2015年8月22日
奥羽山脈南部:日帰り
安達太良山:山行後に確信する違和感の理由。

安達太良山山頂へ行ってきます。


里帰りしている山形から現住所の山梨に戻る途中で山歩き。

たおやかな山容で『乳首』と呼ばれる岩場が特徴的な安達太良山を、友人に案内してもらう事となった。

安達太良山は言わずと知れた活火山。1900年に水蒸気噴火をして以来、地熱活動や火山ガスの影響に予断を許さない状態でもある。そんな沼ノ平火口のある西側は避けて、東側の奥岳登山口から山頂を目指すスケジュールとした。

活火山として大地の力を感じさせる存在感は当然の事ながら、やはり山頂の『乳首』が気になる。この乳首に誘われるままに安達太良山を歩くとしよう。

【安達太良由来】
  • 和鉄・和銑を製造するタタラ製鉄の溶鉱炉があったとされる。
  • 安達郡の最高峰(太郎)である。
  • アタタ(アイヌ語で乳首)のような山容・・・その他、諸説あり。




ゴンドラリフト『あだたらエクスプレス』で一気に薬師岳へ。


少々寝過ごして、奥岳登山口となる『あだたら高原スキー場』に到着。

歩いて登る予定だったが、8時30分から運行するゴンドラリフト『あだたらエクスプレス』を利用して薬師岳まで一気に進む事にした。大人ならではのマネープランに変更だ。(言うほどの料金ではないですが)

ゴンドラの終点まで徒歩1時間強のところ、疲れもせずに6分で到着。一人ではしないだろうマネープランに満足して改めて山行スタート。

奥岳登山口からのルートはなだらか歩きやすい。尚且つ、ゴンドラの終点から薬師岳山頂までは木道も整備されており、気軽に散策を楽しむ事ができる。ただ、冬期は荒れやすく視界が悪ければ道迷いの恐れもあるため、舐めてかかってはいけない。そして、活火山である事もしっかりと押さえておきたい。

快適に木道を歩いて薬師岳に到着。

『薬師岳みはらし台』から安達太良山が見えます。


『薬師岳みはらし台』からは、乳首のワンポイントが特徴的な安達太良山の山容が横たわって見える。誤解が無いように再度説明しておくが、ここで言う『乳首』とは安達太良山山頂にある岩場の事であり安達太良本山でもある。

では改めて、乳首に向かってゆくぞ。

緩やかな山道をテンポよく進み、確実な足取りで乳首へと近づいてゆく。ところどころで乳首が間近に迫っている事を確認しながら歩き続ける。近づくにつれて、乳首に群がる登山者たちの姿も明確に見えてきた。

・・・不思議だ。

『乳首』のキーワードに何故かテンションの上がらない自分がいる。今朝方までは助平心に期待を膨らませていたものだが、薬師岳から安達太良山を目の当たりにしてからと言うもの心は至って静かだ。

安達太良本山でもある『乳首』。


ふと、事前に調べていた安達太良山の山名由来のひとつを思い出した。安達郡最高峰としての『安達太郎』が転じた説だ。

『太』は長男や大きさ、豊かさの意味合いがあり、『郎』は男子の美称。

つまり男。
見ていた乳首は男子の乳首だ。

今思えば、薬師岳から見た安達太良山は直線的で女性的な曲線美を感じなかった。男子であれば合点がいく。同性の乳首に反応する趣味のない私としては納得だ。

このように、どうでも良い理屈で自己解決しつつ安達太良山の道標前に到着した。続いて『男子』を意識せず、安達太良本山としての『乳首』に登る。

乳首に立ったぞーっ。


岩場をよじ登り頂点に立つと、緑の裾野が広がる爽快な景色があった。そして、安達太良神社らしき小さな石祠と、その後ろに『八紘一宇(はっこういちう)』と掘られた石碑があった。

御祭神名かと思っていたが、帰宅後に調べると「天下をひとつの家にする」といった意味合いの日本書紀に由来する言葉だった。ただ、戦時中に「世界統一」をスローガンに国策として利用された経緯があり、裁判沙汰にもなった言葉のようだ。

発言者の立場や解釈次第で賛否両論あってもこれ自体はただの言葉。「安達太良山の乳首は男の乳首だ!」と山頂で訴えられてもはた迷惑だが、心の中で「太郎の乳首・・・か」としみじみと思う分には自由。これと同じように、人それぞれの解釈以前にただの『乳首』・・・いや、ただの『言葉』なのだと理解しておく。

ここからは稜線伝いに沼ノ平火口が見える位置まで移動する。稜線上に整列する大きなケルンに導かれて矢筈森手前の分岐点までくると、これまでの景色とは異質で巨大な沼ノ平火口が姿を現した。

臭気が立ち込めるその景色に緑はなく、火山泥流の堆積物の周りを白くなった火口壁が大きく取り囲んでいる。その規模に圧倒されるばかりか奇妙な魅力すら感じてしまう不思議な光景だ。この沼ノ平火口を目の当たりにすれば『乳首』の解釈云々は無意味に等しい。

