2013年12月8日
山梨の山:日帰り
百蔵山:ゴローとゆく秀麗富嶽十二景。

『ゴロー』の『エスハチ』をオーダーメイドした。

『ゴロー』とは東京巣鴨にある登山靴をオーダーメイドできる老舗靴店で、『エスハチ(S-8)』とは革製の重登山靴モデルのひとつ。

ハイテク素材で軽量化が主流の現代において、重くて手入れが面倒な革製登山靴をチョイスしたのは、各メーカーが出している既成品で両足にフィットする靴が見つからなかっただけではない。
昔ながらの登山靴への憧れ、そしてデメリットとなる手入れの手間が魅力的にもなるのだ。

『愛着』という意味では手間をかけた分だけ深まると言うモノ。
こんな、手間はかかるが育てられる要素を持つエスハチ。何とも魅力的ではないか。

買ったばかりで手入れ前のエスハチ。


ゴローのロゴ。


手入れ前はこんな状態です。

足形を取って私仕様に仕上がったエスハチを持ち帰り、早速手入れだ。
まずは防水ワックスを塗り込む。

歯ブラシを使ってムラにならないよう、均等かつ素早く塗り込む。縫い目や金具回りなどの細かい箇所は指先を使って塗る。
すると、みるみるうちに革靴らしい色合いになってきた。

この塗り込む過程、特に初回は目に見えてその変わり様がわかり、「手間のかかるヤツめ、お~、よしよし」と、履く前から既に愛着が沸いてくる。

防水ワックスを塗ります。初回はこのチューブの半分くらいは使います。


革靴らしい色味になりました。


ゴローのロゴもイイ感じ。

しかし、可愛がってばかりいられない。
防水ワックスを塗った後は3~4時間ほど放置。

防水ワックスが馴染んできたところで、今度はブラシを使ってまた可愛がって(磨いて)あげる。
磨くことによって、染み込んだワックスが溶けて更に浸透し、革製品ならではの色ツヤが出てくるのだ。

ブラシで磨いた後。すっかり革靴の風合いになりました。


ゴローのロゴもてかってます。


イイ感じになりました。

初回の処理ですっかり登山靴らしくなったエスハチ。
いい風合いですねぇ~、いいですねぇ~。

本当ならばあと2回は塗り込みたいのだが、早速、試し履きに行ってみよう。



今回の目的地は大月の百蔵山(ももくらやま)。

麓には、猿橋、鳥沢、犬目という集落がある事から桃太郎伝説があり、南側に位置する九鬼山へ鬼退治に出掛けたそうな。

個人的には信じたいのだが何だろう。この、そこはかと漂う後付け臭は・・・。

そんな百蔵山は山梨県大月市が選定した秀麗富嶽十二景のひとつ。
ハイキングコースとしても良さそうだし、エスハチ試し履きの舞台としても申し分ない。

始発電車に揺られて猿橋駅に到着。

日本三大奇橋『猿橋』。


ソールの硬いエスハチでは登山口までの舗装道路が歩きづらそうだ。
それにソールが減っちゃって勿体ない気もする。

こんなモノを大事にする(もといセコい)精神で、登山口までは別の靴を履き、エスハチは背負っていく事にする。
下山後の着替えなどもあって、日帰りハイキングとは思えない荷物量だ。

下車した猿橋駅には、日本三大奇橋『猿橋』の観光案内ポスターが貼られていた。
日本三大奇橋、なんて言われたら寄らずにはいられない性分。ちょっと遠回りになるが寄り道してみよう。

駅から30分ばかり歩いた所に『猿橋』はあった。
思いの外、見応えがある。

「猿の橋でしょ?猿の」と、正直なめていたが、小規模ながら切れ落ちた渓谷に掛かった猿橋は、紅葉シーズンでは間違いなく良い写真が撮れるだろう空間だった。

なめちゃってスイマセン。

その後、本来のスタート地点となる百蔵山登山口に到着。
いよいよエスハチの出番だ。

出番だ。頼むぞ、エスハチ。


どんな靴でもそうだが、靴紐の締め具合が大事。
キツ過ぎず、締めるポイントはちゃんと締める。

うん、いい感じ。

ちょっと歩いてみる。

うん、いい具合。

しばらく歩くと、右足だけ違和感が出てきた。
靴紐を締め直してみる。

よし、いいな。

これまでの靴と違ってソールが硬いので、馴れるまで歩きづらいかと思っていたが、そんな心配はいらなかった。
靴自体の重さも全く気にならない。

いいぞ、エスハチ!

