2015年9月12日
飛騨山脈(北アルプス):日帰り
乗鞍岳:記念日は快適プランで贅沢な山行を。

バスで快適な観光登山へ。


乗鞍スカイラインで標高3000mを越える乗鞍岳へ行ってきます。

主峰を剣ヶ峰とした山々の総称である乗鞍岳へは、標高2702mの畳平まで道路(岐阜県側は乗鞍スカイライン)が開通しており、区間バスも運行している。そのため、気軽な観光気分で登れてしまい「日本で最も登りやすい3000m超級の山」とも呼ばれているようだ。(※2003年からは通年マイカー規制中)

そして、活火山である事も意識しておきたい。最後に噴火したのは2000年前とされ、山頂部に噴気地帯はないが火山性の地震活動が認められているため監視対象となっている。

そんな乗鞍岳をバス利用の快適プランで散策する。

単独であれば麓から徒歩で登る計画を立てただろうが、本日は私事ながら結婚記念日。

『結婚記念日のお祝いは単独で行うものにあらず』

そんな事でヨメも同行している今回は、疲れない程度の観光登山に抑えて、下山後に奥飛騨の温泉旅館でマッタリしようという計画だ。

もっとも、昨年は単独の槍・穂高縦走に出かけてしまい結婚記念日をすっぽかした私。今年は贖罪の意味が大きいのだ・・・。




ほおのき平駐車場からバスに乗って出発。


ほおのき平駐車場からバスに乗って出発。

花の時期でも紅葉の時期でもない本日は混雑しないだろう。その予想通り、一切の待ち時間もなく悠々とバスに乗って乗鞍畳平に到着した。

40分ほどバスに揺られているだけで、即、標高2700mオーバーの景色が目の前に。

ここ最近になかった久し振りの快晴もあって、火山らしい岩山が秋晴れの空に映えている。北側へと続く飛騨山脈(北アルプス)の山稜も鮮明で、この先、更に開かれるだろう眺望に俄然、期待が高まる。

こりゃあ、結婚記念日どころじゃねぇぞ!(やめておけ)

山々の総称としての乗鞍岳だが、今回は最高峰の剣ヶ峰をメインとしてその他のピークにも登ってみる。山道が整備されているいくつかのピークは、お互いそれほど離れておらず標高差も大したことはないため短時間で周れそうだ。こんなお気楽気分でいられるのも、畳平までバスで登ってこれたお陰と言える。

まずは剣ヶ峰を目指す。

バスを降りれば標高2700mの景色。


不消ヶ池(きえずがいけ)を右手に眺めながら遊歩道を進むと、小高い丘の上に乗鞍観測所(旧コロナ観測所)の白いドームが見えてきた。乗鞍観測所への分岐点には『関係者以外、車の立ち入り禁止』と記されている。

解釈が微妙な表現だ。

一般は徒歩でも立ち入り禁止か?車だけか?
そもそも一般車両はここまで入ってこれないのに『車』と記載する意味がわからない。誰に対しての警告だ?それに多くの観光客がいるのに誰一人として歩いていないのも気になる・・・。

などと小難しく考えた結果、興味の方が勝ったので行ってみる事に。

誰も居ない坂を登ってゆくと、青々とした不消ヶ池を見下ろせる高さになってきた。そして、みるみるうちに眺望が開かれてきた。

全貌を現す飛騨山脈の岩峰群。

灰色の鋭峰が連なる3000m級の稜線は、日本を代表する山域らしい荘厳な雰囲気だ。中でも存在感を放つ槍・穂高連峰を目の当たりにすれば、一昨年の単独テント泊縦走の記憶が鮮明に蘇る。

あ。

ヨメの手前、昨年の結婚記念日をすっぽかした山行の思い出に浸るのは止めておこう。

高山には三角屋根が良く似合う。


全貌を現す飛騨山脈の岩峰群。


無人の乗鞍観測所(旧コロナ観測所)。

現在は使用されていない無人の乗鞍観測所から引き返し、改めて剣ヶ峰へと向かう。

下方に見える大雪渓上ではスキーヤー、ボーダーたちが滑りを楽しんでおり、その上部には朝日岳、蚕玉(こだま)岳、剣ヶ峰の三峰が連なって見える。この三峰の山容はまさに『鞍』そのもので、乗鞍岳と名付けられるのも納得だ。

