2018年2月12日
山梨の山:日帰り
九鬼山:楽しめる範囲の失敗ならOK。

秀麗富嶽十二景の九鬼山へ。


ヨメと日帰り山行に出掛ける。

日々の運動を欠かせないが山歩き自体は久しいヨメとの山行に選んだのは九鬼山(くきさん)。

百蔵山を始め、猿、鳥、犬にちなんだ地名など、桃太郎伝説の残る大月エリアにおいて、鬼由来の場所があっても不思議ではない。九鬼山などは打って付けで、大月駅の北に位置する岩殿山には赤鬼、南に位置する九鬼山には青鬼が住んでいたとの言い伝えもある。その言い伝えの結末は、予想を裏切らず桃太郎に退治される定番の流れなのは言うまでもない。

そんな鬼にまつわる九鬼山が今回の目的地だ。

鬼ヨメに対する隠れメッセージ!?

まさか。無い無い。九鬼山チョイスに込められた意味など一切ございません。



赤レンガ造りの東京電力落合水路橋(国登録文化財)。


大月駅付近に駐車して、富士急線で禾生(かせい)駅へと向かう。本日は禾生駅から九鬼山へ登り、稜線伝いに大月駅までプチ縦走するスケジュールだ。

が、早速、道間違い。

当初予定していた国土地理院の地形図に記された山道が見当たらず、調べてみると愛宕神社経由か杉山新道が一般的な山道とされていた。単独であれば、強引に登ってしまいたいところだが、冷ややかなヨメの眼差しを前にしては正規の登山口へと戻るのが最良の選択だ。

登山口に行くまでに迷ってしまうことが時折あるのは自覚している。しかし、またしてもやっちまった感じ。

「間違いは誰にでもあるよね」と慰さめつつ、「・・・でも」に続くヨメからのコメントにハラハラしながら禾生駅へと戻る。赤レンガ造りの東京電力落合水路橋(国登録文化財)をくぐり、愛宕神社から気分を入れ替えて登り始めた。

滑らないよう登ります。


この時期は誰もいないと勝手な予想を立てていたものの、思ったより登山者の姿は多い。九鬼山は大月市の定める秀麗富嶽十二景の一座として人気と知ってはいたが、そんな理由以外にも、電車で行ける軽い冬山散策として丁度良いようだ。人通りも多いせいか、日当たりの悪い山道では踏み固められた雪が融解凍結を繰り返してツルツルになっている。登りならまだしも、下りではアイゼン/スパイクチェーンの装着推奨の状態だ。

足元に注意しつつ黙々と登り、九鬼山に到着。

山頂は秀麗富嶽十二景と言う割に富士山側の景観があまり開けていない。ただ、反対側は眺望が開かれ、大菩薩・小金沢連嶺方面を一望できる爽快な景色が拡がっていた。そんな景色もさることながら、個人的に九鬼山を語るうえで欠かせない情報がコレ。

山頂のほぼ真下にリニアモーターカーの走行試験が行われている実験線が通っているぞッ!

どうだろう。この、どう反応してよいか戸惑ってしまう情報。ちなみにヨメからは華麗にスルーされた。

ここで昼食タイム。

雪山の冷え込みなどお構い無しで山頂ランチを楽しみにしていたヨメは、用意周到にイングリッシュマフィンサンドを持ってきている。アルミホイルに包まれたそれを、バーナーで軽く炙って熱々コーヒーと一緒に食べる算段だ。

で、炙ったところ、何やら異臭が・・・。

アルミホイルを開けてみると、溶けて黒焦げになったラップが付着したイングリッシュマフィンサンドの悲しき姿があった。どうやらラップで包んでいたことを忘れていたらしい。

しょんぼりするヨメを前に「表面を剥がせば大丈夫だろう」と一口食べてみるも、強烈な環境ホルモン風味が鼻を突き、動物的危機感全開で速攻吐き出す。こればかりは何でも美味しいと残さず食べる良き旦那を演じるのは不可能だった。

天狗岩からの眺め。


九鬼山山頂から大菩薩嶺方面の眺め。


せっかくの昼食が・・・。

滑らないよう慎重に下ります。


昼食がとれないなら寒い山頂に長居は無用。身体が冷え切ってしまう前に大月駅目指して行動を開始だ。

九鬼山から急斜面の細尾根を一気に下ると、その地形効果で風が止み、心地よい日差しがじんわりと暖めてくれる。昼食の失敗にしょんぼりしていたヨメも、お日様に当たり元気を取り戻した様子だ。

ヨメを先頭にしばらく歩いていると、おかしな点に気がつく。

事前に確認していた山道は稜線伝いのはずなのに、いつの間にかトラバース気味に下っている。確認すると案の定、山道から外れていた。登山口までに迷った私が言うのもなんだが、「間違いは誰にでもある。間違ってからのリカバリーが大事」と、少々藪を漕いで正規の山道に合流。不安そうなヨメの手前、来た道を戻った方が良かったか?とも思ったが、このくらいの遊びゴコロは許される範囲だろう。

心地よい日差しと緑の色合いで暖かな気分。


札金峠(さっかねとうげ)、馬立山(またてやま)と、地味に堪えるアップダウンを経て、着実に大月駅へと近づいてゆく。途中で尾根を間違えたりもしたが、素早い察知とリカバリーによって、難なく最後のピークとなる菊花山(きくかさん)までやってきた。

