2011年12月4日
丹沢山地:日帰り
檜洞丸:山でも岳でもない。「丸」だ。

最近、仕事、私事ともにイライラすることが多い。
そんなイライラを誰にあたる訳でも、物にあたる訳でもなく、表現できず余計にイライラ。
こんなイライラスパイラルを断ち切るためには山歩きだ。それもガッツリ系でだ。

ツツジ新道の登山口。


と言うことで、前回行った蛭ヶ岳を西丹沢側から独り日帰りで行くことにした。

ツツジ新道を通り、檜洞丸(ひのきぼらまる)という漁船みたいな名前の山を経由して蛭ヶ岳へ向かう。
「山」でもなく「岳」でもない、「丸」。
以前からこんな檜洞丸が気になっていたので丁度いい機会だ。

※ちなみに檜洞丸は別称「青ヶ岳」です。

まだ真っ暗で見上げれば満点の星空の下、西丹沢自然教室の駐車場に到着。
ここから車道を10分程歩いたところにあるツツジ新道登山口からスタートだ。

暗闇の山中を独り歩いて行くのは心細いものの、これから明るくなるという安心感もあってすぐに慣れてきた。
30分程歩くと空も薄明るくなり、予定通りヘッドランプが必要なくなる頃にゴーラ沢出合に到着。
昨日まで降り続いた雨で増水が気になってはいたが、こちらも予定通り飛び石をつたって渡れそうな水量だ。

「予定通り」と言うのも、昨日のうちに西丹沢自然教室に電話で山道や沢の状態を確認済み。
イライラしていても事前リサーチは欠かさないのだ。

「この辺りは水の引きが早いから大丈夫じゃあないかなぁ。渡渉してもくるぶし位じゃあないかなぁ。まぁ、まだ見に行ってないからわからないけどねぇ。」
と、地元職員さんの何となく大丈夫そうな情報は「何となく」でも十分に参考になった。

飛び石をつたってゴーラ沢を渡り、「この先、急坂続きだけど大丈夫か?」との警告張り紙を見て気を引き締める。

朝日を浴びる富士山。


黙々と登って行くと、すでに日が昇ったようで、山向こうが明るく稜線がクッキリ見えてきた。
振り返ると朝日に照らされた富士山も浮かび上がっている。

相変わらず見事な富士山を堪能しているのも束の間、山陰で風が冷たいこの場所ではジッとしていると体が冷えて辛い。
富士山を眺めていたい気持ちよりも、早いところお天道様を拝みたい気持ちが上回り、少々急ぎ足で山頂を目指す。


そして檜洞丸手前のちょっとしたピークでお天道様に出合う。

ああ、温い。
温いって素晴らしい。

檜洞丸山頂。早朝で誰もいないせいか森閑としています。


すっかり体も温もり、ヌクヌクの状態で檜洞丸山頂に到着。
山頂はブナ林で眺望はあまりない。
しかし、小さな祠がひっそりと佇み、早朝で誰もいないせいか森閑としているこの雰囲気は個人的には大好きな部類だ。

これが「丸」か・・・。
いつもの山頂テンションにはならず、静かに山頂を楽しんだ。

山頂から少し下ると、見た目も青い青ヶ岳山荘がある。
青ヶ岳山荘では管理人さんと軽く朝の挨拶を交わすだけにして蛭ヶ岳へと向かう。

檜洞丸から臼ヶ岳、そして蛭ヶ岳への山道は、両側が急峻な細尾根箇所が多く滑落事故(特に積雪時)もあると聞く危険箇所だ。
確かに今にも崩れそうな箇所もあり、サササッと素早く、そしてしっかりとした歩みで通り抜けるように心掛ける。

前回歩いた塔ノ岳方面からのルートはアップダウンを繰り返して蛭ヶ岳へと到達したが、檜洞丸からのルートも同じ。
ただ、アップダウンの差は大きく、危険箇所が多々出現するためピリッとした緊張感がある。

