2015年7月19日
美ヶ原高原:日帰り
美ヶ原:全快目指してリハビリ霧中山行。

高原牧草地が広がる美ヶ原。


1ヶ月半ほど休日返上で座りっぱなしの仕事を続けた結果、腰を痛めてしまった。

死後硬直が始まったかのような下半身の強張りに悶絶しながら1週間を過ごし、次の1週間は痛みが上半身に移ってまたもや悶絶。更に1週間が経ち、ようやく寝れるほどに痛みが和らいだかと思いきや、今度は顔の片側だけ違和感を感じる。

病院に電話相談すると「今すぐに診察を受けてください」と言われ、時間外で診てもらった結果、『軽度の末梢性顔面神経麻痺』と診断される。痛みは無いが顔半分が麻痺しているため、水分補給時に油断すると痺れた唇から「ぴゅう」と水を吹き出してしまう始末の悪さ。そして完治するのに1~6ヶ月掛かると言う・・・。

つまり言いたいのは、「無理して仕事を頑張ったものの、散々な目にあった(現在継続中)」
これだ。

それでも、身体の強張りは通常生活に支障無いほどに回復している。そこで、自己メンテナンスも兼ねてリハビリ山歩きに出発だ。顔半分の麻痺で落ち込んでなどはいられない。

もっとも、久しぶりの山歩きにウキウキしているくらいだ。全快に向けて気持ちよく歩いてこよう。

【顔面神経麻痺】
顔半分が痺れる末梢性と、顔に加えて手先の痺れや平衡感覚の不調などの症状が出る中枢性があります。特に中枢性は、脳梗塞など重大な疾患にも繋がり処置が遅れれば後遺症が残る事もあるので、気になったら即、脳神経外科へ!




牛伏山へ。


本日の目的地は美ヶ原高原。

日本百名山の1座でもある美ヶ原の草原地帯は、なだらかで歩きやすく無理のないリハビリルートに最適だろう。体調万全であれば下から登りたいところだが、今回は標高2000m付近まで車で行き、早朝の高原を歩くスケジュールとした。

早朝の美ヶ原は寒々しい風が吹くガスで真っ白な状況だった。それでも久しぶりに歩ける嬉しさで、眺望なき景色にもガッカリはしていない。

まずは牛伏山へ向かう。

駐車場から牛伏山の標高差は100mもなく、至ってなだらか。歩き始めて数分でケルンが乱立する頂上に到着した。周囲には牧草地が拡がり、牛たちがこちらの様子を観察しつつ草を食べている。

きっと見晴らし抜群な牛伏山山頂。


牛が伏せたかのような重厚でなだらかな山容の牛伏山山頂からは、遮るモノが放牧された牛以外に何も無く素晴らしい眺望が拡がっている。実際はガスで何も見れていないのだが、そんな気がする。いや、きっと素晴らしいに間違いない。

ちなみに、地図を見ると『牛伏山』と並んで『鹿伏山』を確認できる。後付け臭が漂うこの『鹿伏山』も非常に気になるトコロ。牛伏山山頂からの景色も含め、好天の時に改めて見に来なければな。

ガスで真っ白な山頂から想像上の景色を楽しんで、次は美ヶ原の最高峰である『王ヶ頭』を目指す。最高峰とは言っても、駐車場との標高差は200mもなく足場の悪い山道でもない。管理された牧草地を眺めながら整備された砂利道を緩やかに登るだけだ。

まさにリハビリ山行にうってつけ。

美しく広大な牧草地を持つ『美ヶ原』は、当然ながら自然の状態ではない。自生している高山植物なども見られるが、開拓して管理する人間がいてこその姿だ。この広大な敷地を維持している事を考えると、良し悪しは別として人間の開拓者精神にはつくづく驚かされる。

深い霧で先が見えない道を進みます。


ガスで全貌の見えない牧草地を眺めながら、ガスで先が見えない道を進む。歩いていると所々で牛たちの視線を感じ、絶え間なく寒々しい風が吹いている。

こんな寂しげな状況でも意外な程に心は静かだ。ほのかな喜びさえ感じる。

健康体であれば「ちぇ、何も見えねぇや」とボヤきの1つも口にしただろうが、今はこの状況をじっくりと味わいながら歩けている。

完治すればすぐに忘れてしまうこんな感覚も、こうして記録しておけば思い返す機会もあると言うモノだ。(どうだか・・・)

深い霧に包まれてひっそりと立つ『美しの塔』が見えてきた。塔の裏手に回るとワイヤーが垂れ下がっており、引くと鐘を鳴らす事ができる。『引く』とは思っていなかった私は、ワイヤーをぶんぶんと横に振って「カラッ・・・コロッ」と微妙な鐘の音を鳴らしただけとなった。

