2014年1月25日
吾妻連峰:日帰り
滑川温泉:秘湯めざして峠駅、再び。

冬季は歩いてしか行けない秘湯の滑川温泉。


「改めて滑川温泉、どうだい?」

友人Kから連絡が入った。

道間違いによる大幅なタイムロスのお陰で、滑川温泉に辿り着けなかった先週の山行。
帰宅後にネットリサーチしてみると、冬季休業中でも滑川温泉福島屋の内湯に入れるとの情報を入手した。(※露天風呂は冬季閉鎖)

こんな情報を得てしまうと先週の失敗が悔やまれる。
そして俄然、改めて行きたくなる。

どうやら同行者だった友人Kも同じ思いをしていたようだ。
無論、断る理由など無い。二つ返事でOKだ。



今日もまたカッコイイ峠駅からスタート。


友人Kと合流して再び峠駅へ。

到着した峠駅は相変わらず格好良い空間。
そして、こちらも変わらず立ち売りに来ている『峠の力餅』を購入。

変わっている事と言えば天気だ。

先週は気温が低くてサラサラの新雪だったが、本日の気温は3月並みにまで上がっている。雪が重くなる変わりに、ワカンでの歩行がしやすくなるはず。
ただ、雪崩、落雪には要注意だ。

たった一週間とは言え、先週とは全く異なる状況に、気を引き締めて(道を間違わないように)出発した。

「オレについてこーい!」と言わんばかりに吠えながら先頭を駆ける、何処かのワンコに導かれて滑川温泉方面へ。
先導ワンコは峠駅から10m程誘導しただけで姿を消してしまったが、さすがに本日は道に迷う事なく目的地へとまっしぐらだ。

未除雪の林道には先週歩いたトレースなど一切残っておらず、湿って重い雪が積もっているだけだ。
それでも歩行スピードは前回を上回っている。

快調な足取りでも、木の枝に残っている重そうな雪が頭上に落ちてこないよう、上部への注意は怠らない。(でもすぐに忘れる)

雪の斜面を転がり落ちてできた渦を巻いた雪だるま。


山道脇には、雪の斜面を転がり落ちて出来たのだろう、渦を巻いた雪だるまが散乱している。
中にはその渦巻きを見事にキープしているものもあり、一口サイズのロールケーキのようで実に美味そう。

・・・ゴクリ。

前回引き返した地点を難なく越えて更に進むと、温泉成分なのか赤い岩肌に沢が流れ、水面上の岩には層になって雪が積み重なっている不思議な光景が見えてきた。そしてほのかに漂う硫黄臭。
いよいよ目的の秘湯は近いようだ。

五色温泉、姥湯温泉への分岐点を越え、落雪多発地帯を乗り越えれば、もう着いたも同然。
冬季は雪山装備でなければ辿り着けない秘湯『滑川温泉福島屋』に到着した。

200余年の歴史を持つ『滑川温泉福島屋』。


想像していたより立派で大きい。
そして嬉しい事に小屋番さんが常駐しており、ネットリサーチ通りに内湯を利用できるとの事。(日帰り入浴500円)

何ィ?帰り道でまた汗をかくだろう?
ここまで来たのは温泉に入るためだッ!

と、お楽しみの入浴の前に、まだ時間があるので大滝展望台付近まで散策に出掛けた。

福島屋さん裏の吊り橋を渡ると、急傾斜になり一気に山道らしくなった。
夏道は埋もれているので、雪山ならではの自由なルートファインディングだ。

福島屋さん裏の吊り橋を渡って大滝展望台方面へ。


落雪跡の多い箇所をなるべく回避しつつ、夏道なんぞお構いなしで急傾斜をガツガツと登る。
こんなルート取りは雪が締まっているから出来る事。先週のようにサラサラの新雪では到底登れなかっただろうルートを突き進む。

斜面の中腹には廃墟マニアが喜びそうな、古びた鉄塔が建っていた。
だらしなく枝にぶら下がる鉄塔のパーツが、余計に廃墟感を煽る。

後程、小屋番さんに訪ねたところ、滑川鉱山の名残だそうだ。
「一昔前の観光用リフトじゃね?」などと、大人として適当過ぎる発言をしていたのは内緒にしておこう。

急坂を登り切って尾根に出ると、本日はじめて『登山』している感じの景色が拡がっていた。
曇り空で上の方はガスこそ掛かっているが、周囲の尾根や山々を見渡す事ができる。もう大滝展望台まで行かなくとも、満足の爽快感だった。

山座同定によって山名が明確になると、次なる歩行欲が芽生える。
山座同定するまでは、見当違いな方向の小さな尾根筋を見上げて、「あそこが県境の稜線じゃね?」などと、適当発言をしていた事も内緒だ。

廃墟と化した鉄塔。滑川鉱山の名残です。


何処までも連なる奥羽山脈。


帰りは急斜面を一気に尻滑り。

さぁ、風呂風呂。

登ってきた急傾斜をあっという間に滑り降りて、お楽しみの温泉タイムだ。
小屋番さんのご厚意により、玄関の薪ストーブ前で濡れたウェアを干させてもらい、手拭い片手にいざ内風呂へ。

200余年の歴史を持つ『滑川温泉福島屋』。

建物自体は古そうだが綺麗に手入れされており、風合いある照明が照らす薄暗い廊下は雰囲気抜群だ。(薄暗いのは雪囲いしているためです)
この福島屋さんで使われている全ての電気は、側を流れる『前川』を利用した水力発電によるもの。完全に水力発電で賄われている旅館は全国的に珍しいそうだ。

男女別の内風呂もあるが、折角なので大浴場(混浴)に入る。
私たちが来た後にバックカントリースキーのお客さんが来ていたが、お風呂は貸切状態。

いや、混浴に期待した訳ではないですよ。
(ヨメに言い訳か?)

