2013年11月24日
西上州:日帰り
二子山:上級者ルートで満足度の高い低山歩き。

好天の日曜日は山歩きへ。

四股名ではなく双耳峰の二子山。


目的地は奥秩父の二子山。
山名の通り、2つの顕著なピークを持つ双耳峰だ。

坂本から登り初めて、股峠からピストンで東岳。その後、西岳、魚尾道(よのおみち)峠を経由してループで坂本に戻るスケジュール。

標高こそ1200mに満たない二子山だが、クライミングゲレンデとしても人気の岩峰であり、一般ルートにも岩場の危険箇所が多々出現する油断のならない山と聞いている。
気を引きしめて行こう。

登山口の坂本に到着。
少ない駐車スペースには既に何台か車が停まっている。

空きを見つけてこちらも駐車したその直後、立て続けに駐車スペースを求めて数台の車がやってきた。
どうやらクライマーだけではなく一般登山者にも人気がある山のようだ。

混雑するほどではなくとも、静かな内に登っておくに越したことはない。
早速、出発した。

歩きづらい谷間のザレ場をしばらく歩き、何気に見上げると木々の間から雄壮にそびえ立つ岩峰が見えてきた。

東岳か?西岳か?
どちらにしても見た目に分かりやすい岩峰だ。

ハイ!名言、出ました。


暑くも寒くもないこの時期ならではの快調な足取りで股峠に到着。

東に行けば東岳、西に行けば西岳となる股峠。
東西にそびえ立つそれぞれの岩峰は、本当に一般ルートが存在するのかか疑わしい程に威圧感タップリだ。

まずはピストンで東岳へ向かう。

みるみるうちに傾斜がキツくなり、岩場に早変わり。
クサリ頼りでよじ登るような箇所はなくとも、転げ落ちたらタダでは済みそうにない状況である事は間違いない。

急傾斜の岩場を登りきると一気に視界が開け、お隣の両神山をはじめとする周囲の山々が視界を占領。これは見事の一言に尽きる。
周囲を埋め尽くす若干色あせてまだらな黄色い山肌がいかにも晩秋らしい。

そして、穏やかな風。
これ、大事なポイント。

いくら好天でも吹き付ける風が冷たければ、景観をゆっくりと楽しむこ事などできないのだ。

穏やかな好天。
素晴らしい山歩き日和ではないか。

景観を楽しみながら、少しばかりの岩稜を歩いて東岳山頂へ。

両神山全景。遮るものなど何もナシ。


西岳東峰。上級者コースは岩壁中央の右側を登ります。


味気ないけど見晴らしサイコー。

到着した山頂のすぐ西側には、空を突き上げてそびえ立つ西岳が鎮座。
その潔いほどの突き上げっぷりに、「本当に一般ルートなんてあるのかね?」と思わずにはいられない。

山頂で出会った登山者と談話していると、西岳には上級者向け一般ルートが存在するとの情報を得た。
昔はクサリが設置されていたのだが不評だったらしく、現在は撤去されて単なる急傾斜の岩場だと言う。

ふむ・・・興味アリ。
実際に登るかは別として取り付きまで行ってみようと、ちょっとワクワクしながら股峠まで戻る。

直登の上級者コースはこちら。


戻ってきた股峠には西岳の案内図があり、確かに上級者向けとして直登ルートが記されていた。
案内図の通りに股峠から少しばかり登ると、地主さんからのメッセージが貼り付けられている直登ルートの取り付き地点に出た。

安全を考慮して設置したクサリでしたが、「不要」「多すぎる」「切れたら責任とれるのか」と不評だったために撤去しました、との内容が記されている。

『地主』と言う事は二子山は個人の所有地で、クサリの設置は親切心なのだろう。
それにも関わらず、人の敷地内に入ってイチャモンをつける登山者。そしてその意見を聞くお人好しな地主さん。

おいおい、登山者って何様だ?!

と、こんな構図は私の勝手な想像にすぎないが、同じ登山者としての立場上、「謙虚さは忘れまい」と密かに自分に言い聞かせる。

取り付き地点から直登ルートを見上げたところ、垂直に近い斜度の岩場にはしっかりしたホールドが豊富にあり、クサリがなくても登れそうだ。
しかし、登った先で断念せざる得ない状況になった場合、安全に降りれるか?と言われると微妙。

好奇心と不確実性による不安との狭間でしばし葛藤する。
股峠にあった看板、『ゴミと命は持ち帰り』の名言が頭をよぎったりもしたが、最終的に好奇心が上回り、登る事に決定。

登り始めると意外とあっさり西岳東峰に登頂できた。

『あっさり』とは言っても、クサリのお世話になる時と比べると、自分の手足だけで登った充実感はまるで別物だ。
天気も見張らしもいいし、クサリなんかなくてもサイコーッ!

