昨日、偵察に行った笹谷峠登山口から山形神室を歩く予定をしていたが、寒波接近により全国的に大荒れの予報。
これは止めておいた方が無難だ。
そこで友人Kと山形市のお隣、上山市にある三吉山/葉山のスノートレッキングに出掛けた。
三吉山の山頂には三吉神社の鐘撞き堂があり、上山市を見渡せるロケーションで梵鐘を撞く事ができる。
そして『岩海』も見どころのひとつ。
氷河期に噴出したマグマにより均等に破砕された岩が斜面を覆っている『岩海』。
この時期は積雪で見れないだろうが、頭の片隅に入れておこう。
三吉山登山口となる金生熊野神社までの舗装道路は除雪されていなかった。そこで、ずっと下にある三吉神社鳥居前に駐車して、ここから登る事にする。
年の初めの初詣としては、神域の入口となる鳥居からお邪魔するのが礼儀というものだろう。(除雪されていたらどうだったか)
除雪されていないせいか初詣参拝者の姿はない。
そもそも積雪期に三吉山、葉山をウロウロする者はいないのか。
こちらとしては静かに初詣、兼スノートレッキングが楽しめるのは有り難い限り。
スノーシューを履いて、まずは三吉山中腹にある金生熊野神社まで歩き始める。
見上げると東北ならではのどんよりした空模様が広がっている。
寒波接近の天気予報も今のところまだ影響していないのか、風も穏やかでさほど寒くはなく、時折太陽も顔を覗かせている。
そんな天気もあって、まだまだ雪は締まっておらず、ヘタに踏み込むと雪面下の石に擦れてスノーシューを痛めてしまう。
借り物と言う事もあり、そろりそろりと歩いて金生熊野神社に到着。
ここから三吉山登山道のはじまりとなるが、予定を変更して葉山方面へ続いている林道を進む事にする。
何せこの林道、積雪具合が丁度良く、踏み跡はまったく無いまっさらな状態。
こんな快適スノートレッキングを楽しめそうな林道を歩かない手はない。
三吉山→葉山のピストンから、三吉山を巻いて林道を進み、葉山→三吉山のループにコースを変更した。
地図こそ用意していなかったが、友人Kは三吉山に何度か登った事もあるし、事前にこの付近の地形図を眺めていたからある程度の位置関係は把握している。
多分、大丈夫だろう。(これが失敗のモト)
林道は想像通りの快適さで、キツネらしき獣の足跡を追いつつ快調に歩く事ができる。
この林道は「クアオルト健康ウォーキング」と称して、上山市観光物産協会が企画しているウォーキングコースのひとつとなっている。そのためか所々に休憩所や案内板が整備され、『宮生清水(みやおいしみず)』なる水場もあった。
もっともベンチは雪に埋もれ、水場は凍結で利用不可。『健康』と言っても積雪期に歩く事はないのかも。
金生熊野神社から林道を1時間程歩くと葉山登山口が現れる。
ここから、いよいよ山道に突入だ。
20~30cm程の積雪の樹林帯を黙々と登る。
登る程に木々に付着した雪の量が増え、白い珊瑚のように見えてきた。
山頂付近になると急な登りとなり、これまた急な雪面をトラバースする箇所も出てくるが、樹林帯と新雪に守られ、さほど危険を感じる事は無い。
途中、おにぎり休憩でカロリー補給をしつつ葉山山頂へ。
晴天で青空が見えていたら絵になるのだろうが、残念ながら灰色の寒々しい景色が広がるばかり。
山頂の祠に手を合わせ、次の目的地である三吉山へ向かう。
葉山から三吉山へは稜線伝いに歩けば到達する。
踏み跡がなくても尾根を外さない限り迷う事はないだろう。
と、安易に思っていたのだが、尾根伝いに歩き始めておかしな方角に進んでいる事に気が付く。
一端立ち止まり、コンパスで方角を確認。
うっすら記憶に残っている地形図を思い浮かべても進行方向がおかしい。
とは言っても地図も無く、現在地が曖昧な事もあり、「こっちで間違いない」と確証を得られず行ったり来たりウロウロする。友人Kが持っているスマホも寒さで電圧が下がってしまったのか起動しない。
地図がなければコンパスから得られる情報は半減以下になってしまう事を実感。(目標物が視認できる環境なら別)
結局、葉山山頂まで戻る事にしたが、懐で温めてようやく起動したスマホにより、葉山まで戻ることなく現在地を特定する事ができた。確認すると早い段階で稜線から外れ、支尾根に入っていたようだ。
葉山より標高の低い三吉山に向かう場合は、小ピークから支尾根が分岐しているため何気に歩いていると稜線から外れてしまう。逆に三吉山から標高の高い葉山に行く場合は、支尾根が合流するだけなので迷う事はない。
低山とは言え、考えがあまかった。
三吉からも「なめるなよ!」とお叱りを受けた感じだ。(注:三吉山の御祭神は『三吉』ではなく『大物主神』)
その後、無事に到着した三吉山山頂で参拝、梵鐘を鳴らす。
響き渡る鐘音の余韻をしみじみと聴きながら、この程度の失敗で学べて良かったと思いつつ反省。
ここにきて寒波の影響が出てきたのか、急に気温が下がってきた。
友人Kのお気に入りミルクティーで胃袋を温め、冷え切った手先を温めるためにも早足で下山を開始。
夏山と比べて積雪期の下山は楽々。
少し期待していた『岩海』は、雪に埋まって単なる雪面にしか見えず残念だったが、暗くなる前に出発地点の鳥居まで戻ってくる事ができた。
道迷いなど反省点はあったものの、初詣、兼スノートレッキングは無事に終了。
『岩海』はまたのお楽しみにしておこう。
【本日の学び】地図とコンパスはセットで装備するべし。