2013年8月11日
日光連山:2日目
女峰山:人との出会いに感謝の絶えないソロ山行。

ヘネシーハンモックで超熟睡。

昨日はゆとり山行だったが、本日は大真名子、小真名子、女峰山、そして日光へ下山の縦走スケジュール。
熟睡できたお陰で体調は万全、ガッツリと歩けそうだ。

山道に入ると八海山神像や石碑が多数あります。


昨日、避難小屋に先着していたおじさんも既に起きていたので情報を仕入れておく。
心配なのは水場が利用できるかだ。

男体山~女峰山の区間は稜線なので水場は一切ない。稜線から外れたとしても、私の計画しているルート上には、下山道の途中1箇所しかない。

しかし案ずる事なかれ。その水場は枯れていないとの事。
この水場には間違いなく立ち寄るだろうから心強い情報となった。(時期や状況によっては渇れる事もあるそうなので事前に確認を!)

それでも持ってきている水をガブ飲みする事なく大事に飲むように心掛けよう。
水場情報を教えてくれたおじさんに礼を伝えて、女峰山目指して縦走を開始。

まずは大真名子山。

この大真名子山の登りは男体山に負けず劣らず急傾斜。山頂付近ではハシゴ、クサリ場等もある油断ならない山だ。

見晴らしの良い岩場から男体山。


昨日に引き続き、自分のペース厳守で淡々と登っていくと、登るごとに木々の間から覗かせる青空のスペースが広くなってきた。岩場に出るとすぐお隣の太郎山が誇らしげにそびえ立っているのが見える。
本日は景色を堪能できそうだ。

呼吸をととのえつつ更に登っていくと、下方からクマ鈴の音が近づいてきた。その音の急接近振りから、かなりの健脚を持つ登山者である事がわかる。
もう今にも追い付かれそうな勢いだ。

気にしない、気にしない。
マイペース、マイペース。(かなり意識している)

日光三険のひとつ『千鳥返し』のクサリ場を登ると好天下の山頂が現れた。
山頂には蔵王権現(日野ノ権現)の青銅像があり、その向こうにはこれから向かう小真名子、女峰山が悠々と連なっている。

景色を堪能していると、間もなくクマ鈴を鳴らしておじさん登山者がやってきた。私が2時間かけて登ってきた山道を、1時間程で登ってきたと言う。
少々談話すると遥々広島県から車できており、本日で5座目。お盆休みが終わるまで、まだ4~5座登る予定の超健脚おじさんだった。

単なるピークハント目的ではなく、興味を持った場所にある山を登る事が好きで、全国各地の山歩きを楽しんでいる、実に私好みの山行スタイルだ。そして、広島カープの試合結果を気にしているのがいかにも広島県民らしくてステキだ。

飾り気のない広島の雰囲気も広島県人も好きな私は、すっかりこのおじさんが好きになった。
普段撮らない自分の記念写真も、「ああ、イイ!」と二人で撮りあう程に意気投合。すっかり楽しい気分となった。

日光三険のひとつ『千鳥返し』。


大真名子山山頂。


蔵王権現(日野ノ権現)の青銅像と珍しく記念撮影。

ソロ山行のよさは単独ならではの自由さにあるが、矛盾しているようでも単独者同士の交流もまた良いモノだ。

一旦別れを告げて、一足お先に小真名子山に向かう。

今回の男体山~女峰山の縦走は、稜線歩きと言うよりも一山ごとの登り下りの標高差が非常に大きい。地形的に稜線と分類されるとしても、稜線歩きをしている感じが丸でしない。
それでも歩いてしまうのは、ファミリーとして連なる日光連山という興味、それに尽きる。

『鷹の巣』の鞍部まで下り、改めて小真名子山への登りを開始。
距離こそ短いがキツイ登りが続く。

小真名子山山頂でのヘネシーハンモック体験会。


案の定、超健脚おじさんに追い付かれて一緒に山頂へ。

おじさんと小真名子山でも談話。

話の流れで、ヘネシーハンモックの快適さ体験してもらうべく、小真名子山山頂で体験会を催すこととなった。
何だかバイヤーと勘違いされそうな状況だが、自分の好きなモノを紹介、尚且つ、相手も興味を示してくれるのは単純に嬉しい事だ。

好印象でヘネシーハンモック体験会を終え、一足お先に最後の女峰山へと向かう。

ガレ場をかなり下ります。


富士見峠への下りは滑りやすいガレ場の危険地帯。
傾斜もキツく、直射日光にジカジカと照らされるこの状況は堪える。私は下りだからまだマシなものの、登りの方はさぞかし大変だろう。