お客さんで賑わう肩ノ小屋からは、いよいよ本格的な山登りとなる。

肩ノ小屋から剣ヶ峰は足場の悪いザレた山道になります。


足場が悪くザレている山道だが小さなお子さん連れの登山者も多く、健気に登っている子供の姿に「頑張れよっ」と応援したくなる。標高2500mを越えると、てきめんに心肺機能が落ちてしまう私も本日は調子がよく、密かに子供を応援できる余裕があった。ちなみに大人に対しては無情だ。

混み合う登山者をかわしつつ、順調な足取りで蚕玉岳、そして、最高峰の剣ヶ峰に到着した。(朝日岳は立ち入り禁止でした)

山頂からは四方八方に広がる壮大な景色が楽しめる。ここから眺める日の出、日の入の瞬間は、さぞかし素晴らしいだろうと容易に想像できる山頂だった。

ただ、この時期では3000mを越える標高の風は流石に冷たく、長居すると身体が冷えきってしまう。背中合わせに並ぶ長野県側の朝日権現社と、岐阜県側の乗鞍本宮奥宮に参拝して、そそくさと肩ノ小屋へと引き返す。

蚕玉(こだま)岳山頂。


権現池の遥か彼方には白山。


鳥居をくぐれば剣ヶ峰山頂。

戻ってきた肩ノ小屋で、冷えた身体を温めるために熱々のおしるこを頂く。

普段は食べないおしるこも、山で食べるとその甘味がまた格別で、おしるこを美味しく感じる状況に夏山シーズンの終わりを感じた。

バス乗り場までの帰り際には富士見岳を経由してみる。

富士見岳から見上げる秋空。


分岐点から数分で登り終える富士見岳だが、山頂からの景色は圧巻で、山頂にあったケルンも「標高に影響するのでは?」と思える圧巻の盛り具合だ。何だか周囲にあるそれぞれのピークも巨大なケルンに見えてしまう。

そして印象的だったのは剣ヶ峰上空に広がるウロコ状の雲。高峰から見上げる秋空の色合いは、本日一番の記憶として残る景色となった。

往復10~20分程度の大黒岳へは時間の関係で登らなかったが、バス乗り場のすぐ側に登山口がある魔王岳は外せない。

魔王岳。
男の子ならときめきながら必登だよね。

そんな訳で、バス乗り場にヨメを残して急ぎ足で魔王岳に登る。

途中、ここ最近の山行で最大の息切れ記録を更新しつつ、巨大なガレ場となる魔王園地と岩場の魔王岳山頂をキッチリと堪能する。『天狗』は純和風で修行を伴う山伏を連想させるが、『魔王』となると尻尾の生えた真っ赤なおっさんが大きめのフォーク片手に座ってるイメージしかわかない(子供の発想か)。日本における山岳信仰の意味合いからして、「魔王は馴染まなかったな」と勝手な事を思いながらバス乗り場へと戻った。

帰りのバスも悠々と乗車できて、揺られ寝ているだけでほおのき平駐車場へと下山。乗鞍岳での結婚記念日は、秋晴れにも恵まれて文句なしの観光登山となった。




シェフのお心遣いにより結婚記念日のケーキを頂きました。


山中では何かと口論になりやすいヨメと私だが、今回は終始穏やか。秋晴れの景色を堪能できたヨメもご満悦の様子だ。

更に結婚記念日企画として、奥飛騨温泉郷の温泉宿『白雲荘』で、箸で食べるフレンチディナーをご用意。チェックインしてのんびりと温泉に浸っているだけで快適な寝床と夕食が用意されてしまう贅沢さ。これは、絶景を眺めながらの山中テント泊とは別の種類の贅沢さがある。

食事の最後にはシェフの計らいにより結婚記念日のケーキを頂き、お酒もはいったヨメのご満悦ゲージはすっかり振り切れた。

しめしめ、これで去年の結婚記念日すっぽかしの罪は帳消しだろう。
来年はまた縦走、行けるな。

(いいのか、それで!?)

