4時に目が覚める。
外の様子を見にシェルターから出てみると、昨晩の激しい雷雨から一転、外は満天の星空が広がっている。
これは御来光も景色も楽しめそうだ。
茂倉新道で土樽駅に下山する予定にしていたが、山道は西側に面しているため、この時間から下山を開始すると日陰の山歩きになってしまいそう。
昨日はガスのため谷川岳山頂では何も見えなかった事だし、急遽、谷川岳へ戻り、景色を堪能しながら天神尾根、田尻尾根で土合駅へ下山することにした。
この柔軟なスケジュール変更も単独山歩きならでは。
とは言え、登山届を出している関係上、間違いなく下山せねば。
東の空にうっすら夜明けが訪れる頃に出発。
双耳峰の谷川岳。写真では暗くて分かりずらいが岩壁が実に勇壮。
昨日はまったく見えなかったが、一ノ倉岳からみる谷川岳(トマノ耳、オキノ耳)は見事だ。
マチガ沢と一ノ倉沢から突きあげてそびえ立っている谷川岳は実に勇壮。
早朝から早くもテンションが上がる。
昨日の雨でしっとりと濡れて、より滑りやすい状態になっている谷川岳の蛇紋岩を慎重に進んでゆくと同時に朝焼けも進み、尾瀬、武尊方面の山々が際立ってきた。
そして夜が明ける。
昨日の雨風がウソのように穏やかな夜明けだ。
本日は15時頃まで東京方面に戻らなくてはならないため、風呂に入ったり電車時間などを考慮して逆算すると10時までには下山する必要がある。
ゆっくりしている訳にもいかないのだが、この稜線からの景色をじっくりと堪能せずにはいられない。
朝焼けの景色は勿論の事、万太郎山へと続く稜線に押し寄せる雲海の優雅な動きもまた堪らない。
景色にうっとりしながら谷川岳最高峰の『オキノ耳』に到着。
『トマノ耳』山頂には御来光を眺める登山者を多数確認できるが、こちらには誰もいない。
マイ山頂だ。
燧ヶ岳や至仏山など、これまで登った山々を独占状態の谷川岳山頂から眺めるのもまた格別。
贅沢なまでに至福の一時を過ごす。
『オキノ耳』にも立ち寄り、集合写真撮影のお手伝いをする。
この天気ではどんな集合写真も絵になるし、何よりも皆さん表情が晴れやかだ。
この時間帯に出会った登山者のほとんどが谷川岳肩の小屋の宿泊者で、この好天の下、たっぷりと縦走を楽しむスケジュールのようだ。
やはり山歩きは早出に限る。そして自宅からの移動を考えると、初日より2日目が楽しめるな。
ゆっくりしていられないとわかりつつ山頂で登山者と語らい、すっかりくつろいでしまった。
さて、ここからは淡々と下山することにしよう。
広がる笹原が爽快な天神尾根伝いに谷川岳ロープウェイ乗り場へと向かう。
天神尾根は主にロープウェイで来た登山客が利用する事になるだろうが、意外にも岩場が多く、油断すると捻挫しかねない。
早朝のためまだロープウェイが運行していないのか、こんなに好天でも周囲には誰もいない。
もっとも、連休真っただ中でこんな早朝から下山する登山者はそういないだろう。(ココにいる)
天神尾根を下り、田尻尾根への分岐手前で、ようやくロープウェイが運行を始めたのか、登山客がひっきりなしにやってくる。
しかし田尻尾根に入ってしまえば、多分、誰とも会う事は無い。
ロープウェイ乗り場を目前にして、景観を期待できないだろう樹林帯の田尻尾根を下山するモノ好きはそういないだろう。(ココにいる)
田尻尾根は想像通りの樹林帯。
そして予想通りの『誰もいない感』。
ちょっと湿った土の山道はヌルリと滑りやすく、そこそこの傾斜があるために余計に気を張る。
岩場とは違う『泥だらけになりたくない』緊張感で下山していく。
笠ヶ岳、白毛門を眺めながら優雅に下る谷川岳ロープウェイ『フニテル』。それを憎々しげに見上げている私。
田尻尾根登山口まで下りると山道は終了。
砂利敷きの林道で視界は開け、頭上には谷川岳ロープウェイ『フニテル』が悠々と流れている。
日も高くなって暑いし、疲労の溜まった関節を軋ませながらロープウェイ乗り場まで無事に下山した。
予定通りでまずは一安心。
電車時間にも余裕があるため、お土産でも物色しようと谷川岳ベースプラザに立ち寄る事にする。
お土産物色後は徒歩で土合駅まで戻るつもりでいたが、ベースプラザ前のバス停にはバスが停車しており、時刻表を見ると丁度、出発1分前。
お土産か、タイミングよく乗れるバスか。
一瞬迷ったが、「えーっ、お土産ないのぉー」と、ヨメに責められる事を覚悟。これは運命だと思う事にして(大袈裟)ベースプラザに立ち寄ることなくバスに乗り込み帰路に就いた。
と、言う事で今回のお土産は無し!
※でも水上駅前で購入しました。ヨメの責めには耐えられんのだ。