エスハチの感触を確かめながら歩いていると、山道脇にライフルを持った猟師がたたずんでいた。
狩猟現場や実物のライフルなんか見るのは初めてだ。

と言うか、こんなメジャーな一般山道が狩猟地域内に入っているとは思いもしなかった。
山道から外れて自由に駆け回る、なんて事は間違ってもしてはいけないな。

猟師さんから話を聞くと、獲物はイノシシでレジャー目的の狩猟らしい。
レジャーと聞いて「え?」と思ったが、仕留めたイノシシは食べると聞いて安心。
キャッチ&リリースはできないだろうし、ショット&その辺にリリースだったら、複雑な気分になってしまうところだった。

まさか撃たれはしないだろう、と思っていても微妙な緊張感が漂う。
何となくソワソワしながら百蔵山山頂に到着した。

かろうじて秀麗富嶽が見れた百蔵山山頂。


秀麗富嶽十二景らしく富士山が見える。辛うじて・・・。
秀麗な富士山が今にも隠れてしまいそうな雲行きだ。

それでも見晴らしが良い事には変わらず、日当たり抜群な百蔵山山頂は気持ちがイイ。
先程までの緊張感も解消だ。

日向ぼっこも兼ねた小休止後、次の秀麗富嶽十二景の扇山へ向かう。
結構な急坂を下って、淡々と続く山道を登り返す。

ここまで来ると、踵が痛くなったり片側の足の甲に違和感があったりと、エスハチの問題点/改善点が見えてきた。
靴紐の締め具合か、靴下の厚みか、はたまたインソールか。

まずは試行錯誤し、それでも改善しなければ最終手段としてゴローのご主人に相談しに行こう。
これもオーダーメイドの強みだ。

取り合えず到着した扇山山頂は人だらけ。
いや、中高年だらけ。

昼時の扇山は中高年で賑わってます。


お昼時という事もあって皆さん賑やかに昼食を摂っている。
こちらもスペースを確保してラーメンを食べていると、おばちゃんに「あら、お兄ちゃんの靴、新しいねぇ」と声を掛けられる。

ふふふ、はじめまして。ゴローです。
とは言わず、「よくぞ気づいてくれました」と得意顔で返すだけにした。(結構、嬉しかったりもする)

ここまでの歩きでエスハチの履き心地はだいたいわかった。
改良点も見えたところで、早めに下山しよう。

犬目集落方面の山道分岐点には、もれなく『君恋温泉はコチラ』の看板がある。
「『君恋』とはずいぶんステキじゃあないか」と思い、標識に導かれるままに下山。君恋温泉(入浴500円)に立ち寄ってみる。

汗を流してさっぱりしたものの、『君恋』に関して納得できる要素が見つからない。若き頃の甘酸っぱい記憶が甦る、そんな要素を期待していた私が間違いだったか。
風呂上がりにサービスで出してくれた味噌田楽も、『君恋』には程遠かった。

しかし、帰り際に「これぞ君恋!」的な恥ずかしさ溢れる要素を見つけて、満足げに温泉を後にする事ができた。(※写真参照)


君恋温泉(入浴500円)。今のところ『君恋』らしい要素ナシ。


おっ、これぞ『君恋』らしい恥ずかしさ溢れる要素!


