2013年8月4日
西上州:日帰り
荒船山:船上を闊歩。イメージで楽しむ山歩き。

断崖絶壁の荒船山。遠方から見るとタンカーのような船に見えます。


950万年前、本宿二重陥没と呼ばれる激しい地殻変動によって形成された溶岩の塊である荒船山。

そそりたつ断崖絶壁上に広がる山頂は平らで細長く、その山容は雲海に浮かぶ船そのもの。この奇妙な山容から受けるインパクトは、私の歩行欲を刺激するには充分すぎる。

そんな以前から気になっていた荒船山を歩きに行った。

断崖絶壁の荒船山も、事前リサーチによると山道は歩きやすくハイキングコースとの事。ヨメも同行するので軽めの山歩きとしては丁度良いかもしれない。

前日夜に登山口まで行き、しっかりと睡眠をとってから早朝に登り始める、最近お気に入りの山行パターン。
勿論、ヘネシーハンモック泊だ。

深夜に到着した内山峠登山口の駐車場で、ヘネシーハンモックに揺られて眠ること4時間。前日に二山ぐらい登れそうなカロリー(肉)を摂取している事もあって、起床すると歩く気力に満ち溢れている。

クマ、怖い。


早朝の登山口はうっすらとガスのかかった怪しげな雰囲気。
当然と言うか予想通りと言うか、周囲には誰もいない。凶暴そうな熊のイラストが書かれた『熊注意!』の警告が、余計に不気味な雰囲気を引き立てている。

そんな中、まずは艫岩(ともいわ)と呼ばれる断崖絶壁のてっぺんを目指す。

事前リサーチ通りに山道は歩きやすく、その踏み固められた山道の様子から人気の山である事が伺える。歩きやすいどころか、踏み固められ過ぎて滑りやすいくらいだ。


少しばかりのアップダウンを繰り返しながら標高を上げていくと、急傾斜の岩場や切れ落ちた細尾根箇所が目立つようになってきた。
しかし、さすがは人気のハイキングコース。
ガードレールなど行き届いた整備で安心感タップリ。

断崖絶壁の上に位置する艫岩展望台より。


張り出した大岩からなる『鋏岩(はさみいわ)修験道場跡』の分岐点では標識がなくて少々戸惑ったりもしたが、迷う事なく艫岩展望台に到着。
※大岩に向かって右側の山道が山頂方面です。左側は謎。

断崖絶壁の上に位置する艫岩展望台は、登山者の安全を考えて整備されていた山道から一転、転落防止の柵なんてモノは一切ない完全自己責任の状態。
山道整備の真意は別として、何かにつけて責任を追求されるこのご時世に、自己責任に任せている観光名所はある意味貴重だ。

それにしても断崖絶壁には妙に惹かれる何かがある。

高所が苦手で基本的に臆病な私でも、「ひょえ~」と言いながら絶壁の下を覗き込む。あと一歩踏み込めば命を落とす危険をはらんだ行為とわかっていてもやらずにはいられない不思議。ヨメにいたっては、わざわざ絶壁の際で片足立ちのヨガポーズをとって写真撮影を要求してくる。

まことに厄介だ。

艫岩の潔いほどの絶壁を堪能した後は、荒船山の最高地点である経塚山(行塚山)へと向かう。
船のような様相から名付けられた荒船山の艫岩を船尾とするなら、船首は経塚山だ。荒船山を歩くとなればここを見逃す訳にはいかない。
※『艫(とも)』は船尾を意味する言葉です。

荒船山の船首となる経塚山。


艫岩からほぼ平らな山道を歩き、最後に少々キツイ傾斜を登って経塚山山頂に到着。

樹林帯に加えてガスもかかってしまい、山頂からの眺望は実に微妙。それでも雲海に浮かぶ船上の船尾から船首まで歩くイメージをすれば、何だか楽しい気分にもなれる。

体力的、時間的に余裕があるので、経塚山南側の巻き道経由で星尾峠、兜岩山まで足を伸ばしてみる。

この巻き道は昭文社の地図(2012年版)を見る限り、山道扱いだが『崩壊』と記されている。ここは崩壊具合を確認するためにも実際に行ってみる事にする。

ここからは踏み跡不明瞭で整備はあまりされていない。それだけに静かで、自然のままの状態を楽しめるとも言える。
巻き道分岐までの途中にある、自然物とは思えない細長い岩石群などは私にとって必見ポイントだ。(実は人工物だったりして・・・)

鳥のさえずりが岩に共鳴する薄暗い巻き道を進むと、まさに山道崩壊地点に出くわした。
山道の名残など一切なく、完全に流れ落ちている。
安全に渡れそうな箇所を選んで何とか横断したものの、地盤は極めて緩いため通行しない方が賢明な場所だ。

その後も軽い崩落箇所はあったが無事に越えて星尾峠へ。

自然の造形は時として不自然に見える。


自然物とは思えない細長い岩石群。


山道が完全に流れ落ちている崩壊個所。通行しない方が賢明。

何気にメルヘンチックな名称の星尾峠からは、鳥居の代わりなのか木々にくくられた縄の簡単な結界からお邪魔させてもらう。

星尾峠から40分ほど歩き、主稜線から5分ほど外れたところに御岳山はある。

木曽御嶽まで行けない御嶽教信者が、この山頂から木曽に向かって手を合わせていたと言われている。そんな山頂には白川権現の青銅像が祀られており、現在は2代目の像らしく、初代はその端っこでお茶目に顔を覗かせていた。

