2014年7月21日
天子山地:日帰り
毛無山:富士山景勝地なのにガスで真っ白。

富士山の景勝地、毛無山へ。


富士山の北西に位置する端足(はした)峠から雨ヶ岳を越えて毛無山へ。

この毛無山は、富士外輪山の最高峰であり、天子(てんし)山地の最高峰。そして、全国に点在する毛無山の最高峰でもある。

つまり、毛無の中の毛無。

こんな『毛無山』の語感にハラハラする中年男性は少なくないはず。
私も『毛無』の響きに反応してしまうひとりだ。

毛無山の山名由来は諸説あり、その中でも『木無し説』と『木成し説』はよく耳にする。
相反する両説を調べる程に、当時の薄毛男子達の悲痛な訴えが聞こえてくるような気がしてならない。

よし、実際に現地に赴き、この身をもって毛無山を体感してこよう。
こんな40男の繊細な心情には無縁だろうヨメを連れて出発だ。




腰掛けて休憩中の天使像のある駐車スペースからスタート。


心配していた天気はまずまずな様子。
到着した朝霧高原の向こうには富士山が姿を表し、青空も広がりつつある。

山頂からの景色に期待して、石割峠付近にある駐車スペースに車を止めて出発した。

本日のスケジュールは、東海自然歩道を利用して端足峠、そこから雨ヶ岳、大見岳を経て毛無山へ。
帰りは麓(地名です)へ下山して、東海自然歩道で戻ってくるロングコース。

私は山を歩く際に自分のペースを心掛けている。
最近では、歩き始めの1時間ほど様子を見て、『本日のペース』を意識するようにしている。

これも若い頃にはなかった大人の知恵。
と言うか、毛無山の響きを必要以上に意識する年頃になった証しか。(つまり老いた)

難無く端足峠まで来た。
体調は上々だ。
だが、いつの間にやらガスに包まれ、周囲は真っ白になっていた。

これから向かう雨ヶ岳は、雲が掛かりやすい事が山名由来のひとつになっている。
山頂からの景色に関して、もう過度の期待はすまい。

時折明るくなるが、終始真っ白。


雨ヶ岳山頂へ向けて淡々と登り始める。
地形図を見る限り、雨ヶ岳さえ登ってしまえば、毛無山までは多少のアップダウンだけで歩きやすくなる。

早い段階でキツイ登りを終えた方が、気がラクになるというモノだ。
おっと、こんな期待もせずに淡々と登ろう。

ガスが掛かって視界はなくても悪い事ばかりではない。
空気が冷やされて、歩く分には快適な気温になっている。そのおかげか、この時期にしては虫も少ない。

無心で登るには絶好の条件だ。

私は良いペースを保てているが、珍しく調子の出ないヨメは遅れがちになっている。
この先、危険箇所や分岐点が無いため、それぞれのペースで登る事にして、私は先行して山頂へ向かう。

誰とも会わずに、ガスで真っ白な雨ヶ岳山頂へ到着。
山頂には地元の若者が静かにたたずんでいた。

話をすると、さすがに地元住民。
周辺の山情報に詳しく、オススメの富士山景勝ポイントなどを教えてくれた。

地元住民からの話は信頼の置ける貴重な情報源。
そこには個人的偏見が含まれるものの、生きた情報の味わいがある。

しばらくしてヨメがやって来た。

一息ついて、私と全く同じ質問を若者に投げ掛けている。
そして、私の時と同じように丁寧に受け答えする若者。

生情報は何度きいても新鮮・・・でもない。

雨ヶ岳山頂。本当なら富士山景勝地なのだが・・・。


私たちと逆ルートの若者に別れを告げ、改めて毛無山へ向かう。

相変わらず真っ白な視界の山道を進むと視界が開け、草原のような場所に出た。
ココは展望良好の草原で高山植物の生息地と案内されている。

ただ、本日の展望はガスで何も見えず、お花畑となる草原にはかろうじて数輪の小さな花を見掛ける程度。
何とも残念な状況だ。

山中ではよくある事だと自分に言い聞かせて、先へと進む。

しばらく歩くと、これまで誰もいない静かだった山道に、人の賑わいが聞こえてきた。
そのまま、賑わいの方向へ進むと毛無山山頂に到着した。

最高地点という意味では、来る途中にあったピーク(1964m)が毛無山山頂になるかと思うが、そこには朽ちて判読できない道標らしき板が転がっているだけだった。
その点、こちらのピーク(1945.5m)には山頂らしく立派な道標があり、何よりも登山者で賑わっている。

