2013年3月9日
蔵王連峰:日帰り
刈田岳:スノーモンスター、いまだ健在。

前回の捻挫からはや1ヶ月。
足首に多少の違和感は残るも、ようやく普通に歩けるようになった。

この間、仕事や確定申告で忙しくなり、「いいタイミングで捻挫した」と己に言い聞かせながら室内に籠って働いていたがそろそろ限界。さすがにフラストレーションが溜まってきた。
ここは少々強引にでも時間を工面して、気分転換とリハビリも兼ねて山歩きに行かねば。

こんな私を後押しするように週末の天気予報は晴れ。
友人Kの誘いもあって、もう思い切って出発した。

蔵王ライザワールドからリフトを乗り継いで樹氷原へ。


目的地は蔵王連峰の刈田岳。

蔵王ライザワールド(スキー場)を起点として、緩やかな斜面が続く樹氷原地帯を散策できるこのコースはリハビリには持ってこい。
リフトを2回(600円也)乗り継ぎ、標高1446mからリハビリ山歩きスタートだ。

ここ数日、暖かい日が続いていたため、スキー場付近の樹氷はさすがに落ちている。
もっとも「3月では樹氷も落ちているだろう」と、期待はしていなかったが何だか残念。(つまり期待していた)

それでも1ヶ月振りとなる本格的外出に気分は上々。
好天下で一面真っ白の広大な雪原を思いのままに歩けば、溜まりに溜まったフラストレーションも何処へやらだ。

登っている感覚がないくらいに緩やかな斜面を歩いていると、『樹氷』こと『スノーモンスター』がちらほらと出没しだした。
「おっ、まだいましたか!」と、この先の樹氷原に期待が高まる。


【樹氷マメ知識】
『樹氷』とは樹木が雪に覆われた状態。
樹木に触れた空気中の水分が凍り(着氷)、その隙間に雪が取り込まれ(着雪)、寒さで固まっていく(焼結)現象を繰り返して形成されます。スノーモンスター、アイスモンスターなどとも呼ばれます。


朽ちゆく季節外れのモンスターをバチバチと写真に収めながら歩くこと1時間弱。
標高1620m付近の樹氷原に到着した。

ここには季節外れどころか、まだまだ健在のスノーモンスターたちが群れをなしていた。

スキー場付近は樹氷なし。でもこれはこれでキレイ。


辛うじて生き残っているスノーモンスター。イイ毛並み。


この時期でもまだまだ健在のスノーモンスターたち。

『モンスター』と呼ばれながらもずんぐりむっくりで愛嬌たっぷりのその姿は格好の被写体。
それに加えて雲ひとつない青空がバックとなれば、寝転んで適当に撮影しても全てイイ写真になってしまう。(という気がしているだけ)

2月初旬の樹氷全盛期ではないにしろ、風に吹かれてぐらりぐらりと頭を揺らすスノーモンスターの姿も中々オツなものだ。

雲ひとつない青空に、さえぎる物は何もなく広がる雪原。そして絵になるモンスターたち。
こりゃ最高だ。

上機嫌で写真を撮りながら樹氷原を進むと、クッキリと目視できる程に刈田岳山頂の刈田嶺神社が近づいてきた。
そして冬季は運行していない刈田リフト乗り場まで来ると、格好の被写体は『樹氷』から『海老の尻尾』へと変わる。

『海老の尻尾』とは、風の強い山岳地帯に見られる雪山名物のひとつで、吹きつけられた雪や水滴が着氷し、風上側に向かって海老の尾状に延びていく自然の造形物だ。
山に来て海のモノに例えるのもいかがなものかと思うが、確かに『海老の尻尾』っぽい形になっており、麓ではとてもお目にかかれるものではない。

雪面のあちこちに形成さた『海老の尻尾』はうねりを上げる波のようで、大荒れの雪の海を歩いているかのようだ。(山に来て海のモノに例えるとは・・・)


目指せ、刈田岳。山頂に見えるのが刈田嶺神社。


雪山名物、海老の尻尾。


まるで別世界。

『海老の尻尾』は風の強い場所で形成されるだけに、稜線に近づけば近づくほど『尻尾』が長く延び、吹きつける風も強くなってきた。
格好の被写体ではあるが、じっくりと撮影していると凍えて仕方がない。
ここはカロリーを燃やすべく立ち止まらずに歩き続ける。

稜線上は体を持っていかれる程の強風。
これまでの人生で最大の強風体験に興奮するも、長くは立ち止まらず、山頂にある刈田嶺神社へと向かう。

刈田嶺神社は雪で覆われて真っ白。
鳥居も真っ白。

一言に真っ白と言っても、風上側と風下側では雪の付き具合が異なり、鳥居の風上側では白子がびっしりと張り付いているような奇妙な光景だ。(また海のモノに・・・)
見るモノ見るモノ真新しい雪山ならではの造形物を目の当たりにして、風が吹こうが寒かろうが否が応にもテンションは上がってしまう。