漫画的山行記録

本日は私事ながら結婚記念日。

そこで、ヨメとともに疲れない程度の観光登山に出掛けます。

行く先は北アルプスの乗鞍岳。

乗鞍岳は標高2700mの畳平まで区間バスが運行しています。
※2003年から通年マイカー規制中

悠々とバスに揺られて約40分。

バスから降りれば即、標高2700mの景色です。

まずは乗鞍神社本宮に参拝。

郵便局へは帰りにもう一度寄ります。

では、楽して高山散策へ出発。

まずは乗鞍岳の最高峰である剣ヶ峰に向かいます。

整備された遊歩道なので快適。

こちらは木道が整備されているお花畑。7~8月頃が見頃かと思われます。

三角屋根がよく似合う。

秋晴れで爽快です。

お花の時期は終わっていますが好天で気持ちがいい。

この高度でも結構クマが出没するとの事。

多くの登山者が稜線上を行き交っています。

不消ヶ池(きえずがいけ)を右手に見ながら悠々散歩。

乗鞍観測所への分岐点。ちょっと行ってみます。

少し登れば全貌を現す飛騨山脈の岩峰群。圧巻です。

こちらは後ほど向かう剣ヶ峰。

下方の大雪渓上ではスキーヤー、ボーダーの姿を見られます。

無人の乗鞍観測所(旧コロナ観測所)。

槍・穂高連峰をバックに贅沢な景色が広がっています。

一旦、分岐点まで引き返します。

改めて剣ヶ峰へ向かいます。

左から剣ヶ峰、蚕玉(こだま)岳、朝日岳。

この『鞍』のような山容が乗鞍岳の由来となっています。

肩ノ小屋を通過。

ここからガレた山道となります。

結構な斜度の岩場を登ります。

尾根に乗りました。もう一息。

蚕玉岳山頂。

剣ヶ峰は目の前です。

権現池の遥か彼方に白山が見えます。

乗鞍岳頂上小屋です。

うふ。

鳥居をくぐれば、

乗鞍岳最高峰の剣ヶ峰山頂です。

大日岳(奥ノ院)の向こうには御嶽山が見えます。

拡がる3000mからの景色。

長野県側の朝日権現社と岐阜県側の乗鞍本宮奥宮に参拝して引き返します。

肩ノ小屋まで戻ってきました。

身体が冷えたのでおしるこを頂きます。

パンにはさんでおしるこパン。

おしるこを美味しく感じる状況に夏山シーズンの終わりを感じます。

富士見岳を経由してバス停へ戻ります。

数分で富士見岳山頂です。

山頂には山盛りケルン、

眼下には畳平、

そして頭上には秋空が広がります。

富士見岳を下ってバス停へ向かいます。

鶴ヶ池の向こうには『つん』とした槍ヶ岳。

程良く乗鞍岳を散策してきました。

バスの待ち時間で魔王岳に行ってみます。

足元にはひっそりとイワギキョウ。

展望良好の魔王園地。

恵比寿岳とその下に亀ヶ池がちらり。

魔王岳山頂。『魔王』だなんて男の子はときめきながら必登でしょう。

最後に乗鞍山頂郵便局の風景印をゲット。

バスに揺られてほおのき平駐車場へと戻ってきました。

快適に乗鞍岳を散策した後は奥飛騨温泉郷の温泉宿へ。

本日お世話になる白雲荘です。

貸切の内湯で汗を流し、

同じく貸切の露天でマッタリできます。

そして、風呂上がりにはサービスのコーヒー牛乳。

夕食は『箸で食べるフレンチ』に舌鼓を打ちます。

美味しそうに撮れている写真がなかったので、美味しそうな料理を想像して下さい。

食後にはシェフの計らいで結婚記念日のケーキを頂きました。

ごっつぁんでした。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

乗鞍岳(のりくらだけ)
標高3026m(剣ヶ峰)
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

畳平(バス停)[着] 10:05 - [発] 10:15
 ↓ 45分 
乗鞍観測所(旧コロナ観測所)[着] 11:00 - [発] 11:05
 ↓ 21分 
肩ノ小屋[着] 11:26 - [発] 11:28
 ↓ 42分 
剣ヶ峰[着] 12:10 - [発] 12:48
 ↓ 28分 
肩ノ小屋[着] 13:16 - [発] 13:38
 ↓ 17分 
富士見岳[着] 13:55 - [発] 14:03
 ↓ 16分 
畳平(バス停)[着] 14:19 - [発] 14:19
 ↓ 9分 
魔王岳[着] 14:28 - [発] 14:30
 ↓ 5分 
畳平(バス停)[着] 14:35 - [発] 14:35

行動時間:3時間3分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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