベリスク。

まだ小さな雪庇が残っています。

寒がりのヨメ、雪稜に立つ。

雪の斜面から八ヶ岳。

地蔵岳の荒々しい山肌。

滑るように下って行きます。

何となくステキな感じ。

空の青さに緑が良く映える。

鳳凰小屋が見えてきた。

シュラフを天日干し。

生き物のような枯木。

油断のならないツルツルさ。

来た時と変わらずガタガタ。

妊娠したかのようなコブ。

八ヶ岳。昨日も撮影した気はするが問題ない。

燕頭山へと向かいます。

下山するにしたがい、初夏のにおいがしてきた。

白、黄色まだらなのもあって面白い。

春です。

生命力が根付いています。

御座石鉱泉の登山口に到着。

本日の山行情報

複数人山行/2日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

観音岳/鳳凰山(かんのんだけ/ほうおうざん)
標高2840m
詳細(外部リンク)
薬師岳(やくしだけ)
標高2780m
燕頭山(つばくろやま)
標高2105m

本日のスケジュール

鳳凰小屋[着] 04:40 - [発] 04:40
 ↓ 70分 
鳳凰小屋分岐点[着] 05:50 - [発] 05:50
 ↓ 55分 
観音岳[着] 06:45 - [発] 08:05
 ↓ 25分 
薬師岳[着] 08:30 - [発] 08:40
 ↓ 30分 
観音岳[着] 09:10 - [発] 09:10
 ↓ 40分 
鳳凰小屋分岐点[着] 09:50 - [発] 09:50
 ↓ 60分 
鳳凰小屋[着] 10:50 - [発] 12:10
 ↓ 100分 
燕頭山[着] 13:50 - [発] 13:55
 ↓ 140分 
御座石鉱泉[着] 16:15 - [発] 16:15

行動時間:8時間40分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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