箱根山地の金時山へ。
箱根を訪れるのが初めてとなる私は、これだけでワクワクしてしまうのに、温泉あり、観光名所ありと他にも楽しみどころ満載のこのエリア。
そして、今回の目的地である金時山と言えば、金太郎伝説であまりにも有名だ。
だが、『金』の文字をあしらった菱形の布(腹掛け)をまとい、マサカリ担いで熊にまたがる、あの圧倒的ビジュアルのせいか、物語としての印象は限りなく薄い。
辛うじて熊と相撲をとっている断片的なシーンを思い出すくらいか。
始めて金時山を歩くのにこれではいけない。
事前に箱根/金太郎リサーチをしておこう。
金太郎は、熊と相撲をとったり、栗を拾うため大木を倒したり、何やかんやで四天王になって鬼退治もしてしまう物語。
よし、予備知識はバッチリだ。
いざ、金時山へ。
※気になる方は各自調べましょう。
今回は山歩きが久し振りのヨメも同行しているので、3~4時間で周回できるハイクングコースを歩く事にする。
公時神社(金時神社)付近で、1日500円の有料駐車場に駐車。
「神社の駐車場にとめれば無料だったのに」と、ヨメに軽くなじられつつ山歩きスタートだ。
【事前リサーチ情報】
公時神社は金太郎伝説の由来となる坂田金時(坂田公時)を御祭神としています。あわせて金時山の山名由来にもなっています。
公時神社にも登山口はあるのだが、尾根筋の定番ルートから登るため、『金時登山口』まで舗装道路を移動。
それから矢倉沢峠を目指して登り始める。
山道は雪解けで予想通りの泥だらけ状態。
頭上の木々からは、雨が降っているかのように雪解けの水がしたたり落ち、泥の状態がより悪化しているように思える。
こんな悪路でも汚れお構いなしでガツガツと歩ける人は羨ましい。
私などは、泥が跳ねないようにそーっと足を運んでしまう。ゲイターを持ってこなかった事もあって、余計にそーっと歩く。
ヨメ曰く、フォンダンショコラみたい。・・・いや、泥だ!
この泥だらけでウンザリする山道を「フォンダンショコラみたい」と、何だかステキっぽく例えているヨメ。
・・・いや、泥だ!
フォンダンショコラとやらでも、ベトつきそうで嫌だ!(全然ステキじゃない発想)
冬期間は雪に押し潰されていた背丈の高い笹も、雪解けと共にその身を起こし始めたのか、アーチ状となって山道を覆っている。
そんな笹のアーチをくぐって矢倉沢峠へと抜ける。
矢倉沢峠からは笹原が広がり、見晴らしが良くなる。
ただ、本日の天気は今一つで、時折青空も覗かせてはいるが、箱根山最高峰の神山には雲が掛かってしまい残念な景色となっていた。
【事前リサーチ情報】
箱根山は、中央火口丘とカルデラ(陥没地)、それらを囲んだ外輪山群の総称です。箱根山と呼ばれる個別の山はありません。
尚、金時山は外輪山列に位置します。
ここまで来ると、泥だらけだった山道は圧雪された山道へと変わり、泥跳ねの心配がなくなった。
圧雪されて滑りやすいとはいえ、軽アイゼンやスパイクが無くても歩ける状態なので、泥で汚れたくない私としては遥かにありがたい。
後は山頂直下の急坂を登れば山頂だ。
【事前リサーチ情報】
金時山の山頂付近は急坂です。
その突出している山頂がイノシシの鼻のように見える事から、金時山は猪鼻嶽(いのはなだけ)と呼ばれていました。
何事もなく金時山山頂に到着。
雲の合間から見えていた富士山も、しばらくするとすっかり隠れてしまった。
それでも好展望地である事は誰もが認めるだろう素晴らしい山頂だ。
『金時娘の茶屋』で金太郎手ぬぐいゲットだぜ。(なんてチョイスだ)
そして、金時山と言えば金時娘。
金時娘とは、山頂にある茶屋(現在は『金時娘の茶屋』)を1947年から切り盛りしている看板娘で、驚くべき事に今も尚現役。
今となっては看板娘と言うより看板女?いや看板婆や?
何はともあれ、敬意の念を持って立ち寄らない訳にはいくまい。
『金時娘の茶屋』に入ってメニューを眺めていると、奥から金時娘登場。
「今日はキノコ汁しか出来ないよ。他のもの食べたきゃ隣(金太郎茶屋)に行っとくれ!」
お昼時で忙しかったのか軽くあしらわれてしまい退散。
キノコ汁の気分になったら改めて寄る事にします・・・。
【事前リサーチ情報】
金時娘こと小見山妙子さんの父にあたる故・小見山正氏は、新田次郎の小説「強力伝」のモデルとなった人物です。あの小説を読んでいると、無性に力が入ります。
持参したコーヒーとパンケーキを食べた後は、折角なのでマサカリを担いで記念撮影。
タップリと金時山を満喫した後に下山の途に就く。
ここは天気が良いときに改めて訪れたいと思える山頂だった。
それとキノコ汁の気分の時に。
中央火口丘とカルデラ(陥没地)。晴れた時も見てみたい。
下山は乙女峠方面へと下る。
こちらの山道は、山頂付近を下ってしまえば後はなだらかで、なんと言っても泥だらけではないのが嬉しい。
何せ私はコンクリートジャングルに生きる現代っ子ですからね。
最後こそ泥っぽかったが、派手に汚れる事なく公時神社へと戻り、始めての箱根歩きを無事に終える事ができた。
マサカリを担いで金太郎気分も味わえたし、事前リサーチの甲斐もあって、短時間でも意外と楽しめた今回の山行。
帰りには、地元住民御用達の庶民派温泉『太閤湯』(400円)で汗を流し、庶民とは真逆の雰囲気を持つ老舗富士屋ホテルを見学。(宿泊じゃなく見学、だと?!)
「こんなホテルに泊まってみたいわぁ」と、貴族スタイルに憧れるヨメの視線を激しく感じつつ箱根エリアを後にした。
地元自治体によって運営されている『太閤湯』(400円)。綺麗に管理されています。
1878年創業の老舗富士屋ホテルを見学。(宿泊じゃなく見学、だと?!)
地元の方がお勧めする『丸う田代』のかまぼこはお土産に最適です。
【事前リサーチ情報(おまけ)】
『金時豆』の名称は金太郎こと坂田金時が由来とされ、その息子である坂田金平は『きんぴらごぼう』の由来になっているとか。
この親子って一体・・・。