2015年9月21日
後立山連峰:1日目
五竜山荘:山小屋大混雑でテント装備が苦行に。

後立山連峰縦走へ。


天気よし、体調よし、休みよし。

この機会を逃さず、テントを背負って後立山連峰縦走へ出発。

今年のシルバーウィークは大型の5連休にも関わらず、仕事の都合でフルには使えない。それでも何時にない集中力で仕事をこなし、3連休を確保できた。

こうなれば山歩きに出掛けるしかない。せっかくなので日帰りでも1泊でもなく、3連休をフルに利用した2泊3日プランにしよう。

地図を広げて山行ルート、登山口までのアクセス、幕営地の位置、そして下山後の温泉など、最適のプランを求めてアレコレと悩む。

「これはちょっと物足りないな」
「ここならもう1泊、欲しいな」
「いやぁ、駅まで遠くなっちゃうな」

久しぶりの2泊3日となる山行計画は、悩ましくも想像をかき立てられて実に楽しいモノだ。最終的にいくつかの候補から初めての山域となる後立山連峰を選択した。

白馬駅から八方尾根を登って、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、そして爺ヶ岳を縦走して扇沢へと下山するスケジュール。何と言ってもメインは北アルプス3大キレットの1つとされる『八峰キレット』の通過だろう。

標高2500mを越えるとてきめんに弱ってしまう心肺機能を持つ私。一昨年の槍・穂高縦走では高山病に大いに苦しまされた。それでも日頃の自己メンテもあって、今回の縦走では密かな自信を感じている。果たしてこの自信は本物なのか実際に検証だ。




ゴンドラ/リフトを利用して一気に2000m付近へ。


扇沢への下山を考慮して、最も都合が良いと思われる信濃大町駅駐車場に車を停めて始発電車で白馬駅へ移動。まだバスが運行していない時間帯なので八方駅(ゴンドラ乗り場)まで40分程かけて歩いてゆく。

道中の所々には昔懐かしの長野五輪エンブレムが掲げられ、当時の活気を感じられる。今となってはオリンピック開催時程の賑わいは無いにしても、洒落た建物が建ち並ぶこのエリアには独特の雰囲気が漂っている。その雰囲気に一役かっているのが雲の間から覗いている後立山の白き峰々だ。

どことなくアルプスを彷彿させる後立山連峰の山容は、雲に隠れて全体が見れなくとも感嘆の声がもれる存在感がある。本日の空模様では終日の快晴は望めないだろう。ただ、午前中ぐらいは景色を楽しませてほしい。

こんな期待を膨らませながら『八方アルペンライン』の片道券1550円+440円(15kg以上の荷物の場合)を購入。はやる気持ちを抑えてゴンドラ/リフトと乗り継ぎ、一気に2000m付近の八方池山荘に到着した。

流石に大型連休だけあって多くの登山者+観光客が列をなして山頂を目指している。私もその列に混ざって後立山連峰縦走の旅スタートだ。

まずは八方池まで登る。

この辺りは観光客が多いからか山道が整備さている。ただ、滑りやすい蛇紋岩で覆われているため油断は禁物。山歩き人としては蛇紋岩を物ともせず、観光客に「さすがに登山者!」と思われる歩みを披露しなければ。(意識し過ぎに注意)

到着した八方池には不帰(かえらず)キレットの険しい岩稜が映し出されていた。池面にはさざ波がたち、もれなく人々の姿も映り込んでいる。そして雲が湧いてしまい天気もいまいち。お世辞にも「素晴らしい」とは言い難い状況だが、条件さえ揃えば鏡面張りの独創的な空間になるのは間違いない。今回はそんな想像だけで満足しておこう。

後立山連峰の白き峰々。


息(やすむ)ケルン。遭難された息子さんの供養のため御家族が建てられたそうです。


不帰キレットを映し出す八方池。

八方池からは本格的な登山道となる。

マイペースで登っていると、時間の経過とともにガスが掛かり気温も下がってきた。唐松岳手前にある唐松岳頂上山荘に到着する頃には辺りはガスで真っ白。とても景色どころではない。それに加えて標高の影響が出てきたのか呼吸が乱れやすくなっている。

唐松岳頂上山荘から唐松岳山頂までは往復約30分。


唐松岳頂上山荘から唐松岳山頂までは往復約30分。

唐松岳頂上山荘の前で「全然『頂上』じゃない・・・」とボヤきながら荷物をデポ(残置)して唐松岳山頂へ向かう。

本来ならば後立山連峰を一望できそうな山頂だったが、残念ながら周囲を覆っていたガスが晴れることはなかった。そのガスの厚みに最初から諦め半分だったとは言え、「ちぇっ」と、またしてもボヤく。

