2017年11月3日
山梨の山:日帰り
小楢山:いつも心に山頂を。

小楢山の山容。


ああ、至極の快晴。

サクッと身近な山を歩くには絶好の天気だ。

8月頃からスッキリしない天気が続き、ここにきてようやく快晴日が続くようになってきた。これまでの悪天候でソワソワ、イライラ、モンモンとしていた期間が長かったせいか、余計に晴れやかな気分になる予感しかしない。

早速、ウキウキウォーキングに出発。



この先、悪路です。


本日の目的地は小楢山。

焼山峠からのルートが一般的のようだが、今回は窪平側から登る。獣害対策用のゲート手前に正規の駐車場があり、ゲートを越えた先にも駐車スペースがあるとの情報を得ている私は、四駆でもないくせにアクセルベタ踏みで悪路に挑む。

何とか登山口に到着して安堵の吐息をもらす。「天気が良いのだからゲート手前に駐車して歩けばよかった・・・」などと後悔を伴い少々暗い気分になる。

おっと、いかん。晴れやかに晴れやかに。

ここから小楢山へは『父恋し路』と『母恋し路』の二つのルートがあり、案内図にはその名称由来も書かれていた。何度か読み返して私なりに理解した由来の要約はこうだ。

戦国時代に討ち死にした夫と、そのショックのあまりに盲目となってこの地で遭難死した妻の供養として訪れた子供たち(姉弟)の様子が由来。

当たらずといえども遠からずだと思う。正確な由来はともかく、父恋し路を登って母恋し路を下るスケジュールで出発した。

秋晴れならではの乾燥感がたまらない。


乾いた落ち葉が歩くたびにカサカサと音をたてる。大人げなく寝転がったとしても濡れる心配が一切無いのは実に心地よい。暑くも寒くもなく、衣類も周辺も全てが乾いていてる状況に、自然と晴れやかな気分になってきた。所々にある石仏の表情も晴々しく映る。

暖かな日差しを背に受けながら谷間を登ると、目前に『白雲の滝』が見えてきた。滝の部分こそ目に見えて露出しているが、それ以外の沢らしい様子は見当たらず、苔生した岩の下から沢音だけが聞こえている。これもまたオツなものだ。

白雲の滝に沿った岩場を登り終えて尾根に乗ると、巨岩が目立つようになってきた。この辺りでは『屏風岩』や『羅漢岩』など、名称の付けられた巨岩が点在しており、尾根上で圧倒的な存在感を放っている。

そんな巨岩に見惚れながら登り続けていると、ひょっこりと大沢山の山頂に出た。巨岩に目を奪われていたせいもあって、思いがけず到着した山頂に戸惑いもしたが、満ち溢れる山頂感効果で一気に気分が晴れやかになる。

私にとって山頂感溢れる山頂とは、標高も広さも関係なく(むしろ狭い方が好ましい)、到着すると周囲の視界が一気に開けるような爽快な場所だ。この通過点としか思っていなかった大沢山には、好天も相まって私の求める山頂感要素がたっぷりと含まれていた。

滝部分だけ露出。


圧倒的な存在感を放つ巨岩。


大沢山からの富士山。


唐突に開放された景色と共に気分が解放される。オールリセット。晴れやか気分は一気にピークへ。今ならどんな罵詈雑言を浴びせられても笑って受け止められそうだ。

珍しく自撮りなんかしちゃうテンション。


しばらく山頂感を堪能してから稜線伝いに小楢山へ向かったのだが、その途中にある『幕岩』がまた爽快だった。鎖が垂れ下がる岩場を登って幕岩の上部へ出ると、またもや得られる山頂感。晴れやかさ120%。珍しく自撮りなんかしちゃうテンションとなる。

連続で味わった多幸感により、ちょっとおかしな精神状態で本日の目的地となる小楢山へ向かう。

幕岩からは広い稜線を歩き、母恋し路の分岐点から緩やかな斜面を登り切れば小楢山に到着する。この山頂は広くなだらかで、大沢山や幕岩とは異なるほのぼのした印象を受ける。家族連れやピクニックなど、和気あいあいと過ごせる山頂としてポイントは高そうだ。そして、絵に描いたような富士景勝地であることが最大の魅力だろう。この山頂から見える富士山は宝永火口の出っ張りが見えず、左右相称となる裾野の広がりが見事としか言いようがない。

