2014年4月6日
浅間連峰:日帰り
浅間山:吹雪いて撤退、光る判断。

雄大に広がる斜面を登る旅。


ここのところ、富士山周辺を歩きに歩いたので、気分を変えて群馬、長野方面へ行ってみた。

目的地は活火山として今もなお噴煙をあげる浅間山。

事前リサーチでは、ノーマルタイヤの普通車でも登山口(浅間山荘)まで行けるようだ。
そうとわかれば、山歩きに目覚めたらしいヨメを連れて行ってみよう。




真っ白な浅間山荘周辺。


起床すると外は雨。しかし、浅間山付近の天気予報は『晴れ時々雪』。
この情報を信じて自宅を出発した。

千葉から高速道路に乗り、群馬に入ると天候は晴れへと変わった。
流石は現代の天気予報。

清々しく朝日が差し込む妙義山を眺めながら長野県へと車を走らせる。
この分だと晴れ渡った青空の下で浅間山も出迎えてくれるだろう。

期待を胸に群馬と長野の県境にある長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった。
と言うか、ガスがかかって真っ白だった。

出迎えてくれるはずの浅間山が何処にあるのかも分からない状態で、今朝方降ったのか数センチの積雪もある。
とにかくノーマルな我が家の車を慎重に走らせ、登山口となる浅間山荘(駐車料500円)に到着した。

ガスと積雪で辺りは真っ白。
しかし、来たからには歩かない訳にはいかない。

登山届けをポストに入れて、ガスの中に鎮座しているだろう浅間山へ向かった。

突然現れた牙山(ぎっぱやま)。


積雪した山道に残る足跡から察するに、2名の先行者がいるようだ。
お陰でわかりづらい山道も迷う事はない。

アイゼンも特に必要なく、一ノ鳥居、二ノ鳥居を難なく越えてゆくと、風にのって硫黄臭が漂ってきた。と同時に、周囲を覆っていたガスが突然晴れ、頭上に牙山の岩峰が姿を表した。
無骨な岩肌が空を突き上げるその雄々しい岩峰は、見入ってしまうほどに魅力的で、無性に惹き付けられる何かが備わっている。

これは惚れる。
性別お構いなしで惹かれる高倉健さんと似たような感じで惚れる。

そんな山容はカッコいいが、読みはカッコ悪い牙山(ぎっぱやま)を見上げる位置に、チェックポイントとなる火山館がある。

火山館は動植物の調査/学習施設兼、避難小屋として小諸市が運営しているステキなログハウス。
館長が常駐しており、この時期にはありがたく、薪ストーブで館内はポカポカだ。

薪ストーブで館内はポカポカ。


軽く休憩させてもらい、すぐそばにある浅間神社に参拝。
アイゼンを装着して浅間山へ向けて出発した。

ここから浅間山は見えず、なだらかな湯ノ平高原の樹林帯を越えて初めてその山体を拝む事ができる。
とは言え、先程まで見えていた牙山はガスに隠れてしまい、雪もチラついている今の状況では景色を期待できそうにない。

一瞬でもいいから晴れてほしい。

微かな希望を捨てず浅間山へ向かうと、樹林帯が途切れて見通しの良い広い空間に出た。
そして、私のネガティブ予想に反して目の前には雄大に拡がる浅間山の姿が。

でかい。
いや、ドでっかい。

感動を覚える程に雄大なその姿は、山と分類するよりも大地そのもの。
世界有数の活火山だけあって『活きている』感じが伝わってくる。

なるほど、これが俗に言う『大地の鼓動』というヤツか。

【山名由来】
『浅間』の語源は諸説あり、いずれも火山を表している古語である事が山名由来にもなっているようです。


湯ノ平の樹林帯を越えれば浅間山が見えてきます。


写真では伝わらない『活きている』感じがあります。


荒々しい外輪山方面。

時折覗かせる青空に照らされ、火山活動の痕跡と思われる山面の縦縞模様が良く映えている。
これからその斜面を歩くと思うだけでゾクゾクする。

よーし、レッツ登山。

第二外輪山まで斜めに登っていきます。


浅間山は最高地点の2568峰を指すのだが、登山禁止エリアとなっているため、火口から外輪山も含めた一帯を『浅間山』と解釈するのが一般的。
今回はその中でも登山可能エリアの限界である第二外輪山の前掛山を目指す。

前掛山へは直登する訳ではなく、徐々に急勾配となる山面を斜めに登り、第二外輪山の稜線に出てから回り込むルートとなる。
稜線までは片側に傾いた山道が続くため足首が疲れてしまいそうだ。
しかし、何もないこの斜面で、転んだ、滑った等のミスは許されない。
一歩一歩、確実に。