美しの塔。裏に回ると鐘を鳴らせます。


しばらく歩くとゆるやかな登り坂になり、登りきった所に立派な王ヶ頭ホテルが見えてくる。ホテルを素通りして更に進むと、不動明王や天狗の石像に囲まれて御嶽神社奥ノ院の祠が鎮座していた。

一面真っ白な状況もあって神秘的な雰囲気が漂っている・・・と言いたいのだが、祠の背後にそびえ立つのは近代的な巨大アンテナ。そして、すぐ脇では作業真っ只中の重機が唸りをあげている状況。

ああ、雰囲気が・・・。
歩ける幸せを実感している私も流石に少し残念な気分になった。

神社から少々歩けば美ヶ原最高峰の『王ヶ頭』に到着。相変わらず周囲は真っ白なガスに包まれて見事なまでに何も見えない。

それでも、リハビリとして足腰に違和感なく歩けたので満足だ。

御嶽神社奥の院の残念な状況。


うっすらと浮かぶ近代建造物。


美ヶ原最高峰の王ヶ頭。

帰り道では落ちた筋力によって疲労もしたが、続々とやってくる登山者や観光客たちが、何も見えない景色にも嘆かず楽しそうにしているのが印象的だった。特に親子登山者の楽しげな様子には病んだ心も和んでしまう。

そんな楽しげな人たちの中に、圧倒的存在感を放つおじさんがいた。

ハードに鍛え上げられた屈強なフクラハギを持つそのおじさんは、ロン毛で女装。この謎めいた圧倒的存在感とすれ違った時には「顔半分、麻痺している場合じゃあないぞ」と、何か励まされた気分になった。(え?失礼発言?)

よし、とっとと身体を完治させて自己メンテに励むか!

漫画的山行記録

これまでになく体調を崩してしまいました・・・。

仕事の『忙しさ』を言い訳にしたくはないので、今後は自己メンテを心掛ける事に。

目指すは屈強な身体。

そんなワケで、まだ全快していませんがリハビリ山歩きに行ってきます。

ココは美ヶ原の山本小屋。凄いだろう?これでも『小屋』なんだぜ?

長野県のほぼ中央に位置する美ヶ原では標高2000mの牧草地散策を気軽に楽しむことができます。

車で標高2000m付近まで行けるため、リハビリ山行には打ってつけです。

まずは牛伏山へ行ってみます。

一面のガス景色ですが、久し振りの山行に気分は上々です。

なだらかに登ってケルンが乱立する山頂付近に到着。

牛伏山山頂から、ガス、ケルン、牛を眺めます。本来であれば素晴らしい展望を見られそうです。

牛伏?まだ伏せねぇよ。

一旦、山本小屋まで戻って、次は美ヶ原最高峰の王ヶ頭へ向かいます。

真っ白で景色も何もありません。

広大に拡がる牧草地を眺めながら進みます。

ポニーもいるよ。

今、寝転んだら朝露でビチョビチョ必至。

霧の中から美しの塔が現れました。

塔の裏手に回ると鐘を鳴らせます。

静かな霧中の放牧地に鐘の音が響きます。

美しの塔からしばらく歩くと、緩やかな登り坂になります。

坂を登りきると立派な王ヶ頭ホテルがお出迎え。

王ヶ頭ホテルを通り過ぎると御嶽神社奥の院の石祠がありますが・・・

この残念な状況。

まあ、それでも参拝してけよ。

そうしろよ。

でも祠の背後にそびえ立つ近代的建造物に少々複雑な気分。

御嶽神社奥の院から少し歩けば、美ヶ原最高峰の王ヶ頭です。

摩利支天像と不動明王像も見られます。

王ヶ頭の南側は崖です。そして素晴らしい景色が!(要想像)

リハビリなのでこの位にして戻ります。

帰りにはぽつりとニッコウキスゲ。

しっとりとウスユキソウ。

太陽を待ちわびるハクサンフウロ。

そして野イチゴもあるよ。

帰りも相変わらずのガス景色。

うっすら見えてきた美しの塔。

一時の晴れ間で牛伏山が見えました。

山本小屋まで戻って一息タイム。

無理なくリハビリ山行は終了しました。

早く全快しなきゃね。

そして自己メンテだ!

おわり

漫画的山行記録
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本日の山行情報

単独行/日帰り/ハイキング/マイカー登山

美ヶ原(うつくしがはら)
標高2008m(王ヶ鼻)
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

山本小屋駐車場[着] 06:51 - [発] 06:51
 ↓ 8分 
牛伏山[着] 06:59 - [発] 07:02
 ↓ 10分 
山本小屋[着] 07:12 - [発] 07:12
 ↓ 18分 
美しの塔[着] 07:30 - [発] 07:31
 ↓ 45分 
王ヶ頭[着] 08:16 - [発] 08:16
 ↓ 53分 
山本小屋[着] 09:09 - [発] 09:09

行動時間:2時間14分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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