2012年8月19日
吾妻連峰:日帰り
東吾妻山:空気に大感謝。やっぱり山歩きは好天に限る。

昨日、早めに切り上げた北蔵王縦走路の旅だったが、まだ休みは1日残っている。
せっかくなので天気の良いエリアを選び、日帰り山歩きに出かける事となった。

目的地は友人Kのオススメで吾妻山方面。

夜のうちに車を走らせ、浄土平駐車場で車中泊してから、東吾妻山付近をたっぷり散策するスケジュールだ。
友人Kの車は横になって寝れるスペースを確保できるので車中泊でも苦にならず快眠できそうだ。

しかし思いのほか寒かった。
寒くて目が覚め、早く歩き出したくてウズウズしてしまう。

頭上には天の川が空を覆う完全無欠の好天。
これは御来光の期待『大』だ。

歩く男のシルエット。


うっすら明るくなった頃、まずは御来光を拝みに吾妻小富士へ向かった。

吾妻小富士は浄土平駐車場から目と鼻の先で、気軽に火口縁を一周できることもあって人気の観光スポットだ。
ただ、こんな早朝ではほとんど人影はない。

そんな夜が明けようとしている火口縁の岩稜上に、朝焼けを背景にした友人Kの『歩く男のシルエット』が浮かぶ。
これが実に絵になる。
写真撮影に夢中になり、山頂まで20分程度のところ1時間もかかってしまった。

そして日が昇る。

黄金色に染まる雲海が眼下に広がり、頭上に広がるのは深い紺色のグラデーション。
昨日まで眺望ゼロの藪歩きをしていた事もあり、「展望があって天気が良いって素晴らしい!」と心底思う。

股下から失礼します。


眩しすぎるッ!


ガンマン風のいでたち。

朝焼けが収まるまでバチバチと写真を撮り、キャッキャとはしゃいだ後、吾妻小富士の火口縁をぐるりと周って浄土平駐車場へと戻る。
清々しい御来光を満喫し、改めて吾妻連峰の山歩きスタートだ。

噴気口から煙が立ち上る一切経山。


まずは現在も火山活動を続けている一切経山へ向かう。

噴気を上げる一切経山は直登ルート通行禁止。
そのため、酸ヶ平避難小屋経由で山頂へと向かう事になる。

今日は噴気の勢いが弱いようだが、山道には硫黄臭が漂う。
密かに放屁してもわからないほどの硫黄臭だ。

噴気口の山陰まで来ると、硫黄臭はピタリと止み、尾瀬を彷彿させる立派な木道路が広がっていた。
沼や湿地帯があり、人気の観光スポットだからか、山道整備が行き届いている。

「これは快適」とばかりに気分良く闊歩していると上空にヘリコプターが飛んできた。
双眼鏡を取り出し、確認してみると福島県警のヘリで、低空を旋回しながら人の名前を呼び掛けている。

どうやら遭難者がいるようだ。
こんな観光地化されている山域でも遭難騒ぎが起こるとは・・・。

遭難者を捜索中の福島県警ヘリ。(※その後、遭難者は自力で下山したそうです)


結局、他の登山者の目撃情報により、道を間違えたため時間が遅くなり避難小屋に宿泊、ルートを変更して下山したとのことだった。
日帰り山歩きだとすると予備日なんか設定しないだろうし、本人も捜索されているとは夢にも思っていないのかもしれない。

下山後、「ヘリで捜索されてたよ」なんて聞かされたら、事の重大さに青ざめてしまいそうだ。

明日は我が身。
冷静で的確な判断力(by ゆでたまご先生)を忘れずに、周囲への配慮も肝に銘じておこう。


一切経山の山頂付近は広々しており、何処が山頂なのかがわかりづらい程になだらか。
それだけに解放感も申し分なく、先程歩いた吾妻小富士の火口も一望できる。

そして何よりも『空気大感謝塔』だ。

石が積み重ねられ『空気大感謝塔』という標識が立てられているだけのモノだが、このネーミングセンスを前にしては大感謝しない訳にはいかない。
硫黄臭もすっかり止んでいるので空気に大感謝だ。

広くなだらかな山頂を更に北に進むと、突然、山域では珍しいコバルトブルー色が目に飛び込んできた。

『魔女の瞳』『吾妻の瞳』の異名を持つ五色沼だ。

ステキな異名を付けられるだけのことはあり、その引き込まれる深い色彩の美しさは一見の価値ありだ。
事前情報がなく、あまりの唐突な出現に感嘆の声を上げずにはいられなかった。

こんな演出をするなんて、ニクイやつだぜ、一切経山。
これには蔵王の『御釜(こちらも五色沼)』もうかうかしていられないぞ。

吾妻小富士の火口。火口縁を一周できます。


空気大感謝塔の前で大感謝中。


『魔女の瞳』『吾妻の瞳』の異名を持つ五色沼。

五色沼を眺めながらたっぷりと休憩をとった後は、鎌沼の畔を通り、東吾妻山へと向かう。

鎌沼付近は木道が整備され快調な歩きを楽しめる。
花のシーズンには少々遅かったようだが、時期を狙ってくれば見事な景観を楽しめそうだ。

鎌沼を通過し、東吾妻山の登りが始まると、急に山道っぽい感じになる。
快適過ぎる整備された木道を通って来たせいか、『山道感』は大きい。

蝶が舞う山道を黙々と登り、分かりやすいほどの森林限界を超えると、見晴らしの良さそうな山頂が目前に迫っていた。
そして残念ながら雲が湧き上がり、眺望を満喫できない山頂へと到着。

北西から東吾妻山へ延びる稜線は、太平洋側と日本海側を隔てる日本の中央分水嶺となっており、猪苗代湖は勿論、桧原湖・小野川湖・秋元湖の磐梯三湖も見下ろす事ができる。
雲が湧いてしまったものの、辛うじて磐梯三湖を確認することができた。

ちなみに磐梯三湖は『三湖パラダイス』とも呼ばれているらしく、この時代を感じるネーミングセンスには激しい違和感を禁じ得ない。
その点、『空気大感謝塔』は時代を超越した普遍的な分かりやすさで最高。(偏見ですか?)