私たちのように雨ヶ岳から来る登山者は少数で、麓(地名です)の登山口から登るのが一般的だったようだ。

天気が良ければ富士山方面の展望を思う存分に楽しめるだろう山頂も、相変わらずのガス景色。
周囲を見渡しても、何処も彼処も真っ白だ。

昼食をとっている間に晴れるといいな。
そんな願いも虚しく、終始白い景色を眺めながらの昼食となった。

景色は諦めて下山しよう。

毛無山山頂。もう驚きの白さ。


ここから麓の登山口までは、地形図通りの急傾斜となり、濡れた岩場は滑りやすく、足場には十分注意する必要がある。
何度かヒヤリとしながら、ゆっくりと下って行く。

時間をかけて麓の登山口まで下山。
見上げると、毛無山をはじめとする天子山地の稜線は、スッポリと雲に覆われていた。

山道はこれで終了だが、ここからも長い。
東海自然歩道伝いに、出発地点の駐車場まで2時間以上の道程だ。

本日は調子の出ないヨメ。
口数はめっきり少なくなり、ここにきてほぼ無言となった。

「タクシーでも呼ぼうか?」
「・・・いい、歩く」

ふうむ、これは一悶着ありそうだぞ。
ここは大人の知恵をフル稼働だ。

さりげない理由を添えてルートを変更、道の駅『朝霧高原』へと向かう。
お買い物に気が向いている間に、私だけ早歩きで車を取りに行く。

結果、悶着を起こす事無く、今回の山行全行程を無事に終えた。

地域の特産品好きなヨメの習性を利用した、この適切且つ華麗な軌道修正。
我ながら見事だ。

終始ガスで真っ白な山行に嘆きたい私の気持ちが投影されています。


それはそうと毛無山。

山頂付近には(時期が良ければ)お花畑を見られ、(晴れれば)眺望も抜群。
麓登山口のルートは急傾斜で登り堪えがあり、『不動の滝』などの見所もある。

山名由来が『木無し』だろうが、『木成し』だろうがお構いなし。
『毛無』の名称に心を痛めようが、ガスで真っ白になろうが、毛無山はイイ山である事に変わりはなかった。

漫画的山行記録

端足(はした)峠から雨ヶ岳を越えて毛無山を歩きます。

割石峠付近の駐車場(割石峠チェーン脱着場)からスタートです。

朝霧高原越しに富士山が浮かびます。ここは富士山景勝地でもあります。

まったくです。

心配していた天気はまずまず。

東海自然歩道で登山口へ向かいます。

途中にトイレあり。

狩猟区域なので山道から外れないように。

歩きやすい山道です。

木道整備もバッチリ。

ここからは登りになります。

淡々と登って端足峠に到着。

ガスがかかって周囲は真っ白に。

焦る事無くマイペースで登ります。

自然のグラデーション。

キノコびっしり。

晴れると嬉しいのだけど・・・。

視界が開けてきました。真っ白ですが。

雨ヶ岳山頂。真っ白ですが。

次は毛無山へ向かいます。

木の中に色鮮やかなキノコ。

ふくれっ面。

空は明るいけど景色は真っ白です。

ココは大見岳のようです。

大見岳からの下山ルートは現在通れません。

ここでトマト休憩。

スノーピークの宣伝っぽい。

緑の花?葉?

爽やかにトゲトゲしい。

お花畑ですが花期は過ぎている様子。

辛うじて一輪発見。

そうですね。

毛無山に到着しました。

真っ白ですが・・・。

キュウリ休憩です。

結局ガスは晴れず、残念ですが下山します。

ほほう、展望台ですか。登ってみましょう。

まあ、真っ白ですよね。

プチプチと鮮やか。

ここから麓(地名です)へ下山します。

おっ、合目表示。

こちらの山道はなかなかの急傾斜です。

レトロに五合目をお知らせ。

少しばかりの広場があります。

癒される色合い。

終始ガスで真っ白な山行に嘆きたい私の気持ちが投影されています。

濡れていると滑るので要注意。

落差の大きい不動の滝。

はさみ石。

無事に下山しました。

軽く顔を洗わせてもらおう。

麓金山金鉱石破砕機。

麓宮に参拝します。

駐車場へ戻る事にします。

毛無山に守られている民家。

『ふもとっぱら』の広大なキャンプ場。

パラグライダー練習風景を眺めながら歩きます。

道の駅『朝霧高原』に寄り道。

駐車場へ戻ってきました。天使は未だ休憩中です。

今回は終始真っ白な景色での山行でした。
富士山景勝地なのに・・・。

また天気の良い時にでも来ますよ。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

雨ヶ岳(あまがだけ)
標高1772m
毛無山(けなしやま)
標高1964m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

割石峠付近の駐車場(割石峠チェーン脱着場)[着] 06:20 - [発] 06:20
 ↓ 5分 舗装道路
東海自然歩道入口[着] 06:25 - [発] 06:25
 ↓ 70分 東海自然歩道
端足峠[着] 07:35 - [発] 08:00
 ↓ 70分 
雨ヶ岳[着] 09:10 - [発] 09:45
 ↓ 65分 
大見岳[着] 10:50 - [発] 11:15
 ↓ 20分 
毛無山[着] 11:35 - [発] 12:10
 ↓ 190分 ゆっくりペースです
毛無山登山口(麓)[着] 15:20 - [発] 15:20
 ↓ 80分 東海自然歩道
道の駅:朝霧高原[着] 16:40 - [発] 16:50
 ↓ 35分 
割石峠付近の駐車場(割石峠チェーン脱着場)[着] 17:25 - [発] 17:25

行動時間:8時間55分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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