ただ、蔵王名物『御釜』に関して言えば、この時期に見るものではない。
現在は凍りついてやはり真っ白。深緑の湖面あってこその『御釜』だろうに。

刈田岳山頂にある刈田嶺神社の鳥居。


せっかくなので吹きつける風と戯れる。


熊野岳へのルート。写真では無風に見えても実際はかなりの強風。

刈田岳山頂を満喫したところで、熊野岳まで足を延ばしてみることにする。

刈田岳から熊野岳までの道のりは見晴らしがよく広々としている。
それだけに風の強さもかなりのもので、まともにまっすぐ歩く事ができない。

広い尾根だから安心していられるものの、細尾根だったらと想像すると恐ろし過ぎる。
横風に煽られヨロヨロしながらも、一歩一歩踏みしめて熊野岳へと向かう。

熊野岳山頂の蔵王山神社(熊野神社)は、もう見る影もなく巨大な『海老の尻尾』と化していた。
山頂を示す標識も、「多分これかな?」と推測するだけの白い塊だ。

こんもりと吹き溜まった雪塊の上に立ち、前回歩いた北蔵王方面の山々を一望。
「あの辺りで調子に乗って捻挫したなぁ・・・」と感傷に浸りながら、改めて己を戒める。

見る影もない熊野岳山頂の蔵王山神社(熊野神社)。


北蔵王の山々。過去に歩いた記憶が蘇る。


この積雪期の『御釜』。深緑の湖面がなければつまらん!

手持ちの温度計で気温はマイナス5度。
驚くほどの気温ではないにしても、吹きっさらしの山頂に身を晒せば、体感気温は温度計の数値どころではない。

長居は無用。
早く下山しよう。

登りの時よりも更に風は強まり、「あーっ?!なにーっ??」と、会話などできず、風の音に吹き消されてしまう。
東の空には天候悪化の前兆と言われる笠雲(レンズ雲?)が浮かび、初めてお目にかかる自然現象を写真に収めようとするが風でブレてしまい、まともに写す事ができない。

かじかむ手をこすり、泣きそうになりながら樹氷原まで戻るとウソのように風は止んだ。
風がなければ快適そのもの。冷え切った指先もすっかり回復だ。

友人Kはzipfy(簡単に言えばソリ)にまたがり颯爽と下山。
そんな友人Kの滑り下りる様を羨望の眼差しで見送り、独り、営業終了して誰もいなくなったスキー場をトボトボと下山した。

くっ、今度は下山用お楽しみギアを持参しよう。

本日の写真

蔵王ライザワールドからリフトを利用。

途中まではリフトで楽々。だってリハビリだもの。(←リハビリ効果なし)

素手で触るとくっつきそう。

好天だから良く映える。

ここからは自分の足で登ります。

パトロール小屋。

樹氷とは言えなくてもこれはこれでキレイ。

さて、リハビリ開始だ。

樹氷シーズンは終わっても雪はまだまだあります。

毛並みの良い樹氷ことスノーモンスター登場。

この辺りまで来ると、まだ樹氷が残っている。

雪に覆われたエコーラインを横断。

刈田嶺神社が見えてきた。下方にはスノーモンスターたちも集ってます。

どこでも歩き放題。

と、融ける―っ!

スノーモンスターとの遭遇。

こんにちは。

飛行機雲とスノーモンスターたち。

押し寄せるスノーモンスターたち。

哀愁感たっぷりに崩れゆくスノーモンスターたち。

リフトのケーブルなんて滅多に触れないぞ。

青と白と黒ずくめの男(私)。ヒバゴンではありません。

冬季閉鎖中のリフト。

風上に出来る「エビの尻尾」。つむじっぽく形成。

稜線に近づき、風が強くなってきた。

まるで別世界。

大荒れの雪の海。

刈田岳までもう少し。

刈田嶺神社の鳥居。

うわー、白子びっしり。

改めまして刈田嶺神社(奥宮)。

すっかり樹氷化している。

刈田岳山頂。

御釜。深緑の湖面じゃないと御釜っぽくない。

南蔵王方面。

この鳥居、撮り甲斐があるッ!

強風のため、この角度をキープできる。

ふわっふわしてそう。

凍壁と化したレストハウス。

強風に煽られながら熊野岳に向かいます。

あれは悪天の前兆と言われる笠雲か。

稜線上に笠雲。自然っておもしろい。

広大な雪面を歩く男。

風と照り返しが強烈。

蔵王山神社。

たぶん、これ熊野岳山頂標識。

風上側の蔵王山神社。見る影もない。

強風の中、蔵王山神社に守られながら小休止。

北蔵王方面。雁戸山や山形神室を歩いた記憶が蘇る。

やっぱり深緑の湖面じゃないと御釜っぽくない。

ここまで下りてようやく稜線上の強風から逃れることができた。

後はゲレンデを下ります。

無事に下山。

本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

刈田岳(かっただけ)
標高1758m
熊野岳(くまのだけ)
標高1841m
蔵王連峰の主峰

本日のスケジュール

蔵王ライザワールド駐車場[着] 10:40 - [発] 10:40
 ↓ 40分 リフト利用×2
スキー場最上部[着] 11:20 - [発] 11:35
 ↓ 100分 
刈田岳[着] 13:15 - [発] 13:50
 ↓ 60分 
熊野岳[着] 14:50 - [発] 15:05
 ↓ 75分 
スキー場最上部[着] 16:20 - [発] 16:20
 ↓ 30分 
蔵王ライザワールド駐車場[着] 16:50 - [発] 16:50

行動時間:5時間5分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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