
姉弟一緒だった頃
朝方にキツネがやってきました。昨年末から頻繁に出没している親離れして間もなさそうなキツネです。
『なでしこ(姉)』『銀吉(弟)』と只木さんに命名された姉弟ギツネは、大概2匹そろって姿を見せ、姉の後に隠れて弟が付いてくる感じでした。
しかし、本日やってきたのは弟の銀吉のみ。
年末に見かけた頃は幼い顔付きだったのに、越冬した今では野性味あふれる雰囲気すら漂っています。人懐っこいとは言え、数ヶ月の間にここまでたくましくなるとは、さすが野生。
そんな銀吉が警戒するように遠くを見つめる視線の先には、姉のなでしこの姿が小さく見えました。一緒に行動していた頃には無かった距離感です。仲の良い姉弟関係は終わってしまったのでしょうか。
キツネの世界には、夏の終わり頃になると親ギツネが子ギツネを巣穴から追い出す『子別れ』の儀式があると言われています。そこに一切の甘えはないそうです。
恐らく、なでしこと銀吉の2匹は突然の親離れに困惑しながら共に行動して数か月経った今、姉弟関係からも独立したのでしょう。
姉弟ギツネのこれまでの関係を見ていた者としては、己の力のみで生きなければならない自然の厳しさを感じてしまいます。