玄関にも何気に『君恋』要素がありました。

君恋温泉からは舗装道路のため、エスハチの出番はここまで。
後は四方津駅まで1時間ほど歩いて本日の山行は無事に終了した。

エスハチの試し履きとして歩いた秀麗富嶽十二景。
問題点/改善点はあったものの、今後の山歩きに活躍してくれるだろう感触を充分に得る事ができた。

今後の山歩きの楽しみがひとつ増えたかな。

漫画的山行記録

東京巣鴨にある老舗靴店『ゴロー』で革製の重登山靴をオーダーメイドしました。

エスハチ(S-8)です。

まっさらなおろしたて。

ゴロー。

いいっすねぇ~。

エスハチは履く前に防水ワックスを塗布しなければなりません。

防水ワックスを塗って数時間放置。

放置ゴロー。

数時間馴染ませたらブラシで磨きます。

磨かれてすっかり革靴らしい風合いになりました。

磨かれゴロー。

初回の処理ですっかり登山靴らしくなったエスハチ。

早速、試し履きに行ってきます。

猿橋駅で下車。

猿橋?折角なので寄ってみます。

日本三大奇橋『猿橋』。思いのほか見応えアリ。

紅葉シーズンが良さそうな猿橋からの眺め。

さて、改めて向かう先は百蔵山です。

地元の皆さんは落ち葉かき。ゴクロー様です。

狛犬っぽくたたずむネコ。

ちょっとぉー、お子さん踏んでますよー。

ここからエスハチを装着。

百蔵山へ向けて山道スタート。

狩猟者のライフル。実物は初めて見ました。

飲めるかな。

ようやくお日様が当たる。

休憩ベンチ。見晴らしもイイ。

今のところイイ感じだぞ、エスハチ。

もう少しで山頂かな。

大月市の制定する秀麗富嶽十二景でもある百蔵山に到着。

かろうじて秀麗富嶽。

穏やかな天気です。

仲の良さそうなオヤジさんたちもマッタリしてます。

続いて扇山へ向かいます。

結構な傾斜を下ります。

今度は淡々とした登りが始まります。

大久保山。

うわ、扇山山頂は人で一杯だぁ。

人込みをかわして扇山山頂。

富士山は雲隠れしてしまいました。

今日の昼飯はダッタンラーメン。

お腹も満たされ、後は下るだけ。

下山道の分岐点には君恋温泉の看板が目につきます。

ここから君恋温泉への誘導が始まります。

君恋に導かれるままに下山。

分岐点には必ず君恋標識。

何だかいい形の石碑。

お堂に出ました。

君恋はコチラ。

不動滝。

君恋へ通ずる道。

君恋温泉に到着しました。

お風呂上がりには味噌田楽のサービス。

ところで、勝手なイメージなのですが、

何だか『君恋』っぽい要素がないな・・・。

あっ、『君恋』らしい恥ずかしさを発見!

玄関にも何気に『君恋』要素を発見!

君恋要素に満足したので、四方津駅までボチボチ歩きます。

何でしょう、この玉。

最後の生き残り。

中央道を横断。すぐそこは談合坂サービスエリアです。

大野貯水池に浮かぶ小さな神社。

ようやく四方津駅に到着。お疲れさまでした。

まだ足に馴染んでいないエスハチでしたが、今後の山歩きに活躍してくれそうです。

これから頼りにしているぞ、エスハチ!!

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/日帰り/ハイキング/電車・バス登山

百蔵山(ももくらやま)
標高1003.4m
詳細(外部リンク)
扇山(おうぎやま)
標高1138m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

猿橋駅[着] 07:50 - [発] 07:50
 ↓ 25分 舗装道路
猿橋[着] 08:15 - [発] 08:15
 ↓ 50分 舗装道路
登山口[着] 09:05 - [発] 09:05
 ↓ 55分 
百蔵山[着] 10:00 - [発] 10:20
 ↓ 95分 
扇山[着] 11:55 - [発] 12:40
 ↓ 50分 
君恋温泉[着] 13:30 - [発] 14:25
 ↓ 75分 舗装道路
四方津駅[着] 15:40 - [発] 15:40

行動時間:5時間50分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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