2012年8月5日
赤石山脈(南アルプス):2日目
甲斐駒ヶ岳:黒戸尾根の果てでキュウリを食らう。

昨日は早い時間に就寝したので、2時前には目が覚めた。
少々風の音が気になるものの、山頂で御来光を拝むために月明りに照らされながら出発した。

月明かりで視界は良好。意外と気温も暖かく、心配していた風も問題なさそう。
あとは暗闇でコースを外れないように登って行くのみだ。

時折尾を引く流れ星を眺めながら岩場を登って行く。
周囲に誰もいない心細い夜の山歩きとは言え、進行方向に煌々と輝くお月さんが丁度よい灯台代わりとなって安心感は絶大だ。

月下の甲斐駒ヶ岳。


樹林帯を抜けて視界が開けると、月下に甲斐駒ヶ岳山頂が見えてきた。
東の水平線はうっすら明るくなっている。

テン場から歩き始めること2時間半。

昨日から登り始め、日本三大急登のひとつ『黒戸尾根』の最高点である甲斐駒ヶ岳山頂に到着した。
「黒戸尾根、登ったぞーッ!」と口にすることなく、まだ薄暗い山頂で静かに達成感を噛み締める。

風もいつの間にか弱まり、眼下に広がる雲海は静止しているかのようだ。
御来光目的の登山者もぞくぞくと登ってきた。

いよいよ御来光ショーが始まる。

皆、固唾をのんで御来光の瞬間を待つ。
この不思議な一体感は何なのだろうか。
良くわからないが心地よい。

そんな皆の期待に応えるかのように、東に見える奥秩父の山稜が朝焼けで浮かび上がる。
登山者も雲海も周囲の山々も、全てがオレンジ色に染まってゆく。

そして御来光。

そうそう、コレ。

いい歳して深夜の駅で仮眠、節約のため駅から登山口まで歩くだなんて、自分自身、少々情けないと感じていたが、そんなことは全てリセット。
この景色を見ていると、疲労しながら駅から歩いてきた甲斐があったと言うモノだ。

他の登山者もそれぞれの思いで御来光を見つめている。

固唾をのんで御来光の瞬間を待つ。


おはようニッポン。


朝日が眩しいぜ。

御来光の感慨も落ち着いたところで、ザックからキュウリを取り出す。
意味や理由などは特にないが、黒戸尾根の果てで食べるために大事に持ってきたキュウリだ。

ウマイ。

そして第二弾。
チリトマトヌードル。

文句なしにウマイ。

御来光を拝み終えた登山者が次々と下山する中、御来光とキュウリとチリトマトヌードルの感慨にどっぷりと浸る。

今日もよい一日になりそうだ。


黒戸尾根の果てにキュウリ。


日清からオファーこい!(無理)

さて、そろそろ下りるとするか。
無事に下山して、初めて達成したと言えるのだから、ここからも気を引き締めねばならない。

登りでは暗くて気が付かなかったが、山道はかなりの急坂だった。
専門的な登攀技術が必要となる箇所はないにしても、日本三大急登と言うだけのことはあって、その急な岩稜は歩きごたえがある。

格好良過ぎのシチュエーション。


そして、山道のいたるところには駒ヶ岳講の石碑、霊神碑が見られ、切り立った岩の上に剣が安置されているような「ちょっと格好良過ぎだろう!」と、ファミコン/ドラクエ世代の私としては、テンションの上がるシチュエーションを多々見かけることもできる。
空が青いので余計にテンションアップだ。

快調にテン場まで戻り、たちまちテントを撤収。

昨日、知り合った山男/山女たちに「またどこかの山で」と、別れを告げ、颯爽と下山を開始。
最初こそ「颯爽」としていたが、1時間程歩くと関節疲労でヨレヨレに。

休み休み下山していると、先程別れを告げたばかりの山男/山女に追いつかれ、「ありゃ、早いですね、ハハハ」と苦笑い。(良くあるシチュエーション)
さすがにあえて黒戸尾根に来る山男/山女の体力は違う。
ここは自分のペースで、体を痛めないように下山するのが吉だ。

山頂から5時間かけて無事に下山。
登山口の尾白川渓谷では川遊びに来ている家族連れや若人たちで賑わっていた。

片やビーチサンダルに水着姿の観光客。
片や汗だくで加齢臭を放つ疲労困憊の男38歳。

こんな白眼視される状況を楽しむ趣味はないので、そそくさと退散。

瓶コーラ最高ッ!(我慢できず一口飲んでいる)


しかし、まだ「歩き」は終わってはいない。
「歩き」で来たのだから、「歩き」で戻らなくては。

日中ということもあり、帰りはバス利用で駅に向かう。
さすがに炎天下の舗装道路を駅まで延々10Kmも歩くほどモノ好きではないのだ。

途中にある温泉施設でさっぱりして、いい感じに小ぢんまりとしたワイナリーでお土産もゲット。
後はバス、電車に揺られてゆったりと帰宅するだけ。

自動車で来た人たちは渋滞に巻き込まれるだろうなぁ。フフフフ・・・。(なんて小さな優越感!)

