2011年10月9日
尾瀬:2日目
至仏山:尾瀬ヶ原はまさしく尾瀬だった。

早朝、目が覚めると肌寒い。
案の定、フライシートには霜が降りていた。

紅葉から朝日が差し込みます。


今日は、尾瀬ヶ原を横断して山ノ鼻キャンプ場にテントを移動、至仏山に登る予定だ。
山ノ鼻キャンプ場は見晴キャンプ場ほど広くない、と事前リサーチで情報を得ている。
そのため、いい場所を確保するためにも、かじかむ手を擦りながら霜の降りたテントを撤収して早朝の尾瀬ヶ原に向かった。

尾瀬ヶ原に踏み込むと、そこはまさしく尾瀬だった。

朝靄の立ち込める金色の湿原帯に木道が続いている。
日は昇っているが朝靄の向こうでぼんやりした光を放っているだけで、振り返れば昨日登った燧ヶ岳がうっすらと浮かんでいる。
何とも幻想的な雰囲気に静かな感動すら覚える光景だ。

いくつか流れる川沿いには水を拠り所にする『拠水林』が立ち並び、朝靄効果のおかげで遠目ではぼんやりとしか見えないが、近づくほどに紅葉の色彩が鮮やかになる。
『池塘』と呼ばれる湿地帯の水溜りも所々に形成され、日本らしい秋の様相を演出。
歩いていて楽しい上に、整備された平坦な木道は何処までも歩いて行けそうな気分になれる。

朝靄の中、ぼんやりと浮かぶ朝日。


川沿いに立ち並ぶ『拠水林』。


拠水林に朝日が差し込むと幻想的な雰囲気に。

日が高くなるにつれて朝靄も晴れ、至仏山のなだらかな山容が見えてきてた。
同時に鳩待峠からのお客さんもドッと増えてきた。
シャッターチャンスを狙うお客さんで賑わう牛首分岐で軽い朝食(リンゴ1個)を摂り、山ノ鼻キャンプ場へ向かう。

湿地帯に形成される水溜り『池塘』。水源は雨水のみだそうです。


ここはあの世か極楽か。


至仏山を眺めながらリンゴをかじる幸せ。

さすがに9時前ではテン場も空いていた。
至仏山荘で受け付けをして、快適そうな場所にテント設営。

この山ノ鼻キャンプ場は通路となっている木道のすぐ脇にあるため、お客さんがゾロゾロと通って行く。
中には家族連れも少なくなく、テントのベンチレーター(換気口)に興味を示した子供にお父さんが「鳥を観察するための穴だよ」と、ウソ情報を教える微笑ましい光景にも出会えた。

程良く和んだところで至仏山に向けて出発。

ツルンツルンに磨かれています。


至仏山はツルツル滑ると評判の『蛇紋岩』がある。
蛇紋岩は植物が生息しにくい性質も持っており、誰に聞いてもよく滑ると言う。
そんなこともあってか、危険防止(且つ植生保護)のため山ノ鼻からのルートは上り専用となっている。
どれだけ滑りやすいのか実際に歩くのが楽しみだ。

今日は空身とまではいかないが、簡易ザックでかなりの軽装。
身軽なおかげで登りはスイスイと絶好調だ。

蛇紋岩は確かに滑りやすい。
中には何人もの足元をすくったであろう、黒光りしている蛇紋岩もあり、迂闊に足を置くことが出来ない。
しかし、ソールの掛かりを意識して歩けば、滑ることはあまりなかった。
蛇紋岩、おそるるに足りず!(身軽なので調子に乗ってます)

至仏山は蛇紋岩の影響なのか樹林帯が少なく、早い段階で視界が開ける。
おかげで尾瀬ヶ原を挟んで燧ヶ岳が見通せるナイスな眺望を楽しみながら登ることができた。

至仏山ドーン。


身軽にグイグイ登って行くと、なんだか山頂はガスっぽい。
難なく山頂に到着した頃には、残念ながらガスの中だった。

それでも人の多き事よ!

丁度お昼どきということもあってか、揃いも揃って昼食を摂っている。
こちらも負けじと(何に?)昼食用のリンゴをかじる。

しかし体温を奪われる山頂で長居は無用。
そそくさと小至仏山へと下山を始める。


こちらは交通の便が良い鳩待峠からの登山客が多く、上り下りのすれ違い待ちのため所々渋滞している。
それだけに蛇紋岩もよく磨かれていて、評判通りによく滑る。

下山していくと視界も回復してきた。
至仏山は尾瀬ヶ原から見ればなだらかな印象だが、その反対側(西側)はゴツゴツした岩場で荒々しく印象がまるで違う。
燧ヶ岳を男性に例えるならば、至仏山は女性と表現されることがよくあるが、この2面性をもつ至仏山を見ると納得だ。(女性を敵に回す発言か?!)