ここに来て、ようやくゴール地点となる大月の街並みが目視できる。

菊花山では鑑賞石の最高峰とされる『菊花石』が採れたと聞く。菊の模様が現れる大層美しい石とのことだが、菊花山の北側に住む人々にとっては「日陰になって困る」との理由から『貧乏山』や『バカ山』などとこっぴどい言われ様。「美しさより日向をくれ」と言わんばかりだ。

日陰になるということは街に近く、尚且つ険しく切り立っている山だと言える。それを証明するかのように菊花山からの景色は素晴らしく、眼下に大月の街並みを一望できるくらいに街との距離が身近に感じられる。眼下の街に住む人々からの評判を知ってか知らでか、貧乏だのバカだの言われても菊花山はどこ吹く風で勇猛にそそり立っていた。

菊花山へ最後の登り。


菊花山の眼下には大月の街並みが拡がります。


菊花山の正面に見える岩殿山。

さて、プチ縦走も最後の行程。眼下の街を目がけて細尾根の岩場を一気に下降しよう。

ぐんぐんと高度を下げ、無辺寺の境内まで降りる頃にはすっかり街の空気感となり、圧雪でツルツルだった山道は見る影もない。と、油断したのも束の間。山行終了を告げる最後の下り階段で、漫画描写の完全実写化を彷彿させる程に思いっきりすっ転ぶ。

イテテ。

思い返せばこの最後の階段は、本日最大の難所だったな・・・。

車道へ出る最後の難所。


こうして九鬼山をメインとした禾生駅~大月駅までのプチ縦走は無事(尻も無事)に終了した。

出鼻から道を間違えたり、昼食を焦がしたり、尾根を間違えたりと失敗続きの山行だったが、致命的となる前に軌道修正できたからこそ笑って許せる範囲に収まってくれた。見方を変えれば、失敗あってこそより楽しめた山行だったと言えなくもない。

言い訳にしか聞こえないのはきっと気のせい。

漫画的山行記録

禾生駅から大月駅までのプチ縦走に行ってきます。

経由するのは九鬼山です。

では出発。

大月駅に駐車して富士急線で禾生(かせい)駅へ移動。

禾生駅に到着。

ようこそかせいへ。

登山口に向かう途中に気になる看板を発見。

何て脅し文句だ。

この後、道間違いと言うさばきに遭いました・・・。

正規の登山口はこちら。

赤レンガ造りの東京電力落合水路橋(国登録文化財)をくぐります。

愛宕神社に参拝して登山スタート。

最初はまったり。

なだらかな登りはここまで。

ここから急坂になります。

新登山道は踏み固められてツルツルなので急坂登山道を登ります。

少々寄り道。

天狗岩からの眺めです。

更に登ると、

九鬼山に到着です。

秀麗富嶽十二景の割に富士山の眺望はイマイチですが、

大菩薩・小金沢連嶺方面の眺望は最高!

そんな山頂で昼食タイムです。

が・・・、ラップを取らずに炙ったため、溶けたラップがパンにベッタリ・・・。

そ、そんなっ!!

表面を削っても環境ホルモン風味は取り除けませんでした。

気を取り直してプチ縦走を続行。

雪上のトラバースは滑らないよう注意。

小さな寝袋を発見。

伐採の名残でしょうか。

馬立山を通過。奥に見えるのは九鬼山です。

ぱっかーん。

沢井沢ノ頭を通過。

ここより菊花山へ向かいます。

アップダウンを繰り返して大月駅へ。

ポカポカな陽射しと緑の色合いは暖かな気分になれます。

誰からのクリスマスプレゼントだ。

恐らくこれが最後の登りです。

菊花山に到着。

正面には岩殿山。

眼下には大月の町並みが拡がります。

短いながら空中散歩を楽しみます。

これより一気に大月の街へと下ります。

秋葉神社への山道は通行止め。無辺寺方面へと下ります。

おっ、雲が晴れて富士山が出てる。

無辺寺の境内に入り、山行終了も目前です。

しかし、本日最大の難所は最後にあり。

ツルツルに凍った階段でまんまとすっ転びました。

※すっ転びイメージ

神のさばきが脳裏をよぎりましたとも。

取りあえず下山しました。

大月駅裏の駐車場へと戻り、プチ縦走は無事終了。

すっ転びましたがお尻は無事ですよ。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/電車・バス登山

九鬼山(くきさん)
標高970m
詳細(外部リンク)
馬立山(またてやま)
標高797m
菊花山(きくかさん)
標高644m

本日のスケジュール

禾生駅[着] 08:34 - [発] 08:34
 ↓ 59分 舗装道路(道迷いしてます)
愛宕神社登山口[着] 09:34 - [発] 09:34
 ↓ 93分 
九鬼山[着] 11:07 - [発] 11:32
 ↓ 51分 
札金峠[着] 12:23 - [発] 12:23
 ↓ 53分 
馬立山[着] 13:16 - [発] 13:28
 ↓ 71分 
菊花山[着] 14:39 - [発] 14:42
 ↓ 41分 
無辺寺登山口[着] 15:24 - [発] 15:24
 ↓ 9分 舗装道路
大月駅[着] 15:33 - [発] 15:38
 ↓ 7分 舗装道路
駐車場[着] 15:45 - [発] 15:45

行動時間:6時間27分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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