ここで少々休憩させてもらった後、本日最後となる兜岩山へ。

兜岩山までは、一部、断崖絶壁の細尾根を通過する事となる。当然、ガードレールなどの整備はない。
片側が切れ落ちた細尾根箇所では、絶壁なだけに景観最高!と言いたいところだが、本日はガスってほとんど見えず。くっ、残念。

兜岩山も御岳山と同様に主稜線から少し外れたところにある。
地形図を見ながら歩いていたので良かったものの、兜岩山への分岐点には標識がなく、そのまま通りすぎてしまう可能性大。

地形図のおかげで、案内のない分岐点から、わかりづらい山道を抜けて兜岩山に到着する事ができた。

『南西方面の眺望ヨシ』との情報を得ていたのだが、樹林帯で眺望ナシ。くうっ、残念。
※実は少し先に展望台があったらしい・・・。

御岳山山頂に祀られている白川権現の二代目青銅像。初代は端っこにいます。


写真では絶壁感が伝わりづらい。


樹林帯で眺望ナシの兜岩山。少し先に展望台があるらしい。

後は艫岩まで淡々と戻り、これまた淡々と内山登山口駐車場へと下山して、本日の山行は無事に終了した。

天気にこそ恵まれなかったが、荒船山、兜岩山の山道歩きを満喫。
船上闊歩のイメージも手伝って、充実感を味わえた今回の山行となった。



下山後は日本最古の西洋式牧場『神津牧場』のジャージー牛ソフトクリームを頂きます。
濃厚だが後味さっぱりでうまいッ!

そして帰り際には七夕まつりで賑わう下仁田町で、名物の下仁田カツ丼を頂きます。
秘伝の和風しょうゆダレのカツ丼は想像以上の完成度でうまいッ!

ちなみに有名な下仁田ネギは初霜の降りる11月頃が美味しいそうです。
是非とも旬に食べたいッ!


日本最古の西洋式牧場『神津牧場』で牛肉の串焼きを頂きます。うまいッ!


『神津牧場』のジャージー牛ソフトクリームを頂きます。うまいッ!


下仁田町名物の下仁田カツ丼を頂きます。うまいッ!

本日の写真

内山峠駐車場から出発。

まずは警告。

案内図にかわいいクマ。

こちら、怖いクマ。

多少のアップダウンこそあれ歩きやすい山道。

切れ落ちた危険個所にはガードレールや鎖でガード。

所々に急な登りあり。

突然現れた大岩。

『一杯水』の水場。ありがたい。

滑りやすいので気をつけて。

タコっぽいコブ。

レトロでイイ感じ。

広がる笹原が清々しい。

断崖絶壁。写真ではビビって撮影している感じゼロ。

休憩所。トイレは使用できませんでした。

艫岩展望台に到着。

ちょっと雲がかかって残念な展望。

このような位置関係となっております。

浅間山方面。

潔いほどの断崖絶壁。

これはこれで神々しいが、できれば眺望を楽しみたかった。

平坦な山頂を歩いて経塚山へ。

この先に石碑があるのだが、朝露で濡れた笹原に踏み込む気がしない・・・。

快適ハイキング。

経塚山の最後には少々キツイ登りが待ってます。

面白い地質が見られます。

人工っぽいが自然。

落石が多そうな感じ。

いい色のてり具合。

崩落個所。※地盤が緩いので通行しないほうが賢明です。

また崩落個所。

分岐点。黒滝山歩道方面は崩落個所があるため通行しない方が賢明です。

星尾峠にかわいい方のクマが。

結界をくぐってお邪魔します。

岩場にヒメシャジン。

御岳山山頂。木曽御嶽山の御神体の分身が祀られてます。

すりおろしニンジンジュースでカロリー補給。

可憐だ。

この辺りは細尾根で断崖絶壁なので要注意。

巨岩の北側を回ります。

直角に切れ落ちてます。写真ではお伝えできなくて残念。

兜岩山への山道はちょっとわかりずらい。

兜岩山。あれ、思ったほど眺望がない・・・。

何時からあるのかてるてる坊主。

そびえ立つ巨岩。

朝方は寄らなかった石碑ポイント。

『皇朝最古修武之地』の石碑。

内山峠駐車場に到着。

本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

荒船山(あらふねやま)
標高1423m
詳細(外部リンク)
経塚山(きょうづかやま)
標高1422m
詳細(外部リンク)
御岳山(おんたけさん)
兜岩山(かぶといわやま)
標高1368.4m

本日のスケジュール

内山峠登山口[着] 05:20 - [発] 05:20
 ↓ 90分 
艫岩[着] 06:50 - [発] 07:10
 ↓ 30分 
経塚山[着] 07:40 - [発] 08:25
 ↓ 55分 経塚山南側の巻き道※崩落個所あり!
星尾峠[着] 09:20 - [発] 09:20
 ↓ 50分 
御岳山[着] 10:10 - [発] 10:40
 ↓ 40分 
兜岩山[着] 11:20 - [発] 11:25
 ↓ 65分 
星尾峠[着] 12:30 - [発] 12:30
 ↓ 35分 
艫岩[着] 13:05 - [発] 13:15
 ↓ 75分 
内山峠登山口[着] 14:30 - [発] 14:30

行動時間:7時間20分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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