日光白根山に始まり、男体山から女峰山への縦走と、今年は日光方面がマイブームだ。
そして、紅葉シーズンの今、やはり日光方面。
目的地は『庚申山(こうしんざん)』。
奇岩、奇石が点在する庚申山から鋸山へと続く稜線は、一般山道ではない破線ルートで危険度の高いクサリ場もあるという。これは実際に歩いてみたい。
あわよくば鋸山の先にある百名山の『皇海山(すかいさん)』にも行こうと目論みつつ出発した。
本日は庚申山荘で宿泊するだけなので、のんびり寄り道しながら銀山平の駐車場へと向かう。
落葉が進み、紅葉シーズンとしては若干遅いようだが、それでもさすがは日光エリア。到着した銀山平の秋の彩りはまだまだ健在だ。
赤、黄、緑と色鮮やかな景色を眺めれば、異常気象と言われる昨今でも日本らしい風情を感じられる。
地面を覆う落ち葉もまた色とりどり。
道端の真新しい落ち葉を掻き集めて寝転びたい欲求に駆られるが、この歳で実行すると通報されそうなので我慢。
少々寄り道が過ぎたか、銀山平から登山口までの林道を歩き終える頃には、すっかり日は傾き、夕暮れが間近に迫っていた。『一の鳥居』から山道に入ると、より一層周囲の暗さが増す。
風情も程々にして先を急がねば。
素泊まり2000円で収容人数60名の大きな庚申山荘。
銀山平から庚申山荘までは歩いて3時間ほど。
途中にある『鏡岩』や『夫婦蛙岩』などの見所をチラ見程度におさえて、ヘッドランプが必要になる前に庚申山荘に到着した。
日光市が管理している庚申山荘は、素泊まり2000円で収容人数60名の大きな山小屋。
基本的には無人だが、シーズン中の週末は管理人が常駐しており、炊事場やトイレ、寝具なども充実した快適小屋だ。
遅い到着にも関わらず、「お疲れ様」と管理人さんは快く迎え入れてくれた。
食堂では10名ほどの登山者が和気あいあいと夕食を楽しんでいる。こちらも早速食事の準備にとりかかろう。
インスタントではない豚汁に炊きたてご飯、そして漬物。
山飯としては文句なしの贅沢さだ。
食事を楽しみながら他の登山者と会話していると、この場に居合わせた方達の経歴が徐々に明らかになってきた。
つい先日、ネパールの山へ登りに行った方。
登山歴50年近い方。
7000m峰経験者。
何処にでもいる素朴なオッチャン、オバチャンかと思いきや、その本気の登山歴は只者ではない。
小屋の管理人さんに至っては世界最高峰であるエベレストのサミッター(登頂者)だ。
過去に目の前で仲間を失った経験のある管理人さんは、残された命でボランティア活動等に尽力しつつも、好きな山も楽しんでいる実に自然体で気さくなオッチャン(失礼千万)だった。
帰宅後に調べると、初登攀者としてオッチャン(失礼千万)の名前が付けられたピークがカラコルム山脈にあるらしい。
自ら語らず、そんなそぶりも見せないところが格好良いではないか。
こんな山の大先輩達が集っていた庚申山荘。
もしかして明日、予定しているここからのルートは高難度なのか?!