急ぎすぎず慎重になりすぎず、着実に下って富士見峠に到着。とりあえずは一安心。
ここからは帝釈山までは緩やかな傾斜の山道を登っていく事となる。

が、距離が長いため地味に堪える。

あっさりと超健脚おじさんに追い抜かれてしまい、休み休みのボチボチ登りに徹する。
水をガブ飲みしたい欲求を抑えて、チビチビとやりながら女峰山手前の帝釈山に何とか到着。おじさんはとっくに到着して休憩している。

ここまで来ればヤセ尾根の岩稜歩きを楽しみながら女峰山に向かうだけ。

ヤセ尾根の岩稜歩きを楽しみながら女峰山へ。


その前に私も休憩。またおじさんと談話。
今朝出会ったばかりでも話すたびに打ち解けてる感じがする。

女峰山山頂は、日光三険のひとつ『馬背渡り』とよばれる急峻で細い岩稜の上にあり、見るからに狭そう。そして下から見上げる限り、思った以上に登山者で賑わっている様子だ。

山頂手前だが、これまで大事に持ってきたグレープフルーツをおじさんと食べる事にする。

うーん、ウマイ!

男体山をはじめとする日光連山ファミリーを眺めながら食べるみずみずしいフルーツはまた格別。
おじさんも西日本人らしい、いいリアクションで食べている。

そして岩稜歩きを楽しみながらおじさんと女峰山へと向かう。

到着した女峰山山頂はぐるりと絶景。

遠方は雲や霞で明確に見えなかったが、それでもこの眺望は圧巻。
私が百名山を選べるとしたら、眺望もさることながら、ファミリー伝説や行程の面白さなど、間違いなく選ぶいい山だ。

日光三険のひとつ『馬背渡り』。


『馬背渡り』の途中にトウヤクリンドウ。


超健脚おじさんと滅多にしない記念撮影。山中での出会いは楽しい!(でも表情は硬い)

そしてこの狭い山頂の雰囲気が実によかった。

餃子を焼くベテラン登山者、ロングトレイル好きなお兄さん、登山にはまっている若いカップル。社会的地位や年齢、登山歴など関係なしに、それぞれが打ち解けあって和気あいあいと談笑している。

広々とした男体山山頂には感じなかった雰囲気がここにはあった。
これも女性特有のコミュニケーションの場を生み出す女峰山の能力なのか。

意気投合した超健脚おじさんと滅多にしない記念撮影。
名残惜しい思いの中、山中での出会いに感謝を込めた握手をして下山の途に着いた。

ガレ場をトラバース。


女峰山から唐沢避難小屋方面への下山道には『馬背渡り』のような危険箇所はないが、ガレ場が多く足元が悪い。
そんな山道を登ってくる登山者には、「これから女峰山に行くのだな」と思うだけで優しさタップリに励ましてあげたくなる。

本日の山行はここまで最高の出来栄え。
がしかし、山歩き人としてあるまじき行為を最後にやらかしてしまう。

唐沢避難小屋から尾根伝いに気分よく下山していると、いつの間にか谷間に差し掛かっていた。どこかで獣道に入り込んでしまったらしく、正規ルートから50メートルほど下っている。
しょうがないので息を切らして正規ルートまで登り返す。

ここまでは特段問題ではない。
問題は水だ。

「もう下山だし、2時間も下れば水場があるかー」と言って、女峰山山頂で残りの水をガブ飲みしていたのだ。
結果、手持ちの飲み水は全くナシ。

道を間違え、登り返す余計な体力を使って大汗をかいてしまった今、喉が乾いてしょうがない。それでも水場までトボトボと下山するしかない。

神々しく光が遥拝石に降り注ぐ。


精神的にも疲労して休み休み下山。
笹原に寝転んで休憩していると、トレイルランのお兄さんが下山してきた。

山歩き人としてあるまじき行為だが背に腹は変えられない。
余っている水がないか訪ねてみる。

もう1時間ほど走れば下山できるとの事で、コップ一杯どころか余っている水を快く分けてくれた。

ああ、何て有り難い事だ。
大事に飲ませていただきます!


水源は細いがしっかりと流れている貴重な水場。


その後、息を吹き替えして、笹原が広がる長い山道を快調に下山。
水源は細いがしっかりと流れている貴重な水場に辿り着き、咳き込むほどに水分を摂取する。

あー、水って大事。(と言うか多めに持っていけ)

完全に復活したところで、日光東照宮の裏手にある行者堂へと無事に下山した。

「水って大事」

こんな当たり前の事を身をもって実感させられたと同時に、山中での人との出会いに感謝の絶えない山行となった。

終わってみれば実に有意義な山行だったな。(と言うか水は多めに持っていけよ)

山中で出会った方々、色々とありがとうございました!

