2012年6月24日
常念山脈:2日目
大天井岳:激しく歩行欲を刺激される稜線の景色。

すっかり熟睡できた。
外はまだ暗いが朝焼けも見れそうな空模様だし、早出するにはもってこいだ。

隣にテントを張っているKさんは既に起きており、「寝れました?」と聞くと周囲のイビキであまり寝れなかったようだ。
まさかとは思ったが、そのイビキには私のイビキも含まれていたと言う。

これまで「イビキうるせぇ」、と被害者面していたのに、知らぬ間に加害者側になっていたとは・・・。
これからは同じイビキ人として、もう他人のイビキのことは何も言うまい。

朝焼けショータイム満喫中。


本日は天気が安定しているので、大天井岳のピストンに出かける。
この大天井岳は常念山脈の最高峰にも関わらず控え目な存在で、「おてんしょう」「おおてんしょう」「だいてんしょう」など好きなように呼んでください、と実におおらかな山だ。

大天井岳に向け出発すると早速朝焼けショータイムが始まった。

槍の穂先から染まり出し、稜線上の山々を次々と照らしていく朝日。
朝の静けさが実に清々しい。

朝焼けを満喫した後は、飛騨山脈を眺めながらの爽快稜線歩き。
ただ、常念~大天井区間の一般的なルートは稜線伝いではなく、巻き道になっている。

大天井岳までは横通岳、東天井岳を越えて行くのだがやはり巻き道。
しかもピークの西側を巻くため、この時間帯は日が当らなくて少々寒い。

高山でたくましく生きてます。


そんな中、雷鳥が姿を現す。
夏羽への換羽途中なのか、腹のあたりはまだ白い、まゆ毛(とさか?)の立派なオス雷鳥だ。
「ぐぁぁああぁ」としがれた鳴き声を発しながら岩の上に立ち、格好の被写体になってくれた。

【雷鳥情報】
眼の上にある鶏冠(とさか)のような部分は肉冠(にくかん)と言います。


常念小屋の小屋番さん情報によると、大天井岳までは雪渓をトラバースする箇所が2箇所あると聞いている。
その1箇所目に到着した。

まだ早朝のため雪がカリカリして滑りやすい状態になっているが、数メートル下にはハイマツ帯が広がっているため、仮に滑落してもハイマツ帯にダイブするだけで済みそうだ。
適度な安心感を持ちつつ、それでも慎重に雪渓をトラバース。

2箇所目の雪渓は単なる雪道。
アイゼンの必要性を尋ねられたら、ソールがツルツルのボウリングシューズでも大丈夫ですよ、と言えるほどの状態だ。

雪に埋もれる大天荘。まだ営業していません。


2箇所目の雪渓を越えるとようやく大天井岳が見えてきた。
大天井岳手前の大天荘でうどんを食べようとウキウキしていたKさんだったが、小屋の半分は雪に埋もれた状態でまだ営業していなかった。
ガッカリするKさん。

後に大天荘のホームページでメニューを調べたところ、山中とは思えない美味そうなラインナップが揃っていた。(とん汁セット美味そう)
これではガッカリするのもうなずける。

大天荘から5分ほどで大天井岳山頂に到着。

常念岳からの景色とは異なって見える槍・穂高連峰にテンションは上がり、相変わらず尖っている槍ヶ岳の陰にチラリと見える小槍もステキだ。
そして燕岳をはじめ、果てしなく続いているような稜線の景色に歩行欲を激しく刺激された。

燕岳方面からは縦走者が何人かやってきて、静かだろうと想像していた大天井岳山頂は思いのほか賑わいを見せている。
そして燕岳方面の山道情報を聞き出すことで更に歩行欲を刺激された。

大天井岳山頂からの槍ヶ岳。


燕岳へと続く稜線。歩行欲を激しく刺激されるッ!


槍の陰から小槍がチラリ。

私はやはりテントを担いで縦走するのが好きだ。
自分で担げる範囲の衣食住を背負って歩くというシンプルさに縦走の魅力を感じる。

時には同行者の荷物を持ったり、逆に持ってもらったり。

「何れは縦走しに戻ってくるぞ」と膨らむ縦走計画を胸に大天井岳を後にした。

ミニ槍ヶ岳っぽい石が積んである東天井岳の山頂。


常念小屋までの帰り道、立ち寄らなかった東天井岳のピークを踏んでみることにする。
山頂は少しばかりの岩が積み重なり、その間からミヤマキンバイが咲く、これと言って何もない山頂。
しかしこの何でもない素朴さが意外とよかった。

その近くにある小ピークには登山者がいた。
話を聞くと鉱物の調査をしている学生のようで、この辺りは異なる岩質を持つ山域の境目になると熱く語ってくれた。

そういえば来る途中に、夕焼け/朝焼けを撮りに来ている写真家、天体専門の写真家など、目的が明確な登山者に出会っている。
縦走やピークハントも立派な目的だが、何かもう一つ明確な目的を加えるのも楽しそうだ。

差し詰め私はテントで夜な夜な読書といったところか。
それもチップスターを食らいながら。(この辺が俗っぽい)