そんな事を思いながら山頂で小休止。

ビバ!プチトマト!


ビバ!キウイフルーツ!


ビバ!カロリーの友!

下山は来た道を戻る予定だったが、時間的にも体力的にも余裕があったため、景場平、鳥子平と湿原地帯を通って浄土平駐車場へ戻ることにした。
急な予定の変更で「遭難!?」と思われないように間違いなく下山しなければ。

こちらの山道は湿原地帯もあるせいか、泥だらけ泥水だらけ。
ソールのすり減った靴を履いていた事もあって、ヌルンヌルンと足をとられる事が多々あった。

吾妻小舎は雰囲気抜群!


そして、間違いなしに滑るだろう信頼できない木製のハシゴ。
もう、滑って転んで泥だらけにならないよう、足の指先まで神経を集中させて下山した。

最後に雰囲気抜群の吾妻小舎、今ひとつの眺望の桶沼を経由して駐車場へと戻り、好天下満喫山歩きを無事に終えることができた。

3日間のお盆休みを蔵王連峰、吾妻連峰と歩いてきた訳だが、やっぱり山歩きは好天に限る。
そして空気に大感謝できた山歩きだった。

本日の写真

夜明け前の浄土平からスタート。

夜明けが始まった。

歩く男のシルエット。

静かに夜が明けてゆく。

雲海から日が昇る。

日の出を眺める男のシルエット。

おはようフクシマ。

日の出に叫ぶ男一人。

股間からおはようございます。

朝日に染まる雲海が美しい。

朝日を浴びる一切経山の噴煙。

眩いばかりの後光が差しこむ。

ガンマン風のたたずまい。

いい歳してキャッキャと影遊び。

一切経山の噴気口から硫黄臭が漂う。

吾妻散策スタート。

風向きもあってか硫黄くせぇ。

酸ヶ平避難小屋。

トイレ常備の酸ヶ平避難小屋。

遭難者を捜索中の福島県警ヘリ。(※その後、遭難者は自力で下山したそうです)

青空の下、爽やか山歩き。

先程歩いた吾妻小富士の噴火口。

火星っぽい雰囲気。

空気大感謝塔。素晴らしいネーミングセンス!

空気大感謝中。

一切経山山頂。

『魔女の瞳』の異名を持つ五色沼。

ビバ!チリトマト!

ザ・夏山歩き。

これから向かう鎌沼。

木道が伸びる快適散策路。

青空ってイイネ。

鎌の形をした鎌沼。奥に見えるのはこれから向かう東吾妻山。

鎌沼のほとりを進みます。

この辺り一帯が姥ヶ原?

灌木に延びる木道。なんだか日本っぽい。

快適過ぎる夏の木道歩き。

木道ジャンクション。

蝶の舞う樹林帯へ突入。

森林限界を超えハイマツ帯に。山頂はもうすぐ。

東吾妻山山頂。

これまで歩いた方面を眺める。

桧原湖・小野川湖・秋元湖の磐梯三湖。すなわち三湖パラダイス!

ビバ!プチトマト!

ビバ!キウイフルーツ!

ビバ!カロリーの友!

磐梯三湖が見えるはずの展望台。

でっかい苔玉。

悪路を下り、鳥子平登山口に到着。

鳥子平。

サクサクと森歩き。

ステキな雰囲気の吾妻小舎。

桶沼。展望は今ひとつ。

本日の山行情報

複数人山行/日帰り/8時間以上歩行/マイカー登山

吾妻小富士(あづまこふじ)
標高1707mm
詳細(外部リンク)
一切経山(いっさいきょうざん)
標高1948.8mm
詳細(外部リンク)
東吾妻山(ひがしあづまやま)
標高は1974.7m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

浄土平駐車場[着] 04:00 - [発] 04:00
 ↓ 60分 
吾妻小富士[着] 05:00 - [発] 05:20
 ↓ 55分 
浄土平駐車場[着] 06:15 - [発] 06:15
 ↓ 55分 
酸ヶ平避難小屋[着] 07:10 - [発] 07:20
 ↓ 40分 
一切経山[着] 08:00 - [発] 09:10
 ↓ 30分 
酸ヶ平避難小屋[着] 09:40 - [発] 09:40
 ↓ 100分 
東吾妻山[着] 11:20 - [発] 11:40
 ↓ 65分 
景場平[着] 12:45 - [発] 12:50
 ↓ 25分 
鳥子平[着] 13:15 - [発] 13:15
 ↓ 45分 
浄土平野営場[着] 14:00 - [発] 14:00
 ↓ 30分 
浄土平駐車場[着] 14:30 - [発] 14:30

行動時間:8時間25分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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