最寄路線の京成電鉄さんでは大晦日~元旦にかけてオールナイト運行している。
これを利用して通常始発より早い時間帯の電車に乗って、陣馬~高尾の初歩きを予定していた。
ヘッドランプも装備して暗い山道を歩く気満々だ。
が、まんまと寝過した。
大晦日は夜更かししていたとはいえ、新年早々出遅れてしまったな。。。
それでもくじけず今年最初の山歩きに出発だ。
すっかり明るくなった藤野駅から朝日を拝み、まずは陣馬山頂の白馬オブジェクトを目指して歩き始める。
登山口までの道中、何処からともなくお囃子が聞こえてきた。
どうやら狭く急な階段を登った先にある神社から聞こえてくるようだ。
周囲は初詣で賑わう様子もなくお囃子以外はひっそりしている。
こんな静かなお囃子に誘われ、寝過しついでに寄り道。
小さくても歴史を感じさせる御嶽神社には、これまた人生の歴史を感じさせる地元のオヤジさんたち数人が集い、お囃子を奏でていた。
これから地域の家々に獅子舞で回るための、お祓いと清めのためのお囃子だったようだ。
突然現れたよそ者にも関わらず、気持ちよく新年の挨拶をかわして、お神酒をいただく。
純然たる下戸な私はペロリと舐めるだけにして、寝過し、寄り道ついでといっては何だが、初詣もさせてもらう。
話好き、山好きなオヤジさんたちで、焚火を囲んで立ち話をしているうちに、新年早々、寝過した無念さもスッキリ解消だ。
御嶽神社を後にして車道を進み、標識通りに民家脇の急な小路を登っていくと栃谷尾根、ようやく山道に合流だ。
ここからはいつものように淡々と登ってゆく。
数週間前に登った一ノ尾根に比べ、栃谷尾根は多少勾配がきつい分、山頂まで早く到着することができる。
休まず淡々と登ることで体も温まり、じんわりと汗ばんできたところで山頂が見えてきた。
到着した陣馬山頂では相変わらず白馬オブジェクトがヒヒンと嘶いている。
晴天とまではいかないが富士山も迎えてくれ、清々しい今年初めての山頂だ。
正月らしくミカンを食べて休憩していると、少々長居し過ぎたらしく寒くなってきた。
いよいよ我慢できなくなり、速足で高尾山へと向かうことにする。
陣馬山から高尾山へは、若干のアップダウンを繰り返し、徐々に下って行くことになる。
登りの時とは違い、普通に歩く感じになるせいか、冷え切った体がちっとも温まらない。
あまりの寒さに堪らず走りだす。
おお、快調だ。と思いきやすぐ息が切れる。
「歩き」には多少自信がついたので「走り」もイケるかと思っていたが、「歩き」と「走り」でここまで違うとは。(当たり前?)
それでも走っては歩き、走っては歩きを数回繰り返すことで、ようやく体を温めることができた。
止まらず動き続けた甲斐あって、順調に高尾山へと近づいていく。
景信山でワンコを撫で回し、小仏城山でネコをバチバチ撮影。
そしてマラカスのような摩訶不思議な形のフクラハギを持つハイカーとすれ違い、「新年早々、珍しいもの見れた!」と、ハイテンションで高尾山へと向かう。(私、脹脛フェチなのです)
途中、山道に鼻をかんだ後のティッシュが散乱していた。
困ったものだと近寄り良く見ると氷だ。
後で知ったのだが、この時期に見られるシモバシラという現象で、枯れた茎によって地中から吸い上げられた水が凍り、茎を割って吹き出すことで氷の花を咲かせるそうだ。
使用後のティッシュだなんてとんでもなく、薄い氷でできた立派な自然の造形物だ。
幾重にも折り重なった薄い氷を眺めていると、「見事だなぁ」と感心すると同時に、パリパリパリッ!と無性に握り潰してみたくなる。
こんな子供っぽい破壊の衝動を抑えつつ、高尾山頂に到着。
元旦の高尾山頂は混んでいるイメージだったが、込み具合は普通だった。
詣でる神社などはなく、日の出/日の入りという時間帯でもないためか、ここまで登ってくる理由なんて「富士山」と「そば」くらいのものだろう。
「富士山」は済んでいるので、「そば」を食べて下山を始める。
※ちなみに山頂で食べた「なめこそば」はバカにできない旨さです!
これまで観光客をなるべく避けるため、1号路(表参道コース)を歩いたことはなかったのだが、元旦だし、せっかくなので1号路を使って薬王院の様子を見に行くことにした。
さすが、薬王院は大混雑。
もう夕暮れ前だと言うのに、参拝客の行列が続いている。
とっくに「初詣」済みの私は、寒空の下、列をなしている参拝客を横目に、天狗だんごや天狗丸(豆菓子)を食べながらすっかり観光気分。
観光気分をそのままに、これまで乗ったことのなかったケーブルカーにも乗ってみることにした。
このケーブルカーは日本一急勾配な線路を走る高尾名物の一つ。
日本一と言われては一度は乗ってみる価値ありだろう。
混雑のためブルブルと凍えながら待つこと30分、ようやく乗車だ。
発車のベルがなり、ガタンと落ちる感じで動き出す。
おお、日本一の急勾配路線を誇るだけのことはある。
最も急な地点(31度18分)ではアナウンスもしてくれ、夜景を眺めながら6分程の乗車時間であっという間に下山した。
今年初めての山歩きはこれにて無事終了。
帰りの電車では乗り換え駅でしか起きない程に爆睡しながら帰路に就いた。