誰もいないポカポカ陽気の山頂で惚けていると、ぼちぼちと登山者が訪れ始めた。山頂に到着するなり皆さん例外無く、富士の姿に感嘆の声をあげている。さも自分が褒め称えられているような気になって、「ね、いいでしょ。ま、ゆっくりしてって」などと思ったりもする。

しばらくすると、登山用とは異なる大きなザックを背負った一行がやってきた。その不自然に大きなザックから出てきたるはパラシュート。山梨市の観光課がパラグライダー発着場の候補として実地調査しているようで、準備が整うといとも簡単に舞い上がり、富士山を背景にして上空を優雅に旋回している。

気持ちよさそうに浮遊してます。


こんなの気持ちイイに決まってる。眺めているだけでも気持ちイイ。快晴の本日は山歩き日和であり、パラグライダー日和でもあったようだ。それに加えてこの山頂感。心の淀み/曇りの一切が取り払われるこの感じは、山頂感があってこそ得られる感覚だ。

日常でもこの感覚が心の片隅に宿っていればハッピーだろうなぁ。儚くも下山したらすぐに忘れるのだろうけどなぁ。でも、たった今は気分晴々だからイイかぁ。

限りなく穏やかな精神状態(ある意味トランス状態?)となって母恋し路経由で下山した。

本日の行動時間は2時間程度。それでもここまで晴々しい気分になれたのは、気持ち良い秋晴れと、何にも代え難い山頂感のおかげ。

いやぁ、山頂って本当に良いモノですね。

※言うまでもなく下山後は穏やかさ激減。

漫画的山行記録

秋晴れのウキウキウォーキングに出発。

目的地は近場の小楢山です。

小楢山へは焼山峠からのルートが一般的ですが、窪平側から登ってみます。

小楢󠄀山登山口駐車場はこのゲートの手前にあります。

このゲートの先も車で進入できますが悪路です。

ここからが登山道となります。

この分岐点から『父恋し路』(険しい)と『母恋し路』(ゆるやか)に分かれます。

行きは『父恋し路』、帰りは『母恋し路』で行ってきます。

目指すはあの山頂。

この辺りは石仏が点在しています。

紅葉も部分的に色付いています。

苔生した岩場を眺めながら登ります。

『姫百合地蔵』。

秋らしい色合いです。

白雲の滝。滝部分は露出していますが、

その他は岩の下に隠れて、足元から水の流れる音だけが聞こえてきます。

滝の横を登ってゆきます。

石仏だろうか、何だろうか。

穏やかな天気で石仏も表情穏やか。

ここから上は落葉している模様。

まるで電柱。

『屏風岩』を通過。

谷間ですが日当たり抜群です。

存在感を放つ巨岩。

足元には古き標識。『迷道』には案内しないで。

『羅漢岩』。ゴリラの横顔にも見えます。ウホ。

唐突に大沢山山頂に出ました。

開かれる景色の主役はやっぱり富士山。

少し下ると『幕岩』があります。

鎖場を登れば『幕岩』の上部に出れます。

幕岩上部からの景色は圧巻!

金峰、国師方面。

八ヶ岳。

南アルプス。

遠くに乗鞍岳も見えます。

すぐ隣には大沢山。

反対側にはこれから向かう小楢山が見えます。

あまりの景色の良さにテンションもだだ上がり。

小楢山へはゆるやかな斜面を登ります。

広々した山頂に到着。

左右相称の美を放つ富士山。

そんな富士を見ながらパラグライダーなんて爽快過ぎる!

帰りはこの分岐点から母恋し路を下ります。

秋も終盤か。

秋と石仏は相性ピッタリ。

その昔、雨乞いしたのだろう沢。

林道工事現場が見えてきました。

ひとまず無事に下山。

うふふ。

小楢󠄀山登山口駐車場へと戻ってきました。

快晴と開放感あふれる山頂のおかげで晴々しい気分になれました。

晴々ッ!

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

大沢山(おおさわやま)
標高1674.6m
小楢山(こならやま)
標高1713m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

分岐点[着] 08:05 - [発] 08:05
 ↓ 61分 父恋し路経由
大沢ノ頭[着] 09:07 - [発] 09:10
 ↓ 2分 
幕岩[着] 09:12 - [発] 09:29
 ↓ 19分 
小楢山[着] 09:49 - [発] 11:07
 ↓ 35分 母恋し路経由
分岐点[着] 11:42 - [発] 11:42
 ↓ 17分 林道(車移動)
フフ山梨(駐車場)[着] 12:00 - [発] 12:00

行動時間:2時間16分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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