ファイトバクハツ!!ドデカミン(大)を一気飲み。


途中、突然スイッチオフになりパタリと岩場で寝転んだりもしたが、昼過ぎくらいには常念小屋に戻ってくることができた。

常念小屋にある文明の象徴「自動販売機」で、ファイトバクハツ!!ドデカミン(400円也)を購入。
ゴクリゴクリと渇いた喉を潤し、カロリーの塊「ベビーチーズ」(50円也)で栄養を補給して疲労回復だ。

明日は天気が崩れるとの情報を得て、2泊3日を予定していたところ前倒しで下山することにした。


下山途中、日中で気温も上がり、余計に崩壊が進行する雪渓を前に、踏み抜いてしまわないかとヒヤヒヤ。
雪渓を無事に下っても、雪解け水で沢が増水、水勢も増している様子から、昨日、靴を脱いで渡渉した箇所が心配になる。

しかしナイスタイミングで丸太橋が整備されていた。
ありがたき山道整備。

お疲れ。ちょっと休んでいけよ。


沢を渡り、同じところグルグル周っているんじゃないか?と感じる長い下山道を下って、無事に駐車場へと辿り着いた。

梅雨真っ只中なのに夕焼け、朝焼け、稜線歩き、と北アルプスデビューとしては申し分ない内容だ。
そして更なる歩行欲を刺激される山歩きでもあった。

本日の写真

朝焼けが始まった。

夜が明ける。

朝焼け空に八ヶ岳が浮かぶ。

朝焼けの色合い。

朝焼けに染まる槍・穂高連峰。

先ずは稜線上が夜明け。

おはようニッポン。

朝日を浴びる常念岳。

不思議な朝日。

朝焼け終了後の穂高連峰。

横通岳を巻いて進みます。

眉(とさか?)の立派な雷鳥。

たくましく生きている感じ。

カール下に涸沢ヒュッテが見えてきた。

ガレ場を進みます。

山道が日陰で少々肌寒い。

大天井岳へは雪渓トラバース箇所があります。

サンカヨウ。

ハイマツ帯を登ります。

道標の前で小休止。

東天井岳を仰ぎ見る。

ミニチュア花。名称不明。

雪渓をトラバース。すぐ下にハイマツ帯があるので安心。

雪面を登ります。

稜線歩き続行。

小槍が見えてきた。

立山、剣岳。

快適な稜線歩き。

存在感のある岩。

オヤマノエンドウ。

あのピークを越えれば大天井岳が見えるはず。

大天荘。人の気配なし。

埋まってる。。。

こちらも埋まってる。

雪面を登って大天井岳山頂へ向かいます。

大天井岳山頂。

高瀬ダムが見えます。

燕岳へと続く稜線。

大天井岳山頂の小祠。

何処から見ても尖ってらぁ。

さて、来た道を戻るか。

旧二俣小屋跡。テントが張れそう。

ついでなので東天井岳にも登ってみる。

何もなくて良い感じの東天井岳山頂。

雪稜で小休止。

雪稜を滑り下ります。

見晴らしの良い快適山道。

雷鳥の抜け毛?

ガレ場を進みます。

常念小屋が見えてきた。もう一歩き。

囲まれると空気が暑い。

更に暑い。

常念小屋に戻ってきた。喉が渇いた・・・。

ビバ!文明!

さて、胸突八丁を下りますか。

来た時と同じく、LASTWATERって英訳でいいのか?

落石だらけの雪渓。

雪渓に長居は無用。さっさと下ります。

崩壊が進む雪渓。

一ノ沢を見下ろしながら下山。

急斜面はここまで。

昨日よりも融けて小さくなっている。

涼しい空間。

夏色っぽくなってきた。

頼りになる丸太橋。

雪解けで水勢が激しい。

山道が沢化している。

サンカヨウ。

昨日は靴を脱いで渡渉した箇所に丸太橋が設置されている。これはありがたい。

笠原沢。先はまだ長い。

小休止中。

怪しいキノコ。

ちょっと休んでく?

水しぶきで丸太ツルツル。

昨日も今日も古池。

爽やかな色合い。

山の神に無事な下山を感謝。

シダ満開中。

無事下山。疲れたー。

駐車場に到着。

本日の山行情報

複数人山行/2日目/テント泊/8時間以上歩行/マイカー登山

横通岳(よことおしだけ)
標高2767m
東天井岳(ひがしてんしょだけ)
標高2814m
詳細(外部リンク)
大天井岳(おてんしょうだけ)
標高2922m
詳細(外部リンク)

本日のスケジュール

常念小屋[着] 04:10 - [発] 04:10
 ↓ 80分 
横通岳(巻き道)[着] 05:30 - [発] 05:30
 ↓ 140分 
東天井岳(巻き道)[着] 07:50 - [発] 08:00
 ↓ 65分 
大天荘[着] 09:05 - [発] 09:45
 ↓ 10分 
大天井岳[着] 09:55 - [発] 10:30
 ↓ 10分 
大天荘[着] 10:40 - [発] 10:40
 ↓ 45分 
東天井岳[着] 11:25 - [発] 11:25
 ↓ 85分 
横通岳(巻き道)[着] 12:50 - [発] 12:50
 ↓ 30分 
常念小屋[着] 13:20 - [発] 15:10
 ↓ 195分 
一ノ沢登山口(ヒエ平)[着] 18:25 - [発] 18:35
 ↓ 20分 舗装道路
駐車場[着] 18:55 - [発] 18:55

行動時間:11時間20分(休憩含む)

本日のおすすめ(お土産/温泉情報)

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