【要注意】
沼ノ平火口は立入禁止区域があります。過去に火山性硫化水素ガスによる死亡事故もありましたので絶対に立ち入らないで下さい。


稜線上に整列する大きなケルン。


これまでの景色とは異質で巨大な沼ノ平火口。


鉄山方面を見上げます。

シンボルの黒い鐘があるくろがね小屋。


安達太良山エリアの最高峰である箕輪山や船明神山も歩いてみたいところだが、時間の関係上、くろがね小屋経由で下山を開始。

矢筈森や鉄山の荒々しい岩場を見上げながら下り、温泉にも入れるくろがね小屋で昼食をとる。その後、馬車が通っていた事から『馬車道』と呼ばれる林道をのんびりと下って、スタート地点のあだたら高原スキー場へと無事に戻ってきた。

今回の山行の印象は何と言っても沼ノ平火口だった。東側に広がる緑豊かでたおやかな様子からは想像できない西側の荒涼とした景色のギャップが、沼ノ平火口の印象をより深いものとした。

そして、この東西の景色を分け隔てる安達太良本山の『乳首』は、荒々しい沼ノ平火口の印象もあってやはり男子の乳首だと確信した私だ。(え?どちらでもいい?)

漫画的山行記録

里帰りしている山形から現住所の山梨に戻る途中に山歩き。

目的地はたおやかな山容で『乳首』と呼ばれる岩場が特徴的な安達太良山です。

活火山なので事前に火山活動の確認をしておきましょう。

あだたら高原スキー場にある奥岳登山口から山歩き開始・・・

でしたが、時間の関係で登りはロープウェイを利用します。

ゴンドラリフト『あだたらエクスプレス』で一気に薬師岳へ。

ゴンドラ下にはアジサイらしき花が見られます。

6分程で薬師岳手前にある山頂駅に到着。ここから歩き始めます。

木道を数分歩けば薬師岳山頂。

山頂にある鐘を鳴らします。

『ほんとの空』とは二本松市も大きく出たな、と思っていましたが高村光太郎の詩が元になっています。

そして、こちらがこれから目指す『ほんとの乳首』こと安達太良本山。

湿った木道は憎らしい程に滑るので注意。

リンドウ開花までもう少し。

近づく乳首。

仙女平分岐を通過。

迫る乳首。

峰の辻分岐を通過。

すぐそこに乳首。

くもり空ですが青空も見えてきました。

頼りないハシゴを登って、

乳首の先端に到着。

山頂には安達太良神社の石祠と『八紘一宇(はっこういちう)』と掘られた石碑があります。

沼ノ平火口へ続く稜線。

こちらは船明神山方面。

何か言いたげな石仏(?)や、

ハート型の石もあります。

下りはクサリ場を利用。

花畑の向こうに和尚山。

本日の安達太良山から見る景色。

稜線を進んで沼ノ平火口に向かいます。

花の時期はすっかり終わり。

高山ぶどうとも言われるクロマメノキの実。美味しく頂きました。

稜線上に整列する大きなケルン。

枯れ乳首。(スイマセン)

そこから見える景色は・・・

これまでの景色とは異質で巨大な沼ノ平火口です。

沼ノ平火口は立入禁止区域がありますのでご注意ください。

くろがね小屋に向かって下山します。

峰の辻から見る安達太良本山。

形のよい篭山も見えます。

くろがね小屋はこちら。

紅葉に向けて色付きスタート。

鉄山方面を見上げます。

大幅な崩落箇所があるようです。

山道の目印は明確。

樹林を潜って下ると、

くろがね小屋に到着。

シンボルの黒い鐘。

昼食がてらに冷たい地元の缶ジュースを頂きます。

帰りは馬車道と呼ばれる林道を利用。

この景色も見収め。下山します。

さすがに馬車が通っていただけある歩きやすさ。

金明水神の石碑の上にトンボ。ほのぼの。

楽園的な金明水神の水場。

なぜこんな浸食具合なのでしょう?

旅する蝶『アサギマダラ』が舞っています。

シダ植物の間からこんにちは。

勢至平(せしたいら)分岐を通過。

馬車道を外れて時には旧道を下山します。

無事にあだたら高原スキー場へ下山しました。

汗を流すため岳温泉の共同浴場へ移動します。

こちらが共同浴場『岳の湯』。入浴料350円です。

おならをすると温泉成分によりお湯が変色するので厳禁。(適当です)

最後にあだたら高原アイスクリームガーデンのアイスクリームを頂きます。

お疲れっした。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

安達太良山(あだたらやま)
標高1699.6m(大関平)
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

あだたら高原スキー場[着] 08:35 - [発] 08:35
 ↓ 8分 ゴンドラリフト利用
ゴンドラリフト山頂駅[着] 08:43 - [発] 08:46
 ↓ 6分 
薬師岳[着] 08:52 - [発] 08:56
 ↓ 76分 
安達太良山[着] 10:12 - [発] 10:25
 ↓ 26分 
矢筈森分岐[着] 10:51 - [発] 10:57
 ↓ 45分 
くろがね小屋[着] 11:42 - [発] 12:27
 ↓ 93分 馬車道利用
あだたら高原スキー場[着] 14:00 - [発] 14:00

行動時間:4時間14分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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