2011年10月8日
尾瀬:1日目
燧ヶ岳:初日勝負で尾瀬最高峰へ。

紅葉シーズンが始まった。
関東付近でこの時期の紅葉ポイントといったら尾瀬だ。

そこで3連休を利用して、燧ヶ岳、至仏山、尾瀬ヶ原へと尾瀬散策に出かけてみた。

尾瀬国立公園にはテン場が3箇所ある。
そのうち初日の幕営予定地だった尾瀬沼キャンプ場は完全予約制だ。
出発前日にネットでそのことを知り、電話で確認したところすでに予約で満員状態。

「隅っこでもいい・・・」
「出来ません」

とキッパリ。
「テン場に予約なし」と思っていたが尾瀬人気を甘く見ていたようだ。

※尾瀬沼キャンプ場はテントサイトが区分され、整備されているため予約制になっています。

残る2箇所のキャンプ場は予約はいらず、地べたに設営するいわゆるテン場。
この2箇所を拠点に周れるスケジュールに急遽変更だ。

富士見峠に向かうとアヤメ平が見えてきます。


現在は戸倉からバスを利用して鳩待峠に入るのが一般的だが、極力お金を掛けたくないこともあり、富士見下の無料駐車場から富士見峠を越えて、見晴キャンプ場へ抜けることにした。
富士見峠からのルートは今でこそひっそりしているものの、かつてはメインの入山口だったクラシックルートだ。

一般車両通行禁止の長くて地味な砂利道をひたすら歩くこと2時間程で富士見峠に到着。
ここからが本番、いよいよ尾瀬歩きだ。

初日は見晴キャンプ場にテント設営、体力次第でピストンで燧ヶ岳へ登るスケジュールだ。

燧ヶ岳まで行くとなると、距離、時間ともにきついスケジュールになってしまうが、社会人たるもの限られた期間内での行動は致し方ない。
まぁ、体力次第になるが張り切って行くことにしよう。

八木沢道は泥濘箇所が多く、場所によってはほとんど沼状態。
その反面、ほとんど人はおらず、静かな山歩きが出来るので、「人込みは嫌い、だけど尾瀬には行きたい」といった人にはお勧めできるルートだ。

赤ザックに色づいた落ち葉が良く映える。


沢沿いでは秋の色合いが強くなり、色とりどりの落ち葉で敷き詰められた河岸を眺めれば、秋の雰囲気をバッチリ満喫だ。
そして林の間から燧ヶ岳がチラリと見えてくると、いよいよテンションも上がってくる。

予定より少し早いペースで『見晴』に到着。
これ、『みえはる』と読みたい私だが『みはらし』です。

「今日はどちらまで?」
「『みえはる』です。」
「ああ、『みはらし(見晴)』ね。」

こんな穴があったら入りたい状況を事前リサーチのおかげで回避できた。


テン場の受付は燧小屋まで。(1人800円)


見晴はステキ過ぎる山小屋が立ち並び、ちょっとした温泉街のような雰囲気だ。
無料の休憩所もあり、山中でも物価がそれほど高くないのもステキな要素だ。(貧乏臭い)

燧小屋で受け付けを済ませ、紅葉で染まる木の下にテントを設営。
これまで5時間程歩いてきたが、疲労もそれほどたまっていない。

「燧、行ける!」

ということで早速テントを出発。

見晴から15分程歩けば、燧ヶ岳の登山道『見晴新道』が現れる。
まずはブナ林を緩やかに登って行くのだが、ここも泥濘が多い。

初日からズッポリと泥にハマってしまっては、いたたまれない気分になってしまう。
注意して歩こう。

時間も時間なだけにこれから登る人はほとんどおらず、何かのツアーなのか、下りの人はゾロゾロと多い。
そして足元を見ると泥だらけ。

ああ、いたたまれない。
注意して歩こう。

5つのピークを持つ燧ヶ岳。写真左から柴安嵓(しばやすぐら)、俎嵓(まないたぐら)、御池岳(みいけだけ)。


傾斜がきつくなる頃には泥の心配もなくなり、黙々と集中して登ることができる。
樹林帯を越えると一気に視界が晴れ、燧ヶ岳の最高峰『柴安嵓(しばやすぐら)』、三角点のある『俎嵓(まないたぐら)』、『御池岳(みいけだけ)』などが見えてきた。
そして振り返れば至仏山を背景に、金色に染まった尾瀬ヶ原が広がっている。