扉を開けると、いかにも効きそうな硫黄臭がふわっと広がる。
浴槽は乳白色の濁り湯で満たされ、湯の花(温泉成分の結晶)が漂っている。言うまでもないが加水・加温・循環消毒は一切行っていない、文字通りの源泉掛け流し。

かけ湯をしてザブンと入浴。
くぅ~~~~~~っ、たまんねェな!!

内湯でも外の冷気が程良く入ってきて快適。お湯の温度も良い加減。
すっかり身も心もポカポカだ。

泉質の効能は良くわからないが、気分的には兎に角、効きそう。医学的根拠なんて必要ナシだ。(気持ちが大事です)
これは、自らの足で歩いて来たからこその感覚かもしれない。

歴史を感じさせます。


混浴の大浴場。浴槽は乳白色の濁り湯で満たされ、湯の花(温泉成分の結晶)が漂っています。


滑川温泉福島屋は全国的にも珍しい完全水力発電による旅館です。

風呂でサッパリした後は薪ストーブの前で、持参したコーヒーとバームクーヘンをたしなむ。
この組み合わせもまた、たまんねェな!!

そうこうしている内に濡れたウェアも乾き、お世話になった小屋番さんにお礼を伝えて下山の途に就いた。
ここはまた利用したいな。

帰りはトレースを外れて付近の稜線を散策。


小屋番さんも言っていたが、冬季は人が来る事自体珍しいのに、今日は私たちを含め9人もの登山者が訪れている。
そのおかげで、帰り道にはきっちりとトレースが出来上がっていて歩きやすい。

時間的な余裕もできたので、途中からトレースを外れ、未開拓の雪面を楽しみながら峠駅へと下山した。

本日は決して天気が良いとは言えないのに、先週の失敗を補ってなお余りある満足度の高い山行となった。
突然の訪問でも温泉に入れた事がやはり大きい。

冬山の秘湯って素晴らしい!

漫画的山行記録

道間違いにより、目的を果たせなかった先週の山行。

今週、改めて滑川温泉を目指します。

今週もカッコイイ峠駅からスタート。

峠。

「オレに着いてこーい!」と言わんばかりの何処かのワンコに導かれ、

分岐点を見過ごさず、いざ滑川温泉へ。

本日はワカンの利く雪質です。

先週と同じく本日もトレースなし。

小さな落雪多数。

トレース無しだけど雪がそこそこ締まっていて歩きやすい。

湿った重い雪が落ちてくるので頭上注意!

ロールケーキ2個。ゴクリ・・・。

橋が見えてきました。

一部凍結。

独特の閉ざされた世界観です。

五色温泉方面の林道は、恐ろしくて行けません。

滑川温泉福島屋さんが見えてきました。

末広がりに落雪多発。

冬季は歩きでしか来れない秘湯です。

冬季休業中ですが管理者は常駐しています。

玄関には薪ストーブ。暖かけぇ~。

峠駅で購入した『峠の力餅』を頂きます。小屋番さんにもおすそ分け。

温泉へ入る前に大滝展望台方面を散策してきます。

夏道なんてお構いなしで直登。

廃墟と化した鉄塔。滑川鉱山の名残です。

尾根に乗りました。(夏道から外れています)

植物も防寒。

奥には高倉山。

鉄塔ならぬ木塔に歴史を感じます。

何処までも連なる奥羽山脈。

さて、

そろそろ目的の温泉へGO!

来た道を一気に滑り下ります。

温泉成分で赤いのかな。

軒下は落雪に要注意!

玄関の薪ストーブで濡れたウェアを干して、と。

雰囲気のある照明が廊下を照らします。

裸電球もイイ感じ。

雪囲いと窓の間にも積雪。

貸切状態で内湯の大浴場(混浴)へ。

くぅ~~っ、たまんねェな!!

綺麗に管理されているので女性にもおすすめです。

滑川温泉福島屋さんの電気は水力発電で賄われています。

200余年の歴史を持つ滑川温泉福島屋さん。

風呂上がりに一服します。

インスタントなのにドリップしたての味わい。オススメ。

コーヒーとバームクーヘンの組み合わせは絶妙だぜ!

このまま泊まりたいですが帰ります。

雪崩れそうなポイントは上部を気にしながら素早く通過。

こんな時期にミイラ化したカエルが。冬眠明けを早まったか・・・。

夏道を外れて雪山ならではの稜線を散策。

結構、雪庇が張り出しています。

おおっ、でっかなロールケーキだ。

峠駅に戻ってきました。落雪が多くて危険すぎる!

あの電車に乗って帰ります。

先週の雪辱を果たして、無事に滑川温泉を堪能出来ました。

お疲れ様でした。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/電車・バス登山

滑川温泉(なめがわおんせん)

詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

峠駅[着] 07:55 - [発] 07:55
 ↓ 155分 
滑川温泉[着] 10:30 - [発] 11:20
 ↓ 65分 
大滝展望台方面[着] 12:25 - [発] 12:25
 ↓ 35分 
滑川温泉[着] 13:00 - [発] 14:05
 ↓ 120分 途中、別ルートを散策
峠駅[着] 16:05 - [発] 16:05

行動時間:6時間15分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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