何だかボヤきが多くなっている。
多分、このボヤきは標高のせいだ。そう言うことにしておこう。

じっとしていると、みるみる内に体温が奪われてゆく。身体を温めるためにも本日の宿泊地となる五竜山荘のテン場へ向かおう。

五竜山荘までの道程は終始ガス景色。ガスの中から時折表れる縦走路の先にテンションが上がるも、その全体像が見えないため壮大だろう景色を想像するほかない。

こんなボヤきが炸裂しそうな状況下で、いよいよ心肺機能低下の兆候が強まってきた。こうなると景色よりも早くテントで横になりたい気分の方が大きくなる。

快晴だったら絵になる唐松岳頂上山荘。


岩場を乗り越えて五竜山荘へ向かいます。


ガスの中から時折表れる縦走路。

五竜山荘に到着。


結構な疲労を感じながら五竜山荘に到着。

五竜山荘は登山者でごった返していたが、早いところテントを設営してくつろぎたい私は混雑を気にも留めず申し込みカウンターへ一直線。すると無常な一言を放たれる。

「本日のテント設営は締め切りました」

確かにところ狭しとテントが設営されているのだが、まだスペースがあるようにも感じる。

「(場所をとらない)ツェルトでもいいんですが・・・」

これに対する回答はなく、下山か素泊まりの選択肢を迫られる。

ツェルト泊も考えたがこれから適当な場所を探すのが面倒になり、「布団で寝れるだけ有り難い」と自分に言い聞かせて素泊まりを申し込むことにした。

それにしてもテント泊800円→素泊まり6600円の出費は痛いな。

私と同様の状況だった方も多く、予期せぬ素泊まりの出費で手持ちのお金が無くなり縦走を中断する若い登山者もいた。これは切ない。私の場合、縦走中断するまでには至らなかったが懐が寂しくなったのは同じだ。

小屋内も大混雑で、宿泊者のザックや登山靴が通路にひしめきあっている。宿泊者の食事時間などは8回に分けられ、最終の食事回は21時をまわっていた。もう、20時消灯の山小屋ルールなど当てはまらない混雑振りだった。

自炊の私は早々と食事を済ませます。


自炊の私は早々と食事を済ませて寝床で横になる。貧乏根性もあって出費した分くらいは快適に体力回復させてもらう気満々なのだ。

そんな貧乏根性はさておき、雑魚寝での山小屋泊はテント泊にない味わいがある。今回の寝床となった『イワギキョウ部屋』の皆さんは、実にざっくばらんで奇妙なまとまりがあった。それぞれがほぼ他人同士だと言うのに何だか修学旅行気分。今にも枕投げが始まりそうな雰囲気すらする。

これも『山』という限定的環境の為せる業か。

ただ、テント泊装備の重みが苦行にしかならなかったうえに予定外の出費が・・・と、やっぱりボヤいてしまう縦走初日となった。

漫画的山行記録

個人的に初めての山域となる後立山連峰へ行ってきます。

2泊3日のテント装備で八方尾根から唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、そして扇沢へ下山する縦走の旅です。

信濃大町駅に戻ってくるので駅前駐車場に停めて始発電車で移動します。

ちなみに信濃大町駅駐車場の利用料は上限1500円。数日間利用するならお得です。

と言う事で白馬駅に到着。

まだバスが運行していない時間帯なので八方アルペンラインのゴンドラ乗り場まで歩いていきます。

道中には長野五輪のエンブレム。

よく来たな、白馬へ。

八方駅に到着。

片道切符を購入。15kg以上の荷物は追加料金が掛かります。

ゴンドラ『アダム』に乗って、それ行けーっ。

ガスにまみれて後立山の白き峰々が現れます。

次はリフト。

それ行けーっ。

リフトを下りればもう標高2000m付近です。

本日の宿泊地となる五竜山荘のテン場へ向けて出発。

チェックポイントとなる立派なケルン。

湧いては消えゆくガス景色。

息(やすむ)ケルン。遭難された息子さんの供養のため御家族が建てられたそうです。

雄大な景色が広がっています。

ガスの中で登る人々。

八方池に到着。

無風の快晴なら最高のロケーションです。

八方池に映り込む人々。

飯森神社奥社の祠に参拝。

そのすぐそばにはタカネマツムシソウ。

観光客は八方池までで、ここから登山道になります。

秋らしく色付いてきました。

爽やかな高原の樹林帯歩き。

トウウチソウ。

辛うじて残っている扇雪渓。

大型連休だけあって登山者は結構います。

不帰(かえらず)キレットが近づいてきました。

山道が狭い箇所もあるので油断しないように。

唐松岳頂上山荘に到着。

ガスっているけど唐松岳へ寄ってみます。

ああ、やっぱりガスですか。

トボトボと唐松岳頂上山荘に引き返します。

改めて五竜山荘へ向かいます。

岩場、クサリ場があるので集中して歩きます。

しっかりした足元を確認。

岩場を越えてゆきます。

青空じゃないと秋色も映えないな・・・。

黙々と歩きます。

ガスの中から現れる縦走路。

道中のちょっとした憩い。

切りたった崖もあるのでフラフラしないように。

高山にもオタマジャクシ。

長野県側は真っ白です。

身の回りも真っ白に。

足元には身近な『赤』。

五竜山荘に到着しました。

五竜山荘は大混雑でテン場の受付は既に終了。泣く泣く素泊まりとなりました。

テント泊800円→素泊まり6600円の出費は痛い・・・。

ボヤいてもしょうがないのでラーメン食べて布団へ直行します。

よし、出費した分くらいは快適に体力回復させてもらうぞ。

何て貧乏根性をしてやがる・・・。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/1日目/テント泊/縦走/電車・バス登山

八方山(はっぽうさん)
標高1974m
唐松岳(からまつだけ)
標高2696m
詳細(外部リンク)
大黒岳(だいこくだけ)
標高2393m

本日のスケジュール

白馬駅[着] 06:50 - [発] 06:50
 ↓ 49分 舗装道路
八方駅(八方アルペンライン)[着] 07:39 - [発] 07:41
 ↓ 36分 ゴンドラ/リフト
八方池山荘[着] 08:17 - [発] 08:20
 ↓ 45分 
八方池[着] 09:05 - [発] 09:16
 ↓ 146分 
唐松岳頂上山荘[着] 11:42 - [発] 11:45
 ↓ 16分 
唐松岳[着] 12:01 - [発] 12:05
 ↓ 15分 
唐松岳頂上山荘[着] 12:20 - [発] 12:31
 ↓ 159分 
五竜山荘[着] 15:10 - [発] 15:10

行動時間:7時間46分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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