蛭ヶ岳山頂から富士山。をバックにくつろぐパンダ様。


程良い疲労と緊張感を持って、蛭ヶ岳山頂へ無事到着。
おほっ、誰もいない。

ヒル独り占め。

好天も手伝って眺望は最高。
冠雪した周囲の山々は勿論、相模湾から三浦半島、その先の房総半島までキッチリ確認できる。
太陽を反射して輝く海面に浮かぶ伊豆大島の姿なんて溜息モノだ。


太陽を反射して輝く海面に浮かぶ伊豆大島。


そうこうしていると、ちらほら登山客が登ってきた。
紅葉シーズンも終わり、積雪もないこの時期に来るのは、私のような変わり者か、地元の方ぐらいだろう。
案の定、丹沢付近にお住まいの方で「あれが江の島でしょ。あっちが初島。」と色々と教えてくれる。

こちらから尋ねた訳でもないのだが、この天気、この眺望を前に教えたくなる気持ち、、、わかります!

さて、景色を満喫したところで、檜洞丸に戻ることにする。

来た道を引き返すこと2時間。
青ヶ岳山荘に到着するころには息も上がって結構な疲労具合になってしまった。
関節はくたびれたし、腹もグーグー鳴ってるし、ここは昼食がてら大休憩だ。

とても青い青ヶ岳山荘。


青ヶ岳山荘前で休んでいると、ふとボランティア募集の掲示板を発見。
青ヶ岳山荘の管理人さんが山道で拾い集めたゴミや、山荘で出た空き缶などを、下山ついでに持って帰る歩荷ボランティアのようだ。

元々ボランティアなんて柄ではないのだが、わらわの如き素直さですんなりと申し出た。
この瞬間的な素直さには私自身も仰天だ。
イライラしやすい男37歳、まだまだ捨てたものではない。

「蛭ヶ岳帰りだし疲れてるだろうから、空き缶2コだけお願ね。」

「ああ、なんてちっぽけな歩荷だろうか」と思っていたが、それでも管理人さんは感激してくれている。
ここまで喜ばれると、なんだかこちらまで嬉しくなるじゃあないか。
多少はにかむ男37歳。

気分も体力もすっかり回復したところで、管理人さんお勧めの犬越路経由で下山することにする。

檜洞丸から犬越路への山道は細尾根な上に急峻な岩稜。
積雪時は勿論、雪がなくても要注意の危険箇所なのだが、お勧めなだけにここから眺める富士山は一見の価値ありだ。

圧倒的な大パノラマが広がっています。


蛭ヶ岳からの眺望とはまた異なり、折り重なった西丹沢の山々の向こうに鎮座する富士山の迫力たるやそれはもう圧倒的。
・・・くそぅ、堪らんぜ!

※危険箇所まで下りなくても、檜洞丸山頂から少し下ったところからも見れます。

だいぶ遠回りになったが、笹原を抜け、犬越路から用木沢に沿って下山。
ビヨンビヨンとしなる木橋を何度か渡り、夕暮れ前に無事駐車場に帰還した。

いやぁ、だいぶ歩いた。
私史上、最高の歩きっぷりだったのではなかろうか。

前日までのイライラはすっかり解消され、高速道路通行止めの大渋滞に巻き込まれても気分よく(いや、程よく気分を害した)帰路に着いた。

本日の写真

満点の星空のもと、西丹沢自然教室を出発します。

闇夜の中、標識を見逃さず発見。

木橋が整備されているので助かります。

ゴーラ沢出合。水量によっては飛び石で渡れず、靴を脱いで渡渉します。

警告。覚悟を決めて登ります。

ここは山陰のため、まだ日は昇ってません。

展望園地から、朝日に照らされる富士山。

急坂ですが整備されているので安心。

両側が急峻な細尾根が所々にあるので注意。

ガッシリ頼もしいハシゴ。

黙々と登ります。

早くお天道様を拝みたい。

あのピークを越えればお天道様を拝めそうだ。

ああ、温い。

今は誰もいないが、シーズン中は賑わってそうだ。

ぽっかり口を開けたブナ?(←無知)

風、太陽のエネルギーを活用中。

相模湾、三浦半島、その先には房総半島も見渡せる好天。

檜洞丸山頂。小さい祠がいい感じ。

青い青ヶ岳山荘。

山頂付近はなだらか、ここからが急坂です。

積雪時には滑落事故が多いようです。無積雪時でも要注意。

山道整備のありがたさよ。

崩れてしまっている。

空の色が清々しい。

積雪がなくても歩みをしっかりと注意深く。

神ノ川乗越。

臼ヶ岳山頂。

臼ヶ岳山頂から蛭ヶ岳を望む。

バナナ、うまーい!