これまでの疲れが吹き飛ぶ瞬間だ。(でも慣れるとすぐ疲れます)

山道には若干の積雪があり、空気もヒヤリと心地よい。
晴天の中、申し分ない景観を楽しみながら、柴安嵓に到着、次いで俎嵓にも行ってみる。


360度、眺望は最高。
今回は断念した尾瀬沼も一望できて、すっかり行った気になれた。

5つのピークを持つ燧ヶ岳の最高峰『柴安嵓(しばやすぐら)』。


ミノブチ岳越しに尾瀬沼。


俎嵓から見る柴安嵓。その向こうには至仏山が見えます。

日没前にはテン場に戻れそうなゆとりを持ちつつ、ゆっくりと下山。
疲労しているせいか、下山の体感時間は実に長かった。

「これだけ歩いたのに、まだ1Kmしか進んでいないのか?!」とガッカリすることが多々あった。

これもゆったりした時間が流れる尾瀬の成せる技なのか。(違います)

下山後、冷え切った指先を無料休憩所のストーブで温め、少しばかり観光を楽しむ。
戻ってきた見晴は夕食時間ということもあり賑やかだった。
賑やかと言ってもベロベロに酔っぱらう者などおらず、気持ちのいい賑やかさだ。

テン場も賑やかで楽しい雰囲気。
かと思っていたら隣のテントから早くも大イビキが。

これも『山』ならでは。

本日の写真

尾瀬、夜明け前。

『田代原』ではちらほら色づいています。

富士見峠までの中間地点『馬洗渕』。

今でも休憩できる『元休憩所』

アヤメ平が見えてきた。

富士見峠の富士見小屋。

生態系保全のため、湿地帯に入る前に靴に付いた土や種子を落とします。

食べませんが、食べられそうなキノコ。

雲のかかる燧ヶ岳。今日中にあのてっぺんを目指します。

きっと12の曲がり角がある『十二曲り』(※数えてません)

苔びっしりの石。

青空!

モフモフな苔。

名称の由来が気になる『昼場』。

燧ヶ岳をバックに紅葉。

ニョキニョキ出てます。

象の頭っぽい苔の生え方。

一人ずつ渡るべし。

落ち葉がカラフルな河岸。

八木沢橋。

すっかり秋色です。

木の上を歩いて泥濘を渡ります。

赤ザックによく映える。

見晴沼尻川橋。

泥濘は慎重に渡らないとズッポリとハマります。

色鮮やかな紅葉。

見晴キャンプ場に到着。

テン場の受付はこちら。

早速、設営。時間も早いからいい場所を確保できた。

燧ヶ岳へ続く木道。

さて、いよいよ登山口です。

水浸し、泥濘と、悪路多し。

ゴロリと巨石。

この辺りの傾斜はまだ緩くて登りやすい。

倒木を乗り越えて進みます。

徐々に傾斜がキツくなってきます。

柴安嵓と俎嵓が見えた!

至仏山と尾瀬ヶ原も一望できます。

ガレ場をのぼってもうすぐ山頂。

おっ!山頂か!?(ニセ山頂です)

燧ヶ岳山頂は目前。

積雪があった模様。

山頂までもう一息。

燧ヶ岳山頂(柴安嵓)に到着。

次は東側にある俎嵓に行きます。

今回行けなかった尾瀬沼を一望。

俎嵓。こちらには三角点があります。

俎嵓から柴安嵓をパチリ。

柴安嵓越しに至仏山。

鞍部にある巨石。冷え込んだのかつららが出来ています。

また燧ヶ岳山頂。

温泉小屋道は廃道となっています。

明日は尾瀬ヶ原を横断して至仏山へ!

本日の山行情報

複数人山行/1日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

燧ヶ岳(ひうちがたけ)
柴安嵓(しばやすぐら):標高2356m
俎嵓(まないたぐら):標高2346m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

富士見下[着] 05:05 - [発] 05:05
 ↓ 115分 
富士見峠[着] 07:00 - [発] 07:40
 ↓ 150分 八木沢道
見晴[着] 10:10 - [発] 11:00
 ↓ 175分 見晴新道
柴安嵓(しばやすぐら)[着] 13:55 - [発] 14:05
 ↓ 15分 
俎嵓(まないたぐら)[着] 14:20 - [発] 14:25
 ↓ 25分 
柴安嵓(しばやすぐら)[着] 14:50 - [発] 14:50
 ↓ 160分 見晴新道
見晴[着] 17:30 - [発] 17:30

行動時間:10時間40分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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