至仏から小至仏までは、部分的に道が狭く滑りやすい危険箇所があったものの、小至仏を越えれば山道も整備が行き届いており安心して下山することができる。

大賑わいの鳩待峠。


紅葉や落下傘のような植物(ヒロハツリバナ)などを楽しみながら無事に峠へ下山すると、さすがメインの入山口、鳩待。
尾瀬散策を楽しんだお客さんで大賑わいだった。

遠足を楽しみ、綺麗に整列して帰りのバスを待っている大人たちを見ていると、何だか微笑ましいと言うかシュールで面白い。
そんな光景を眺めながら、御褒美の花豆ソフトクリームをペロペロと舐める私(一応、大人)。

花豆ソフトを舐め終え、のんびりと山ノ鼻へと帰還。
夕食の時間にはまだ早いこともあり、テン場の向かいにあるビジターセンターを覗いてみた。

キリッ!と男前。


ビジターセンターでは男前のクマ(剥製)が「よく来たな」とばかりにお出迎え。
尾瀬に関する情報満載で、実際に歩いてきた直後なだけに、「ほー、そうだったのか」と、新たな発見があって実に楽しい。

最近の台風や大雨の影響で、鳩待~山ノ鼻の区間で土砂崩れがあったり、浸水して木道が流されたりと、今年は大変な年だったようだ。
山道を整備してもらえる有り難さを忘れず、謙虚さを持ってローインパクトの山歩きを心がけたいものだ。

本日の写真

テン場も広く快適な見晴キャンプ場。

朝日が差し込みます。

洒落た雑貨屋を思わせるステキな山小屋。

無料休憩所も充実。

ステキ過ぎるぜ!

朝靄のなか尾瀬ヶ原へ。

今朝はだいぶ冷え込んだ模様。

金色の湿原に伸びる木道。タメ息ものです。

寒いがキレイ。

朝靄に朝日が幻想的。

川沿いには『拠水林』が形成されています。

はぁ・・・ステキ過ぎるぜ、尾瀬!

湿地帯でも木道のおかげで快適。

拠水林が見えてきた。

群馬県との県境。

木漏れ日も幻想的。

竜宮小屋に到着。

所々に休憩スペースがあります。

湿原に出来る水溜り『池塘』。供給源は雨水のみです。

何処まででも歩けそうな気分。

新しく整備されたばかりのニュー木道。

本日のお気に入り写真。あの世っぽい雰囲気。

あちこちに池塘があります。

朝日をほんのり反射。

朝靄がはれ、至仏山が見えてきた。

至仏山を見ながらリンゴをかじる贅沢さ。

至仏山は尾瀬ヶ原によく映える山容です。

海藻みたい。

至仏山が近づいてきた。

山ノ鼻に到着。

テン場の受け付けはこちら。

ビジターセンターの向かいにテント設営。

研究見本園から至仏山に向かいます。

こちらからのルートは植生保護と安全のため、登り専用です。

まずは木道の坂。

石敷きの道。

見事な色づき。

日本の秋ですなぁ。

尾瀬ヶ原の向こうに燧ヶ岳。カッコイイ。

至仏山名物『蛇紋岩』。濡れているとツルンツルンです。

何年かけてここまで浸食させたのか。

ツルツルなので念のためにクサリを活用。

クサリ場がいくつかあります。

見るからに滑りそうな蛇紋岩。

クサリを使えば楽々。

至仏山の階段は歩幅が丁度良くて歩きやすい。

だいぶ登ってきた感じ。

ニョキと出てるケルン。

おお!人だらけの山頂!

至仏山頂、ドーン。

残念ながら山頂はガスの中でした。

至仏から小至仏の岩場は、登山客の往来が多いせいか、よく磨かれて滑ります。

岩がゴロゴロしています。

小至仏山頂も賑わってそう。

西側の谷も色づいています。

小至仏山頂。

西側に見える『ならまた湖』。

昨日登った燧ヶ岳。

この白いのは何だろうか。

オヤマ沢。

なだらかで下山時でも膝への負担が軽い。

落下傘のようなヒロハツリバナ。

まだまだ色づきそう。

鳩待まで残り1キローっ!

登山者カウンター。

遠足を楽しむ大人たち。なんだか愉快な光景。

さすがに鳩待峠は賑わってます。

花豆ソフトクリームでシャキッと爽快。

真っ赤っか。

木道のゆる~い下り。

台風の影響で崩れています。キケン。

上から読んでも下から読んでも川上川。

川沿いを散歩気分。

クマ鈴ならぬ、クマ鐘。

見事なグラデーション。

葉っぱがデカイ。

至仏山名物、蛇紋岩。そのツルツル具合を体験出来ます。

ムササビの剥製。

ツキノワグマが熊の豆知識をご案内。

なかなかの男前。

キリッ。男前なヤツめ。

本日の山行情報

複数人山行/2日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

至仏山(しぶつさん)
標高2228m
詳細(外部リンク)
小至仏山(こしぶつさん)
標高2162m

本日のスケジュール

見晴[着] 05:35 - [発] 05:35
 ↓ 95分 
竜宮十字路[着] 07:10 - [発] 07:10
 ↓ 30分 
牛首分岐[着] 07:40 - [発] 08:15
 ↓ 30分 
山ノ鼻[着] 08:45 - [発] 09:30
 ↓ 120分 
至仏山[着] 11:30 - [発] 12:00
 ↓ 40分 
小至仏山[着] 12:40 - [発] 12:40
 ↓ 105分 
鳩待峠[着] 14:25 - [発] 15:00
 ↓ 55分 
山ノ鼻[着] 15:55 - [発] 15:55

行動時間:7時間55分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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