細尾根が続きます。

クサリ場。

富士山と檜洞丸。青ヶ岳山荘も見えます。

クサリを活用してどんどん登ります。

蛭ヶ岳山頂に行く前にちょっと撮影。

誰もいない蛭ヶ岳山頂。好天で景観最高。

太陽光を反射する相模湾に伊豆大島が浮かびます。

富士山。その麓には山中湖。

南アルプスの山々も冠雪。

八ヶ岳も冠雪。

富士山、どう?いいだろう?

さあて、檜洞丸まで戻るか。

人が少ないからか、シカがあちこちにウロウロ。

細尾根が多々あります。崩れないことを祈りつつササッと渡ります。

青ヶ岳山荘が見えてきた。

青ヶ岳山荘の裏には、ステキなトイレあり。

青ヶ岳山荘前でお馴染みのリンゴを食べて小休止。

檜洞丸に戻ってきました。この祠、好き。

急傾斜を犬越路に向かいって下りて行きます。

富士山の眺望抜群。

笹原を進みます。

熊笹ノ峰。このすぐ上が大笄(おおこうげ)、もう少し行くと小笄(ここうげ)です。

安心感抜群なハシゴ。

細尾根な上に、急峻な岩稜。積雪時は勿論、雪がなくても要注意!

笹をかき分けズンズン進みます。

犬越路(いぬこえじ)。

犬越路避難小屋。トイレもあってキレイ。

来た道を振り返ると月が浮かんでいました。

用木沢出合へ下山。

用木沢沿いを下山していきます。

木橋が設置されています。増水するたびに流されるとか。

辛うじて残る紅葉。

渡るとビヨンビヨンとしなる木橋。

おっ、ケルン。下山道に間違いはないな。

用木沢出合。

ツツジ新道の登山口。行きは暗くて何も見えませんでした。

日が沈む前に西丹沢自然教室に戻ってきました。

本日の山行情報

単独行/日帰り/8時間以上歩行/マイカー登山

檜洞丸/青ヶ岳(ひのきぼらまる/あおがたけ)
標高1601m
詳細(外部リンク)
臼ヶ岳(うすがたけ)
標高1460m
詳細(外部リンク)
蛭ヶ岳(ひるがたけ)
標高1673m
詳細(外部リンク)
熊笹ノ峰(くまささのみね)
標高1523m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

西丹沢自然教室[着] 05:30 - [発] 05:30
 ↓ 5分 
ツツジ新道登山口[着] 05:35 - [発] 05:35
 ↓ 35分 
ゴーラ沢出合[着] 06:10 - [発] 06:10
 ↓ 95分 
檜洞丸[着] 07:45 - [発] 07:45
 ↓ 5分 
青ヶ岳山荘[着] 07:50 - [発] 07:55
 ↓ 65分 
臼ヶ岳[着] 09:00 - [発] 09:10
 ↓ 60分 
蛭ヶ岳[着] 10:10 - [発] 10:30
 ↓ 60分 
臼ヶ岳[着] 11:30 - [発] 11:30
 ↓ 75分 
青ヶ岳山荘[着] 12:45 - [発] 13:25
 ↓ 10分 
檜洞丸[着] 13:35 - [発] 13:35
 ↓ 20分 
熊笹ノ峰[着] 13:55 - [発] 13:55
 ↓ 75分 
犬越路[着] 15:10 - [発] 15:10
 ↓ 55分 
用木沢出合[着] 16:05 - [発] 16:05
 ↓ 20分 
西丹沢自然教室[着] 16:25 - [発] 16:25

行動時間:9時間40分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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