本日の写真

まずは大真名子山へ。

笹藪ですが山道は明確。

ひっそりと守久霊神の石碑。

八海山神像。早朝の樹林帯は三脚ナシではツラい。

薄暗い樹林帯を進みます。

空が明るくなってきた。

一本だけギンリョウソウ。

軽いクサリ場を越えれば・・・。

一気に朝の爽やかさ。

小さいハシゴが出てきた。

見晴らしの良い岩場から男体山。

戦場ヶ原方面に延びる大真名子影。

日光三険のひとつ『千鳥返し』。

大真名子山山頂。

本日の目的地の女峰山。

日光白根山(奥白根)がひょっこり。

蔵王権現(日野ノ権現)の青銅像と珍しく記念撮影。

山道脇が大きく崩壊しています。

ここまで来れば快調に進めます。

鞍部の鷹ノ巣。

小真名子山山頂。

女峰山が近づいてきた。

小真名子山山頂でヘネシーハンモックの体験会を開催。

さーて、また下るかー。

電波反射板。

太郎山に日光白根山。

富士見峠に向けて下降。

ガレ場を結構下ります。日中は暑くて堪らん。

ここまで下りれば一安心。

富士見峠。

傾斜は緩いが長くて地味に堪える。

帝釈山山頂。奥は太郎山。

大真名子、小真名子。

女峰山へ延びるヤセた稜線。

専女山。

女峰山手前で、みずみずしいグレープフルーツを頂きます。

いよいよ最後、日光三険のひとつ『馬背渡り』。

『馬背渡り』の途中にトウヤクリンドウ。

こんな別称があるらしい。

女峰山山頂。

滝尾神社奥宮に参拝。

絵になるロングトレイル好きなお兄さん。

健脚おじさんと記念撮影。表情が硬い。

さあ、下山しよう。

足場の悪いガレ場を下ります。

唐沢避難小屋。

唐沢避難小屋から黒岩尾根を下山。この後、獣道に迷い込んで道を間違えます・・・。

ガレ場をトラバース。

笹原に出た。

笹原で休憩。あー、のどが渇いた。

何気に危ないクサリ場。

いえ、下ります。

遥拝石で休憩。

神々しく光が遥拝石に降り注ぐ。

黒岩にも行ってみたいが今日はパスして巻き道へ。

黒岩を巻いて水場へ直行。

ここまで印があれば間違う事はない。

八風。何か意味ありげな名称。

笹原に突入。

白樺金剛。

昨日から歩いて初めての水場。

水源は細いが有り難い!!

頭上でゴロゴロ鳴っている。急げや急げ。

樹林帯の中へ。

稚児ヶ墓。悲しい言い伝えのある墓石です。

林道に合流。でも左手の山道が近道です。

東照宮に近づく程に木が立派になってゆく気がする。

行者堂。

うーん、いい表情だ!

笑わすつもりはないハズ。

二荒山神社本社へと続きます。

道脇のこういう所が無性に気になる。

二荒山神社本社。

日光東照宮?いや、今はコーラだ!

JR日光駅。この向かいに小汚い私のようなモノでも快く日帰り入浴させてくれるホテルがあります。(700円)

本日の山行情報

単独行/2日目/テント泊/縦走/電車・バス登山

大真名子山(おおまなこさん)
標高2375.4m
詳細(外部リンク)
小真名子山(こまなこさん)
標高2322.9m
詳細(外部リンク)
帝釈山(たいしゃくさん)
標高2455m
詳細(外部リンク)
女峰山(にょほうさん)
標高2483m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

志津避難小屋[着] 05:05 - [発] 05:05
 ↓ 95分 
大真名子山[着] 06:40 - [発] 07:20
 ↓ 25分 
鷹ノ巣[着] 07:45 - [発] 07:45
 ↓ 35分 
小真名子山[着] 08:20 - [発] 09:00
 ↓ 25分 
富士見峠[着] 09:25 - [発] 09:25
 ↓ 75分 
帝釈山[着] 10:40 - [発] 11:15
 ↓ 10分 
専女山[着] 11:25 - [発] 11:40
 ↓ 10分 
女峰山[着] 11:50 - [発] 12:40
 ↓ 20分 
唐沢避難小屋[着] 13:00 - [発] 13:00
 ↓ 130分 黒岩尾根(途中、道迷い)
遥拝石[着] 15:10 - [発] 15:30
 ↓ 45分 
水場[着] 16:15 - [発] 16:45
 ↓ 60分 
行者堂[着] 17:45 - [発] 17:50
 ↓ 15分 舗装道路
二荒山神社本社[着] 18:05 - [発] 18:10
 ↓ 5分 
総合会館前(バス停)[着] 18:15 - [発] 18:15
 ↓ 5分 バス利用(230円)
東武日光駅[着] 18:20 - [発] 18:20

行動時間:9時間15分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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