連休を利用して白根(白峯)三山縦走へ。
丁度、一年前にも訪れたコースで、その時はパッとしない天気だったため北岳のみ登って下山している。
やはり天気次第となるが、間ノ岳、農鳥岳まで歩いて、白根三山縦走を完成させたいところだ。
広河原インフォメーションセンター。今年は去年と比べてかなり混雑しているようだ。
好天の期待を込めて始発の電車で出発した。
南アルプスはアクセスが良いとはお世辞にも言えないくらいに奥深い。
甲府駅からはバスに乗り換え、1時間ほどかけて登山口となる広河原に到着する。
広河原へと伸びる南アルプス林道には車両規制がかかっており 、通過するにはバスに乗らなければならない(厳密には徒歩でもダメとの事)。一言にバスと言っても運転手の他に車掌が同乗しなければならない規定もあるらしい。
今回乗ったバスの車掌さんは金髪の若いお兄ちゃん。
このお兄ちゃんの軽妙な口調で語られる南アルプス林道マメ知識がなかなか面白く、単なる案内業務を越えて郷土愛ならぬ林道愛すら感じさせる内容だった。
林道から見えるアサヨ峰の名称由来などは私のツボだ。
【林道愛マメ知識】
南アルプス林道工事に携わった方たちが、最も早く朝が訪れる山として『朝夜峰』と呼び、その後、『アサヨ峰』と表記されるようになったそうです。林道愛です。
立ち乗りになるほど込み合った車内も、金髪兄ちゃんの軽妙なトークのお陰で苦になる事なく広河原に到着した。
天気は良好、正面には北岳が雄壮にそびえ立っている。
ウキウしながら二度目となる北岳歩きスタートだ。
本日は北岳肩ノ小屋まで行きたい。ただ電車とバスを乗り継ぎ、登山口に到着したのは昼過ぎ。
そこで、途中宿泊も視野に入れて、テン場のある白根御池経由のコースで登る事にした。
白根御池までは急登が続く。
しかし、何故か心身共に絶好調だ。
他の登山者を変に意識する事なくマイペースを保てられる。
そのせいか、しんどい感覚が丸でなく、むしろ何だか楽しい。
これは初めての感覚だ。
時折山中で見かける、疲れ知らずでゲラゲラ大笑いしながら登る仲良しオバチャングループ。
その溢れ出る生命力と、「せっかくなんだから楽しめばイイじゃーん」と、悲壮感を微塵も漂わす事なく疲れなど一蹴しそうな感じ。まさに今の私はこの感覚に近いのではないだろうか。
こんな事を考えつつ、いいペースで白根御池に到着。
池のほとりでは既に多くのテントが張られ、皆さんすっかりくつろぎモード。そびえ立つ北岳の反対側には、積雪しているかのように白砂の広がる鳳凰三山の美しい山容も視界に入る。
時間的にはここでテント泊が理想だが、まだまだ歩く気力がみなぎっている。
「歩きたいなら歩けばイイじゃーん」と、シンプルな発想で予定通り肩ノ小屋を目指す。
稜線に出るまでの草スベリと呼ばれる区間は、またしても急登。
そんな急登も、オバチャンの境地に近づきつつある今の私なら問題なしだ。
赤く色づき始めた草木を愛でながら淡々と登る。
鳳凰三山を背景にして白根御池のほとりに設営された色とりどりのテントもまたキレイ。
草スベリの急坂を上って稜線に出ました。北岳はもう目の前。
二俣からの山道に合流し稜線に出ると、ようやく姿を現す甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳。そして、それらの景色が夕暮れ色に染まりつつある時間帯だ。
目の前には北岳バットレスの岩壁、遠くには富士山もうっすらと夕暮れ時を迎えている。
・・・イイです。
しかし、唐突に疲労している事に気が付く。
標高のせいもあるのか、ちょっと歩くと息が切れる。
あー、早くテン場に着かないかなー、と疲労困憊のオーラ大放出で歩く。
どうやらオバチャンの境地にはまだ程遠いようだ。
日が沈む前に北岳肩ノ小屋に到着。
手がかじかむ冷たい風が吹く中、テントを設営していると、夕暮れ時の色合いが濃くなってきた。
木曽山脈に日が落ちてゆき、空と山との境目が完熟したミカンの皮と言うか何と言うか、得も言われぬ色合いを醸し出している。
この景色を前に、かじかむ手先の冷たさを忘れてひとしきり感慨に浸らせてもらった。
光を放つお月さん。この様子なら明日の天気も期待できそうだ。
さて、テントさえ設営してしまえば、後はお待ちかねのくつろぎの時間だ。
夕食をたらふく食べてお腹も満足。
すっかり暗くなった頃を見計らって、月夜の景色を撮影がてら軽い散歩。
この星空なら明日は絶景を楽しめそうだな。
では、お休みなさい。