おっと、謙虚さ、謙虚さ。(この時点で謙虚さ皆無)


ここから登り始めます。クサリ設置の跡があるので迷う事はなさそう。


ほぼ垂直でもホールド多数。


結構な高度感なのに写真では全く伝わらず。

ここから細い岩稜伝いに歩けば西岳中央峰だ。
こちらの山頂も東岳同様に眺望抜群。と言うか、岩稜上は断崖絶壁の際なので、どこもかしこも最高の眺望を楽しめる。

西岳中央峰で登山者との会話をひとしきり楽しんだところで下山開始。
西岳西峰までは、これまで以上に切り立った細い岩稜が続くので慎重に。

石灰石採掘場。もともと山だったが今となっては見る影ナシ。


正面には叶山鉱山が見え、その石灰石採掘場は谷間に残る雪渓のようだ。
元々は叶山(かのうざん)と呼ばれる山だったが、今となっては見る影もなく綺麗に削り取られて真っ平らになっている。

この二子山も採掘場の候補に挙がっていたが、地元山岳会の方々によって守られたそうだ。
こうして山歩きができる事にも感謝、石灰石からの恩恵にも感謝です。

西岳西峰を越えて垂直のクサリ場を降りれば岩場終了。
後はなだらかな樹林帯歩きとなる。

ここまで来れば命を脅かす危険箇所はもうない。
初見では絶対に読めそうにない魚尾道(よのおみち)峠の分岐から、獣害防止ネットをくぐり、積り積もった落葉でフカフカな山道をマッタリと下山した。

改めて二子山の岩稜を見上げると、随分荒々しいところを歩いてきたものだ、と自分自身が少々誇らしく思えてしまう。

ここまで満足感を得られる低山はそうそうないぞ。

西岳中央峰からつづく細い岩稜を歩きます。


見上げると西岳の岩峰が並んで見えます。


クライマーさんたちがよじ登ってます。

漫画的山行記録

低山でも岩場の急登が多い西上州の山へ。

目的地は二子山です。

坂本登山口から出発。

綺麗なバイオトイレあり。

木々の陰から見える西岳(東岳?)の岩壁。

股峠に到着。北側の林道から来れば数分。

まずは東岳へ。

おっと、名言、出ました。

東岳への難所。身軽なら問題なし。

写真では伝わらないか、この高度感。

両神山。遮るものなど何もなし。

そびえ立つ西岳。後で登ります。

東岳はもう目の前。

東岳到着。

一端引き返して、次は西岳です。

上級者向けコースは中央辺りをよじ登ります。

他にも一般コースがあるので無理のないように。

この先、クサリはありません。

何やら一悶着あった様子。

ここから登ります。クサリ設置の跡があるので迷う事はなさそう。

ホールド豊富だがほぼ垂直。

写真では伝わらない高度感。残念・・・。

西岳東峰に到着。岩稜伝いに中央峰へ向かいます。

風が穏やかだから心地良い。強風なら恐怖。

両神山をバックに西岳中央峰。

西岳西峰を経由して下山します。

穴だらけの岩場。

振り返って西岳中央峰。あんな細い岩稜を下ってきたんだなぁ。

またしても穴だらけの岩場。

登りやすいけど素手だと切れやすいので注意。

叶山鉱山。今となっては山だった面影ナシ。

この垂直の鎖場を下りれば岩場終了。

サラバ、岩稜。

こんな感じのクサリ場を下りました。

岩場を下るとなだらかで歩きやすい山道になります。

見上げれば西岳の岩峰。

ちっさい標識。これ、魚尾道(よのおみち)峠と読むらしい。

クライマーさんたちが登っております。

獣害防止ネットを越えて下山。

歩きやすい山道。

西岳、東岳。ふたつ並んで二子山。

秋の陽気。

そして、秋の山道。

国道沿いの登山口に到着しました。

無事帰還。

お疲れ様でした。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

二子山(ふたごやま)
西岳1165.8m/東岳1122m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

坂本登山口(駐車場)[着] 07:35 - [発] 07:35
 ↓ 45分 
股峠[着] 08:20 - [発] 08:20
 ↓ 30分 
東岳[着] 08:50 - [発] 09:20
 ↓ 20分 
股峠[着] 09:40 - [発] 09:40
 ↓ 40分 上級者向けコース
西岳東峰[着] 10:20 - [発] 10:20
 ↓ 10分 
西岳中央峰[着] 10:30 - [発] 11:25
 ↓ 55分 
魚尾道峠[着] 12:20 - [発] 12:20
 ↓ 30分 
国道沿いの登山口[着] 12:50 - [発] 12:50
 ↓ 10分 舗装道路
坂本(駐車場)[着] 13:00 - [発] 13:00

行動時間:4時間(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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