しばらく登ってふと振り返ると、険しそうな岩壁の外輪山列が一望できる標高になっていた。
あれほど迫力のあった牙山もここからでは小さく見え、視界一面に雄大な景色が拡がっている。

空も広い。大地も広い。
何もかもが圧巻だ。

この時点で上空は晴れていたが、厚い雲が近づきつつある。
景色に見惚れてばかりはいられないようだ。

時間が経つにつれて、雄大な景色はガスの中へと消えてしまい、代わりに風と雪が強まってきた。
第二外輪山の稜線に到達する頃には景色もなにもあったものではない。

容赦なく吹き付ける雪と風で真っ白。


容赦なく吹き付ける雪と風。

ほとんんど視界も利かず、雪面に残した自分達の足跡が、雪と風によってみるみるうちに消されてゆく。
天候回復は期待できず、目標物が何も見えないこの状況は危険だ。

前掛山を目前にしながらも撤退を決意。

後にヨメから「鼻水が光っていたけど良い判断だった」と、微妙な発言をされたが、無事に下山してこその登山。
それに、鼻水を光らせてこその雪山だ。(※違います)

危険な要素を含んだ状況を脱して、無事に樹林帯付近まで下る。
見上げると山頂付近は厚い雲に覆われていた。

その後、樹林帯散策を楽しみながら火山館、浅間山荘へと下山。

数時間振りに戻ってきた駐車場ではすっかり雪が溶け、見上げれば眩しいばかりの青空だ。
真っ白だった今朝の様子と比べると、別の場所かと思う程の変わり様。

少し前まで吹雪の中にいたとも到底思えない。
今では光らせる鼻水も出てはいない。

こんな青空の下で浅間山を眺めたら、そして歩けたら、さぞかし気持ちいいだろうな。
今回は前掛山まで行けなかったが、これまでのどの山域とも異なる『浅間』らしい雰囲気を充分に堪能できた山行となった。

勿論、最後は浅間山荘の温泉(天狗温泉)で締めくくる事を忘れずに。

牙山を眺めながら下山。


下はすっかり晴れていました。


鉄鉱成分豊富な赤褐色の天狗温泉で山行を締めくくります。

漫画的山行記録

活火山として今もなお噴煙をあげる浅間山を歩いてみます。

薄雪の浅間山荘から出発です。

天候回復を期待して鳥居をくぐります。

現在は前掛山まで登山可能。

ちゃんと登山届を提出。

静けさ。

一ノ鳥居を通過。

二ノ鳥居を通過。

静けさ+寒々しさ。

カモシカは何処にいるのか。

静けさ+寒々しさ+真っ白。

ひっそりと石祠。

ガスが晴れて牙山現る。

浅間神社。

館長が常駐している火山館に寄ります。

中はキレイで快適です。資料も一杯。

こんな所にゴロー先輩を発見。

湯ノ平の樹林帯を進みます。

視界が開けると圧倒的存在感の浅間山がお出迎え。

晴れたらいいなぁ。

おっ、晴れてきたぞ。

外輪の山々。

前掛山目指してひたすら斜めに登ります。

青空には励まされます。

火口縁に到着。と同時に風と雪が・・・。

吹き付ける風と雪で視界が利きません。

ここで撤退します。

火山館まで戻って牙山を見上げます。

かすかな硫黄臭を感じながら下山します。

トーミの頭方面。荒々しいです。

カッコイイ牙山(ぎっぱやま)。でも読みはカッコ悪い。

ああ、晴れた・・・。複雑な気分ですが日差しはやっぱり嬉しい。

下山は不動滝経由で。

不動明王でしょうか。

もこもこ氷。

山頂と打って変わって快晴に。

浅間山荘(天狗温泉)まで戻ってきました。

天狗温泉は鉄鉱成分豊富な赤褐色の湯です。

風呂上がりにコーヒー牛乳。牛乳ビンじゃないのか・・・。

帰りは浅間山の麓、小諸市の丁子庵(ちょうじあん)でソバを頂きます。

ソバの風味が絶品!ごちそうさまでした。

山頂は踏めませんでしたが無事な下山が何より。

また来ますよ。

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

複数人山行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

浅間山(あさまやま)
標高2568m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

浅間山荘[着] 07:40 - [発] 07:40
 ↓ 130分 
火山館[着] 09:50 - [発] 10:25
 ↓ 90分 
第二外輪山の稜線[着] 11:55 - [発] 11:55
 ↓ 45分 
火山館[着] 12:40 - [発] 13:20
 ↓ 90分 
浅間山荘[着] 14:50 - [発] 14:50

行動時間:5時間55分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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