それにしても、ここまで来てようやく日本三大急登の黒戸尾根に登った実感が沸いてきた。


歩きごたえのある面白いコースだし、今度は一日で山頂まで行ってみたいものだ。
無論、駅から歩く、なんて事はしないで。

本日の写真

暗闇を進みます。石碑があるので道はあっているだろう。

法力不動の石碑。

クサリに付けられた願い。

月下に甲斐駒ヶ岳山頂が見えてきた。

夜明け前に甲斐駒ヶ岳山頂に到着。

金峰山方面の空が染まり出した。

もうそろそろか。

ゆっくりと夜が明けてゆく。

仙丈ヶ岳上にお月さん。

御来光を待つ人々。

おはようニッポン。

たそがれる知らないお兄さん。(←勝手に撮るな!載せるな!)

今日も良い一日になりそうだ。

朝日を浴びるキュウリ。これをやるために持参。

日はまた登ったな・・・。

風が止み、雲海の流れが止まった。

朝日に染まる駒ヶ岳神社奥社。

日清からオファー来い!(←無理)

仙丈ヶ岳。小仙丈沢カールが見えます。

早川尾根の向こうに北岳、間ノ岳。

鳳凰三山の向こうに富士山。

白砂の向こうに摩利支天峰。

こんなキャプテン翼ばりに足が長かったらいいのに。(←化け物)

ダイヤモンドちょっとしたピーク。

大黒主命、駒嶽大神、駒嶽大権現。なんだか一杯います。

駒ヶ岳神社本社。

すっかり誰もいなくなった甲斐駒ヶ岳山頂。

寝起きのような乱れ様。

あの小ピークを越えてきた。

風がなく雲海が止まっている。

岩の下にはやっぱり石碑。

キリンソウ、か?

あんなところに設置するなんてカッコ良過ぎるぜッ!

ただの岩だけどステキ。

登りは暗くて分からなかったが急坂だ!

クサリ命。

倒壊してしまった石鳥居。

こうげきりょくが「2」あがった。

猿田彦命を祀る小祠。

登りより下りの方が怖い。

夏の空気を感じる。

アンパン食べたい。

下山道だけど登り道。

白砂がこんなところにも。

刀利天狗の社。

パラマウント・ピクチャーズからオファー来い!(←無理)

写真に撮ると平に見える刃渡り。

八丁登りを下る前に一休み。

くたびれて足休め。

沢には観光客が一杯。

もう飛び込みたい。

無事に下山できました。

ビンコーラで乾杯!(←我慢できずに一口飲んでる)

下山したが、まだ歩きは終わっちゃいない。

登ったぞ、黒戸尾根。

ひとっ風呂浴びてチャージだ。

お土産ゲットだぜ。

バス停に到着。お疲れ様でした。

本日の山行情報

単独行/2日目/テント泊/8時間以上歩行/電車・バス登山

甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)
標高2967m
詳細(外部リンク)
黒戸山(くろとやま)
標高2254m
山道は山頂を通らず北側を巻いています。

本日のスケジュール

七丈小屋(テン場)[着] 02:30 - [発] 02:30
 ↓ 120分 
甲斐駒ヶ岳[着] 04:30 - [発] 05:40
 ↓ 90分 
七丈小屋(テン場)[着] 07:10 - [発] 07:55
 ↓ 35分 
屏風岩[着] 08:30 - [発] 08:30
 ↓ 130分 
笹の平分岐[着] 10:40 - [発] 10:40
 ↓ 70分 
竹宇駒ヶ岳神社[着] 11:50 - [発] 11:50
 ↓ 5分 
尾白川渓谷駐車場[着] 11:55 - [発] 12:00
 ↓ 40分 舗装道路
尾白の湯[着] 12:40 - [発] 13:35
 ↓ 45分 舗装道路
道の駅白州バス停[着] 14:20 - [発] 14:20

行動時間:8時間55分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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